カラムナリス病(鰓腐れ病、鰭腐れ病、口腐れ病、皮膚のカラムナリス病)


カラムナリス病は尾腐れ病、ヒレ腐れ病、口腐れ病、エラ腐れ病などの
病気の総称です。感染箇所により尾腐れ病、ヒレ腐れ病、口腐れ病、エラ腐れ病などと呼ばれます。

伝染力が強く病気の進行も非常に早いため、発病したら早急な対応が必要です。


スクリーンショット 2021-04-16 21.13.17

写真は鰭と体表に発症した病魚、この病気の典型的な写真(写真:新潟県内水試)


滑走細菌類の一種であるフレキシバクター・カラムナリス(Flexibacter columnaris)(カラムナリス病菌)と言う細菌が感染して発生します。

この細菌は淡水に常在する条件性病原菌です。条件性病原菌とは水槽に常に存在する菌で、水質の悪化など水槽のバランスが崩れた場合や魚の抵抗力が衰えた場合に魚体へ感染して発病します。


各鰭、口吻、鰓弁の先端や体表に、細菌のコロニーである黄白色の付着物が出現し、鰓腐れ病(鰓病)、鰭腐れ病、口腐れ病、皮膚のカラムナリス病という病名で呼ばれます。外観症状は水かび病にも似ていますが、患部に菌糸が見られないことから識別することができます。


発生時期

水温14~15℃で発生し、PH7.5付近、20℃以上の高水温時に多くみられます。主に春から秋にかけて発病しますが、加温越冬(一般的な飼育下)では冬でも容易に発生します。つまり一年中発症する可能性があると言うことです。夏季の稚魚や当才魚(その年に生まれた1歳未満の魚)では、急速に進行し、死亡率は非常に高いです。


スクリーンショット 2021-04-16 21.15.22

細菌のコロニー(黄色い付着物)が見えます。


原因

濾過装置の不備、餌のやりすぎによる水質の悪化、大量の水換えによる水質の激変、過密飼育によるストレスから魚の体力が低下した、など原因はいくらでも挙げることができますが、常に水槽内(淡水)に存在している菌のため、外部からの持ち込みが直接の原因と言う可能性は低いです。(もちろん導入時はトリートメント等が必要です)


鰓(えら)腐れ病

鰓(えら)腐れ病は、泳いでいる姿だけで発見するのは非常に困難で、注水口に寄っているとか、鰓蓋内に白いものが見えた場合に、鰓蓋を持ち上げて観察することが必要となります。
何となく元気がない、底に沈んでいる、餌の食いが悪くなった、フラフラ泳ぐなど、多少おかしいと感じた時には鰓腐れ病と疑ってみるのがいいです。


初期には、鰓(えら)の先端や一部だけが白くなり、または鰓弁に黄白色の小さい付着物(細菌のコロニー)が出現し、粘液の異常分泌が起きます。

次に鰓弁はうっ血し、暗赤色となり、小さい出血点が多く現れるようになります。食欲低下、動作が緩慢になり、群れから一匹離れるようになるのも特徴です。


さらに症状が進むと鰓(えら)が部分的に灰白色に変色し、中心が灰色や黄色になって腐り始め、または欠損してきます。欠損していく理由は、菌が産生したタンパク分解酵素によって、感染部位が溶けていくからです。


呼吸回数が増加し、池表面(水面付近)を漂い、口と鰓蓋の開閉が多くなります。これを過ぎると、流れが穏やかで多少の流れがあるところや注水口に寄ります。これは自力で鰓を開け閉めして呼吸をすることができなるためで、水の流れを受けることで鰓呼吸をかろうじて行なっている状態になります。


重症になると、底に沈んだり、横転したり、時には狂奔して泳ぎ、壁にぶつかって死ぬこともあります。

欠損部には泥や水生菌が付着して見た目から汚い感じがし、鰓の組織は崩れて軟骨だけになってしまいます。

見た目の変化としては、鰓の付け根が白く変色したり、鰓蓋を開いた時に鰓が白く見えるようになります。また眼球のくぼみやむくみが起こり、ここまで病気が進行してしまうと、遊泳時にも病気を患っているとわかるが、手遅れになることが多いのも事実です。



口腐れ病

口腔や口部周辺が赤または黄色の炎症を起こします。

進行するとただれ、眼球のくぼみや腫れぼったくなり、鰓腐れ廟と同様、口吻の先端から黄色、灰白色に変色し、患部組織はぼろぼろと崩壊しやすくなります。

発病魚は食欲が衰え、注水口に寄ったり、物陰で静止、または水面を浮遊し、群れから離れていることが多いです。摂餌ができないため衰弱、排水部に寄って死に至ります。



鰭(ひれ)腐れ病

各鰭が赤く充血し、先端部から徐々に白く変色し、溶けたようになるため、比較的簡単に発見することができます。

進行すると鰭膜が溶けて、鰭条部分だけが残り、箒状になります。伝染力が非常に強く、重症の場合は全身に感染し死亡します。初期のうちは遊泳の異常などは見られないのが特徴です。



皮膚のカラムナリス病

 体表に白色、淡黄色の付着物が付いたように見えます。進行すると体表が白い粘膜で覆われ、脱鱗や粘膜の剥離が生じ、白いボロ布を着たようにぼろぼろになります。また、魚体はむくみ、体を擦り付けたり、ローリングしながら水面を漂うか、静止する異常遊泳が見られ流のが特徴です。

この場合は手遅れで死亡することが多いです。

最初から皮膚感染することもありますが、多くの場合は鰭腐れ病、鰓腐れ病、口腐れ病などが先行し、徐々に体表へと症状が現れはじめます。とくに幼魚に発生しやすく、眼球のくぼみを伴い、浮腫症のような症状になります。



検鏡

カラムナリス菌は細長い棒状の菌で、特有のコロニーを作るので顕微鏡(200倍以上)で確認することができます。

鰓の腐ったところの周辺部や黄白色の付着物をピンセットで少し取り、水を一滴落として広げます。200倍以上で観察すると、糸屑のような滑走運動をする菌がたくさん見え、ウニがトゲを動かすように一本一本が動く針の山のように見えます。患部は病状が進行するにつれて水生菌などに置き換わるため、患部の周辺部を検査します。


スクリーンショット 2021-04-16 21.15.32

菌がイソギンチャク状に見えます。(写真:新潟県内水試)



治療

まず給餌を止めるか、餌の量を少なくします。
新しい水を注入したり、飼育尾数を減らすなど飼育環境を改善します。


えらの寄生虫症から鰓腐れ病になる場合が多いので寄生虫がついていれば、寄生虫を駆除するほうが先決です。群れ全体(水槽内の生体)にまだ食欲があるようならば抗菌剤の経口投与、食欲がなければ薬浴を実施する。



薬浴

 口腐れ病の病魚は摂餌できないので経口投与は不可能。薬浴が治療の中心となる。

  • ①エルバージュの短時間浴……水1トン当たり50~100gの薬浴、4時間。
  • ②エルバージュ+食塩の薬浴……水1トン当たり、エルバージュ10~20gと食塩5㎏の薬浴、7~10日間。エルバージュは直射日光に当たると分解が早いので、薬浴は夕方より開始し、池に覆いをする。
  • ③テラマイシン+食塩を池全体に散布……水1トン当たり、テラマイシン30~50gと食塩5㎏の薬浴、7~10日間。水温が高い時は薬を少なめに、低いときは多めに使う。エアーレーションを併用。
  • ④テラマイシンの短時間浴……水1トン当たりテラマイシン250gで4時間の薬浴。水温の高い時は薬を少なめに、低い時は多めに使う。病魚が少ない場合には別の容器で行う。エアレーションを併用。水温を18℃以上に上げたほうがよい。
  • ⑤パラザンD+食塩の薬浴……水1トン当たり、パラザンD100mlと食塩5㎏で10日間の薬浴。薬液が汚れたら交換する。


経口投与

 餌を食べるようなら経口投与と薬浴を併用して治療する。経口投与は初日に多めに与えて血中濃度を急速に高め、2日目からは薬の量を減らし、5日間程度与える。

  • ①テラマイシン散の経口投与……1日に魚体重1㎏当たり100~500㎎。
  • ②パラザンまたはパラザン油剤の経口投与……パラザンは1日に魚体重1㎏当たり0・1~0・2gを5~7日間。パラザン油剤は1日に魚体重1㎏0・1~0・5mlを5~7日間。
  • ③エルバージュの経口投与……1日に魚体重1㎏当たり0・5gを5日間。
  • ④サルファ剤の経口投与……ダイメトンなど。


乾乳用軟膏

口腐れ病、鰭腐れ病、皮膚のカラムナリス病の患部に塗布し、同時に薬浴を行います。


治療上の注意

鰓腐れ病の病魚は呼吸困難になっているので、できるだけていねいに扱い、余分な運動をさせないように注意をします。


予防

予防には、病原菌を観賞池や養殖池に持ち込まないことが必要ですが、カラムラリスは淡水の場合常に存在している菌ですので物理的に難しいです。新しい鯉を池に入れる場合はエルバージュで薬浴も一方法ではありますが、餌のあげすぎや過密飼育をしないことからはじめましょう。

また外傷を負った場合は早く治療してあげましょう。傷口から感染することが多いです。


水換えも週に1度はいこなってあげると良いでしょう。