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(上の図は2月19日の読売新聞から)

 図から見て分かるように、東北電力女川原発は海面から建屋の地面までの標高差が14.8メートルある。これはもちろんこの辺りが三陸の大津波に過去の歴史上何度も遭遇して来たから、それを想定してこの高さにした訳である。

 ところがそれより南の仙台平野や福島県の福島第一・第二原発辺りになると、明治以降には大きな津波はなく、江戸時代以前のことになると正確な調査がされている訳ではない文献に頼るしかない。

 その文献資料では、「日本三代実録」の中に貞観津波(869年)の記述があり、仙台平野が東日本大震災規模の大津波に呑み込まれたことが出て来る。
 しかし津波が及んだ範囲に関しては、当時の国府があった多賀城(宮城県多賀城市)の高台から仙台平野を見た記述のみであって、福島の方のことまでは書かれていない。

 福島第一原発は日本の初期の原発で、アメリカGE社のマークⅠ型を輸入したものだ。だからほとんどアメリカ人が設計したので、津波のことなど全く念頭になく造られたと考えても良いだろう。
 また日本側にも当時はそれ程津波の意識はなく、建設場所の丘陵地を削って低くし、海面から建屋がある地面までは10メートルだった。

 この少し後造られた茨城県の東海第二原発も、海面から建屋の地面までが8メートルだが、この辺りも過去に津波の記録がほとんどないということで、福島第一よりも低くなっている。

 しかしそれ以降は福島第二原発は海面から建屋の地面までが12メートルになり、福島第一原発の6号機の時にはそれが13メートルになっていて、明らかに次第に津波を意識して海から高い場所に建設しようという意図が感じられる。

 で、ここへ来て近年地質調査も行われたりしたことなどから、やはり福島も過去には津波の痕跡が出ているし、大きな津波の対策をもっと立てる必要があるのではないかと言った意見も出て来ていたようである。

 ではなぜ中々対策が実行されなかったのかと言うと、非常用ディーゼルエンジンを高台に設置すると設計変更も伴い費用が掛かり過ぎると事故当初に関係者らしき人が言ったりもしていたが、・・・

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 それ程費用が掛かるようにも思えない。良く分からない。
 http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY201103300517.html


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 東日本大震災の際、東北電力の女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)も、東京電力福島第一原発と同じクラスの津波に襲われたが、福島第一のような大きな被害はなく、危機的な状況に陥ることはなかった。その違いは何だったのか。  

 福島第一原発から北に約120キロ離れた太平洋岸にあり、三つの原子炉が並ぶ女川原発。福島第一原発を襲った津波は高さ14メートルを超えたが、女川町を襲った津波は17メートルクラスだったとする調査結果が出ている。津波で、女川原発の1~3号機のうち、2号機の原子炉建屋の地下3階が浸水したが、原子炉を冷やすために不可欠な電源が失われることはなかった。

 女川原発の安全審査で想定した津波の高さは最大9.1メートル。想定を大きく上回ったのは、福島第一原発と同じだ。それにもかかわらず、被害が小さかった理由について、東北電力は「詳しい経緯は今後の調査を待たなければならないが、余裕を持った造りが大きかったと考えられる」と指摘した。

 「余裕」が最も表れているのは、原子炉建屋の海面からの高さだ。同原発の主要施設の標高は14.8メートルあり、10メートル前後だった福島第一より高い。女川原発は2号機の熱交換器室が浸水の影響で使えなくなった1系統を除き、非常用電源が正常に稼働した。施設の位置の高さが津波の被害を防いだ可能性があるという。

 また、女川原発では、福島第一原発とは違い、外部電源が失われなかったことも大きかった。東北電力によると、女川原発につながる2系統の送電幹線のうち、片方は地震の影響で止まったものの、もう一つは電気を送り続けた。同原発1号機は変圧器の故障でこの外部電源が使えなくなったが、2、3号機では維持された。福島第一原発で外部電源が喪失したことについて、東電側は「送電鉄塔が地震で倒れたため」と説明している。 

 ただ、津波対策として原発を海面からより高く建設することは容易でないという。原発は大量の冷却水を必要とするため、海水面近くに造らなければならない。核燃料や運搬時に燃料を包むキャスクなど、何トンもの重量がある荷物は船で敷地内に運び込まれることが多く、建屋の標高が高くなれば、作業がそれだけ困難になるという面もある。

 宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子炉工学)は「原発は、硬い岩盤の上に建設することが不可欠だ。国内でも、原子炉建屋の高さがまちまちなのは、適した岩盤の位置によるという事情がある」と話している。(中井大助)

(「朝日新聞」より)
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