2004年10月27日

アフィリエイトの法律問題2

前回広告主から損害賠償請求される可能性について検討しましたが、その際に最後のほうでアフィリエイトに熱中しすぎると精力分散防止義務違反としてサラリーマンの方は解雇鯨飲になる可能性があると言うことをちょっとだけ触れました。少しこのことについて詳しく説明しておこうと思います。


1、精力分散防止義務違反による解雇の可能性

(1)精力分散防止義務とは商業使用人(サラリーマンのこと)の営業行為その他本業以外での金銭を稼ぐ行為を禁止する義務のことです。

サラリーマンは会社と雇用契約を結んでいるわけですから、労務を提供する対価として報酬を受け取っているわけです。もしサラリーマンが自由に営業行為やアルバイトなど本業以外に金銭を稼ぐ行為をすると精力が分散され営業主に損害が生じる恐れがあります。そこでサラリーマンの場合雇用会社との個々の労働契約によって営業行為やアルバイトなどの行為が禁止されているのが一般的です。

特に支配人(営業主に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限をするもの 支店長クラスの人)は商法上、営業をすること、他の商人(会社)の商業使用人になることが営業主の許諾ない限り禁止されています。また支配人でなくても番頭、手代(部長、課長、係長クラスの人)についても雇用契約の付随的義務として民法上支配人と同様の義務が生じると解されています。(支店長や部長、課長、係長クラスの人は権限が大きいので特に厳重に禁止されていると言うことです)

したがってアフィリエイトについてもこれに熱中しすぎると、精力分散防止義務違反として解雇及び損害賠償の恐れが生じるわけです。特にアフィリエイトが商法上の営業といえるとすると確実にその可能性は高まります。

(2)では商法上の営業といえるための要件はなんでしょうか?

ア、これは商人といえるかどうかの問題なんですが、商法上商人とは自己の名を持って商行為をなすことを業とする者を言います。

「自己の名を持って」とは法律上、自己がその行為から生じる権利義務の帰属主体となることです。

「商行為」は基本的商行為のみを意味します。

「業とする」とは営利の目的を持って同種の行為を反覆継続的に行うことを言います。

イ、ではアフィリエイトをすることは商人となるといえるのでしょうか。

これは結局アフィリエイト契約を仲立契約(営業的商行為なので基本的商行為になる)として考えるかそれとも準委任契約と考えるかに帰結することになりそうです。

このあたりは判例がまだ出ていないようなのでなんともいえませんがおそらく仲立契約となるのではないかと思います。というのも、広告主はだいたいの場合が商人であることから商人との間で締結する契約は商行為となること、実際にアフィリエイトを使って利益をあげている企業がある(YAHOOなどのポータルサイトはホームページを運営して広告収入で利益を得ている)こととのバランスからです。

ただその規模が小さい場合には商法502条但書きの類推適用により商法が適用されない可能性もあります。やはりあまりおおっぴらにしないほうがいいようです。

2、競業取引防止義務違反による解雇の可能性

(1)精力分散防止義務の他に問題としなければならない義務として競業取引防止義務があります。

競業取引防止義務とは「営業主の許諾なく自己または第三者のために営業主の営業の部類に属する取引をなすことが禁止される義務」のことです。

例えば甲がAパソコンメーカーに勤めていたとして、そのライバル企業であるB会社のパソコンの広告をHPに載せて契約に結びつけたとします。この場合に問題とされるのが競業取引防止義務です。

(2)一般的にサラリーマンは営業主の営業上の秘密を知りうる立場にあることから、もし自由に営業主の営業と同種の営業行為をすることを認めたら営業主の顧客を奪うことになり、営業主に損害を与えることになります。そこで労働契約によってこのような取引は禁止されているのが一般的です。

競業取引防止義務についても精力分散防止義務同様、支配人については商法上の義務として規定があります。また、番頭手代についても支配人と同様の義務がかされると解されています。その他の一般的なサラリーマンについても、おそらく労働契約上禁止されているはずです。

アフィリエイトの場合、例えば営業主のライバル会社のパソコンをHP経由で売った場合パソコンの売買契約の当事者となるわけではありませんが第三者のために営業主の営業の部類に属する取引をしたとして競業取引防止義務違反の解雇及び損害賠償の恐れが生じます。この可能性はかなり高いと思います。

しかもこの場合損害賠償は売ったパソコンによりB社が得た利益が損害と推定されるので、かなりの高額になることが予想されます。

精力分散防止義務違反や広告主からの損害賠償の可能性は社会的な常識の範囲内でやっていればそんなに高いものではないと思うんですが、この競業取引防止義務については相当な注意を払う必要があると思います。競業といえるかどうかは現在だけでなく近い将来市場が競合する可能性があれば足りると解されているのでくれぐれもライバル会社もしくはライバル会社となる可能性のある会社に利益を与えるような広告を載せることは辞めたほうがいいと思います。


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1. この広告主(=マーチャント)は駄目だ・・・  [ 情報仕入れ隊! ]   2004年10月28日 07:58
前回の「楽天アフィリエイトの認証率の悪さ」から引き続き、広告主についての話です。 ※)初めに断っておきますが、以下のような話は、「数百という広告主のうち、数件の話」です。。 このような事態に遭遇する確率は非常に低いですし、このような事態になる広告主の商
2. アフィリエイトで小遣い稼ぎのつもりが損害賠償?その2  [ 企業法務についてあれこれの雑記 ]   2004年10月28日 12:14
昨日のエントリーに、「法律系ネタブログ:勝負のとき」さんからTBをいただいたので、もう一回アフィリエイトについて考えてみました。 「法律系ネタブログ:勝負のとき」さんは、アフィリエイトの法律問題2で、 1、精力分散防止義務違反による解雇・損害賠償の可能性

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