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写真はこちらでどぞ。
Troopers Depo:1936:WHAT IF?/COUNTERFACT004(One Small Step)@KGG_09(0101)
※写真をクリックするとスライドショーで見ることができます。

3番目のお題は広義のSFといえそうな仮想戦です。
新進気鋭のゲーム誌COUNTER FACTの付録ゲームで、“1936年のラインラント進駐がフランスの介入を受けたことでドイツ国内では軍部主導による叛乱が発生、さらにこれに乗じた左派勢力の台頭でドイツ国内がナショナリストと共産勢力に二分された所にソ連が介入を企てる…”というシチュエーションを扱っています。
A2のマップにはベルリンを中心に北はバルト海沿岸、西はドイツ国境付近、東はチェコ/ポーランドまでと比較的広いエリアが描かれており、ユニットは師団から軍団規模が中心となります。

こういう仮想戦ゲームの面白さはプレイはもちろん、ルール冒頭に描かれる状況設定にもあると思います。
今回も例に漏れずイントロダクションにて比較的?長い文章で歴史的状況とそこに至るまでの状況や周辺の出来事がちょうどよい分量にまとめられておりショートな読み物として楽しめるようにもなっています。

基本的なゲームシステムは、交互ターンでそれぞれ移動/戦闘を行う、というオーソドックスなシークエンスですが、毎ターンイニシアチブ判定を行いますので、判定結果しだいでは一方の側のダブルムーブも可能です。
なお、イニシアチブ判定は手持ちのVPをビッドしてダイス目の修正ができるのみでほぼダイス目勝負となりますので、かなり流動性があります。
また、戦闘はディファレンシャルCRTを使用したメイアタックですが、ZOCがないためいわゆる“囲んでポン”は生じにくくなっています。
一方、移動は移動力が不確定(移動の毎にダイスで判定)なため、思うタイミングで機動/攻勢がとれないことがあるという“ままならなさ”があります。
そして勝利条件も都市からのみ得られるVPの多寡で決定されるという非常にシンプルなものです。
(VPはゲーム開始前とゲーム終了時jに算定します)

このようにゲームの骨格は非常にシンプルな部類に入るものですが、仮想戦ゆえの特徴的な要素として、以下のような点があります。

・ゲーム開始時にナショナリスト(民族主義?)陣営と共産主義陣営に別れるドイツ国内軍
よってゲーム開始時の様相がプレイ毎に全く違うものとなります。

・ベルリン目指して進軍するフランス軍
冒頭に書いたとおりラインラント進駐に介入した仏がマップ南西からライン川を越えてベルリンを目指して2ルートのどちらかをランダムに決定される速度で進撃してきますが、ゲーム上の処理は例えれば巨大不明生物とった感じです。
混乱している独軍には対処不能かつ進撃路にいる場合は一瞬で踏み潰され、通った跡は進入不可となります。
ですから仏軍が進むにつれてマップ西半分の独国内がサクッと切り分けられていき、南北の戦場は分断されていくことになります。
そして仏軍がベルリンに入城することもゲーム終了条件となっており、その移動がコントロールできないためゲームの尺を不確定とする要素となっています。

・西方へ離脱するポーランド軍と追う赤軍
序盤はドイツ国内の内戦という体で進みますが、ターン毎のダイス判定により東方マップ外で行われる露波戦争に敗れたポーランド軍が西へ向かって離脱してきます。
さらにそれを追って(というよりポーランドを蹂躙してベルリンを占拠すべく)赤軍が東から大挙なだれ込んできます。
実質的には赤軍の増援となりますが、ワルシャワの支配状況によりポーランド国外でのアクションに制約を受けます。
(ワルシャワが一旦“赤い奔流”に飲み込まれるとポーランド軍による再奪取は困難でしょうが…)

・中立のチェコ軍。
ゲーム開始時チェコは中立となっていますが、赤軍が領内もしくはドイツ国内に進入すれば独民族主義陣営に立って参戦します。
赤軍はチェコの参戦を遅らせるようポーランド領内を進撃することもできますが、チェコを通過することで南からベルリンへ迫ることもできますので、赤軍としてはベルリンへ迫るプランのオプションとなります。

・実験的編成/部隊の登場
独軍には突撃砲旅団や航空支援が登場し、限定的能力ですが戦闘時に運用できます。
また赤軍には粛清前ということで大規模な機械化部隊や空挺部隊が登場します。

混沌とした状況設定のため、ゲーム開始時よりかなり不確定要素が盛り込まれており、プレイも途中にドラスティックな情勢変化(仏軍の進撃やポーランド/赤軍の流入、チェコ参戦等)が用意されている等、起伏と流動性が高いものとなっていますので、展開は非常にドラマチックでプレイヤーには臨機応変さが要求されます。

さて、プレイですが、N黒さんがナショナリスト、拙が赤軍を受け持ちました。
まずは“開けてビックリ”の初期配置ですが、独国内西方がかなり赤化した状態での開始となりました。

★各都市へ配置する守備隊はカップから交互にドローしていきますので、数的ばらつきはありませんが、今回は各陣営がまとまった感じとなりました。

このまま赤軍がなだれ込んで来れば独東部や点在するナショナリストの拠点が挟撃/包囲を受けてしまうことになります。
また仏軍はケルンの南をかすめてカッセル〜ハノーファー間を通る北のルートでベルリンへ向けての進撃を開始します。

ひとまずまとまった勢力とするために、ナショナリスト側は手近な赤化都市に攻撃をかけて奪還と勢力回復を図ります。
赤化が進んでいる西方では南北でさらなる独国内赤化を推進すべく赤軍部隊がナショナリスト都市に攻勢をかけます。

★勝利条件からも明らかなように、基本は都市の取り合いとなりますが、短時間で優勢なまま早期手仕舞い(=仏軍による独平定)を図りたいであろうナショナリストと、赤軍の介入を促すよう内戦の長期化を期待する共産勢力との思惑が盤上で交錯します。

ナショナリストが共産勢力封じに手こずっている間に赤軍がとうとうポーランド領内になだれ込んできます。
ポーランド軍はワルシャワやダンツィヒ、クラクフにわずかな守備隊を残すと、一目散にドイツ国内へ逃げ込んでいきます。
この機動は赤軍にポーランド軍追撃のためのドイツ領内侵入という大義名分を与えます。

想定外のドイツ崩壊による参戦で粛清を免れた有能な将校陣が率いる赤軍、特にトハチェフスキー肝いりの機械化部隊と騎兵による機動戦力はダンツィヒ方面とチェコ領内の南北から一気にドイツ領内へ浸透します。
またワルシャワ、クラクフ正面にはそれに続く赤軍歩兵の並が一気にポーランドを飲み込みます。

★実際はダイス目が振るわず騎兵が思うほど走ってくれなかったため、機械化部隊と歩兵が活躍した露波戦となりました。

赤軍の侵入によりチェコはドイツ側について参戦。
直ちに赤軍のベルリン侵入を阻止すべく一部の部隊をベルリン東部へ進めると共にプラハ正面の守りを固めます。

★チェコはほとんどを山岳地帯で占めていますが、騎兵はここを平地と同じコストで踏破できるため、チェコの参戦を招くものの敵の追撃を受けずにベルリンへ迫ることができるチェコ国内通過ルートは魅力的といえます。

ベルリンを目指す赤軍は道すがらケーニヒスベルグダンツィヒを蹂躙して各主要都市の“解放”を進めます。
しかし、これらの“寄り道”が時間の浪費となってしまったようです。
遅々とした仏軍の進撃でしたがエルベ川を越えた辺りからその進撃速度が上がります。
もうしばらく猶予があるかと考えていた赤軍上層部の読みを裏切って仏軍がベルリンへ入城してナショナリストによる暫定政府と共にドイツ国内の混乱収拾にあたります。
赤軍は仏軍や英軍の警告を受けたため、西進を停止してポーランド領内への撤退を開始しました。

…というところでゲーム終了となります。

各都市毎にVPが微妙に違うのですが、初見ゆえプレイ中のVPカウンティングなど出来るわけがなく、ゲーム終了時までどちらがどのくらい優勢なのか等もよくわからない状況でしたので、ベルリンは諦めてひたすらドイツ国内地方都市の赤化を企図するという戦略でした。

VPを集計してみるとなんと赤軍がベルリンを確保(通常1,2VPですがベルリンは破格の5VP!)したナショナリストを上回って勝利していました。
序盤でドイツ西部が集中的に赤化していた状況にも助けられての勝利でした。

状況設定を受け入れられるかどうかで、表題作のシステムの親和性の評価が変わるかと思いますが、拙は以前REICHSWEHR&FREIKORPS/S&T#273(DG)をプレイしたことがあり、1920(露波戦争)辺りから1939(ドイツによるポーランド侵攻)間の混沌としたドイツ周辺を舞台にした仮想設定にはそれなりに馴染み(?)があったからでしょうか、拙は非常に楽しくプレイできました。

イマイチ設定に没入できなくても“周辺国から様々な介入を受ける中で国内各都市を奪い合うとある国家の内戦”のゲームとしてみれば、プレイ時間も短く毎回開始時状況やゲーム展開が大きく変わることでリプレイアビリティが高いミニゲームですので、それなりに楽しめると思います。

仮想戦シチューエーションとして、またゲームとしてもなかなか面白いのではないかという印象を持ちました。