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写真はこちらでどぞ。
Troopers Depo:PUTIN’S WAR/MW029(DG)(0101)
※写真をクリックするとスライドショーで見ることができます。

Decision Gamesの現代戦専門誌Modern Watの#29号の付録である表題作をプレイしてみます。
ソ連消滅後からすでにきな臭いロシアとロシア周辺国との紛争を現在の仮想戦としてシミュレートしようというものです。
デザイナーのタイ・ボンバ氏はここ最近立て続けに現在〜近未来のロシアをテーマとしたゲームを他社からと合わせて三作ほど発表されており氏のこのエリアに対する注目度の高さがわかります。

ゲームシステムは、スタック不可、ZOCなし、メイアタックのオッズCRT…と、ZOCを除けば非常にオーソドックスなものですが、アクションポイントを使ったフリーフェイズ、各部隊の能力の不確実性、航空支援/特殊部隊を表す支援マーカといった既存のシステムの組み合わせで、氏が想定する現代戦の不確実性をシンプルに再現しています。


1.ゲームの概要

(1)全般
ロシア軍が侵攻側となりエストニア〜ベラルーシ〜ウクライナへ至る国境に部隊を動員している状況から本作は始まります。
ロシアは旧ソ連の領土を回復すべく電撃的に周辺各国制圧を狙って開戦しますが、核エスカレーションが起きるまで一ヶ月と想定してこの期間を、1ターンを流動的な時間として全10ターンで再現します。

勝利条件は、旧ソ連の東欧各国の主要都市(オデッサを除けば首都)を6つ以上支配していればロシアの勝利、3以下ならNATO側の勝利、それ以外は引き分けとなります。
ちなみにVP都市はマップ上に全8箇所で、サドンデスはありません。

双方の軍事規模は、ロシアは軍規模で12個軍、旅団〜師団規模の特殊部隊が17個運用可能となっています。
またNATO軍は各国の軍団〜軍規模の地上部隊が10個と連隊〜旅団規模の特殊部隊が14個運用可能となっています。
だだしNATO軍はマップ外の東欧、北欧、ドイツ等がランダムに参戦してきますので、最大で7個地上部隊と4個特殊部隊が追加されます。

戦場となる地形は1ヘクスが90kmとかなり大きく、マップも通常のヘクスサイズならハーフマップでもいけそうなくらいですが、同一ヘクス内に2ユニットを並べておけるサイズはプレイしやすいです。
なお、このスケールですので地形種による移動への影響差はあるものの河川は影響せず、大きな地形障害といえばミンスク〜キエフ間に広がるおなじみのプリピャチ沼沢地程度で、他は都市が戦闘に影響するのみです。
むしろ表題作独特の地形障害であるチェルノブイリによる汚染区域(プリピャチ沼沢地東方)と、親ロシア系住民居住地(以下SERP)の方がゲームへの影響度が大きく、前者は停止不可の障害地形として、後者はロシア軍が戦闘時に潜在的優位となる地形となります。

(2)攻撃側(ロシア軍)について
序盤こそ軍事的には優勢ながらNATO軍の増援が出揃うと戦力が拮抗してきます。
またサドンデスがないため全10ターンを戦いきらねばならず、VP都市をどの段階で攻略するのか悩ましい所です。
ゲームを通してロシア軍がイニシアチブ(アクションの先攻/後攻の決定権)を握りますので、これをうまく活かしたい所です。

(3)防御側(NATO軍)について
多国籍となりますが開始時の配置以外は作戦上のペナルティは設けられておらず、ゲーム開始時の7ヶ国に加えてさらに7ヶ国が単独あるいは連合で参戦する可能性があります。
軍事的には序盤部隊の絶対数が少なく、逐次増援となるため、これらを考慮した戦い方が求められます。


2.シチュエーション分析と方針

(1)分析
ロシアは守りが硬い都市の攻略を要求されていますが、NATO軍はロシア領内の市街を制圧することでロシア側の戦果を相殺できます。
双方ともこのあたりの得失の効率やコストを考慮して一ヶ月間ズルズルと戦い続けなければなりません。
アクションポイントの関係もあり、おいそれと北から南へと部隊を再配置することは困難ですので、件のプリピャチ沼沢地を挟んでウクライナ方面とバルト方面にどの程度兵力を分けるのか等ロシア側に、より計画性が求められそうです。

(2)攻撃側(ロシア軍)の方針と配置
序盤の優位な時点で都市を制圧するのであれば距離が近い都市の方がよさそうです。
しかし、早期に都市を確保すると後半NATO軍による奪還戦からの持久を行わねばならず、その際に優位な場所であることも重要となりそうで単純に距離だけでは決められない所があります。
ここでは制圧後の維持のしやすさを考慮してSERPにある都市の制圧を優先とします。
具体的にはデフォルトで確保しているカリーニングラードとタイトル通りバルト方面のリガ、タリン、さらにウクライナ方面のオデッサとなります。
残る2都市はベラルーシのミンスク、ウクライナのキエフあたりとなるでしょうか?
ヴィリニュスはNATO軍による奪還作戦の状況によりトレードオフ用目標とします。
ロシア国内の都市防御については、戦線を張らずにNATO軍に呼応できる戦力を最低限拘置して対応します。

(3)防御側(NATO軍)の方針と配置
都市だけで考えれば単純には西方から5都市を確保すればよいところです。
カリーニングラードの部隊は外に出てこないことがわかっていますので後回しとします。
あとはロシアからの距離が遠いキシナウ、オデッサ、キエフ、ヴィリニュスあたりを守りたい所ですが、それが困難な場合、増援で登場する加盟国軍によるロシア領内への侵攻も検討します。
この場合、ロシア国内の都市が多い南方ウクライナ領内から侵攻となるでしょう。


3.プレイの経過

第1ターン。
ロシア:9AP
NATO:7AP
航空支援:NATO5P
となり、NATO軍が航空優勢を得ました。
NATO軍は、先手をとり国境に集結中のロシア軍、とりわけバルト三国国境の機甲軍に対し航空阻止を実施します。

★航空阻止は航空優勢フェイズに実施しなければなりません。

ロシア軍は先攻を選択します。

★ちなみに本作はいわゆる“ソフトパス”で連続パスでない限り一度パスしても相手がプレイを選択すれば続く手番で再びプレイ可能です。
★またそのためにブラフ的なちょっとした駆け引きが生じるでしょう。

航空阻止を受けた北側は一旦様子見とし、NATO側がノーマークであった最南のオデッサ近郊で軍事行動を開始することに。
これに対し、NATO側はすぐさま同盟国を招集してウクライナでのロシアの暴挙に実力で対抗することを全会一致で決議します。
危急のバルト三国に対し、同盟国のフィンランドとスゥエーデン、チェコが部隊を派遣することを表明します。

★NATOはまだ事態がそれほど動いていない内に戦力増強を図るべく、APを増援要請に使用します。
★参戦が決定した場合、次ターン(次の手番ではなく)から投入可能となりますので、どこで増援要請用にAPを使うか悩ましい所です。

ロシアは北欧諸国参戦のニュースを受け、ようやく一番手近なラトビアへ侵入を開始します。
これはNATO空軍機の牽制を受けますがロシア国境からほど遠くないリガの周辺まで精鋭の第29軍と第58軍が一気に肉薄します。
これには国境周辺が親ロシア系住民が多い地域(SERP)であったことも影響しているようです。
リガに接近したロシア二個軍は予定通り攻撃を開始。
航空支援が得られないロシア軍は特殊部隊を多数送り込む事で戦況を有利にしていきます。
これに対してNATO側は状況を転換することが困難であるとして積極的支援は行わず、秘密裏にポーランドから急派した特殊部隊によりラトビアを支援します。

★戦闘解決ですが、ロシア側が2個旅団3Rシフト分を投入に対し、NATO側は二個旅団4Lシフト分を投入、この差の1Lがコラムシフトとなります。
★航空支援は攻撃時のみに影響し、防御時には特に修正を与える要素とはならないところが興味深いです。
★今回航空阻止によりロシア軍に南北からリガを包囲攻撃できる位置につかせなかったことで集中攻撃ボーナス付加を阻止し、間接的にロシア側に特殊部隊の追加投入を決断させた、という意味で成果があったといえます。

戦闘はSERPで行われたため、潜在的親ロシア派民兵等が加わりましたが、その戦力は微々たるもので大勢に影響はありませんでした。
そもそもの戦力差が圧倒的だったのですが市街戦ではロシア軍が兵力差を活かせずリガに篭ったラトビア軍と相殺(共に1ステップロス)の損害を被る激戦となりました。

★SERPでの戦闘時(攻防とも)ロシア側は1D6-1の戦力を得ることができるためSERPを戦場に選択することでロシア側にとって非常に有利に働きます。

ここに来てNATO軍の呼びかけによる援軍の動員が難航します。

★一番出やすい7が“増援なし”となっており、同じ目も無効となるため増援要請判定に使用した2APほどがムダになっています。

北に衆目が集まっている隙にオデッサでもロシア軍が動きます。
ボストーク大隊を派遣して地元親ロシア派住民の過激分子を組織化してにわか軍隊を仕立てます。
ウクライナ軍も正規軍を動かせず、特殊部隊を三個旅団派遣して抵抗を試みます。
しかし、ボストーク大隊により組織化された親ロシア派勢力が大きな戦力となりオデッサがロシア側に寝返ります。

★余談ですが表題作ではボストーク大隊はSERPでの不確定親ロシア派戦力を倍化する能力を持っていますが、本来はチェチェン特定氏族関係者のみで編成された部隊で諜報活動がメインのようです。
★尚、使用した特殊部隊は1D6ターン後に再投入可能となり、一気に使用すると続くターンで特殊部隊により支援が受けられないまま戦わねばならなくなる可能性があります。

リガでの戦闘が続きます。
もはや陥落は時間の問題と思われたためでしょうか、NATO軍はこれ以上の軍事支援を打ち切ります。
しかし、ラトビア軍は最後の意地を見せます。
圧倒的戦力のロシア軍に対し、突入してきた第29軍(機甲)と刺し違えるという戦果を残して散ります。

★表題作のCRTは最大比率でも出目6がBBとなりますので、吸収用戦力を連れいている方がよさそうです。

この激戦の横でロシア軍第41軍がエストニアへ侵攻を開始し、タリン東方まで一気に進撃を果たします。
NATO側は同盟国辺への支援を呼びかけ続けますが結局、当初名乗りを挙げた3ヶ国の後に続く国が出てきません。

★NATO側は都合4APをムダに消費してしまいました。
★しかし、現状は守りで精一杯のNATOが反撃用の戦力を捻出するのは困難で、この展開は致し方ないと思われます。

(続く)