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Troopers Depo:MOSCOW/Strategy&Tactics #317(Decision Games)(0101)


古参の方には懐かしいであろう旧SPIから出版されていたミニゲームを3つセットにして日本語版としてHobby Japan社から出版されていた“ベーシック3”の中の一作、レニングラードのシステムを使用したタイフーン作戦ということで、枯れたシステムを採用してシンプルで遊びやすい手堅いタイトルに仕上がっているのでは?との期待から表題作をプレイしてみました。
ただし、こちらの元となっているのはDecision Gamesによるリメイク版と思われますので、SPI/HJ版とは微妙にルールに差異があるかもしれません。


1.ゲームの概要

(1)全般
タイフーン作戦についてはもはや語ることもなく、一応はザクッと概要を知るのみのリンクを挙げておきますが、ウォーゲーマー諸兄なら過去にプレイしたゲームや雑誌付録で取り上げられた際の本誌記事などに詳細に書かれた記事があるのでそちらを参照されることをおすすめします。
また、軍事に興味がある方なら既に豊富に出版されている関連書籍等や、上記リンクよりも遥かに詳しい情報が提供されているネット等から戦いに関する背景情報はお持ちではないかと思います。

モスクワの戦い - Wikipedia

表題作の両軍の目標は非常にシンプルかつ明快です。
独軍はモスクワを制圧すればサドンデスで、それ以外はVPの多寡による判定となります。
独軍はモスクワの隣接ヘクスのみでVPを得られ、該当ヘクスを1ヘクス制圧する毎に30VPを獲得します。
これに対しソ連軍は独軍の損害によってのみVPを獲得します。
また独軍の損害によるVPは兵種やステップロス/壊滅等で1〜15と幅があり、特に機械化/機甲部隊が数個ステップロス/壊滅するだけで独軍が死に物狂いでダッシュしたモスクワ隣接ヘクス1つ分がパーになってしまう価値があります。
独軍としてはモスクワに近づくために無傷では済みませんし、ソ連軍も損害を許容して土地を守るのかあるいはその逆なのか等、双方とも時々刻々における失う物とVPとのトレードオフで悩ましくなりそうです。

ゲームはタイフーン作戦開始時の両軍が退治するラインからスタートしますが、ほぼ両軍とも増援がありませんので、盤上の戦力が全てということで見通しもよくなっています。
(実際はソ連側に途中4回各1ユニットずつの増援と1ターン毎1ユニットの再編がありますが、消えていくユニットの数からすればほぼないに等しいレベルです)

地形も他のゲームでおなじみのものばかりですが、森林が二種類(浅い/深い)に分かれていたり、湿地と沼地が別れており、それぞれ移動障害や戦闘への修正への差が付いており、オリジナルのレニングラードのシステムがそうでしたが、基本はオーソドックスなヘクスマップの作戦級ウォーゲームなのですが、ZOCや補給、退却等に意外に捻りが加えてあり、いつもの感覚でプレイするといろいろ抜けが生じる等、システムを使いこなして戦うにはそれなりに頭を悩ませる必要がある、という印象です。

ゲームシステムについて簡単にまとめてみます。
・IGOUGOで移動/戦闘を行う
・移動中に追加移動力を使ってオーバーラン可能。
・ZOCは非機械化は侵入停止、機械化は追加移動力を使って離脱可だがZOCtoZOC不可、また非機械化はターン開始時にのみzocから離脱可。
・補給は各ユニットの移動開始時、戦闘開始時に都度判定する。
・補給源はマップ上の全街/都市。
・戦闘は戦力比を算定後CRTで解決するがコラムシフトは地形種や特定兵種等かなり細かくわけられておりそれぞれ重畳する。
・退却はいくつかの条件を満たせば味方がいるEZOCにも退却可能。
冒頭に書いたようにオリジナルはLeningradのシステムを使っているということで、大半のシステム要素はいずれもオーソドックスな作戦級ヘクスゲームで見かけたことがあるものばかりで、この種のシステムに慣れた方なら斜め読みで概要を掴んでしまうのではないでしょうか。


2.シチュエーション分析と方針

(1)分析
天候判定を見れば明らかな通り、中盤以降はほぼ泥濘か雪であり独軍は機動力を大きくそがれることになります。
この天候で戦闘/移動は大きく影響を受けることになりますので、両陣営はこれを避けて、あるいは活かして戦わざるを得ず、この戦役のグランドデザインを策定する上で、かなり重要な要素のひとつとなります。

(2)独軍の方針と配置
独軍のアドバンテージはやはりなんといってもユニット平均戦力の高さと機甲のオーバーラン能力といえますが、これらが機能するのも泥濘が来るまでです。
しかも泥濘は最短2ターン目から始まる可能性もあり、そうなると確実に機動戦を行えるのは第1ターンのみとなります。
そうなると、この初手を最大限活かして有利な状況を作るかに注力します。
モスクワ正面には深い森がありますが、スモレンスク他からつながる道路が2本出ており、これを正面攻勢ルートとします。
また南のクルスク周辺は開けた土地となっており、機動戦にはもってこいです。
北は湿地や森林が主な地形となっておりここでは大きな進撃は望めませんので、的に突破を警戒させてある程度戦力を拘束する程度とします。
よってメインは中央〜南となります。
この方面には機甲を集中運用で投入し、縦深突破をしつつ途中で手を繋いでソ連軍を包囲〜補給切れとして歩兵で掃討を行いソ連軍戦力を漸減することを前半の主な目的とします。
表題作は天候悪化が早くそのペナルティも大きいのですが、時間はマップ上の距離に反して結構ありますので、まずは守る敵戦力を減殺することで防衛能力の飽和に至らしめるのが目的です。

(3)ソ連軍の方針と配置
ソ連軍には他のゲームで見られるようなような“無尽蔵に湧き出す増援”はありません。
途中わずかに増援が登場しますが、損害上等で守っていては損害を補填するだけの戦力は得られません。
独軍の目標がモスクワであることはわかっていますので、終盤までそこを守るための戦力を確保しておく必要があります。
期間全体を通してソ連軍は遅滞により独軍の時間を奪うことはもちろんですが、殿を置いて戦力とトレードオフするのではなく、うまく独軍との戦闘から離脱しながら戦力温存を図りつつ下がることを意識したいと思います。
初期配置より最前線は歩兵が、後方に機甲が配置されますが、中央〜北部は道路を遮断するように、平野が多い南部では、補給源となり最悪篭もることができる街/都市を中心にヘクスあたりの戦力は低くとも(最初はアントライドなので性格な戦力はわかりませんが…)多層に戦線を張ることを意識します。
機甲戦力は独軍も恐らく狙うであろう南部中心に配置します。


3.プレイの経過

第1ターン(1941/10/01〜07)。
独軍のモスクワに向けた攻勢が開始されました。
北ではToropets北東のソ連軍戦線が屈曲してわずかに突出した箇所を中心に歩兵中心ではありますが、ソ連軍への蹂躙攻撃が発起され、いずれもソ連軍にボディブローのような小刻みな損害を与えていきます。

★表題作では戦闘順も重要で、退路の有無はもちろん戦闘時の当該ユニットの補給状態が戦闘直前に判定されるため、若干パズルチックな思考が要求されます。
★北部は小さな湖が点在しており、これらがZOCや移動に微妙に影響してくるため、攻勢や敵包囲等を行う際は注意が必要です。

中部ではSmolenskとRoslavlを進発した独軍の二個機甲軍団を先頭にそれぞれの進発地からモスクワへ通じる道路沿いに攻勢が開始されます。
これは機動戦(蹂躙攻撃)となり、それぞれ敵を撃破ないしは潰走させつつ東進します。

★表題作ではオーバランに兵種の制約がありませんので移動力さえあれば歩兵でもオーバランが可能です。
★第1ターンのみ独軍にはオーバランの移動力消費が緩和されると共にショック効果の再現と思われる破格の有利4シフトを受けられますので、このターンにやらずしていつやる?!という仕掛けとなっています。
★序盤はソ連軍戦線も崩壊していませんので退路が確保されており独軍の攻撃でもE出ない限り、スルスルと下がられてしまいます。
★独軍としてはそのまま浸透していってもいいのですが、後方と切り離されると、いざ戦闘フェイズの段になって浸透した機甲部隊が補給切れとなっていた…ということもありえますので、追撃路上にオーバランを行ったスタックを崩して、部隊をマイルストーンのように置いていくことになります。
ですので浸透すればするほど独軍の衝力が削がれることになるわけで、天候の条件を除いてもキラースタックが毎ターンオーバーランできなくなっており、第2ターン以降(可能なら)どこで集結してオーバランを行うか等の計画性が必要となります。

(続く)