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村上征勝『シェークスピアは誰ですか? 計量文献学の世界』(2004年、文春新書)

 計量文献学というものを初めて知った。計量文献学の手法を使うと、文章のさまざまな要素を計量することで、書き手を特定することができるのだそうだ。とても面白い。

 はじめに
 1 かい人21面相の脅迫状と文体分析
  グリコ・森永事件
  書き手は二人?
  作家・内田康夫氏の推理
  脅迫状・挑戦状の漢字含有率
  かい人21面相の文章の模倣
 2 筆跡鑑定にかわる「文章の指紋」
  筆跡鑑定がむずかしくなった
  文体から書き手を推定する
  「パウロの書簡」をめぐる古くからの疑問
  文章の指紋
  この三人の作家の正体は?
  一人三人作家
  三つのペンネームによる文章の共通点──読点の付け方
 3 文学作品と哲学所の著者を推定する
  I シェークスピアは誰か?
   Did he exist or didn't he?
   シェークスピアの候補たち
   単語の長さの分析から
   シェークスピア別人説のその後
  II プラトンの『第七書簡』は贋作か?
   贋作説の背景
   二重母音、不変化詞を分析すると
   文の長さの分析で贋作説を否定
  III マーク・トウェインの戦争経験談?
   南北戦争経験談『Q・C・Sレター』はマーク・トウェインの著作か
   単語の長さを分析すると
   マーク・トウェインのシェークスピア別人説
  IV 『静かなドン』をめぐる疑惑
   ショーロホフとソルジェニーツィン
   『静かなドン』は盗作か
   コンピュータの分析では
  V 『紅楼夢』は一人の作家が書いたものか
   曹雪芹はどこまで書いたか
   四七の虚詞
   八一回以後は高蘭墅の作か
 4 聖書と宗教書の著者を推定する
  I 『キリストにならいて』は誰が書いたか
   著者はケンピスかジェルソンか
   語彙の豊富さを計るK特性値
  II 『旧約聖書』の中の「イザヤ書」の著者
   聖の予言者イザヤ
   著者は三人か
   文章の一貫性に疑問
   分析の問題点
  III 『新約聖書』の「パウロの書簡」
   パウロの一四通の手紙
   本当にパウロが書いたのか
 5 政治や犯罪の文献をめぐって
  I 英国内閣を攻撃した投書『ジュニアス・レター』
   二〇〇〇年以上謎のままだった著者の正体
   人物の識別指標とは
   区間推定法を用いた著者の推定
  II 『連邦主義者』の著者の推定
   作者は合衆国大統領?
   記述内容に関係しない言葉の分析
   執筆者の好みが現れる言葉の使用率
  III パトリシア・ハースト誘拐事件
   誘拐、転向そして銀行強盗
   法廷でのやりとり
   声明文の執筆者は?
  IV 東京の保険金殺人事件
   深夜のひき逃げ事件
   犯人の告白書・遺書
   四種の文章の類似点は?
   犯人逮捕
 6 日本古典の謎をめぐって
  I 『源氏物語』の計量分析
   古典文学の最高峰『源氏物語』
   作者に関する疑問
   「宇治十帖」の作者は本当に紫式部か?
   数値で見る『源氏物語』の全体像
   言葉の使用率で「宇治十帖」をみる
   『源氏物語』を品詞から分析する
   グラフでみる「宇治十帖」の異質性
   「宇治十帖」を書いたのは別人か?
   『源氏物語』の成立順序の疑問
   助動詞に基づく成立順の推定
   安本美典氏の計量分析
   本居宣長の犯したミス
  II 日蓮遺文の真贋問題
   問題となっている五編の分析
   日蓮の好みの言葉で
   言葉の情報に基づく分析
   品詞の情報に基づく分析
  II 日蓮遺文の著者の推定
   日蓮遺文の真贋問題
   問題となっている五編の文脈
   日蓮の好みの言葉で
   言葉の情報に基づく分析
   品詞の情報に基づく分析
   五編の文献の真贋は
   『三大秘宝稟昌承書』の異なる写本を用いた分析
 7 文体の変化とこころの変化
  I 川端康成の文体の変化
   心のありようと文章
   読点の付け方の変化
  II 日蓮の文体の変化
   佐渡流罪の前と後
 8 日本語の計量分析の課題と限界
  日本文の分析のむずかしさ
  ワープロ、パソコンと手書きとでは文体は異なるか
  日本の古典は宝の山
 おわりに
 参考文献