芸の不思議、人の不思議

大友浩による「芸」と「人」についてのブログです。予告なくネタバレを書くことがあります。

ギースベルト139番と140番をアップし、動画「ギースベルト:練習曲第139番 22音の練習曲」を公開しました。(2022.8.18)
懐かしの映画音楽
を更新し、動画「ケ・セラ・セラ」を公開しました。(2022.8.11)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【17】ハンガリーの行進曲(II)」を公開しました。(2022.8.11)
ブースケ《12のグラン・カプリース》全曲 新シリーズ
をアップし、動画「グラン・カプリース第12番」を公開しました。(2022.8.6)
第5回リコーダーむつみ連
を更新し、動画「アルビノーニ:協奏曲ヘ長調」を公開しました。(2022.8.6)
ブースケ《12のグラン・カプリース》全曲 新シリーズ
をアップし、動画「グラン・カプリース第11番」を公開しました。(2022.8.6)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【15】スロヴァキアの歌(II)」「【16】バグパイプ」を公開しました。(2022.8.6)
懐かしの映画音楽
を更新し、動画「エンターティナー」を公開しました。(2022.7.25)
第5回リコーダーむつみ連
をアップし、動画「イレ・ベレ・ボン」を公開しました。(2022.7.21)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【14】蚊の踊り」を公開しました。(2022.7.21)
ブースケ《12のグラン・カプリース》全曲 新シリーズ
をアップし、動画「グラン・カプリース第10番」を公開しました。(2022.7.21)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【13】からかいの歌」を公開しました。(2022.7.16)
ブースケ《12のグラン・カプリース》全曲 新シリーズ
をアップし、動画「グラン・カプリース第9番」を公開しました。(2022.7.9)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【12】メヌエット」を公開しました。(2022.7.8)
懐かしの映画音楽
を更新し、動画「イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン」を公開しました。(2022.7.3)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【10】ハンガリーの歌(I)」「【11】婚礼の歌」を公開しました。(2022.7.3)
ブースケ《12のグラン・カプリース》全曲 新シリーズ
をアップし、動画「グラン・カプリース第8番」を公開しました。(2022.6.25)
リコーダー無駄な技術研究所(4)孤独なバロックピッチ技
をアップしました。(2022.6.18)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【09】スロヴァキアの歌(I)」を公開しました。(2022.6.15)
ブースケ《12のグラン・カプリース》全曲 新シリーズ
をアップし、動画「グラン・カプリース第7番」を公開しました。(2022.6.11)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【08】ルーシの歌」を公開しました。(2022.6.8)
懐かしの映画音楽
をアップし、動画「雨にぬれても」を公開しました。(2022.6.7)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【07】ルーマニアの歌」を公開しました。(2022.6.7)
第1回ユニット《おとほぎ》
を更新し、動画「ルイエ:五重奏曲」を公開しました。(2022.5.29)
第1回ユニット《おとほぎ》
をアップし、動画「バッハ : Et in unum Dominum」を公開しました。(2022.5.23)
第4回リコーダーむつみ連
を更新し、動画「愛の喜びは露と消え」を公開しました。(2022.5.22)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【06】枕の踊り」を公開しました。(2022.5.22)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【05】真夏の夜の歌」を公開しました。(2022.5.18)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【04】子守唄」を公開しました。(2022.5.16)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【03】遊び歌」を公開しました。(2022.5.14)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
を更新し、動画「【02】からかいの歌」を公開しました。(2022.5.9)
バルトーク:農民の歌と踊り(全17曲)
をアップし、動画「【01】メイポールダンス」を公開しました。(2022.5.7)
第4回リコーダーむつみ連
を更新し、動画「僧侶の行進」を公開しました。(2022.5.7)
第4回リコーダーむつみ連
を更新し、動画「何と素晴らしい音だ」を公開しました。(2022.5.3)
第4回リコーダーむつみ連
をアップし、動画「恋を知るほどの殿方は」を公開しました。(2022.4.30)
ブースケ《6つのエチュード》全曲
を更新し、動画「エチュード第6番」を公開しました。(2022.4.28)
ブースケ《6つのエチュード》全曲を更新し、動画「エチュード第5番」を公開しました。(2022.4.24)
ブースケ《6つのエチュード》全曲
を更新し、動画「エチュード第4番」を公開しました。(2022.4.16)
ドッペルバウアー:バルトのリュート本(1740年)の旋律にもとづく組曲を公開しました。(2022.4.8)
ブースケ《6つのエチュード》全曲
を更新し、動画「エチュード第3番」を公開しました。(2022.4.1)
ブースケ《6つのエチュード》全曲
を更新し、動画「エチュード第2番」を公開しました。(2022.3.27)
ブースケ《6つのエチュード》全曲
をアップし、動画「エチュード第1番」を公開しました。(2022.3.19)
服部完治、秋二題
を更新し、動画「プレリュード《虫》」を公開しました。(2022.3.8)
第3回リコーダーむつみ連
を更新し、動画「恋人か女房が」を公開しました。(2022.3.7)
「ロッシーニ変奏曲」と「《フィガロ》序曲」
を更新し、「モーツァルト:《フィガロの結婚》序曲」を公開しました。(2022.2.26)
第3回リコーダーむつみ連を更新し、動画「この道によりて」を公開しました。(2022.2.23)
第3回リコーダーむつみ連
を更新し、動画「誰しも恋の喜びを知り」を公開しました。(2022.2.21)
「ロッシーニ変奏曲」と「《フィガロ》序曲」を更新し、「ショパン:ロッシーニの主題による変奏曲」を公開しました。(2022.2.19)
「ロッシーニ変奏曲」と「《フィガロ》序曲」をアップしました。(2022.2.15)
バッハ《花のフーガ》と《道のフーガ》をアップし、動画《道のフーガ》を公開しました。(2022.2.11)
バッハ《花のフーガ》と《道のフーガ》をアップし、動画《花のフーガ》を公開しました。(2022.2.8)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第15番を公開しました。(2022.2.3)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第14番を公開しました。(2022.2.2)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第13番を公開しました。(2022.1.31)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第12番を公開しました。(2022.1.30)
第3回リコーダーむつみ連をアップし、動画「おいらは鳥さし」を公開しました。(2022.1.28)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第10番第11番を公開しました。(2022.1.28)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第9番を公開しました。(2022.1.22)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏
を更新し、動画インヴェンション第8番を公開しました。(2022.1.21)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第7番を公開しました。(2022.1.19)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第6番を公開しました。(2022.1.18)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第4番第5番を公開しました。(2022.1.15)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第3番を公開しました。本文も少し書き直しました。(2022.1.11)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏を更新し、動画インヴェンション第2番を公開しました。(2022.1.8)
ファンタスティック・デュエット/リコーダーひとり二重奏を更新し、動画「さとうきび畑」を公開しました。(2021.1.5)
ファンタスティック・デュエット/リコーダーひとり重奏を更新し、動画「涙そうそう」を公開しました。(2021.1.2)
バッハ:2声のインヴェンションのひとり二重奏をアップし、動画インヴェンション第1番を公開しました。(2022.1.1)


2021年の更新情報はこちら
2020年の更新情報はこちら

 フランツ・J・ギースベルト『アルト・リコーダー教本』(花岡和生訳、2001年、日本ショット)は、リコーダー教則本の定番だ。ほとんど全てのリコーダー愛好家が持っている、と言ってよいほどに、広く使われている。原書は1937年出版と、結構古い。
 全体は本文と付録(テクニックの練習、18世紀の作曲家による15の独奏曲)から成っている。本文は140の練習曲とその解説で構成されている。この練習曲が全てデュエットで書かれているところに、人気の理由の一端があるのではないかと思う。
 掲載されている曲は、概ねバロック時代を念頭に置いている。リコーダーの性質上、それは正しいことなのだが、本文の最後は、「半音のマスター」という見出しがついていて、ちょっと現代っぽい曲になっている。
 私の調べでは、周囲にいるリコーダー愛好家の全員が、ギースベルト教本を持っているものの、139番と140番をまともに吹いた人は、一人もいなかった。つまり、「みんな楽譜を持っているのに、誰も吹いたことのない曲」なのである。
 そこで今回、この2曲を吹いてみたところ……意外と良い曲でした!

▼ギースベルト:練習曲第139番 22音の練習曲


 ちょっとネスカフェゴールドブレンドのCMに使われているあの曲(「目覚め」というタイトルだそうです)に似てる、と思ったので、コーヒーの映像にしてみました。

▼ギースベルト:練習曲第140番 カノン
(近日公開)



「リコーダーむつみ連」第5回は、さる2022年7月15日、例によって所沢市・松明堂音楽ホールで行ってきました。
 今回は2曲です。順に公開していきます。

【15】イレ・ベレ・ボン 〜うちの亭主はお人よし〜(ピエール・パスロー作曲、吉澤実編曲)


 16世紀のシャンソンです。
 原題は「Il est bel est bon」。
 歌詞の内容は、亭主を尻に敷く女房たちの井戸端会議、です。ですから、決してマジメに聞いてはいけません。シャンソンにはこういうの多いんですね。それをとりすまして格調高く演奏しようとすると、本筋とは違ってしまうんですね。
 私たちもできるだけ下世話に演奏しようとしたのですが、これはこれでなかなか難しかったです。引き出しの無さを痛感しました。今後の課題です。
 歌詞原文と日本語訳を記しておきます。

(原文)
Il est bel est bon, commere, mon mari.

Il etait deux femmes toutes d'un pays,
Disant l'une a l'autre: avez bon mari.

Il ne me courrouse ne me bat aussi,
Il fait le menage,Il donne aux poulailles,
Et je prends mes plaisirs.
Commere c'est pour rire,
Quand les poulailles crient.

Co co co co dac, 
Petite coquette,
qu'est ceci?

Il est bel est bon, commere, mon mari


(日本語訳)
ねえ奥様、うちの亭主はほんとにいい男なの

二人の女が井戸端会議互いにペチャクチャ、
夫がどんなにお人よしか
怒らないし、暴力もふるわない、
家事もするし、鶏に餌もやる
だから私は何もしないの

奥様、ほんと可笑しいんだけど、
鶏がこんな風に鳴くのよ
コケッ、コケッ、コケッ、コケッ、コケにする
フフフ、何のことかしらね?

奥様、うちの亭主はほんとにいい男なの


 日本語は拙訳です。鶏の鳴き声のくだりは、「Co co co co…」と鶏の鳴き声をまねておいて、それを「coquette」という語とかけています。「coquette」は、色っぽい、あだっぽいという意味で、日本語でも「コケティッシュ」なんて使いますね。つまり地口(駄洒落)です。英語の地口をむりやり日本語に置き換える翻訳の名人・柳瀬尚紀さんをまねて、私もむりやり日本語にしてみました(^_^;)。
 楽譜は、吉澤実監修『リコーダーカルテット ポピュラー&クラシック名曲集』(ヤマハ)を使わせていただきました。歌詞原文については、『The Oxford Book of French Chansons』(Oxford)を参考にしました。

【16】協奏曲ヘ長調(トマソ・アルビノーニ作曲、ウルリッヒ・ヘルマン編曲)


 「アルビノーニのアダージョ」で有名なアルビノーニが、トランペット、3本のオーボエ、ファゴット、通奏低音のために書いた協奏曲を、4本のリコーダーのために編曲したものです。原調はハ長調。
アルビノーニ協奏曲
 楽譜は、heinrichshofen & noetzel から出版されています。リコーダーはアルト3本と低音リコーダー1本。低音リコーダーは、テナーでも、バスでも、グレートバスでも吹けるようにパート譜が用意されています。今回はバスで吹いています。
 私がだいぶ以前に買っておいた楽譜で、今回ようやく日の目を見ることになりました。アルビノーニらしく明るく穏やかな曲想、運指等も易しいので、大いに愛好されて良い曲だと思います。とはいえ、演奏はもう少し詰めたかったのですが、なかなか…。

 第1回リコーダーむつみ連はこちらです。
 第2回リコーダーむつみ連はこちらです。
 第3回リコーダーむつみ連はこちらです。
 第4回リコーダーむつみ連はこちらです。

 8年ぶりに「リコーダー無駄な技術研究所」を更新しました。今回のテーマは《孤独なバロックピッチ技》です。

 つまり、モダンピッチの楽器でバロックピッチの仲間と合奏する方法です。要するに、半音低く演奏すればよいというだけのことなのですが…。


▼演奏例
ルイエ:2本のリコーダーのためのソナタ 第1番 第1楽章 アダージョ
(友情出演:三島由香)

1、練習方法

▼その1 音階を吹く

 アルトで、最低音ファから始めて、ドーレミファソラシドーシラソファミレド、と吹く。
 次に、半音上げて、ファ#から同じように吹く。
 その後も、半音ずつ上げて吹いていく。

 ヘ長調、変ト長調(嬰ヘ長調)、ト長調、変イ長調、イ長調、変ロ長調、ロ長調、ハ長調、変ニ長調、ニ長調、変ホ長調、ホ長調、ヘ長調。
 高音域の、変ト長調、ト長調(膝を使う)
 高音域の、変イ長調(高音ラ♭は発音が容易なのでついでにやっておくとよい)
 低い音域の、ホ長調(膝を使う。下降音型から入ると少しやりやすい)

 これを楽器を持つたびに毎回やる。
 はじめは難しく感じてもだんだん慣れる。
 何も考えなくても、自然と指が動くようになる。
 2〜3分でできる。
 ほかに余計なことをする必要はない。跳躍音型は出てきたときに練習すればよい。

▼その2 《楽譜を見ながら》吹く

 簡単な曲でよい。
 《楽譜を見ながら》というところがポイント。
 つまり、指が動くようになっているのだから、次に指とオタマジャクシの対応関係を覚える、ということ。

2、低音が出ないという問題

 楽譜に低音ファが出てきた場合、半音下げるとアルトの音域外となってしまう。

▼解決法

 動画では3つと言っていますが、後でもう少し気がつきました。

(1)オクターヴ上げる
  オクターヴ展開できない音型の場合がある。
(2)膝を使う
  発音が難しく、遅いテンポのとき以外は極めて困難。
(3)心で吹く
  聞く方も心で聞けば聞こえるはずである。
(4)ほかのパートと部分的に音を入れ替えてもらう。
  使える場面が限られる。
(5)和声内の別の音で代用する。
  使える場面が限られる。

▼演奏例
テレマン:2本のリコーダーのためのソナタ第1番第1楽章ドルチェ
(友情出演:三島由香)

 ナルシス・ブースケ《12のグラン・カプリース》(Narcisse Bousquet : 12 Grands Caprices)全曲の録音を新たに始めます。

 この魅力的な独奏曲集については、2020年7月から11月にかけて、第1番から第6番までを録音していましたが、そのまま途切れてしまっていました。その続きという形での録音も考えましたが、当時の演奏に自分としては不満があること、良い録音環境が整ったことから、改めて全曲録音し直すことにしました。
 以前のブログ記事はこちらです。


 旧録音については、YouTube上は限定公開とし、上記ブログからのみアクセスできる形にします。
 
 新シリーズは、第7番から上げていき、12番まで行ったところで、1番に戻って6番まで、という順番で上げていく予定です。

 作曲家および曲集については、2020年の記事を転載します。

ブースケ12のグラン・カプリース楽譜表紙
 ブースケという名前を知っている人は、あまりいないのではないでしょうか。フルートやトランペット、それにリコーダーやフラジオレットなどの楽器を演奏している人なら、練習曲の作曲家として記憶している人もいるかも知れません。そう、これらの楽器のための練習曲を多く作曲しています。ご本人はフラジオレットの名手だったようです。1869年8月20日に亡くなっています。
 《12のグラン・カプリース(12 Grands Caprices)》は1864年の作品で、無伴奏アルトリコーダーまたはフルートのための曲集です。どうもフラジオレットのために書いたものを、リコーダーまたはフルートのために移したもののようです。調性が同じだったり違っていたり、音もほぼ同じですが、必要に応じて少しだけいじっているところもありそうです。
 リコーダー愛好家から見たブースケの魅力は、なんといっても19世紀の作曲家だという点にあります。リコーダーは、バロック期およびそれ以前の時代に活躍し、18世紀後半以降は忘れ去られ、20世紀になって復活した楽器です。つまり、クラシック音楽の最盛期ともいえる古典派・ロマン派の時代に曲が書かれなかった楽器なのです。ブースケは、19世紀というリコーダー不毛の時代に曲を書いた数少ない作曲家なのですね。
 加えて、ブースケの作品は「技巧」と「歌心」に満ちています。ブースケ自身がフラジオレットの名手だったそうなので、彼の作品もそうしたヴィルトゥオーゾ的な性格をもっているわけです。もちろん時代がヴィルトゥオーゾを要求したこともあるでしょう。さらに、彼の作品には、なんともいえない「歌心」があります。これは例えば、バロック時代のテレマンやヴィヴァルディがもっている歌心とは全く違う種類のもので、リコーダー愛好家にとってはとても新鮮なものです。

【07】グラン・カプリース第7番 アレグレット ト長調

(2022.6.11公開)

 ト長調の明るい曲想。春から初夏にかけての、うきうきしながらもどこか落ちついた気分、というイメージでしょうか。

【08】グラン・カプリース第8番 アレグレット ホ短調

(2022.6.25公開)

 延々と16分音符が続きます。
 抗うことのできない運命と悲しみ。
 降りしきる雪。

【09】グラン・カプリース第9番 モデラート ハ短調

(2022.7.9公開)

 心が動かない。
 感情の起伏がない。
 しかし、何かのきっかけで、ふと、心が小さく揺れる。
 それはいつしか、波のように広がって、次第に人間らしい感情に満たされてくる。
 悲しさと、嬉しさと、懐かしさを合わせたようなあの感触。
 やがて目覚めを告げる鐘がなる。

【10】グラン・カプリース第10番 アレグレット ヘ長調

(2022.7.16公開)

 前の曲から一転して明るい曲想。
 ただ、手放しにはしゃいでいるのではなく、どこかで何かを用心しながら、穏やかな今を楽しんでいる風情でしょうか。

【11】グラン・カプリース第11番 アレグレット 変ロ長調

(2022.7.30公開)

 軽やかな曲。
 「飛ぶ昆虫」をイメージしてみました。

【12】グラン・カプリース第12番 ト短調

(2022.8.6公開)

 《グラン・カプリース》シリーズの掉尾を飾る最終第12番です。
 それだけにここには、豊かな歌心と変化の妙、技巧性が見事に溶け合っています。
 冒頭に速度表示はありませんが、途中に Moderato という記述があり、おしまい近くになって Allegretto という指示があります。が、その間でテンポの変化が無いことは考えられないので、演奏者によっていろいろな解釈があり得ると思います。
 これまでにもこの曲を人前で何度か演奏しています(「還暦記念コンサート」でも吹いています)。最初に吹いたのは以前に所属していたグループの発表会で、そのために故・松島孝晴先生にレッスンをしていただきました。そのとき言われたことで印象に残っているのは「リズムを数えるな」ということでした。それ以来、この言葉はずっと頭にあります。とても大事な、貴重な教えだったと思います。

 つづきます。

 息抜きに、懐かしい映画音楽を多重録音、リコーダー四重奏で演奏することにしました。
 全6曲の予定です。
 楽譜は『リコーダー・カルテット ポピュラー編1〜3』(東京音楽書院)を使います。編曲は磯崎敦博さん。
 ただし、この曲集は SSAT で編曲されているので、すべて AATB に移しています。

【01】雨にぬれても(バート・バカラック作曲、磯崎敦博編曲)


 『明日に向って撃て!』(1969年、ジョージ・ロイ・ヒル監督、アメリカ)の主題歌で、B・J・トーマスが歌いました。映画は、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス出演。作詞はハル・デヴィッド。
 余談ですが、歌詞を調べてみると、
Raindrops keep fallin' on my head.
 と書かれているものと、
Raindrops are fallin' on my head.
 とがあります。前者は曲名と同じですね。で、B・J・トーマスがどう歌っているのか調べてみたら…歌ってない! ほとんど、というか、全く聞こえてきません。まあそんなもんか。

【02】イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン(ハロルド・アーウィン作曲、磯崎敦博編曲)


 映画『ペーパー・ムーン』(1973年、ボグダノヴィッチ監督、アメリカ)で使われました。ライアン・オニールが聖書を売る詐欺師の役で、彼が、実の娘のテータム・オニール演ずる小さな女の子と、次第に心を通い合わせていくという、ちょっと甘酸っぱい映画でした。ライアンとテータムとは物語上、本当の親子かも…と匂わせながらはっきり言わない粋な演出が記憶に残っています。
 動画は、「父娘」だけで構成しようと思ったのですが、なかなか良い画像が見つからず、恋人も含めた「二人」をテーマに選んでみました。最後は「作り物の月」です。

【03】エンターティナー(スコット・ジョプリン作曲、磯崎敦博編曲)


 『スティング』(1973年、ジョージ・ロイ・ヒル監督、アメリカ)のテーマ曲として使われました。主演はポール・ニューマンとロバート・レッドフォード。『明日に向って撃て!』の名コンビがここでも!
 ただ、これは私だけなのでしょうか、もちろん『スティング』は見ているのですが、この曲はあまり印象に残っていないんです。なんでだろう? 映画自体が面白すぎるのかな?
 スコット・ジョプリンは、19世紀後半から20世紀はじめにかけて、多くのラグタイムを作曲して「ラグタイム王」と言われました。まあ、この「エンターティナー」が一番有名なんですけどね。
 この曲もそうですが、ラグタイムは、4/4拍子の中に3/8拍子が入ってきたりして、拍子感覚をちょっと混乱させる、なかなかお洒落なリズムをもっています。この辺のリズム感覚が、ジャズの一つの源泉にもなっていくんですね。
 例によって磯崎敦博さんの SSAT 編成の編曲を AATB に移して演奏しています。ABACAというロンド形式になっていますが、三度目のAの前半で、スイングするように手を入れています。

【04】ケ・セラ・セラ(J・リヴィングストン&レイ・エヴァンス作曲、磯崎敦博編曲)

 『知りすぎていた男』(1956年、アルフレッド・ヒッチコック監督、アメリカ)の中で、ドリス・デイが歌いました。同じ建物内に囚われているはずの息子に知らせようと、必死に声を張り上げる歌唱が、何とも切なく、かつ、ハラハラドキドキ感を盛り上げてくれましたね。
 この磯崎敦博さんの編曲は、何度か笛仲間と音にしたことがあるのですが、どうもしっくり来ませんでした。「編曲が良くないんじゃないの?」などと失礼なことを考えたりしていましたが、今回改めて吹いてみて、「吹き方が悪かったんだ」とわかりました。
 この曲は3拍子で、ワルツのリズムを持っています。そこでワルツのリズムが生き生きと出るように工夫して吹いてみました。具体的には、2拍目を良いタイミング良い表情で吹くようにしたんです。するとどうでしょう、俄然音楽が生命感を持ち始めました(自分比)。
 このワルツの柔らかで優雅なリズム感を表す映像は何か……とさんざん考えて探して、やっとこれを見つけました。ピッタリではありませんか?

 つづく。

 演奏したい曲ができたときに、その都度メンバーを招集する「ユニット」を立ち上げてみました。
 ざっくばらんに言えば、私が参加しているリコーダー四重奏「リコーダーむつみ連」では演奏できない編成の曲を演奏するためのグループということです。
 名づけてユニット《おとほぎ》

 「ことほぎ」という言葉があります。「寿ぎ」「言祝ぎ」などと書かれます。この語は「こと」と「ほぎ」に分かれます。「こと」とは言葉のこと。「ほぎ」とは「誉めること」「祝福すること」を意味します。つまり「ことほぎ」とは、言葉によって祝福するという意味です。祝福する相手方は神様で、神様に対して「ほぐ」ことで人々に幸福が返ってくるわけです。
 「ことほぎ」が言葉による祝福なら、音楽とは、音による祝福にほかならないのではないか?
 という考えから、このユニットを《おとほぎ》と名づけました。

 記念すべき《おとほぎ》第一回収録を、さる2022年3月26日に都内某所にある「えびらホール」にて行ってきました。
 呼び掛けに応じてくださったのは、フラウトトラヴェルソ2名、チェロ1名、リコーダーが私のほか1名という、合計5人の面々。とても素敵な方々が参加してくださいました。
 この構成でどうしてもやってみたい曲が2曲ありました。

 今年の1月に顔合わせと1回目のリハーサルを行い、2月に2回目のリハーサル、3月には本番収録という、アマチュアにしては無謀なスケジュール。でも良いんです。この会の目的は、第一に私が演奏したいと思っている曲を実際に音にすること、第二に和気あいあいと楽しく演奏すること、なのだから。もちろん良い演奏を目指すことに変わりはありませんが、まずは手持ちの技術を持ち寄って楽しくやろうと。

 振り返ってみて感じることは、とても良い経験をさせていただいたし、本当に楽しかった! どうか曲が終わったあとの皆さんの笑顔を見てください。また一緒にやりたいなあ。

【01】J・S・バッハ:Et in unum Dominum 〜ミサ曲ロ短調 BWV232(大友浩編曲)

(2022.5.23公開)

 バッハの《ロ短調ミサ》は私の大好きな曲で、また、学生時代に合唱団で歌った思い出の曲でもあります。
 その中でも、ソプラノとアルトの独唱で、2本のオーボエのオブリガートをもったこの曲は、曲想も明るくて本当に好きな曲なんです。
 なんとか自分でも演奏してみたいと思っていたところ、独唱部分はトラヴェルソで吹いてもらい、オブリガート・オーボエをリコーダーで吹いたらどうか、というアイディアを思いつきました。
 編曲してみたところ、なかなかうまくいきました。
 詳しくは、次のような手順で編曲を行いました。

(1)まず、声楽ソプラノとアルトを、二本のトラヴェルソに移すこと。通奏低音はそのままチェロに移すこと。
 アルトの最低音Gをトラヴェルソの最低音Dにすることを考え、ト長調からニ長調に移調した。
 トラヴェルソ、チェロのパートは、移調以外全く手を加えていない。

(2)オーボエのパートをリコーダーに移した。加えて、オーボエが休みのところは、曲の「飾り」になるようなフレーズを、適宜オーケストラパートからリコーダーに移した。
 リコーダーの音域に合わせて、オクターヴ展開したところはわずかにあるが、そのほかは手を加えていない(展開は第二リコーダー、3〜4小節で4拍分と、ほかには1音だけだったと思う)。

(3)楽譜は、基督教音楽出版の合唱譜をベースにし、ペータース版の合唱譜、ペトルッチのスコア、同じくバッハの手稿譜を適宜参照した。

 《ロ短調ミサ》は、ミサ曲なので、歌詞はミサ通常文です。この部分は「クレード(信仰宣言)」の3曲目にあたります。
 歌詞は次の通り。ラテン語です。

Et in unum Dominum
Jesum Christum,
Filium Dei unigenitum,

Et ex Patre natum,
ante omnia secula,

Deum de Deo,
lumen de lumine,
Deum verum de Deo vero,

Genitum, non factum,
consubstantialem Patri:
per quem omnia facta sunt.

Qui propter nos homines
et propter nostram salutem,
descendit de coelis.


 意味も紹介しておきましょう。拙訳。

そして(信じます)、唯一の主、
イエス・キリスト、
神のひとり子を、

また、全世界より先に
父からお生まれになった方を。

神よりの神、
光よりの光、
まことの神よりのまことの神、

造らずして生まれ、
父と一体となり、
全てを作られた主を。

主は私たち人類のために、
また私たちの救いのために、
天から下られました。


 動画では、こうした歌詞を歌う歌(=トラヴェルソ)を中心に聞いていただきたいので、注意喚起の意味も含めてテロップを入れました。

【02】ジャン・バティスト・ルイエ:五重奏曲 ロ短調

(2022.5.29公開)

 知る人ぞ知る名曲だと思います。物悲しくて、しっとりしていて、日本人にはぴったりではないでしょうか。
 原曲は、リコーダー2本、トラヴェルソ2本、通奏低音という構成ですから、ほぼ原曲通りの編成です。調も原調のまま(ロ短調)です。ただ、リコーダーはD管のもの、通称ヴォイスフルートを想定しているようですが、ここではアルトで吹いています。
 第1楽章 ラルゴ。ロ短調。3/4拍子のしっとりとした情感を湛えた曲。微妙なイネガルをかけています。
 第2楽章 アレグロ。ニ長調、2/4拍子。快活な、歯切れのよい曲。全編アウフタクトのリズムでできています。
 第3楽章 グラーヴェ。ニ長調、3/2拍子。途中チェロが主役のところがあります。これも微妙なイネガルで。
 第4楽章 アレグロ。ロ短調、3/8拍子。冒頭いきなりヘミオラという意表を突く出だし。

 《おとほぎ》第1回は以上です。次の予定は当面ありませんが、またやりたいなあ。

 バルトーク・ベーラの《農民の歌と踊り》を多重録音しました。
 これはバルトークが1931年に作曲した「44のヴァイオリン二重奏曲」の中から、ハンス・ウルリッヒ・シュテープスが、17曲を選んで、2本または3本のリコーダー用に編曲した曲集です。
 Universal Edition から上下2冊で出版されています。
バルトーク:農民の歌と踊り (3)
 このシュテープス編全17曲を録音しました。曲の順番は原曲とは異なっていて、そこに編曲者の何らかの意図があると思われますので、編曲通りの順番に並べています。
 《農民の歌と踊り》(Bauernlieder und -tanze, Peasant Songs and Dances)というタイトルは、原曲には無いようですが、「曲集の大半を占める42曲が東ヨーロッパの多くの国々の民謡の旋律を用いた民俗音楽の編曲作品であり、残りの2曲も、民謡の特徴を取り出して作られた民謡風の作品である」(Wikipedia)ことから、編曲者がつけたのではないかと思われます。
 メロディー自体は、民謡からとられているだけあって、とても親しみやすいものばかりですが、バルトークのアレンジがもう、尋常ではないんです。1分に満たないような短い、可愛い曲ばかりなのですが、いや、バルトークはめちゃくちゃ面白いです。
 以下、1曲ずつ公開していきますので、どうぞ楽しんで聞いてください。

【01】メイポールダンス (Kalamajko / Reigen / Maypole Dance)


 Andante。原曲では第2番に当たります。
 この曲から10曲目まではリコーダー2本用に編曲されています。
 楽譜を笛仲間と初めて音にしたときにビックリしました。メロディーは、「ソミソミファファララ、ファレファレミミソソ、ミドミドレレファー、ミミレレドドドー」という「蛙の合唱」レベルの親しみやすいというかシンプルきわまるもの。それに第二奏者が和声をつけると…。えー、こんな風になるんだ、という驚きでした。

【02】からかいの歌('Ugyan Edes Komamasszony ...' / Spottlied / Teasing Song)


 Scherzando。原曲では第26番です。

【03】遊び歌(Jatek, Spiel-lied, Play)


 Allegro non troppo。原曲では第9番。

【04】子守唄(Gyermekrengeteskor, Wiegenlied, Lullaby)


 Lento。原曲では第11番。
 好きな曲の一つ。ただし、多重録音でアインザッツを合わせるのはとても難しいです。
 調号が第一パートと第二パートで異なっています。第一パートはラに♭、第二パートはファとドに#がついています(原曲は、第一パートシとレに♭、第二パートファに#)。拍子も、2/4拍子と3/4拍子が適宜入れ替わります。
 終止音は禁断の三全音。三全音はほかの曲でも使われています。タブーとされたこの音が、不思議な温かさをもっていることを教えられました。

【05】真夏の夜の歌(Szentivaneji, Sommer-sonnvendlied, Midsummer Night Song)


 Risolute。原曲では第4番。
 素朴で明るいメロディー。それがバルトークの手にかかると…。やっぱりバルトークすごいな。
 終止音は減5度(=三全音)。

【06】枕の踊り(Parnas-tanc, Cushion Dance, Polstertanz)


 Allegretto。原曲では第14番。

【07】ルーマニアの歌(Olah Nota, Rumanian Song, Wallachisches Lied)


 Allegretto moderato。原曲では第7番。
 この曲も不思議な感じがして好きな曲の一つ。

【08】ルーシの歌(Ruten Nota, Ruthenian Song, Ruthenisches Lied)


 Andante。原曲では第10番。

【09】スロヴァキアの歌(I)(Tot Nota (I), Slovak Song (I), Slowakisches Lied (I)


 Motto moderato。原曲では第5番。
 第一パートと第二パート、意図的に半音でぶつけているところが何か所かあります。

【10】ハンガリーの歌(I)(Magyar Nota, Hungarian Song, Ungarisches Lied)


 Moderatamente mosso。原曲では第6番。
 前半と後半のつなぎの部分、4音からなるモティーフ(完全5度↓、完全5度↑、完全4度↓)を、2倍拡大、4倍拡大してできています。その後の第二パートはこのモティーフだけで最後まで。

【11】婚礼の歌(Lakodarmas, Wedding Song, Hochzeitsliet)


 Adagio。原曲では第13番
 この曲以降はリコーダー3本のアレンジになります。
 第一ヴァイオリンの重音奏法による持続音が、なんとなく雅楽の雰囲気を感じさせて、日本の神前結婚のような厳かで雅やかな感じを受けるのは私だけでしょうか。

【12】メヌエット(Menuetto)


 Moderato。原曲では第3番。
 リズムを刻んでいるものの、完全5度(主音と属音)のまま動かない伴奏がドローンのようで印象的。
 このドローン的音型や独自の和声のおかげで、一聴してメヌエットに聞こえないのですが、2小節が1つの単位になっていて、メヌエットの基本を踏まえています。
 味わい深い一曲。

【13】からかいの歌(Teasing Song, Parosito, Necklied)


 Andante。原曲では第1番。

【14】蚊の踊り(Mosquito Dance, Szunyogtanc, Muckentanz)


 Allegro molto。原曲では第22番。
 後半、旋律と同じ音域の持続音が、耳元に飛ぶ蚊のあのうざったい感じをよく表しています。

【15】スロヴァキアの歌(II)(Slovak Song (II), Tot Nota (II), Slowakisches Lied (II))


 Andante。原曲では第8番。

【16】バグパイプ(Bagpipes, Szol a duda, Dudelsack)


 Allegro molto。原曲では第36番。

【17】ハンガリーの行進曲(II)(Marching song (II), Menetelő Nota (II), Ungarischer Marsch (II)


 Tempo di marcia。原曲では第18番。

 これでめでたくシュテープス編《農民の歌と踊り》全17曲完結。

 小品とはいいながら、また、民謡を元にしているとはいいながら、普通では考えられないような和声や音の動きがあるので、やはりバルトークの作品にはバルトークの血が流れている。どの曲も面白かった。

 再生リストはこちらです。


「リコーダーむつみ連」第4回をやってきました(2022.4.22、所沢市・松明堂音楽ホール)。
 北御門文雄さん編曲によるモーツァルト《魔笛》シリーズ、今回の4曲で完結です。全10曲になります。
 順に公開していきます。

【11】恋を知るほどの殿方は〜歌劇《魔笛》(W・A・モーツァルト作曲、北御門文雄編曲)


 パミーナとパパゲーノの二重唱。恋をすることの素晴らしさを歌っています。
 面白いのは、パミーナとパパゲーノが愛し合っているわけではない、ということですね。最後には、パミーナはタミーノと、パパゲーノはパパゲーナと結ばれます。ですからここでは、普遍的一般的な愛を歌っていることになる…のでしょうね。
 はじめの4小節はパミーナの歌、ほぼ同じメロディーの次の4小節はパパゲーノの歌で、北御門さんはどちらも第一パートに割り当てています。後者を第二パートに振り分ければ区別がついて良さそうに思うのですが、何かお考えがあってのことでしょうか…。次に演奏するときは、この4小節のパートを入れ替えてみようかな。

【12】何と素晴らしい音だ〜歌劇《魔笛》(W・A・モーツァルト作曲、北御門文雄編曲)


 パパゲーノとパミーナがモノスタトスにつかまりそうになるが、パパゲーノが魔法の鈴を鳴らすとみんな浮かれてどこかへ行ってしまう、という場面。第一パートは魔法の鈴、第二パート以下は奴隷たちの歌う歌で、後者が主旋律ということになります。北御門さんの編曲譜だけを見ると、第一パートが主役と誤解しがちなのですが、こちらはあくまで飾りだと思います。
 そこで、主旋律が登場する8小節4拍目から16小節3拍目までを繰り返すことにし、まず第一パート抜きで演奏、二度目に第一パートが入る、という形に手を入れました。これで聞く人の耳が主旋律に引きつけられることになるし、実際のオペラの演奏にも近くなります。その上で第一パート(私)は、主旋律を引き立てるように、できるだけ前面に出ないように吹くことを心がけました。

【13】僧侶の行進〜歌劇《魔笛》(W・A・モーツァルト作曲、北御門文雄編曲)


 第2幕の冒頭でオーケストラだけで演奏されます。Marsch といっても通常の行進曲ではなく、神官たちがしずしずと入場してくるイメージで、かなりゆっくり演奏されます。
 いやぁ、この曲は難しい。遅いのでフレーズの安定感を出すのがまず難しいです。その上で、美しいハーモニー、局面局面でのニュアンスを加えなければなりません。まあ、良くいえば、今の私たちの力は出せたのではないかと思います。

【14】愛の喜びは露と消え〜歌劇《魔笛》(W・A・モーツァルト作曲、北御門文雄編曲)


 パミーナのアリアです。愛するタミーノが沈黙の試練中であることを知らず、冷たくされたと思ったパミーナが失恋の悲しみを歌います。
 第一奏者は気持ちよく歌えばいいので、まあ楽は楽なのです。第二奏者以下は、この歌を際立たせるべく、「点」で和声を刻んでいかなければなりません。適切なデュナーミクと、正しい音程で、ここぞというタイミングで、最小時間で「点」を打ち込まなければならないのです。むつみ連もこういう表現ができるようになってきました。自画自賛です。

 北御門文雄編曲によるオペラ《魔笛》シリーズは今回で完結です。一貫性のない順番で演奏してきたので、《魔笛》での登場順=楽譜集の掲載順で並べた再生リストを作りました。

モーツァルト《魔笛》リコーダー四重奏集/リコーダーむつみ連

 第1回リコーダーむつみ連はこちらです。
 第2回リコーダーむつみ連はこちらです。
 第3回リコーダーむつみ連はこちらです。
 第5回リコーダーむつみ連はこちらです。

 まことに愛らしく、楽しい曲を多重録音で公開しました。

 ヨーゼフ・フリードリッヒ・ドッペルバウアー: バルトのリュート本(1740年)の旋律にもとづく組曲 リコーダー四重奏のための
 Josef Friedrich Doppelbauer : Suite nach Melodien aus dem Baltischen Lautenbuch 1740, fur Blockflotenquartett

 ドッペルバウアーは、オーストリアの作曲家・オルガニスト・合唱指揮者で、1918年生まれ、1989年に亡くなっています。リコーダーアンサンブルのための曲も複数出版されていて、リコーダー愛好家には馴染みのある人…かと思っていたら、意外と知らなかったという人が多いようで、演奏して良かったと思いました。YouTube を検索しても、この曲は全く出てきません。
ドッペルバウアー:組曲
 Doblinger から楽譜が出版されています。タイトル以外には情報がないので、想像するほかないのですが、1740年にバルトで出版されたリュート本のメロディーをもとに、ドッペルバウアーが組曲にまとめたものなのでしょう。1740年というとバロック末期ですので、この作品もあたかもバロック音楽のように書かれています。吹いて楽しい、聞いて楽しい、親しみやすい組曲になっています。


 全体は6曲で構成されています。組曲ですので、舞曲が並んでいます。

1、Marsch
 マルシュとはマーチのことです。快活な曲。ハ長調、4/4拍子、アレグロ。
2、Menuett
 メヌエット。メヌエットI−トリオ(メヌエットII)−メヌエットIというダカーポ形式の構成になっています。メヌエットIはグラジオーソ、メヌエットIIはモルト・カンタービレ。メヌエットIIはバスなしの3声部で書かれています。ダカーポしてメヌエットIに戻りバスが再登場するところ、グッときます(^_^;)。イ短調、3/4拍子。
3、Polonaise
 ポロネーズ。ポロネーズというのはポーランドの舞曲ですね。ショパンでお馴染み。特徴的なリズムパターンをもっています。アレグレット。ヘ長調、3/4拍子。
4、Bourree
 ブーレ。ブーレもバロックを代表する舞曲の一つです。かなり躍動的に書かれた短調。楽譜にある4拍目のテヌートは無視しました(どうもバロックっぽくないので)。プレスト。イ短調、3/4拍子。
5、Sarabande
 サラバンド−ドゥーブル−サラバンドというダカーポ構成です。サラバンドには、アンダンテ・トランキロ、カンタービレという指示があります。ドゥーブルは変奏の一種で、モルト・カンタービレ、コン・モトと書かれています。ドゥーブルで少し変化をつけたいと思い、ぼーっと聞いているとわからないぐらいのイネガルにしてみました。ト長調、3/4拍子。
6、Finale
 最後は可愛らしく全体を締めくくります。アレグレット・グラジオーソ・コン・モト。ハ長調、3/4拍子。

 4拍子が2曲で、残り4曲は3拍子です。調は、ハ長調、イ短調、ヘ長調、イ短調、ト長調、ハ長調と、ハ長調を中心にバランスよく近親調を選んでいます。しかもリコーダーで吹きやすい調ばかり。もっともっと愛好されて良い曲でしょう。唯一のネックは楽譜が手に入りにくいということでしょうか。

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