■埼玉県行田市 地元食材に反響上々

 食の安全や自給率を見直す機運を背景に、地大豆の研究・栽培が各地で活発になっている。埼玉県行田市では、名物の総菜「ゼリーフライ」に地大豆「行田在来」のおからを採り入れる店が登場。「地元の名物には地元の原料を」という店の狙いに、農家も「上手に活用してもらえている」と歓迎する。(草下健夫)

 ≪なるべく地元で≫

 行田市の村松秀章さん(54)は7年前に市内にうどん店をオープン後、ほどなくゼリーフライをメニューに加えた。すると、物珍しさとおいしさから注文が増え、いつしかゼリーフライ主体の店になった。

 ゼリーフライは、衣のついていないコロッケのような総菜。村松さんは「行田の人にとっては子供のころから当たり前の食べ物だけど、確かに素朴なおいしさが魅力。全国ブランドに」と考えた。折からのB級グルメブームを追い風に平成19年、友人らと「行田ゼリーフライ研究会」を設立し全国のB級グルメが集うイベント「B-1グランプリ」に出場、ゼリーフライの認知度を高めた。

 村松さんは「行田の名物なら、なるべく地元の原料を使って行田らしさを」と、行田在来の栽培復活の情報を入手。行田在来を使ってくれる豆腐店を市が探していると聞き、「豆腐店が見つかったら、そのおからをぜひゼリーフライに使いたい」と相談した。

 豆腐生産を手がける市外の社会福祉法人が、行田在来を採用。村松さんは20年春に早速、そのおからをゼリーフライに。ソースの味のため、行田在来のコクのある甘みは感じにくいが、地大豆使用とあって反響は上々という。

 村松さんは昨年2月に店を畳んだ後も、市内の公園の売店や各地のイベントでゼリーフライを販売。今月16日には直売所「風土の店むらまつ」を市内に開店した。村松さんのほか、1月に開店した軽食「まちこ庵」も行田在来のゼリーフライを扱う。

 「9月に神奈川県厚木市で開かれるB-1グランプリには、行田在来のゼリーフライが出場できないか」と、村松さんは期待を膨らませる。

 ≪作付も増加中≫

 行田在来は豆腐や豆乳に向くとされ、埼玉県や行田市などが普及に取り組む青大豆だ。栽培が絶えていたが、市内に住む農業、長谷川浩さんが18年、県から種の提供を受けて試作。翌年から栽培が始まった。市農政課によると、新たな生産者が加わり、作付面積は19年の約1・6ヘクタールから昨年は約9ヘクタールに増加、今年は約12ヘクタールが見込まれる。

 地元で青大豆研究会の代表も務める長谷川さんは行田在来入りゼリーフライの実現を喜び、「地大豆の甘みを味わうには、おからそのままや枝豆などもお薦め」とアピールする。「改良品種に比べて収量が落ちるが、腕を上げていきたい」と意気込む。さらに生産農家の増加が望まれるが、専用のコンバインの導入などが課題という。

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【用語解説】ゼリーフライ

 行田市内に伝わる総菜、おやつ。ゆでたジャガイモやおから、タマネギ、ニンジンなどを練り合わせて楕円(だえん)形に整え、油で揚げてソースにつけて食べる。ゼラチンを使った菓子のゼリーとは無関係。中国・東北地方の野菜まんじゅうが起源などの説があり、明治後期には既にあったという。名前の由来は、形が小判(銭)に似るため「ゼニー」が「ゼリー」に転じたといわれる。平成4年に市内在住者らが発見した小惑星が昨年6月、ゼリーフライにちなみ「24754 Zellyfry」と命名された。

 市内には「フライ」もあるが、こちらは小麦粉などを使った焼いた料理で別物。

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 産経新聞社は「ニッポンの食、がんばれ!」キャンペーン(www.nippon-shoku.com)を通じて食料自給率の向上を目指します。

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