「捜査としては完敗」「今となっては0点」。警察による足利事件の捜査検証報告書は、DNA型鑑定への妄信や不的確な取り調べを厳しく自戒した。現役の警察庁幹部や当時捜査にあたった栃木県警OBからは、悔恨や反省の言葉が続いた。【吉村周平、千代崎聖史、長野宏美】

 91年12月2日午前1時15分。12時間に及ぶ取り調べの果てに菅家利和さん(63)を逮捕した当時の栃木県警刑事部長は報告書について「その通りだと思う。当時としては100点だと思ったが、冤罪(えんざい)と決まった今では0点の捜査。問題点があるのは間違いない」と誤りを認めた。

 報告書は、事件発生時から専従していた県警捜査1課の警部が、全体を見渡す捜査主任官と菅家さんの取調官を兼務したことで、供述の信用性の厳格なチェックが機能しなかった点について1ページを割いて言及。元刑事部長は「自白が重要な事件だから、取り調べにベテランを配置することにした。同じ人物が兼務することはあまりないが、間違ったことではない」と釈明。捜査主任官だった元警部は「検証はやるべきだし、どんどんやればいい。だが、今の段階では報告書の内容がまったく分からないからコメントできない」と述べるにとどまった。

 当時県警本部長だった山本博一さんは「再審無罪となったことは、至らない点があったのだろうと重く受け止めている。検証結果を評価する立場にないので中身についてはコメントできないが、今後の捜査に十分生かしてほしい」と語った。

 一方の警察庁。富山冤罪事件と鹿児島県議選買収無罪事件で警察への信頼が揺らいだことを受け、08年1月に初めて個別の事件を検証し、問題点を公表した。今回の検証結果公表はこの時以来で、再び警察の捜査の在り方が問われる事態となった。ある幹部は「足利事件の捜査は完敗。菅家さんには申し訳ないとしか言いようがないが、最新のDNA型鑑定の信頼性に疑問符がついたわけではない。客観証拠の収集拡充に取り組む契機にすべきだ」と話す。

 別の幹部は、虚偽の自白の問題に触れ「迎合的な性格の人が容疑者となることは今後もありうる。取り調べ全過程の録音・録画(可視化)で解決する話でもない。基本に立ち返って供述の吟味を徹底するしかない」と厳しい表情をみせた。

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