(つづき)


担架を!

もうひとりの看護師に命令するかのように言った。


6人の男性看護師がタバコ部屋にドタドタと乱入してきた。

そのうちひとりが、紺色のビニール製のような、布のようなものを持っていた。

広げると、たたみ1畳ほどの大きさだった。

どうやったのかは、そこのところは記憶にない。

いつのまにかベンチの上に紺色ビニールを引き、ぼくはその上に乗せられていた

右側の、ぼくの頭が位置する所に丸い取っ手がついており、足先の部分、その中間の腰の位置する部分と、計3つの取っ手がついていた。

左側も同じ。

6人の看護師が、それぞれの取っ手をもち、紺色ビニールごとぼくを持ち上げた。

即席タンカ、なのだろう。



画像20160228担架
著作権 ヤフオクより


そのまま6人とぼくは、タバコ部屋を出て、その前の詰所の中を通り、かけあしで診察室へ入ったようだ。

6人の先頭、ぼくの頭の部分の取っ手持っていた人が詰所の看護師にぶつかり

「あ、すいません」

と言ったのを記憶している。


そのまま診察室のベッド上に仰向けに寝かされた。

すでに当直の、白髪の年配の医師がかけつけており、左手を引っ張られた。

「ふくさん、チクッとしますよ」

そういうと、左腕のどこかに注射を打たれるのを感じた。


その時はもう痙攣 (けいれん) が収まっており

「何の注射ですか?」

筋弛緩剤ですよ」

と会話もした。


筋弛緩剤を打たれてしばらくたち、痙攣もなく、なにげな会話もできたことから 「特に問題はない」 と判断されたのだろう。

「ふくさん、デイルームで少し休んでて下さい」

と言われ、そのまま自力で歩いてデイルームの窓際のソファーに座った。

ただただ、自分に何が起こっているのかその時は理解できなかった。

状況を記憶に焼き付けるのが精一杯だった。


2~3分休んで、自室に帰ろうと立ち上がった。

しかしあとで思えば

もっと十分に休んでおけばよかった

と後悔することになる。


立ち上がって自室に向けて2、3歩進むと。

また足が硬直し、身体が前のめりになり。

ぼくが見ていたデイルームの景色が、その下の床へと変わっていった ……











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