2010年04月

2010年04月24日

天然文庫

 天然文庫からリリースされた本、DELAWAREのリーダーとしても知られる、サマタマサト氏による著書『HOW TO SOX.』を拝読させていただきました。アナログ的に豊かな物は、言葉で言い表せません。言語化したそのそばから、豊かなものも途端に貧しくなります。大抵の言語化、デジタル化とは、そうしたものです。生気を失ってしまうのです。しかし、最終的には、老子に完敗を認めるかのようなこの本からは、とても新鮮な、俳句にも似た、言語のデジタル化を目指している、そのような感じを受けました。この本には、アナログとデジタルが、それぞれの長所/短所を補い合い、仲良く共存するためのヒントが詰まっていると思います。また、言葉と図版のピースな共存としても読める、とても楽しい本でした。
 
 ところで、天然文庫から既にリリースされたいくつかの本の巻末に、「天然文庫の100冊」第二弾(予定)4月24日土曜日発刊、という告知ページがあり、そこで、A.K.I.『2010年のA.K.I.PRODUCTIONSと90年代のマガジンハウス』という本が予告されておりますが、実際にはまだリリースされておりません。リリースが確定次第、当Blogでも、改めて告知させていただきます。お楽しみに!

'10/04/24 A.K.I.(倫理B-BOY RECORDS / A.K.I.PRODUCTIONS)



【詳細URL】
http://bunko.bccks.jp/

2010年04月01日

オシャレと初期衝動。そして、誠実に。/A.K.I.(2009年3月28日)@レコード手帖。(columbia readymade)

「A.K.I.PRODUCTIONSの16年ぶりのニュー・アルバム『DO MY BEST』、リリースおめでとうございます!」

「ありがとうございます! おかげさまで、渋谷のタワーレコードでは大展開していただいちゃって。もうリリースから1ヶ月以上経ったんでディスプレイは撤去されてしまったのだけれど、オマケのCD-R付きで、5階のNEW AGEのコーナーでガツンと平積みで売っていただいた上に、2階のJ-POPのコーナーは勿論のこと、7階のタワーブックスでは荏開津広さんをお招きしてトークショーを開かせていただいた上に、壁にでっかいアー写のコピーを貼っていただいちゃって、『DO MY BEST』と一緒に、僕が選んだ20冊の本を並べてドカンと売っていただいてしまったりで、もう大感謝でした!」

「見ましたよ! モーニング娘。のガキさん(新垣里沙さん)の最新写真集『Happy girl』 から、柄谷行人さんの『坂口安吾と中上健次』、それから『アシッド・ドリーム ズ』とか『季刊 子どもと昔話』とかヤン富田さんの『フォーエバーヤン』とかどっさり置いてありましたね!」

「ランシエールの『民主主義への憎悪』もあったでしょ? あの本いいんだよねー。先日、この「レコード手帖。」に江森丈晃さんが寄稿された「音楽とことば。カメラ。デザイン。そして自分」は読んだ?」

「読みましたよ! あの文章と、『季刊 子どもと昔話』の最新号(38号)の小沢健二さんの連載「うさぎ!」と、A.K.I.さんが、『DO MY BEST』の44Pのブックレットの最後の章で書かれていた「『DO MY BEST』の音を作った後の話。あるいは、ガキさんと欽ちゃんとデモクラシー。」、それに、さっき挙げられたランシエールの本って、ある意味おんなじことが書いてありますよね!」

「気が付いた? で、さっきさ、その江森丈晃さんが、編集とデザイン、そして一部執筆も手がけられた書籍『音楽とことば〜あの人はどうやって歌詞をかいているのか』を買って来て、小西さんのインタビューのところを読んでいたら、またそことリンクする箇所を発見してさ。それは、89Pあたりなんだけど、「今、自分たちの周りって、オシャレじゃない人ってほとんどいないでしょ? そこがダメなんだって、たまに思わない? 服装とかで振り切れてる人って、最近見ないでしょ。もっと言うと、いちばん嫌なのはさ、そのへんの服飾関係の専門学校の子とかってさ、みんな一見派手なんだけど、よく見ると同じなんだよね。あれは、変だよなぁって思うし。だから、そういう子たちに自分を投影するわけじゃないけど、どこかでそういうバランスとかコーディネイトを考えてしまう自分に対して、限界があるなぁ、とはよく思うけどね」と発言されているところがあってさ、それでまた、1ヶ月程前の江森さんのブログでの発言を思い出したのよ。江森さんが自身のブログ「fresh & raw」の「2009.02.19」で、僕の『DO MY BEST』について、こう書かれてたの。引用してみると、「音楽としてはいいものではないし(暴言)、自身が制作したというジャケットも、いいデザインとは言い難い。しかしそれであっての『DO MY BEST』。この作品の売上げは、その部分に、どれだけの人が気づくのか。形のないその部分に、どれだけの人がお金を使ってくれるのかにかかっているように思う」。要するにさ、小西さんの発言に戻ると、どうやら僕は、小西さんのおっしゃる「今、自分たちの周りって、オシャレじゃない人ってほとんどいないでしょ?」って意味で言えば、江森さんから「A.K.I.は“オシャレじゃない人”だ」って烙印を押されたってことだと思わない?(笑)」

「それって、逆に「最高にオシャレ」ってことじゃないですか! やりましたね!」

「うん、嬉しいね、自画自賛(笑)。実際、『DO MY BEST』を褒めてくれる人って、オシャレな人ばっかりなんだよね。ここで全員名前を挙げたいくらい。まぁでも、プライベートでの他人の発言をネットで言いふらすと、信用なくすから公言しないけどね(笑)」

「A.K.I.さん、調子にのってますね(笑)」

「そうだね、反省(笑)。でもさ、ホント世の中平均化されて、コンビニと大手チェーンの「オシャレ」なコーヒー屋さんばっかりの世の中でしょ? 音楽だってさ、21世紀なんだから、ヤン富田さんのジョン・ケージ「4分33秒」のカヴァーみたいな衝撃的でバカっぽくて最高にオシャレでカッコいい音楽がいっぱい出てくるのかな? なんて勝手に期待してたのに、「バランスとかコーディネイト」みたいなのばっかりじゃん? 勿論、それはそれで悪いことではないし、それが好きな人は尊重するし、そういう音楽の中にも僕にも好きなものもあったりはするんだけどさ。とはいえ、「逆にこれはチャンスだな」って思ってさ、それで『DO MY BEST』を作ったんだよね。自分の好きなことを一生懸命、納得するまでやればさ、それはそのままで「バランスとかコーディネイト」とは無縁のオシャレなものになる、ってわけじゃない?」

「そんな「邪心」を抱いて作ったんですか?(笑)。いただけないなー、それ! 全然、オシャレじゃないじゃないですか、その考え方(笑)」

「そうなんだよね(笑)。でも、作品をリリースして1ヶ月ちょっと経った現在、ふと周りを見渡したら、たまたま自分が無心に頑張ったことが、ちゃんと意味付けされるような言説にバタバタとぶつかってしまって、それでつい調子にのってしまって、「俺は最初からそのつもりで作ったんだぜー、凄いだろう?」的に口を滑らせた発言をしてしまった、というわけです、反省(笑)」

「調子にのっちゃダメですよ。A.K.I.さんは、「初心」と「初期衝動」しか、いいところないんですから!」

「そうだね、もっと誠実にやらないとね、すみません!」

「でも、よく世の中で言われているような「初期衝動だけじゃ続かないよ」って意見に関してはどうですか?」

「今年に入って、大阪のNOONと表参道のギャラリー360°で、計3回も、ヤン富田さんのソロ・ライヴを拝見させていただいたんですけれども、ヤンさんは、あれだけの長いキャリアを持ちながら、はち切れんばかりの初期衝動が山盛りのパフォーマンスでしたよ! まさに「フォーエバーヤン」! そういうことって、誰しもが同じように出来ることかどうかは判らないけれども、それを貫くには誠実にやるしかない! と思いました。僕は、自分の好きなことが、世の中のどんどんと平均化されていく価値観や、いわゆる「バランスとかコーディネイト」とは大きくズレる、“オシャレじゃない人”ですし、そういうのが好きではない人間なので、自分なりに自分の好きなことを誠実に貫いて行くという、それ以外の道はかえって無理があるから、初期衝動以外のことをやることの方が続かないと思います。でも、「バランスとかコーディネイト」が本当に好きな人達も沢山存在していて、また「そうせざるをえない得ない人達」だって大勢存在します。かくいう僕にだって、「バランスとかコーディネイト」をぶっちぎれない局面が多々あります。だから、というわけではないのですが、僕はその人達を否定もしませんし、撲滅しようとも思いません。そういうことではないんです。いろんな価値感があってしかるべきだとも思いますしね。特に「バランスとかコーディネイト」が心底好きでそこに命をかけている人がいれば、いろいろなことを越えて感動することさえあります。いま、とっさにはその具体例を挙げることは出来ないのですが」

「調子にのって、他人の価値観を否定するのはダサいですものね。ま、これだって他人は別にして、ってことですけれども」

「そうですよね。大事なことだと思います。でも、話はちょっと違うかもしれませんが、居心地が良いと、かえっていろいろと停滞しますよね。「クリエイティヴィティーを根絶したいのならば、全部の人の価値観を世間が認めてあげれば、それだけで全滅だよなぁ」と思うことさえあります。かと思うと、僕なんか「褒められると伸びるタイプ」だったりもするんですけれどもね(笑)。でも、「ある状況だったり、何かに不満を持った時点で、既に自分の中に新しいものがあるのだから、後はそれを解放してあげればいい」ってのは、ありますね。これ、モチベーション上がりますよ。。えっーと、何の話でしたっけ?(笑)」

「小西さんからのご依頼としては、『DO MY BEST』についてのセルフ・ライナーノーツ的な原稿が欲しい、という旨を伺っていたような気がしますが」

「あっ、そうでしたね! 小西さん、ありがたいですよね。小西さんは、「バランスとかコーディネイト」の人でもありながら、逆の意味でオシャレな「DJよしお」さんとかだったりもするから、2重の意味でオシャレな人ですよね! これはマジ。こないだ思わず、『最新型のピチカート・ファイヴ』を聴き直しましたよ。「音楽らしい音楽」を作るミュージシャンは、あの時代、90年代初頭に、ああいうコラージュだったり、デタラメに視えるようなサンプリングは、基本やらなかったですもの。ヤンさんはまた特に特別だけれど、『カップルズ』や『ベリッシマ』を作った人が、ああいう作品を作ったのが最高にカッコ良かった。普通の意味で「音楽らしい音楽」を作れる人が、ああいうコラージュみたいなことをやるのって、凄くさわやかなことだったと思います。そこに感動しました。以来、僕は小西さんファン。21世紀に入ってからは、テレビ番組『FACTORY』の公録ライヴで披露された、自身がヴォーカルをとられた弾き語りが最高でした。小西さんの歌は最高にいい。是非、あの感じでソロ・アルバムを作っていただきたいです。前園直樹グループも観に行かないと!」

「自分のアルバムのプロモーションは、もういいんですか?(笑)」

「っていうかさー、もうオシャレな人は、とっくに買っちゃったと思うんだよね、『DO MY BEST』は(笑)」

「だから、調子に乗るのやめなさい、って!(笑)」

「そうですよね、すみません(笑)。あのー、僕としては納得いくまで作った自信作なんで、もしよろしければお買い求めいただけると、とても嬉しいです。曲によっては、いいテイクを出すために、すごく何回もトライした曲もあったりするんですけれども、「こんなにムキになっていいテイク出そうとしてるのってなんかバカみたいで面白いなー。一生懸命で、俺っていい子だなー」とか思ってて、そんな中、レコーディング中のある日、本屋さんで、オーディション雑誌の取材に答える、モーニング娘。の新垣里沙さんのインタヴューをチェックしまして、ガキさんが12歳の頃、モーニング娘。のオーディションを受けるために、自分で納得のいくテイクが撮れるまで、タンポポの曲を何度も何度も歌って踊って、お母さんにビデオカメラで撮ってもらったっていう話を読んで、僕なんかまだまだだなぁ、と思いましたけれどもね。本格的にお客さんの前に出る前の12歳の女の子が、粘りに粘ってやっているその本気さに打たれました。その後、ガキさんは、本物のタンポポにも加入することになるのだから、本当に凄い。現在は、その12歳の頃の比ではないレッスンを重ねているのだろうなと思うと、本当に僕なんかまだまだだな、って思いますよ。確かリリー・フランキーさんが、自分が何か決断を迫られるだとか重要な場面では、必ず松田優作さんが現れて「お前はなんなんだ?」と問いただされる、みたいな話をどこかに書かれていた記憶があるのですけれども、それが僕にとってはガキさんで、そのテイクを重ねたというインタヴューを読んで以来、それが決定的なものになりましたね。ガキさんに、じっと目を見つめられて「本当にそれでいいの?」って訊かれたら、誠実にやるしかないじゃないですか。そんな気持ちで作ったアルバムなので、皆様本当によろしくお願い致します!」

「判りました。今後、A.K.I.さんが調子にのった時には、ガキさんを呼んできますから。実際には呼べないですけれども(笑)」

「いや、もう名前出されて、ガキさんの顔を思い浮かべるだけで、充分です!ダサいやつになりそうになった時には、モーニング娘。の5期メンバー(高橋愛・紺野あさ美・小川麻琴・新垣里沙)の歌う「好きな先輩」を聴き直すことにしていますから(笑)」

「でも、ピチカートの「きみみたいにきれいな女の子」の「女の子」って、小西さん自身のことなのでは? って説がありますけど、A.K.I.さんの「ガキさん」も、結局「A.K.I.さん自身」なんじゃないですか?」

「えーっ! まぁ、確かに「あの娘。のこと」じゃなくて、「僕のこと」「俺のこと」って側面があるのは完全には否めないかも(笑)。で、また、僕の曲に出てくる「ガキさん」と、現実の「ガキさん」が全くのイコールだとも言い切れないわけですしね。実際、握手会以外ではお会いしたこともないのですから(笑)。でも、ホントそうですね。例え、ガキさんが許してくれても、自分が許さなかったら、作業なんかもハンパなところで止められないですからね、確かに。納得行くまで徹底的にやりますものね! アレ? なんか話が違うとこいっちゃったかな?」

「いやいや、そんなことはないですし、違ってしまってもいいんです! それよりも、その言葉を待ってましたよ、A.K.I.さん! これからもその調子で、誠実にやっていってくださいね! 自分の好きなことを納得いくまでやり遂げる、というその姿勢ですよ、やっぱり!」

「確かに、大事ですね(笑)。わかりました! どこまで行けるか判らないですけれども、出来る限りやり続けますよ!」

「じゃあ、締めに大好きなモーニング娘。のガキさんの話も出たところで、このインタビュー、そろそろ終わりにしますか?」

「そうですね、長らくお疲れ様でした! 最後に皆様、タイトル通りに、僕が一生懸命作ったアルバム、A.K.I.PRODUCTIONS『DO MY BEST』をよろしくお願い致します!」

「そうですね! A.K.I.さんのアルバム、よろしくお願い致しますね、みなさん! それではまたいつかどこかでお会い致しましょう!」

オシャレと初期衝動。そして、誠実に。/A.K.I.(2009年3月28日)

*以上、下記URLより転載。
http://loveshop-record.com/readymade/essay/aki_index.html

【関連URL】
http://tower.jp/item/2512964/DO-MY-BEST

http://www.readymade-vic.com/column/author/enquete/20100112.html