2017年01月17日

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『思想的地震』とヒップホップとBuchla Music Easel。 / A.K.I. (倫理B-BOY RECORDS / A.K.I.PRODUCTIONS)

『A.K.I.PRODUCTIONSライヴ! A.K.I. Plays Buchla〜ラップとトークとエレクトロニクス Vol.2』@神田TETOKA(’16/11/20)の模様から。(PHOTO = Great The Kabukicho)
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『思想的地震』とヒップホップとBuchla Music Easel 。/ A.K.I. (倫理B-BOY RECORDS / A.K.I.PRODUCTIONS)



 『思想的地震 柄谷行人講演集成 1995-2015』(ちくま学芸文庫)の中に、次のような文章があります。 


 「近代とはこの埋めようのない割れ目の上に立つことです。同時に、近代とは、いわば割れ目を閉じようとする必死の運動でもあると言うべきでしょう。」


 僕は、この「埋めようのない割れ目に立つこと」が好きです。

 これは、同じ御本の別の文章から抜き出すと、次のようにも言えます。


 「近代的な自己というのは、伝統や他人を超えて自律的な何かを求めることです。」


 これらを一言で云うと、ヒューモア、になるでしょう。


 その一方で、「近代とは、いわば割れ目を閉じようとする必死の運動でもある」、というのは、例えばヒップホップで云うと、ピート・ロックさん以降に出来た、とも云える「(ある種の)ヒップホップの枠組み・ルール」、になると思います。

 そしてそれは(その「歌詞の内容」ではなく)考え方・在り方として、欅坂46さんの「サイレントマジョリティー」等にまで当てはまる気がしております。

 そう考えると(その良し悪しは全く別として、他意無く)、僕の好みは、ヒューモアの方、例えば、アフリカ・バンバータさんの『DEATH MIX』やダブルディー&ステインスキーさんの『LESSON1~3』、あるいは、ヤン富田さんの『アシッドテスト』の方になります。

 と、申し上げましても、僕は、別段、ピート・ロックさんや、大きく言ってその影響下にいらっしゃると思える系統のヒップホップの方々、あるいは、欅坂46さん達を否定するわけでは、決してございません(むしろ、時には、そうした表現を「楽しんでいる」時さえあるのですから!)。

 繰り返しますが、ピート・ロックさんから始まった、とも云える「ヒップホップの枠組み」を否定する意図は全くないのです。

 が、しかし。単に好みで云うと、僕の場合は、ヒューモアの方が好きなのです。

 なので、自分のライヴ・シリーズ『A.K.I. Plays Buchla〜ラップとトークとエレクトロニクス』、あるいは、『トランスクリティカルHIP HOPショー』では、ヒューモアを示すことが出来るとよいな、と、いつも思っております。

 そう、1970年生まれの僕にとっての「思想的地震」だったのは、1980年(小学5年生の時)に観た、サイケデリックでポップなアイドル映画、とも云える、ザ・モンキーズさん達が主演した『HEAD』、あるいは、1984年(中学2年生の時)に、渋谷ジァンジァンで観た、(宮沢章夫さん率いる「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」の前身である)『シティボーイズ・ショー ハワイの宮沢君』、といった作品の数々だったのでした。


 だからこそ、僕は、(ヤン富田さんが仰しゃる意味での)電子音楽、が好きなのです。


 で、そんな風に、不意に「自分の(小さな)器」を、おおよそ把握してしまった、としても、じきにその器を、何かに、あるいは、誰かに、「ガシャン!」と壊されるはずで、その時こそが、また新たな(フレッシュな!)バランスをつかみ直すチャンスなのです。

 だからこそ、僕は、様々な人や物に触れたいのです。

 他者や物自体に触れることは、僕にとって、とても大切なことなのです。

 (センス良く)否定されると、「つまらない気取り」からも解放され、不意に、本当にフレッシュな間(ま)、を示すことが出来たりもします。


 でも、今日は、たまたま何からも否定されなかったので、「ちょっと気取ったまま」で失礼させていただきます。


 つまり、大事なのは、否定と肯定の間(あいだ)を、笑いながらサーフィンし、行き来すること、だと思うのです。

 例えば、ランDMCさんの「Here We Go (Live At The Funhouse)」でのジャムマスタージェイさんの絶妙な、必然性のあるフレッシュな偶然、ともいうべき針飛び(と、その事態への、咄嗟の対処、リアクション、あるいは、チューニング!)、そして、その「必然性のある偶然」という言葉を生み出した張本人でおられる、ヤン富田さんが、オムニバス・アルバム『ECHOES OF YOUTH』に残された「虹の彼方に」での、浜辺でスティール・パンの演奏中につまずきながらも、なお、ハッとしつつ、演奏を続行する、という、素晴らしい偶然を捉えた録音は、そうしたことを体現していると思うのです。 

 そして、僕は、そうしたことを、自分のライヴの現場で、Buchla Music Easelなどを使って起こせればよいな、と思っております。

 そう。ハッとするような偶然を、です。


2017年1月17日(火曜日)A.K.I. (倫理B-BOY RECORDS / A.K.I.PRODUCTIONS)




  2017年8月13日日曜日に、神田TETOKAで、『A.K.I.PRODUCTIONSライヴ! A.K.I. Plays Buchla〜ラップとトークとエレクトロニクス Vol.4』が行なわれます。
 詳細は、こちら http://tetoka.jp/archives/4568 





【関連URL】
「スペースシャワーミュージック」のA.K.I.PRODUCTIONSのwebページは、こちらになります。



*尚、次回のA.K.I.PRODUCTIONSのライヴは、まだ未定ですが、4月以降を予定しております。神田TETOKAでのライヴシリーズ『A.K.I. Plays Buchla〜ラップとトークとエレクトロニクス』及び『トランスクリティカルHIP HOPショー』の告知は、当ブログと、Twitterアカウント「倫理B-BOY info」、若しくは、TETOKAのTwitter、FB、HPのみですので、確実に情報を得たい方は、以下のアカウントのフォロー or チェックを御願い致します!
https://twitter.com/RINRIBBOY1

⬇︎これまでの『A.K.I. Plays Buchla〜ラップとトークとエレクトロニクス』、そして『トランスクリティカルHIP HOPショー』は、こちらから。

2016年11月20日(日)『A.K.I. Plays Buchla〜ラップとトークとエレクトロニクス Vol.2』

2016年6月12日(日)『A.K.I. Plays Buchla〜ラップとトークとエレクトロニクス Vol.1』 

2016年2月7日(日)『トランスクリティカルHIP HOPショーVol.3 〜 ハートビートにサリエンシー。そして、未発表アルバム“SISTER”公開』

2014年12月20日(土)『トランスクリティカルHIP HOPショー Vol.2 〜 SISTER』

2014年4月27日(日)『トランスクリティカルHIP HOPショー Vol.1〜 ポップカルチャーの新しいバランス』
http://tetoka.jp/archives/911


http://blog.livedoor.jp/a_k_i_productions/archives/52367016.html 

自ら問いを立て、自らそれに挑み、その答えがまた問いを生むことに繋がる、いくつかの文章 。/ A.K.I.
 
クリスマスの夜に。あるいは、Buchla Music Easelを使っていくうちに。/ A.K.I.

“「お前も今日から大衆だ」の詞”と“日本語ラップ”と“広義のHIP HOP”。そして、柄谷行人さんの著作の数々。/ A.K.I.

マクルーハンとガキさん2016。ガキさんのバースデーをきっかけに。あるいは、ブックラに向かうために。/ A.K.I.
http://blog.livedoor.jp/a_k_i_productions/archives/52475415.html