前回まででGTO 的なアプローチの重要性について述べてきましたが、読者の方から
「GTOが大事なのは分かったんですけど、実際問題どうやって身につければいいんですか」
という内容の質問をいただきました。

確かに、Snowie のアドバイスなどはバランスの取れたプレーの参考にはなりますが、GTOの原理原則が分かっていないと、いくら個々の「正解」を暗記してもシチュエーションがちょっと変わってしまうと応用が効かなくなってしまいます。
理想は、ベースとなる「最適な頻度」がどれくらいか把握した上で個々の場面で自ら答えが出せるようになりたいというわけです。

今回は、実際にどうやってバランスの取れたレンジを構築するのかを例を使って解説します。


基準となる頻度

まずは各アクションのおおまかなあるべき頻度について知っておく必要があります。
これは元をたどればベットをした際のポットオッズによって決定されるのですが、詳しい説明は今回は割愛させてください。

ここでは現実に則した値として相手のベットに対して、ハンドレンジの70%でディフェンドすることにします。
ディフェンドすると言った場合、コールだけでなくレイズも含まれます。
要は、相手につけこまれないために30%以上フォールドしないことが肝心なのです。

実際はボードテクスチャやベットの額によってどのくらいディフェンドするべきかは
もちろん変わってくるのですが、それらは今回は便宜的に考慮しません。

原則 : 各ストリートでハンドレンジの70%でディフェンドする


ハンドの選び方


では実際に次のシチュエーションでどのハンドでディフェンドするべきかを考えていきます。

Blind: $2/5

ミドルボジションから$15 のレイズ、 ボタン K♦J♦でコール。

Flop: T♦️7♠2♣

$37 のポットに MPは$30 のベット。
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まず、ここでの自分のプリフロップでのコールレンジを設定しておきましょう。
AA-QQ、AK は便宜的に全てバリューの3-bet に回します。
その他にライト目の3-bet ハンドとして A5s-A4s、76s-54s、AJo、KQo を選択します。
それらを除いたコールレンジは、

JJ-22、AQs-A6s、KQs-KTs、QJs-87s、QTs-64s、Q9s、AQo

となります。これらは全体のハンドの12.7%で168通りのコンビネーションが存在します。

Screenshot_2016-12-02-04-24-16
ここで ハンドレンジの内70%でディフェンドしたいので、168 × 0.7 ≒ 118 コンボ をピックアップします。

まずは、明らかなバリューのあるハンドとして

JJ-TT、77、22、ATs、A7s、KTs、JTs-87s、QTs-97s、75s

これで46コンボです。もしこれらのハンドでしかディフェンドしなかった場合、実に72%もの頻度でフォールドすることになります。当然、降りすぎです。

次点として、ミディアムペア、強いAハイ、ガットショットを追加します。

99-88、AKs-AJs、J9s、86s、AQo

これらが44コンボ。あと28コンボ必要です。
さらにバックドアのあるハイカードや小さなペアを付け加えましょう。
こういったハンドはほとんどショウダウンバリューが無いので、フロートやブラフレイズとして用いることになります。

最終的なディフェンスレンジは以下の通りになりました。

JJ-66、22
AQs-ATs、A7s、KTs、QJs-87s、QTs-75s
(♥以外の) A9s-A8s、A6s、KQs-KJs、Q9s
AQo
118コンビネーション

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さて、実際にはあなたは ここで K♦️J♦ を持っていましたから、このフロップでMPのCBにフォールドすべきではないということが分かりました。

以上が、頻度の観点から考えたレンジの構築プロセスの一例でした。
様々なボードでどういったハンドでディフェンドするのかを普段から地道に詰めていくことで、いざテーブル上で似たシチュエーションに遭遇した際、迷いなく意思決定ができるようになるのです。




《注1 》
今回の内容は Ed Miller の 『Poker´s 1%』で取り上げられている例を参照しました。
少し広くディフェンドしすぎているきらいがありますが、そもそものプリフロップのコールレンジの設定が広すぎるので、そこを修正すればかなり実感に沿った結果になるのではないかと思います。

《注2 》
ハンドコンビネーションの数え方は覚えておくと便利です。
・ポケットペア 6通り
・スーテッド    4通り
・オフスート  12通り


例: AA-TT、AKs-AJs、AKo → 6×5+4×3+12 = 54コンボ