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株式銘柄分析

さくらインターネットの株価分析

aac42094.jpgさくらインターネットは、サーバのレンタルとホスティングをしているインフラ会社です。主要顧客は、mixi、gree(当時) 、ニコニコ動画、サイバーエージェント、はてな等々。インターネット黎明期からの実績と、回線容量と比較したコストパフォーマンスの良さ、発電設備、自社でのプリント基板も活用したサーバ設計が強みです。今回注目した理由は、安定した収益が望めるインフラ企業でありながらPER5.49と超割安である点です。2009年9月20日現在の株価は43,900円、時価総額19億円です。

まずはキャッシュフローを見ます。平成21年3月期決算短信から、純利益3億で、営業キャッシュフローは10億であることが分かります。投資キャッシュフローは-7億なので、純粋に事業だけを見ると十分キャッシュが回っています。しかし財務キャッシュフローが-8億と極めて大きく、財務が不安定であることが予想されます。これが低PERである理由でしょう。では、バランスシートを見ていきます。平成22年第一四半期報告書から、主要な項目を引用します。

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現金:9億
売掛:2.4億
固定資産:32億
    :内、敷金3.6億
    :内、設備12億
    :内、建物11億

負債:34億
  :内、前受け12億
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うーん、かなり不安定です。設備と建物を50%に割り引いて計算し、前受けの50%を返済するケースを想定してみます。

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現金:9億
売掛:2.4億
敷金:3.6億
固定資産:11億(50%割引)
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資産合計:26億
負債合計:28億(前受け50%控除済み)
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ということでマイナス2億です。最悪の場合、債務超過に陥るリスクがあります。オンラインゲーム事業の失敗は大きな影を落としたということなのでしょう。ただ、6億円の大赤字だった平成20年3月期も営業キャッシュフローは3億円と安定してプラスでした。何だかんだいってもインフラ事業。いきなり売り上げが50%になるゲーム会社とは違い、大幅減はありえません。サーバの移転はドメインの移行や、サーバの移設、データの移動等、膨大な作業が発生するのでなかなか乗り換えられません。個人向けでも、アダルトコンテンツを許可しているレンタルサーバはさくらぐらいなので、同人サークルの流出は無いでしょう。大株主は双日で、潰しても銀行にメリットは無いので、キャッシュが回っている限り貸し剥がしも無いといえます。

平成22年第1四半期のキャッシュフローは
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営業キャッシュフロー:4億8500万
投資キャッシュフロー:2億2000万
財務キャッシュフロー:1億6200万(内借入金の返済7500万)
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と、キャッシュは回り始めています。

後一年待てば、資産が増え、負債が減り、財務が安定します。五年持てば株価は数倍。それなりのリスクを把握した上で、適切な株数であれば、かなりお買い得だといえると思います。銀行から資金を借りて不動産を買うのと同じような安定性で、不動産の場合は10年での回収が一つの目安ですが、さくらインターネットは6年での回収です。結構勝率の高い勝負な気がしますがどうでしょうか。僕は総資産の10%以下程度で、少し突っ込んでみたいと思います。

アミューズメント施設関連事業を切り離したアトラスは買いか

36cbf7a1.jpgアトラスがアミューズメント施設関連事業の分社化と新設会社の株式の譲渡を発表しました。アトラスは今後、コンシューマゲームとオンラインゲームに注力するようです。

何より驚いたのは、新設会社株式(86%)の譲渡金額が44億円と高額な点です。2009/9/17のアトラスの株価は529円、時価総額74.15億、PBR0.83倍です。平成21年7月期決算短信のバランスシートと新設会社の資産内容を照らし合わせると、この譲渡によってアトラスの財務体質が驚くほどよくなることが分かります。

現在のバランスシートをざっくりとまとめます。
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現金 26億 | 負債 49億
売掛 17億
仕掛品 11億
有形固定資産 29億
敷金 27億
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細かな部分を拾っていないため、株主資本92億に対して60億と差が出ています。これは個人的に”のれん/投資有価証券/前払い費用/その他”を信用しておらず、除外したためです。除外するべく項目の中でも、大きな金額となっているものは残しました。具体的に、仕掛品と有形固定資産です。仕掛品はゲームソフトの開発費であり、販売本数次第でどれだけ減損されてもおかしくないです。有形固定資産は過去に投資したお金を表しているだけです。従ってこのバランスシートを次のように読み換えます。

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現金 26億 | 負債 49億
売掛 17億
敷金 27億
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実質資産価値は20億程度。貴重なキャッシュは敷金に取られてしまっているため、敷金を担保に負債で資金を調達していることになります。金利負担が重いながらも20億程度は自由度があるため、比較的、健全に経営をしていけるレベルだと思います。ただ、時価総額74.15億が妥当かというと、赤字が続いていることを考えると少し高い気がします。

ここまでが今までの分析だったのですが、今回、有形固定資産が凄い価格で売れてしまいました。これでバランスシートが一変します。新設会社のバランスシートを次に示します。

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流動資産3億 | 負債6億
固定資産48億
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これが52億で売れたため、アトラスには株式86%の譲渡金、44億が入ります。
これによりアトラス本体のバランスシートは次のように変化します。

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現金 23億 | 負債 43億
売掛 17億
株式売却収入 44億
仕掛品 11億
有形固定資産 8億
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有形固定資産と仕掛品を除いて負債を全て返済すると、

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現金 24億
売掛 17億
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実質資産価値は41億に跳ね上がります。そして無借金。金利負担はありません。アトラスは国内で21万本売れるペルソナ、世界樹の迷宮/ペルソナ音楽CD等のIP、優秀なキャラクターデザイナーとコンポーザ等のスタッフを保有しています。時価総額74.15億から実質資産価値41億を割り引けば、ものすごく安いというわけではありませんが、実に妥当な範囲です。4月の株価350円で時価総額49億であれば、ほぼノーリスクになります。

具体的に買いかどうかというと、今の529円という水準ではゲーム会社としてニュートラル、400円あたりであれば盛大に買い推奨というところでしょうか。

新納さんがイメージエポックに移ってしまったのはちょっと引っかかりますが、これだけ財務が安定して、リソースをコンシューマに集中していけば、今後も十分生き残れる会社になりそうです。経営不安はもう無いと言えるでしょう。大変な状態のマーベラスと比べると全然大丈夫!!です。
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abars

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かつてエンターブレインのTECH Win誌でATULADOを連載しました。

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