弁護士 阿部 鋼

 本法は、事業承継を円滑に進めるために①民法の遺留分制度に特例を設け、②経済的支

援措置を設けることに特色があります。                                                 

 もっとも、本法は、あらゆる中小企業を対象とするものではなく、規模の制約が定めら

れています。

 例えば、サービス業(例外有)では、「資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の

会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人」とされています。


 
民法の遺留分制度の特例

 本法は、さらに「特例中小企業者」と呼ばれる中小企業者に限定して、民法の遺留分制

度の特例の適用を認めます。

 具体的には、オーナー創業者(旧代表者)の推定相続人(候補者)が、そのうちの1人が後継者である場合に、その全員の合意をもって、書面によって、株式等を遺留分算定の基礎財産に算入せず、したがって、遺留分減殺請求権の対象としないということ、株式等の資産評価額を合意時に固定すること等を認めています。


 
経済的支援措置

 例えば、創業者オーナーにアクシデントがあり、後継者がオーナーの所有資産の取得に

多額の資金を要するために事業承継が困難となっている場合など、事業を承継するにあた

り多額の費用が必要となる場合があります。

 本法は、経済産業大臣の認定を受ければ、①中小企業信用保険法の特例、②株式会社日本政策金融公庫の特例の支援策を準備しています。

                                     以 上