共同執筆
取引の相手方の財産調査を必要とする局面は多くある。
例えば、①これから、新たに取引を開始しようとする相手方の財産について調査したい場合、逆に②取引の相手方が債務不履行に陥り、訴訟等を通じて債務名義を取得した債権者が債務者に対して強制執行を行いたい場合等が考えられる。
しかし、例えば、銀行預金残高の把握などはプライバシー侵害を伴い、困難であることが多く、②に関連していえば、民事執行法の改正によって財産開示が定められたが、債務者が協力しない場合などの支障に課題は残る。
本稿では、財産調査の1つとして、「共同担保目録」の利用を紹介する。
共同抵当権や共同根抵当権を設定する場合、登記記録上、当該抵当権が対象とする不動産を公示するため「共同担保目録」が作成され、【権利者その他の事項】の欄に「共同担保目録」の記号番号が記載される。
そのため1つの不動産の登記記録上、そこに「共同担保目録」が作成されていれば、それを調査することで、共同担保下にある別の不動産の存在を把握することが可能となる。そして、把握した別の不動産を調査することで、さらなる財産の存在を調査することができるかもしれない。
不動産の財産調査にあたっては、「共同担保目録」の調査を忘れてはならない
(本稿については、伊波喜一郎「担保調査の必須知識 不動産登記簿の基本Q&A」バンクビジネス2011年2月15日60頁以下を参考文献とした。)
以上