弁護士 阿部 鋼

最判平成21年1月19日第二小法廷判決は、建物の賃貸人の債務不履行(賃借物件である店舗に水漏れ事故が起きたことに係る修繕義務の不履行)に基づいて賃借人が賃貸人に対して損害賠償を請求する場合において、賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った営業利益相当の損害のすべてが、民法416条1項にいう「通常生ずべき損害」に当たるということはできないとした。これを、最高裁判例は、「条理」、つまり「物事の筋道」から根拠付けた。