2009年03月12日
ダウンロード違法化とは何か?(第2回) ネット時代に法律がようやく追いついてきた。
閣議決定されたので、
改正著作権法は近日中に公布されると思う。
解散総選挙がなければ、だけど(笑)
スケジュール通りにいけば、
来年1月には施行される予定だね。
注目されているのは、
私的複製の範囲を定めた著作権法第30条だろう。
詳細は下記に。
改正著作権法は近日中に公布されると思う。
解散総選挙がなければ、だけど(笑)
スケジュール通りにいけば、
来年1月には施行される予定だね。
注目されているのは、
私的複製の範囲を定めた著作権法第30条だろう。
詳細は下記に。
著作権法は長いので引用することはやめておくけど、
とりあえず一回くらいはみんな目を通しておいた方がいいかもね。
E-Gov.go.jpに全文があがってるけど、注目して欲しいのは、その第30条1項だ。
著作権法では、そのコピーには
著作権者の許可が原則として必要としているけど、
その例外規定として私的使用のためのコピー(私的複製)
だけは特別に許可を必要とせず、これを認容している。
ユーザーは著作権者のOKをわざわざ取らなくても、
個人で楽しむためにテレビの番組を録画したり、
CDからお気に入りの曲を携帯プレーヤーにコピーしたりできるという権利のことだね。
だけどその例外規定の中に、さらに例外として
「これこれの場合は私的複製もダメ」
と規定されている。例外の例外だね。
この私的複製に関する例外規定と、例外の例外を定めている第30条は、過去に何度か改正されていたりする。簡単にその経緯をまとめてみるとこうだ。
1970年 著作権法成立
30条で、私的複製であればほぼ何でもOKとなっていた。
1992年 自動複製機を使ったコピーはダメになる
オーディオテープの高速ダビング機械などを設置した店舗の排斥が目的。→30条1項1号として付加
1999年 プロテクトを解除したコピーもダメになる
コピーガードを外してコピーするいわゆる「コピーツール」の排斥が目的。→2号として付加
2009年 違法コピーファイルのコピーもダメになる
違法サイトや、違法ファイルをダウンロードできるファイル交換ソフトの排斥が目的。→3号として付加(予定)
改正とともに、1号、2号と文書が増えていくのが特徴だね。
さて、今回の改正案は「違法ファイルのダウンロードも違法」であるけれど、それはこの第30条に、
よく読むと、カッコ内には「国外で行われる自動公衆送信」と記載されている。
要するに、国外のサーバーあるいはクライアントにある(日本国内では違法となる)著作物を、国内でダウンロードしてもアウトということらしい。
インターネットには国境がないので当たり前の文言ともいえるけど、異なる法令が支配する国のサーバーに、違法ファイルがある場合はどうなるんだろうか。
身近な米国でも、例えば米国内で合法の著作物であっても、日本国内では違法になる可能性はあるだろう。
じゃあ、それをダウンロードしたらどうなるんだろう?(笑)
まあ、僕の突っ込みは重箱の隅だけど、ダウンロード違法化に対しては、ネット利用を萎縮させるのではないかという懸念もあったみたい(文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理などを読むと)。
個人的な感想を述べれば、そんなことは何の問題もない。
なぜなら上記3号文書は、単に著作権法の立法主旨を明確にしただけに過ぎないと思っているからなんだ。
逆にこの条文では何の効果も無いのでは?という人もいる。
刑事罰がなければ何をしてもいいというモラルハザードが、
世間に蔓延していると考えているのかもしれない。
でも僕の懸念は全然別のところにあって、努力規定とも言えるルールを、なぜあえて明文化したのかということだったりする。
要するにデジタルコンテンツ市場が、それだけ深刻な状況にあるということなんだ。
これでも事態がまるで改善されなかった場合は、どうなるのだろうか。
どういったことが社会に起きると思う?
いつだったか、とある損害賠償訴訟で敗訴した人が「俺は賠償金を払うつもりはない」と、新聞にコメントしたことがあった。払わなくてもお咎め無しだから(払えるけど)払わない、と、判決があった当日(!)に言っていた。
多くの人が同じことを主張し始めたらどうなるだろうか。払う払わないは本人の自由意思かもしれないけど、こういう主張が蔓延すると、被害者が被害を受けっぱなしになってしまうだろう。
そうすると誰かが被害者を救済しなくちゃならなくなる。
でも債務者は支払うつもりがない。
財産を隠されたら強制執行はできない。
当事者以外は無関係。
となると国家が救済するしかなくなる。
民事(国民の私的なテリトリー)に、国家権力がどんどん介入してくることになるんじゃないだろうか。
そのうち債務不履行の刑罰化が立法されるかもしれない。
それと同じことを、改正著作権法でも感じた。
そのうち罰則がいつのまにか付加されそうな気配がする。
とは言うものの、アクティベーションの認証回数や、修正プログラムのダウンロード数が、パッケージ出荷本数と一桁違っていたりすると、物凄い勢いで中古品が回転している(笑)という可能性を除外するなら、もう仕方がないのかと思うときもある。
僕は夜警国家を持論としているから
刑事罰やら法規制があまりに出しゃばるのが正しい社会とは思わない。
うまく言えないけど、どんどん管理社会、規制社会が進む気がする。
けれど、規制することで得られる社会利益と不利益、
この両者を比較した場合、恐らく現状では前者の方が圧倒的に重いと考えられているんだろね。
変な方向に突っ走っていかなきゃいいのだけど。
妃路雪≠卿
ダウンロード違法化とは何か?(第1回)
ダウンロード違法化とは何か?(第3回)
とりあえず一回くらいはみんな目を通しておいた方がいいかもね。
E-Gov.go.jpに全文があがってるけど、注目して欲しいのは、その第30条1項だ。
著作権法では、そのコピーには
著作権者の許可が原則として必要としているけど、
その例外規定として私的使用のためのコピー(私的複製)
だけは特別に許可を必要とせず、これを認容している。
ユーザーは著作権者のOKをわざわざ取らなくても、
個人で楽しむためにテレビの番組を録画したり、
CDからお気に入りの曲を携帯プレーヤーにコピーしたりできるという権利のことだね。
だけどその例外規定の中に、さらに例外として
「これこれの場合は私的複製もダメ」
と規定されている。例外の例外だね。
この私的複製に関する例外規定と、例外の例外を定めている第30条は、過去に何度か改正されていたりする。簡単にその経緯をまとめてみるとこうだ。
1970年 著作権法成立
30条で、私的複製であればほぼ何でもOKとなっていた。
1992年 自動複製機を使ったコピーはダメになる
オーディオテープの高速ダビング機械などを設置した店舗の排斥が目的。→30条1項1号として付加
1999年 プロテクトを解除したコピーもダメになる
コピーガードを外してコピーするいわゆる「コピーツール」の排斥が目的。→2号として付加
2009年 違法コピーファイルのコピーもダメになる
違法サイトや、違法ファイルをダウンロードできるファイル交換ソフトの排斥が目的。→3号として付加(予定)
改正とともに、1号、2号と文書が増えていくのが特徴だね。
さて、今回の改正案は「違法ファイルのダウンロードも違法」であるけれど、それはこの第30条に、
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合という3号文書を付加することで実現させようとしている。
よく読むと、カッコ内には「国外で行われる自動公衆送信」と記載されている。
要するに、国外のサーバーあるいはクライアントにある(日本国内では違法となる)著作物を、国内でダウンロードしてもアウトということらしい。
インターネットには国境がないので当たり前の文言ともいえるけど、異なる法令が支配する国のサーバーに、違法ファイルがある場合はどうなるんだろうか。
身近な米国でも、例えば米国内で合法の著作物であっても、日本国内では違法になる可能性はあるだろう。
じゃあ、それをダウンロードしたらどうなるんだろう?(笑)
まあ、僕の突っ込みは重箱の隅だけど、ダウンロード違法化に対しては、ネット利用を萎縮させるのではないかという懸念もあったみたい(文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理などを読むと)。
個人的な感想を述べれば、そんなことは何の問題もない。
なぜなら上記3号文書は、単に著作権法の立法主旨を明確にしただけに過ぎないと思っているからなんだ。
逆にこの条文では何の効果も無いのでは?という人もいる。
刑事罰がなければ何をしてもいいというモラルハザードが、
世間に蔓延していると考えているのかもしれない。
でも僕の懸念は全然別のところにあって、努力規定とも言えるルールを、なぜあえて明文化したのかということだったりする。
要するにデジタルコンテンツ市場が、それだけ深刻な状況にあるということなんだ。
これでも事態がまるで改善されなかった場合は、どうなるのだろうか。
どういったことが社会に起きると思う?
いつだったか、とある損害賠償訴訟で敗訴した人が「俺は賠償金を払うつもりはない」と、新聞にコメントしたことがあった。払わなくてもお咎め無しだから(払えるけど)払わない、と、判決があった当日(!)に言っていた。
多くの人が同じことを主張し始めたらどうなるだろうか。払う払わないは本人の自由意思かもしれないけど、こういう主張が蔓延すると、被害者が被害を受けっぱなしになってしまうだろう。
そうすると誰かが被害者を救済しなくちゃならなくなる。
でも債務者は支払うつもりがない。
財産を隠されたら強制執行はできない。
当事者以外は無関係。
となると国家が救済するしかなくなる。
民事(国民の私的なテリトリー)に、国家権力がどんどん介入してくることになるんじゃないだろうか。
そのうち債務不履行の刑罰化が立法されるかもしれない。
それと同じことを、改正著作権法でも感じた。
そのうち罰則がいつのまにか付加されそうな気配がする。
とは言うものの、アクティベーションの認証回数や、修正プログラムのダウンロード数が、パッケージ出荷本数と一桁違っていたりすると、物凄い勢いで中古品が回転している(笑)という可能性を除外するなら、もう仕方がないのかと思うときもある。
僕は夜警国家を持論としているから
刑事罰やら法規制があまりに出しゃばるのが正しい社会とは思わない。
うまく言えないけど、どんどん管理社会、規制社会が進む気がする。
けれど、規制することで得られる社会利益と不利益、
この両者を比較した場合、恐らく現状では前者の方が圧倒的に重いと考えられているんだろね。
変な方向に突っ走っていかなきゃいいのだけど。
妃路雪≠卿
ダウンロード違法化とは何か?(第1回)
ダウンロード違法化とは何か?(第3回)