中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

米兵のシリア国境への展開(イラク)

イラク、シリア、ヨルダン国境方面では、シリア政府軍・シーア派民兵対米軍の間の緊張が高まっていることは何度か報告したところですが、al jazeera net は、米兵がイラクのアンバール県の国境に近いal ratbaの南に展開したと報じています。

記事によると、部族民兵(ということはスンニ派でしょう)の現地司令官が、多数の車両を有する米兵が、部族民兵とともにal ratbaの南の砂漠地帯に展開したと確認したとのことです。
部族民兵によれば、この周辺にはいまだISも存在するので、米兵等は攻撃機やヘリの援護の下で、アンバールの西のアサド基地から国境地帯に到達した由。
(その数等は不明)

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/6/24/قوات-أميركية-تنتشر-غربي-الأنبار
米国は以前から、シリア政府軍と革命防衛隊がシリア側から、シーア派民兵がイラク側から国境地帯を制圧し、イランのためのイランーイラクーシリアーレバノン回廊を砂漠地帯に開くことを警戒し、警告してきたので、今回の動きはISの動きに対するもの(付近のal baghdadi地域では23日も自爆攻撃があり、多数が死傷した由)と同時に、このようなイランの動きにも対処するものかと思われます。
















イスラエル・サウディの接近(アラビア語紙ネットの記事)

これまでもイスラエルとサウディの接近のニュースが時々見受けらたるところ、特にトランプの両国訪問以降、そのニュースが増えていて、トランプが義理の息子をイスラエルに送り、中東和平ともに、両国間の関係増進を狙っているとの報道もあるように見られます。

この問題に関し、al qods al arabi net はイスラエルの多くのメディア等が新皇太子の就任を歓迎し、特にエディオノット・アハロノットは最近、同皇太子がイスラエル関係者と秘密裏に何度か会談していると報じていると伝えています。
記事の要点は次の通りですが、確かにパレスチナ問題を除けば、対イラン、シリア、イラク、特にヒズボッラー問題、対テロ問題等で、両国は共通の利害を有していて(もっとも、このことは今日始まったことではないが)、特にトランプの両国訪問が象徴するように、トランプ政権はこの関係を増進しようとしているとおもわれます。
何しろ、米国がサウディとの巨額の軍事協力に署名したことは、トランプにとっては重大な経済的利益であるが、これまでならば反対の大合唱をしたはずのイスラエルが、基本的には静かにしているのは、その辺の事情を物語っているともみられます。

「イスラエルの多くのメディアはサウディの新皇太子の就任を歓迎し、彼の就任はイスラエルとサウディの関係を増進させるであろうとの専門家の見方を伝えている。
またイスラエルの通信大臣も自分のネットで、彼の就任は両国の関係を強化し、経済関係でも積極的な効果をもたらし、トランプの下での和平の動きもあり、イスラエルを含む地域のすべての国にとって、楽観的な材料であるとした。
これはすべての主要イスラエル紙に共通の論調で、トクニエディオノットアhロノットは、情報機関筋の話として最近同皇太子が秘密裏に(場所とか日時は明かさずに)イスラエル政府筋と数回接触したと報じている。
記事は、サウディとイスラエルは共通の敵を有しているとしているが、同時に専門家の話として、皇太子はイスラエルの承認を急がないだろうが、彼のような青年が席になる地位に就くことは、物事を進める可能性が強く、対テロ闘争、イランの脅威に対する対応等で、地域の安定につながる戦略的協力が進む可能性が強いとしている。
他方、harets紙は、これまでもサウディとイスラエルはアカバ湾に面するエイラート(イスラエル領)で定期的に協議を行ってきていると報じている。
イスラエルの英字紙も、サウディ皇太子は、対テロ、イラク、シリア、イエメンにおけるイラン問題で、両国の共通の思考路線に乗せうる人物となるだろうとしている」

http://www.alquds.co.uk/?p=742480









イエメン情勢

イエメン情勢について、アラビア語メディアの24日報じるところ次の通りです。

いずれも政府軍やサウディ軍が、hothy連合軍を撃退したとか、占領地を拡大したとかのニュースですが、いずれもずいぶん前に政府軍等が制圧していたはずの地域で、それらの地域でさえhothy連合の反撃と再占領にさらされていたということは、圧倒的な火力(サウディ等の空軍力)にもかかわらず、イエメン政府軍が軍事的に勝利を収めつつあるという状況ではないことを物語っているような気がします。
昨日は米軍ドローンのアルカイダ幹部暗殺の報道を紹介しましたが、このままでいけば内戦の混乱に付け込んでのアルカイダ等の勢力拡大と、サウディが最も恐れているイランの勢力が、ますます拡大しそうです。
皇太子になった国防大臣とサルマン国王は、これからイエメン情勢にどう対処しようとしているのでしょうか?
ある意味ではサウディ軍も、、シリアやイラクでの米軍と同じく、自ら本格的な地上部隊を派遣せずに、弱体な現地部隊を航空機だけで支援しても、思うような戦果は上げられないことを実感しているのでしょうか?

・イエメン軍は、23日先日からの激しい戦闘で、マアレブ県の戦略的に重要な丘陵をhothy連合から奪取し、hothy軍の幹部を殺害したと発表した。
それによるとイエメン軍は一つの戦略高地を奪取し、もう一つの攻略も近いが、これらの高地はマアレブの西部のsarwaf郡の中心を見下ろす由
(マアレブというの地政学的にも石油資源という点からも重要な地域で、イエメン軍はアラブ連合の支援を受けてずいぶん前にこの地域を奪還したはずだったが、その後hothy連合が勢力を盛り返した模様で、このsarwafをとったり奪還したりしていたが、同じことがまた生じている。
ということは恐らくマアレブ全体に対する政府軍の支配力も必ずしも万全ではないということに見える)
・さらに南東のジャウフ県でも、23日双方の間で激し戦闘が生じて、双方に多くの死傷者が出た
この地域でもhothy連合の攻撃があり、それを政府軍等がf撃退したよし
(この地域も政府軍が制圧したことになって久しかったと記憶するが、hothy軍のほかに、昨日の報告の通りアルカイダの活動も活発)
・さらに、サウディ国境でも、23日朝から、ジャザーン方面で、サウディ軍はhothy連合の攻撃に対して、複数の作戦を展開して、彼らを撃退した
(これらの地域でも前から同様の戦闘が行われていて、絶対的な航空優勢のサウディ軍等が、国境地帯からhothy 連合軍を追い払えないのが不思議なところ
https://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2017/06/23/فيديو-عمليات-نوعية-للقوات-السعودية-على-مواقع-الحوثيين.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/6/23/الجيش-اليمني-يستعيد-مواقع-بمأرب-من-الحوثيين














モースル解放作戦

モースル解放作戦はISの激しい抵抗に会いつつも、徐々にしかし確実に包囲網を縮めている模様です。
攻撃の先頭に立っているのは、米軍の訓練した連邦警察軍で、彼らはl旧市街内で、東西に走る道路と南北に走る道路の交錯する箇所を攻撃目標としている由。
この目標が達成されたらISの残る抵抗ポケットは4か所に分断され、住民の避難路が確保できる由。
現在ISの制圧下にある住民数は10万人と推測され、その多くが児童で、その安否が気遣われている。
また連邦警察軍は北から攻撃してきたイラク軍ともつながり、双方の専門兵が地雷の除去を行っている由
また、ISが自らヌーリ・モスクを破壊したことは、イラク軍等にとって遺跡を破壊する心配なしに攻撃ができることとなり、攻撃は容易になったよし。
また有志連合も地上(おそらく航空機への誘導が主)と空中で支援している由
このような状況で、連保伊警察軍司令官は、モースルの奪還はラマダン休み中に宣言できるとみている由
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/06/23/معركة-الموصل-القوات-المشتركة-تتوغل-في-المدينة-القديمة.html












メッカでのテロ阻止(サウディ)

どうもまだ速報ベースのようで、必ずしも全容はよくわかりませんが、アラビア語メディアによればサウディ治安当局は23日朝、メッカのモスクを襲撃しようとしていたテロを未然に阻止した模様です。
これらの報道を合わせると、治安当局は23日、メッカの市内でテロリストが潜伏しているとの情報を得て、彼の要塞化した建物を包囲したところ、銃撃戦となり、彼は自爆し、巡礼者6名、警官5名が負傷した由。
そのほか、治安当局はメッカの2か所とジェッダの1か所で、テロを未然に防いだとのことですが、こちらのほうの詳細は不明です。
とりあえず
http://www.alquds.co.uk/?p=743071
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/6/23/الأمن-السعودي-يحاصر-مبنى-بمكة-ويقتل-مسلحا
https://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2017/06/23/الأمن-السعودي-يقتل-أحد-الإرهابيين-المطلوبين-في-مكة.html






IS指導者の後継者問題?

ISの指導者al baghdadi については、ロシア軍がその攻撃で死亡した可能性が高いと発表し、ロシア外務省もこの見方を表明していましたが、ロシアのテレファックス通信は改めて、ロシア軍の話として、彼が死亡したことは100%間違いない(どうも100%間違いない、などという表現を聞くと、我らが同盟国の大統領のことを思い出しますが!!)と報じた由です。
他方、有志連合軍報道官は、彼が死亡したという明確な証拠を有していないとして、留保する姿勢を示したとのことです。
ただし、彼も生きていようがいまいが、al baghdadiにシリア及びイラクの状況に影響を与える力はないとしている由。

確かにモースルから脱出した後、方々に逃げ隠れしていたal baghdadi にはもう情勢をお一句変える力は残っていないかもしれませんが、やはりそこはISという狂信的な集団で、中東を超えた影響力を有しているグループの指導者の動向は大きく注目されるところで、al arabiya net はすでにその後継者問題が持ち上がっていると報じています。
同ネットは、al baghdadi の確実な後継者とされるただ一人の人物はいないが、過激派に詳しい専門家の間では、彼の側近の2人の元イラク軍(サッダムフセインの軍隊)の将校が、最有力候補であるとみているとしています。
一人は、iyad obeidi で50歳代で、ISの国防大臣をしていた人物で、もう一人はaiyad jamili で40歳代でISの治安責任者をしていた由。
彼らはいずれも2003年(ブッシュのイラク戦争の年だが)にISに加盟したとされるがjamaliのほうは、一時イラク軍が殺害したと発表したが、確認されていない由。
記事はさらに、彼らはal baghdadiの側近のabu ali al anbari,abu umar al sishani ,abu muhammad al jaulaniの死後、最有力人物となったとしている。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/06/24/ضابطان-من-جيش-صدام-مرشحان-لخلافة-البغدادي.html
http://www.alquds.co.uk/?p=743053
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/06/23/التحالف-الدولي-لا-دليل-ملموس-على-مقتل-البغدادي.html 
この種の過激派グループでは指導者のカリスマ性が、組織の大きな力の源泉であることが大きく、例えばアルカイダではその創始者オサマ・ビン・ラーデンの指導力と影響力には絶大なものがあり、彼の死後その後釜に座った、アイマンザワヒリの指導下では、アルカイダ本体の活動が大幅に低下していることが指摘されています(その代わりといっては何ですが、「アラビア半島のアルカイダ」とか「マグレブイスラム諸国のアルカイダ」等周辺地域の派生組織が活発になって、むしろ有名になっている)。
ISの場合、al baghdadi の個人的カリスマ性がオサマビンラーデンと比べてどのくらい、大きな役割を果たしたのか不明ですが、いずれにせよ、ISでも指導者の後継問題が生じていることは間違いなさそうです。

コレラ禍の拡大の恐れ(イエメン)

イエメンでのコレラの蔓延については何度か書いてきましたが、al qods al arabi net とal arabiya net は、UNICEF(国連児童基金)が、23日報道関係者に対して、現在193、000めいと推定されている、イエメンのコレラ患者はこの8月末には30万ひとに達する可能性があると語ったと報じています。
これららますます暑くなる時ですから、その危惧が現実化しなければいいのですが、現在のところコレラでの死者は1265名とのことです。
とりあえず
http://www.alquds.co.uk/?p=742917
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/06/23/الكوليرا-قد-تتجاوز-300-ألف-إصابة-باليمن-خلال-3-شهور.html

アルカイダ指導者の暗殺(イエメン)

ほかの地域では、ISの陰に隠れている感じのあるアルカイダですが、イエメンでは米国は「アラビア半島のアルカイダ」がテロリストとして最大の脅威と考えていて、特にトランプが就任して以来アルカイダの幹部や戦闘員に対するドローンなどによる攻撃を強化しています。
al arabiya net とal jazeer net は、米国とイエメン政府がともに22日、イエメン南部のシャブワ(昔からアルカイダの勢力の強いところとして有名)で、この16日ドローンで同地域の指導者abu khitab al awlaki と戦闘員2名を殺害したと発表したと報じています。
米軍は、この男は民間人も対象とした多くのテロを計画、実行した極めて危険な人物であったとしている由
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/6/23/أميركا-تؤكد-مقتل-قيادي-بالقاعدة-في-غارة-باليمن
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/06/22/واشنطن-مقتل-زعيم-القاعدة-في-شبوة-بغارة-أميركية.html

イエメンでは米軍などによるアルカイダ要員に対する攻撃は、このところ盛んにおこなわれていますが、その割にはアルカイダも崩壊しつつあるという話を聞きません。
やはりイエメン内戦が収まらないことには、それを利用した彼ら過激派の影響も広まるのでしょう。
テロリストが相手であっても、空中からの攻撃で、彼らを制圧することは困難で、やはり地上軍や警察軍が制圧する必要があると思いますが、そのためにも内戦の終結が前提となるのでしょう。






シリア非戦闘地域の監視体制

先にロシアとイラン、トルコはシリアに非戦闘地域を設けることで合意しましたが、その監視兵員について、al qods al arabi net とhurryiet net は、概要次の通り報じています。

この監視メカニズムはさらに来月カザフスタンで開かれる和平会議で議論されるとのことですが、ロシアやトルコ等からかなりの兵員が停戦監視にシリアに入ることとなれば、情勢の鎮静化に大きく貢献すると思いますが、他方シリアの分割化が進むのではないかという感じもします。
ラッカ解放作戦も動いており、もしかすると7月にはイラクとともにシリアでも、状況が大きく変わる可能性が出てきた感じがします。

「トルコ大統領府の報道官は、現在シリアの非戦闘地域に関する監視機構、必要な兵力などに関する協議は進んでおり、7月初めにでもカザフスタンで開かれる和平会議で、議論されるであろうと語った。
報道官は、関連して、イドリブ地域ではロシアとトルコが主要な責任を持つ方向で考えられており、ダマスの周辺ではイランとロシアが、ダラアでは米国とヨルダンが責任を持つ方向で検討されていると語った。
また、ロシアは監視員にカザフスタンおよびキルギスタンをも含めることも検討しているとした
(ただし、この点については。al qods al arabi netの別の記事は、カザフスタンの外務省がそのような協議は行われておらず、国連からの授権なしでは、カザフスタンはPKOは派遣しないであろうと語ったと報じている)
http://www.alquds.co.uk/?p=742486
http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-russia-may-deploy-soldiers-to-syrias-idlib-for-monitoring-spokesperson.aspx?pageID=238&nID=114664&NewsCatID=510
http://www.alquds.co.uk/?p=742486

先ほどはサウディ等がカタールに対してトルコと協力しないように要求したことを報告しましたが、これで見ていると、トルコとロシアの親密な関係は今でも続いて入るようですね










カタール問題(サウディ等のカタールに対する要求)

米国やクウェイト、トルコ等の調停努力にもかかわらず、カタールとサウディ等との対立はますます先鋭になりつつある模様です。

al qods al arabi netとal arabiya net  は、クウェイトがカタールに対して、サウディ、UAE,バハレン、エジプトの次のような要求を伝えたが、この4国はこれら要求にカタールが10日以内に応えることを求めているとのことです。
   al jazeera 放送のこれらの国でも放送停止
   イランとの外交関係断絶
   カタール内のトルコ軍基地の閉鎖
   トルコとの協力停止
       テロ組織に対する支援の停止
   ブラックリストの乗せられた人物等との関係停止
(もっとも、al arabiya net は、要求は13項目で、イランとの関係は関係の低下…要するに大使の引き上げということか?…を要求しているとしている)
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/gulf/2017/06/23/أ-ب-الدول-المقاطعة-لقطر-تطلب-من-الدوحة-قطع-العلاقات-مع-إيران.html
http://www.alquds.co.uk/?p=742723
これらの項目のうち、テロ組織支援中止とかイランとの関係低減とかal jazeera の放送停止 とかは、これまでの彼らの発言からすると、ある意味では予期されたものではありますが、驚くのはトルコの基地はともかく、トルコとの協力停止の要求です。
おそらくこれは対エジプト政策(要するにムスリム同胞団政策)やリビア政策のことを指しているのかもしれませんが、米国にとって同盟国間の喧嘩として極めて厄介なことになったもんだと思います。
また、この要求をした4国にはエジプトも含まれていますが、カタールとの関係断絶または提言をしたほかの国々は入っていません。
その意味では湾岸以外では、エジプトの立場が突出している感じがしますが、エジプトはシリア問題ではかなり柔軟な方向へ行こうとしていたように思われ、意外感があります。
やはりサウディとUAEの金の力、またリビア政策というところで、同調せざるを得なかったものでしょうか?
いずれにせよ、サウディ等が公然とトルコに対する敵意をむき出したことにより、中東はどうも四分五烈の状況に陥りつつある感じがします。
これに対して、al jazeera net (カタール系)は、トルコ軍の第2陣が23日朝、カタールの軍事基地に到着したと報じています。
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/6/22/دفعة-ثانية-من-القوات-التركية-تصل-قطر



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