中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

アフリカ移民の悲劇(地中海)

最近欧米の報道ではイタリアの新政権の移民に対する強硬策の影響で、救出された移民(かっては難民と称されていたが、どうも最近は移民という表現が多く使われている模様)を載せた船が、行先が無くて翻弄されているという話でもちきりだが(少し前はイタリアが入港を拒否した船がはるばるスペインのバレンシアまで行ったが、現在1隻の入港を巡ってイタリアとマルタが争っている模様)、国連難民人権高等弁務官UNHCRによれば、リビア沖で舟艇が転覆したりして、溺死する移民の悲劇が増大しているとのことです。

これはal qods al arabi net がUNHCRの言として伝えるところで、この数日間でリビア沖(難民、移民船の出発場所)で220名もの移民が溺死した由。
UNHCRによると19日、転覆した舟艇に乗っていた10名のうち5名だけが救助された由
また同日130名が乗ったゴムボートが転覆し、70名が死亡した由
また別のボートでも50名が死亡した由
UNHCRは、増大する難民、移民の溺死に重大な懸念を表明して、国際社会が迅速に行動し、支援に当たるNGO等を支援するように呼びかけた由
https://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2018/06/21/الأمم-المتحدة-غرق-220-مهاجرا-خلال-أيام-قبالة-ليبيا.html
しかし、先ほど見たBBCニュースでもイタリアの強硬派の内相は意気軒昂で、NGO等が不法に移民をイタリアに入れる場合には法的措置もあり得ると発言していたが、EUではハンガリアの強硬な反移民法の成立、ドイツ内の移民に対する反感の増加等、むしろ状況はUNHCRの呼びかけとは逆の方向に向かっているように思われます。
いずれにしても、今後夏の季節を迎え、移民、難民問題は今年もEUにとっては頭の痛い問題となりそうです


ホデイダ情勢(イエメン)

ホデイダを巡る攻防はまだ激しく続いているようですが、米国もようやく最悪の事態回避のために、サウディやUAEに圧力をかけ始めた模様です。
アラビア語メディアから取りまとめ

・政府軍等が、ホデイダ空港を制圧したことは先に報告しましたが、サウディ、UAE軍は、モカからホデイダに至る海岸通りの掃討を進めるとともに、市の中心への攻撃は当面見合わせ、空港と合わせて、港の制圧を図っている模様。
これは市の中心への攻撃に伴う住民被害を極力避けるための由。

・(国連のイエメン特使がサナアでhothyグループ幹部と会談したことは先に報告済みで、彼はイエメン問題は、政治的解決しかない屯立場を繰り返したが、どうやらホデイダ港管理の国連への移管についても、打診した模様で)
hothyグループは、初めてホデイダ港の管理を国連委移管することに賛成するかもしれないと示唆した。但し、この問題は未だ検討中の段階の由

・米国の国務次官補は、国連やサウディ、UAE等との間で、ホデイダ問題の政治的解決について協議を続けているが、彼はロイター等に対して、サウディ軍やUAE軍がホデイダ市を攻撃し、住民に多数の損害が出ることは
受け入れがたいと語った由。
さらに彼は国連特使の提案を支持するとして、特に港の国連への移管を支持した模様。
ホデイダ港の管理が国連に移される場合には、港からの収入はイエメン中央銀行に振り込まれ、政府役人が国連職員と並んでその管理を監視することになろう由
http://www.alquds.co.uk/?p=959631
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/06/23/عملية-تمشيط-واسعة-في-الحديدة-لمنع-تسلل-الحوثيين.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/6/22/تحرك-أميركي-لاحتواء-أزمة-الحديدة

トルコのシリア政策の(部分的?)成功

トルコの北部シリア政策(クルド政策)についてhurryiet net は2の記事を載せているところ、それらの要点次の通り

・トルコ外相は21ひ、manbij に関する米との調整は円滑に進んでいて、YPGは7月4日に同地から撤退する予定であると語った。

・他方選挙遊説中のエルドアン大統領は、20日与党の大会で、al bab (トルコ軍等がISから奪還した都市)に、トルコの大学と協力して、応用科学の大学を設立する計画で、大学の授業は本年9月から始まると語った
(この大学の設立というのは事実であれば、今後ともトルコとしては北部シリアに影響力を確保していくという意思の表れでしょうか)
・エルドアンは同時に、北シリアの状況が落ち着いてきたこともあり、トルコ内に居たシリア難民のうち、20万人が既にシリアに帰還したと語った

http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-to-set-up-university-in-syrias-al-bab-as-200-000-refugees-returned-133585
http://www.hurriyetdailynews.com/ypg-to-withdraw-from-manbij-on-july-4-turkish-fm-133592









物価高騰と自由の束縛(エジプト)

21qpt777[1]エジプトの経済、人権状況に対する風刺画です。
右上の文字は「物価騰貴と自由の制限」とでも読むのでしょうか。その下に居るシーシ大統領がかチョークで物価騰貴を書いていて、そのグラフが人民の口を封じているという図式です。
http://www.alquds.co.uk/?p=959134

ガザ情勢

ガザ情勢はかなり鎮静化した所為か、アラビア語メディアにはざっと見たところ新しい報道はなさそうですが、y net news は、焼夷凧の起こした火災は21日も方々で生じているとして、今後このような状況が大きな紛争に発展する可能性は残っているとの分析を載せています。

・ガザからの焼夷凧、風船の飛来のために、西ネゲブ地方で、21日、15か所の森林火災が発生し、未だに燃えている。
この事件で死傷者はない
IDFは、イスラエル軍が凧を飛ばす若者に対して警告射撃をしたことを認めたが、それに関連する死傷者も居ない模様

・IDFは、現在のところ焼夷凧に対する対応を変更する意図はなく、またイスラエル側もパレスチナ側も、紛争を拡大させる意図は有していない。
しかし、ハマスが発表した18日の政策(イスラエルの攻撃に対しては、同規模の砲撃ロケット攻撃で対応するというもの)は、ある意味で状況も変えるものとも見られている。
ガザからの45発の砲弾、ロケット弾の大多数はハマスの発射したもので、これらは調整された射撃と見られている。
今後とも凧等の飛来が続き、IDFが空軍力で対応し、状況がエスカレートする場合には、本格的な紛争に至る恐れがある
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5293106,00.html
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5293327,00.html











シナイ半島のUAE部隊(米紙報道)

これは事実でしょうか?

最近UAE軍は、イエメン各地においてその活動を拡大、強化していますが、先ほど書いたリビア情勢でも、前からエジプトと並んでUAE空軍が介入してきたことは報じられています。
それに加えて、al qods al arabi net は米誌ニューヨーカーが、UAE軍がシナイ半島でイスラエル機の援護を受けて軍事的に介入していると伝えていると報じています。
UAEの人口から見ても、空軍だけの介入ならともかく、同国がこれほど広範な地域で軍事力(特に地上兵力)を展開し、活動できるとも中々考えにくいのですが、確か2〜3日前のアラブメディアは、これも米国筋の情報として、UAEは米国等の退役軍人(特に特殊部隊出身者)等を傭兵として大々的に雇用して、イエメン等に派遣していると報道していました。
確かに人口の少ない、同国が米特殊部隊出身者を傭兵として使う可能性は大いにありそうです(従来から湾岸諸国はアラブ系の人間を傭兵とすることは、将来クーデターを起こされる可能性があるために消極的とされてきており、その点米国人等であれば、その危険性は低いと思われる。また最近お戦闘は特殊部隊の出番をますます多くしている)
事実関係はともかく、取りあえずal qods al arabi netの記事の要点のみ次の通り

・米誌ニューヨーカーは、最近数年、イスラエルとUAE等湾岸の軍事協力は、シナイにまで広がったとして、特にUAE兵がイスラエルの空中援護の下で介入しているとしている。
・同誌は更に、アブダビ皇太子は、訓練とエジプト軍支援の為として、シナイ半島にUAE軍を展開したが、彼らは時には対IS軍事作戦にも参加しているとしている。
・ネタニアフは、アブダビとサウディの皇太子との軍事面での協力について、公表することを希望しているが、彼らの立場を害さないために彼等自身が公表することを望んでいる。
・しかし、これはイスラエルがシナイ半島に軍事介入しているという初めてのことではない。
これまでもny times とか外国報道は、シーシ大統領の同意も得て、イスラエル機がIS等の過激派攻撃に参加していることを報じてきている。
・報道は、エジプト軍の努力にもかかわらず、シナイ半島の過激派掃討は必ずしもうまくいってなく、イスラエルとしても隣接地の過激派に神経をとがらせ、軍事介入することになったもので、これまでドローン、攻撃ヘリ、空爆等100回以上の空爆を行っているとしている由
http://www.alquds.co.uk/?p=959274





























haftar軍の石油地帯再占領

アラビア語メディア(サウディ系も反サウディ系も)はいずれも、haftar将軍の部隊(流石にここでは、系統が表れて、リビア国軍と表現するところと、東部地域の軍と書くところもある)が、リビア石油地帯の中心の、シドラとラアスタアヌーラのつの町を再占領したと報じています。
これはhaftar軍の報道官が21日声明したところとのことです。
記事はいずれも、haftar軍はUAEのドローンの猛烈な支援(おそらくエジプトの最近完成したリビア国境に近い大規模空軍基地よりの飛来かと思われる)を得て、奪還に成功したが、その間空爆及び戦闘で、石油施設に大きな損害が出ていると報じています
なお、haftar軍と戦っていた、石油地帯警備隊は、激しい空爆を前に2の町から撤退したとのことです。
激しい戦闘と破壊のためにリビアの石油輸出は数日間停止していたとのことですがその後復旧したか否かは不明
取りあえず
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/6/21/كر-وفر-بالهلال-النفطي-بعد-إعلان-حفتر-الاجتياح-المقدس
https://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2018/06/21/الجيش-الليبي-يستعيد-ميناء-السدرة-ويتقدم-غرباً.html
http://www.alquds.co.uk/?p=959033

イエメン情勢(イランヘリ空母のアデン派遣等)

イエメン情勢関連の報道取りまとめたところ次の通り

・al qods al arabi net は、イランtsnim通信(アラビア文字からの訳、以下同じ)の伝えるところとして、イランはその第54艦隊のヘリ空母と駆逐艦をアデン湾に派遣したと報じている。
派遣されたのは、ヘリ空母kharek と駆逐艦siblan の2隻である。
(記事は、ホデイダの戦闘激化に伴い派遣されたとコメントしているが、艦隊の役割等については不明。それにしても、イラン海軍がイエメン内戦い介入するとは思われないものの、hothy軍の後ろ盾のイランの艦隊がイエメン方面へ出撃?するとは、何かきな臭い感じがしないでもありませんね)

・そのホデイダについては、政府軍等はホデイダ空港(民間用空港と軍事空港の2つの由)を占拠し、また対空防衛拠点をも占拠した由
・国連等によれば、これまでホデイダの住民5200名が避難した由

・他方サウディ系のal arabiya net は、政府軍とアラブ連合軍の共同作戦は、サアダ(イエメン北端の県で、hothyグループの本拠地)で、「毒蛇の首切断」作戦で、多くの戦略要地を占領していると報じている
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/06/21/التحالف-لواء-العروبة-يتقدم-في-قطع-رأس-الأفعى-بصعدة.html
http://www.alquds.co.uk/?p=959039










イラク総選挙(最高裁判所の判断)

イラクでは、この12日に行われた総選挙で、シーア派のグループの中でもサドル師のグループが第1党になったものの、彼のグループを含め議会で多数派を占めうる勢力がなく、各種グループの間での合従連衡が始まっていました。
然るに、今回の選挙から導入された電子装置による投票、票の計算にインチキがあったとの声が高まり、議会は投票用紙を再度手作業で数え直すことを決議し、政府や選挙管理委員会との対立が続いてきました。

この問題に関し、アラビア語メディはいずれも、イラク連邦最高裁判所が、集計を手作業で見直すとの議会の決議は憲法違反ではないとして、見直しを認める決定をしたと報じています。
http://www.alquds.co.uk/?p=958821
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2018/06/21/العراق-المحكمة-ترفض-إلغاء-نتائج-الانتخابات-.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/6/21/انتخابات-العراق-إعادة-العد-يدويا-واعتماد-نتائج-الخارج

これらの記事によると、最高裁はイラクの法律問題に関する最終判断機関とのことで、取りあえず法的には決着がついて、手作業による見直し作業が始まるのでしょうが(多くのメディアは、見直しの結果も、これまで発表されたところと基本的に大きな変わりはないだろうとしています)、先日はバグダッドの投票用紙保管所で火災が発生し(そういえば容疑者として警官や投票所の職員合わせて4名が逮捕されたはずですが、彼らに対する捜査の結果がどうなったか、全く報じられていないですね‼!)たり、今後実際に見直し作業が、何時からどのくらいスムースに行われるのか、注目されます









バハレン・イスラエル関係

矢張り火の無いところに煙は立たないということでしょうか?
al qods al arabi net は2の記事で、バハレンが湾岸で最初にイスラエルと外交関係を結ぶ国になるだろうというニュースと、この話を否定するバハレン外務省の談話をh紹介しています。

一つの記事では、バハレンで来週だったかに開かれるUNESCOの世界遺産会議に、イスラエル代表団がが出席するということと、バハレンの責任者が、バハレンが湾岸諸国で最初のイスラエルと外交関係を有する国になるだろうと語ったと報じています
もう一つの記事は、20日夕バハレン外務省が声明で、この話について、バハレンの如何なる責任者もこのような発言はしておらず、報道は事実無根で、中東に関するバハレンの立場に何ら変更はない(おそらくここはイスラエルとの復興はアラブ全体で、和平の進展に対応して行うという政策のことか?)と表明したとのことです
http://www.alquds.co.uk/?p=958789
http://www.alquds.co.uk/?p=958395
何しろ最近では、サウディ、UAE等のイスラエル遁接近ぶりが伝えられるだけに、バハレンもそのような方向を考えていることは十分予測されるところ、今回の騒ぎは、大方の反応を見るためのballon d'essaiであった可能性も強いかと思われます。









 
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