中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

テルアビブ近郊へのロケット弾着

どうもガザを巡っては21,22日は国境を挟み、IDF(イスラエル国防軍)の砲爆撃があり、23日にはネゲブの収容所でパレスチナ人がイスラエル看守を刺すという事件が生じて、緊張が高まっていましたが、アラビア語メディアやhaaretz net は、イスラエルTVが24日朝、ガザから飛来したロケットがテルアビブの東北の Mishmeretの民家に落下し、住民7名が負傷したと報じています。

現在のところ、犯行声明は出ていないが、IDFの情報筋は、ロケットはガザから発射され、約100卮行したが、これだけの射程のロケットを有するのはハマスとイスラムジハードだけであるとしている由。

また、IDFではこの時点で、テルアビブ方面へロケットが発射されるとは予測していなかったので、短距離地対空ミサイル対応のiron dome は稼働していなかった由。

他方、米国訪問中のネタニアフ首相は、IDF幹部と連絡を取りつつ、トランプ大統領との会談が済み次第(トランプはこの席でゴラン高地へのイスラエル主権を認める文書に署名する予定のはず)イスラエルに帰国するとして、ガザに対しては厳しい報復措置をとることになると語った由。

またイスラエルTVはハマス幹部が、イスラエルの報復に備え、身を隠し始めたと報じている由。

従来の米政府であれば、こういう場合には慎重に行動するように求めたと思うが、トランプは特別検察官の報告が彼と米政権とロシアとの間には共謀関係はなかったとしたことに高揚していることもあり、むしろ強硬な手段をとるように煽るのではないか?と気がかりです。

イラン・欧州関係(風刺画)

cartoon25-3-2019-new[1]最近では、イラン政府が欧州諸国の対応には失望したと表明したなどのニュースが、時々散発的に流れてくるだけですが、イラン・欧州関係に関する風刺画です。
ハメネイと思しき人物がTVカメラの前で、イラン・欧州関係と書かれたグラフを逆さにして示しています。
下がる一方の関係もさかさまにすれば上昇に見せられるということでしょうか?
https://aawsat.com/

欧米諸国のリビア渡航情報

朝方、英外務省が、モロッコに関してテロと誘拐の危険性があるとの、自国民に対する渡航情報を出したことを報告しましたが、今度はリビアです。

al sharq al awsat net は、米独政府が24、英政府が25日相次いで、リビアでは過激派の首都トリポリでのテロの危険性があり、外国人に対するテロ、誘拐事件の危険が高まっているとして、警戒するようにとの渡航情報を出したと報じています。

特に英政府はリビアへの渡航は慎み、リビア在留者は即刻出国するようにアドバイスした由。
(英国の場合、リビアとモロッコだけなのか、間に挟まれたアルジェリアはどうか、とか、米、独はモロッコについてはどうかとかの疑問はありますが、報道のまま)

それによると、リビアの情勢は極めて危うく、何時急激に悪化して、警告の時間的余裕もない可能性がある由。

また警告はリビアでは依然としてIS、アルカイダの活動が続いていてその他の民兵も活動しているとして、総ての空港が突然閉鎖されたり、主要道路が突然閉鎖される可能性があるとした由。

他方リビアの統一政府内務省も、設立が決まっていた緊急対応本部を24日から開設した由。

突然(でもないか?)北アフリカではIS等の過激派の蠢動の可能性が出てきたようですが、シリアのal baghuz の陥落と何らかの関連があるのか等不明ですが、取りあえず。

イスラエル牢獄での騒擾

これもハマスとイスラエルの関係悪化を物語っているのでしょうか?

アラビア語メディアとイスラエ・ルメディアは、いずれも24〜25日の夜間、ネゲブ砂漠にあるパレスチナ人の収容所で、囚人の一人(ハマスのメンバーの由)がイスラエル人看守2人を刺し、1名は重体となった(もう1名は軽傷の由)と報じています。

これに対して、イスラエル側は特殊部隊が突入して、催涙ガスや実弾等を使用して、鎮圧したが、パレスチナ人囚人16名が負傷し、うち3名は重体とのこと。

この事件に関し、haaretz net は、事はハマスが強硬姿勢を取り始めたことを示すとのイスラエル当局の見方をしましています
他方ハマスの方では、ハマスの囚人の状況に懸念を表明し、事件の責任はイスラエルにあるとしている由。

https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2019/03/25/-قصف-اسرائيلي-على-غزة-واصابة-أسرى-وسجّانين-في-النقب.html
https://www.aljazeera.net/news/politics/2019/3/24/طعن-سجانين-اقتحام-قوات-الاحتلال-معتقل-النقب-فلسطين
https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-hamas-prisoners-stab-two-israeli-prison-guards-amid-heightened-tensions-1.7047936

事件が一過性の突発的なものか、またパレスチナ人収容所という極めて厳重な警備が敷かれている(はずの)場所で、如何にして刃物を持ち込めたのか等不明なところがありますが、イスラエル収容所の中でのパレスチナ人収容者による看守攻撃事件などと言う、これまでほとんど聞かれなかった(これまでは収容所内での抗議は、ハンガーストなどが主流であったと思う)事件だけに、今後の影響が気になるので取り敢えず。

英外務省のモロッコ渡航情報

このところアルジェリアでは反体制抗議デモが拡大していますが、その隣国のモロッコで、アルジェリアの情勢とは直接関係ないと思いますが、英外務省が英国人に対して、モロッコへの渡航に慎重になるようにとの渡航情報を出したとのことです。

これは、al arabiya net が報じているところで、それによると英外務省は、シリア、イラクでのISの敗北に伴い、世界的に英国人に対する誘拐、テロの危険が増大しているが、モロッコでは昨年12月山岳地帯でトレッキング中の北欧女性2名が殺害された事件があったとしている由
(この事件は当初、セックスか金銭目当ての通常の刑事犯かと思われたら、犯人(複数)は過激派思想の持主であったとの報道があったが、その後報道もなく、真相は不明)。

何故モロッコが特定されたのか、それともほかの国に対しても、同様の警告が出ているのか、等の詳細は不明だが、取りあえず。

ISの欧州でのテロ計画

al baghuz ではISの最後の拠点も制圧され、シリア民主軍が「シリア、イラクでのカリフ国の最後の拠点が奪還された」と声明しましたが、今後のIS問題の一つとして、その帰還兵、休眠細胞の欧州におけるテロ活動であることは、各国の情報機関や治安機関が懸念しているところですが、al sharq al awsat net は英紙sunday times がal baghuz で見つかったISの書類によれば、彼らは欧州でテロや誘拐活動を計画していると報じています。

それによると、al baghuz で見つかった書類によれば、ISはシリアや欧州で、多くの自爆攻撃者を集め、武器を集め、テロ活動を行うことを計画している由。

それらの中には欧州作戦本部等のものもあり、ISとしては欧州等シリアから遠い地域に、喜んで自爆攻撃に参加する多数の人間がいるとしている由。

またISはこれらの活動のために、偵察や誘拐行動のための人員と車両を提供する用意があるとしている由。

イエメン情勢

イエメンでは先日もお伝えした通り、どうもストックホルム合意に基づく停戦は、益々過去のものとなりつつあり、激しい内戦に後戻りしつつあるように見えますが、取りあえず、アラビア語メイディアから・・・・
  • サウディ等アラブ連合空軍は23日、イエメン中部のal beidha のhothy軍集結地を空爆し、同地のhothy軍指導者を殺害し、その他複数の兵士や車両等を破壊した。
  • また22日夕には、サナアの複数基地を空爆した(このニュースは報告済み)が、その2ヵ所では格納してあったドローンを狙ったものだった由。サナア住民に対しては、これら基地には近づかないようにと警告された由。また22日夕にも、洞穴の中のドローン格納庫を空爆した由。アラブ連合空軍によると、これら攻撃は1月、2月にhothy軍のドローンの貯蔵庫、レーダー等の関連施設を狙った攻撃の一環で、hothy軍のドローンによる攻撃力を阻害するものの由。
  • イエメン政府国防相は22日、hothy軍が、その軍関係者外から、幹部をリクルートしているが、その多くがカート商人でテロリストであると非難した由。
(ここでカートが出てきたのは懐かしいが、カートとはイエメンからエチオピアやソマリアの一部で、消費される齢覚せい剤の一種で、イエメンではほぼ全員がこのカートを噛んでいる。なにしろhothy グループと言うのは、そもそもが正規軍ではなく、民兵だからそのもともとの出身は種々雑多で、カート商人が含まれていても、不思議はない)

アルジェリア情勢

アルジェリアでは、22日の金曜日には首都やその他で大規模な抗議デモがあったことはお伝えしましたが、その次の日の23日にも、多数の労働者の抗議デモの他、数千人の弁護士(数千名と言うのは多すぎる感じもするが報道のまま)の抗議デモがあった模様です。
いずれも平和的なデモで、官憲との衝突等はなかった模様です。

他方、反対諸政党は、公正・開発戦線党の事務所で会合を開き、現体制を拒否するとともに、今後の政治日程(工程表)についての共同声明を発した由。

また、彼らは軍に対して憲法上の義務に従うように求め、外相が欧州諸国を回っていることを非難し、外国の介入を拒否した由。

工程表としては、6月を限度とする暫定期間を設け、その間、現大統領府の権限を、大統領評議会とでも呼ぶ合議体に移行すること、そのメンバーは能力があり尊敬されていて清廉な人物から選ばれるが、彼らは大統領選挙には立候補できないこと、彼らはまた政府を組織し、中立独立の選挙管理組織と新選挙法を制定することになる由。

https://www.aljazeera.net/news/politics/2019/3/23/%D8%A7%D9%84%D8%AD%D8%B1%D8%A7%D9%83-%D8%A7%D9%84%D8%B4%D8%B9%D8%A8%D9%8A-%D8%A7%D9%84%D8%AC%D8%B2%D8%A7%D8%A6%D8%B1-%D8%A7%D9%84%D9%85%D8%B9%D8%A7%D8%B1%D8%B6%D8%A9-%D8%AE%D8%A7%D8%B1%D8%B7%D8%A9-%D8%B7%D8%B1%D9%8A%D9%82-%D9%85%D8%B8%D8%A7%D9%87%D8%B1%D8%A7%D8%AA-%D8%A8%D9%88%D8%AA%D9%81%D9%84%D9%8A%D9%82%D8%A9
https://www.alquds.co.uk/%d9%85%d8%a6%d8%a7%d8%aa-%d8%a7%d9%84%d9%85%d8%ad%d8%a7%d9%85%d9%8a%d9%86-%d8%a7%d9%84%d8%ac%d8%b2%d8%a7%d8%a6%d8%b1%d9%8a%d9%8a%d9%86-%d9%8a%d8%ad%d8%aa%d8%ac%d9%88%d9%86-%d9%85%d8%ac%d8%af%d8%af/

これまでのところ抗議や反対運動は基本的に平和的だったようですが、このような状況が長続きしないことはアラブの春の経験からも明らかで、遅かれ早かれ、現体制と反政府側で、今後の日程表等について合意ができなければ、軍が乗り出すとかまたぞろ剣呑な情勢になる可能性が強く、情勢が注目されます。

IS首領は何処に

ISのシリア東部の最後の拠点が陥落しましたが、昨日の記事でも書いた通り、今後のISの動向については多くの課題が残っているところ、その一つはISの首領と言うか指導者、al baghdadi (バグダディ)の行方です。

何しろ彼が残っていることには、また彼の周りに過激派が結集する可能性もあり、他方彼が死亡した場合には、殉教者として、これまた過激派を引き付ける可能性がありそうです。
いずれであれ、今後の彼の動向はIS、ひいては過激派の動きに影響しそうです。

現在のところ、彼がどうなったかについての確たる情報はなさそうですが、アラビア語メディアは、
  • 一つは、シリア人権網は、彼らの得た情報筋の情報によると、al baghdadi はal baghuz の地下壕に潜んでいると語った由。
  • もう一つのメディアは、al baghdadiは砂漠地帯の洞窟に潜んでいる可能性があるが、専門家によれば、彼が常に側に置くのは、彼の兄、運転手兼護衛、メッセンジャーの3名だけであるとしています。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2019/03/23/معلومات-استخباراتية-للمرصد-قادة-لداعش-في-أنفاق-الباغوز.html
https://www.alquds.co.uk/%d8%a3%d8%a8%d9%88-%d8%a8%d9%83%d8%b1-%d8%a7%d9%84%d8%a8%d8%ba%d8%af%d8%a7%d8%af%d9%8a-%d9%85%d9%86-%d9%85%d9%86%d8%a8%d8%b1-%d8%a7%d9%84%d8%ae%d9%84%d8%a7%d9%81%d8%a9-%d8%a5%d9%84%d9%89-%d9%83/

ゴラン高地問題とトルコ・リラの下落

為政者の発言一つがそこまで影響するものでしょうか?

al qods al arabi net は、トランプのゴラン高地へのイスラエル主権を認めるとのSNSでの発言に対して、エルドアン大統領が、この発言は新たな危機をもたらすものだと非難したことから、トルコ通貨が22日大幅に下落したと報じています。

記事によるとこの発言を受けて、22日09:53GMT(ロンドン時間)のトルコ・リラの相場は対ドルで、前日終値の5.4650から1.5%下落して、5.5475となったと報じています。

さらに al arabiya net は22日の終値では、対前日比5.22%の下落で、5.7500となったと、さらなる下落を報じています。
(但しこちらの方は一般的な米トルコ関係の悪化が背景として、特にエルドアンのゴラン高地発言の所為だとはしていない)

確かに、このところエルドアンはNZの銃乱射事件との関係で、イスラム嫌い問題で激しい発言をして、豪州政府やNZ政府と摩擦を起こしたり、米国等欧米諸国と問題を起こしていますが、来月のトルコ地方選挙が終われば少しは収まるのか、それともロシアのS400購入問題等もあり、矢張り構造的に米等との関係は今後とも緊張していくと見るべきなのか、気になるところです。
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