中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ロシア機の撃墜(ロシアのイスラエル非難)

ロシア機がラタキア沖合の海上で(シリア政府の対空砲で)撃墜されたらしいことは、既に報告済みですが、アラビア語メディア及びイスラエル・メディアは、いずれもロシアはこの事件にはイスラエルに責任があるとして、モスクワ駐在のイスラエル大使を招致して説明を要求したと報じています。
(ロシアも撃墜したのはシリアの防空部隊であることは受け入れている模様)

それによると、ロシア国防省のイスラエルに対する非難は2点で、一つはこのような攻撃を、ロシアに通告したのは実際に攻撃を行う1分前だったこと、もう一つは4機のイスラエル機がロシア機の近くを通ったので、シリア防空網が誤ってロシア機を標的にしたということで、イスラエルは重大な挑発行為を行ったということのようです。

またynet news によれば、ロシア国防相はイスラエル国防相に対して、事件に関しては、イスラエルにすべての責任があると非難したとのことです。

現在までのところイスラエル政府の反応は不明ですが(何しろ、そもそもイスラエル機がラタキアを攻撃した事実すら確認していないのだから)、haaretz netは、ロシアの抗議はそのメンツを保つための工作であるとコメントしています。

シリア上空での米等有志連合機、ロシア機、政府軍機が比較的狭い領域で入り乱れて活動していることは、事故や誤認識による事件の危険性が強いことは、前から指摘されてきたところで、これまではかろうじてそのような事故が起きなかっただけのことかもしれません。

但し、ロシア軍と米等有志連合、およびイスラエル軍は相互にそれぞれの活動を事前連絡している模様で、今回もロシア国防省によれば、攻撃の1分前に通告があったとのことです。
事実関係は勿論不明ですが(おそらく今回はイスラエルもかなり詳細な時系列を公表せざるを得なくなるかもしれない)、攻撃の1分前と言うのが事実ならば、確かに極めて挑発的な行為ですが、おそらくそんなことはなく、時間的には常識的な余裕をもって通告されたが、何らかの理由で現地の航空機にその辺が連絡されなかったというのが真相ではないかという気がしますが、勿論そのへんの事情は知る由もありません。

いずれにせよ、今後ロシアがこの問題をどのくらい国際化、深刻化するかが注目されるところでしょうか。

ホデイダ攻略戦の再開

アラビア語メディアはいずれも、サウディ等アラブ連合軍が政府軍を支援して、ホデイダ攻略戦を再開したと報じています。

それによると、アラブ連合軍は、海軍学校を含むホデイダの複数個所、特に要塞化された拠点を激しく空爆しているとのことで、政府軍等は、複数方面からホデイダの攻略を進めていて、またアラブ連合軍の海上部隊も攻撃に参加(艦砲射撃か?)している由。

一部の報道は、アラブ連合軍のホデイダ地域司令官が、今回の攻撃は前例のない激しいものだと語ったと報じています。

いずれにしても、ホデイダ攻略戦は確か7月に始められ、ホデイダ空港を占拠し、サナアとの道路も切断したと報じられて以来、ぱたりと報道が無くなるというイエメン内戦に相応しい?不思議な戦闘で(通常の戦闘では、特に絶対的な航空優勢を有している方が、空港等の戦略拠点を奪取したら、その勢いをかって、一気に攻略を進めるのが普通と思われる。2ヵ月も無為に過ごすことは、その間hothy軍の要塞化に時間を貸したようなもの!もしかしたら、報道とは違って、政府軍等の人的損失が非常に大きく、戦闘を続けられなかった可能性がある)、今回も「前例のない」激しい空爆で、、どのくらい攻略を進められるのか、疑問だが、報道のまま。

ロシア機の撃墜?(シリア)

朝方、ロシア機がラタキア上空でロシア基地との通信が途絶えた、とのロシア軍の発表をお伝えしましたが、米筋によると、これはシリア政府軍の防空部隊が間違って撃墜したと思われるとのことです。

問題の航空機はロシア軍のIL-20型機で、同機はロシア軍基地hameemeem に帰る途中、地中海上のシリアから35卉賄世如現地時間夜11時、レーダーから消えたとのことです。

ロシア軍によると現在航空機の捜索が行われているところ、14名の乗員等の安否は不明の由。

この事件に関し、al qods al arabi netは、米当局によれば、、米政府はシリア政府軍の対空砲が、誤って撃墜したものとみていると報じています。
(それ以上の詳細は不明ですが、米政府として、米軍としていないところをみるとCIA等の情報も入っているのでしょうか?)

またal arabiya net はロシア軍も、その可能性を認めていると報じています。

(更に午前中にロシア・メディアが仏フリゲートが艦対地ミサイルを発射したと報じていることを報告しましたが)シリア政府のメディアは、海上からのミサイル(クルーズミサイルか?)複数が、ラタキア、ハマ、ホムス等を攻撃したと報じている由。

詳細は上に書いた通り不明ですが、政府軍による撃墜が事実とすれば、おそらく現地の混乱の中の不作為の誤射だろうと思われますが、もしかしたら最近ロシアがシリア政府を無視して、イドリブ問題についてトルコと合意したことに対する意趣返しの可能性…まさかそんなことはないでしょうが…もあるのでしょうか?

仏艦のミサイル発射は、極めてありにくい話と思うも、取りあえず報道のまま。いずれにしても、剣呑(けんのん)な情勢になってきました。

ラタキアに対するミサイル攻撃?

シリア北部に関しもう一つ
アラビア語メディアとy net news等イスラエルメディアは、17日夕北部シリアの港町のラタキアがミサイルで攻撃されたと報じています。

シリア政府系のサナ通信は、イスラエルの攻撃で、シリアの対ミサイル防衛網が複数のミサイルを撃墜したと報じています。

イスラエル側は、イスラエル国防軍(IDF)報道官が、コメントしないとしているとのことですが、アラビア語メディアは攻撃の写真とするものを掲載しており、現地では大きな火の手が目撃され、爆発音も響いたとのことですから、少なくとも何らかの爆発があったことは事実でしょう。

・al jazeera net は、攻撃されたのはラタキアの3地点とのことで、独通信は、ラタキアの東入り口にあるガス発電所、市の東部にある技術工場(軍の工場かと思われる)、科学技術研究所(通常この名前の研究所では化学兵器の研究、生産をしていることが多い)の3ヵ所の由。

・サナ通信とロシアのスプートニク通信は、ロシアのhameemeem基地で、ロシアとシリアの防空部隊がミサイル等を捕捉したと報じている由。
スプートニクはまた、ロシア国防省の話として、hameemeeem 基地と上空を飛行中のロシア機(14名搭乗)との通信が失われたとしている由。

・さらに複数のロシアメディアは、地中海の仏フリゲートから艦対地ミサイルが発射されたと報じているがその狙いがラタキアか否かは不明としている由。

ということで、事実関係は未だ不鮮明ではありますが、報道が事実とすれば、IDF等の攻撃があまりにロシア軍の基地に近い所で行われていて、その狙いが何か気になるところです
さらにこの攻撃については当然ロシア軍にも事前予告されているのでしょうね?

他方y net news はシリア人権網の数字として、この2ヵ月間にシリアで、IDFの攻撃で死亡したイラン兵、イラン系民兵の数は113名に上り、そのうち28名はイラン人将校や民兵の戦闘員と報じています。

イスラエルは戦時報道管制を敷いていて、その活動についてはコメントしない場合が多いので、イスラエル軍の関与の度合いやその目的等は不明ですが、上記y net news の記事を待つまでもなく、この2ヵ月シリアにおけるイランのプレゼンスに対するIDFの攻撃はエスカレートしているように思われます。
今回のラタキア攻撃も(事実とすれば)イランのプレゼンスを狙ったものでしょうか?

イドリブ総攻撃の中止(シリア)

どうやら政府軍等のイドリブ総攻撃は中止になった模様です。

イドリブに関しては、ロシア―トルコーイランの首脳会議が合意に失敗した後、トルコとロシアが大統領レベル等で、鋭意協議をしてきて、17日にはクリミアのソチで首脳会議がありました。

その結果、政府軍と反政府軍との間に非武装地帯を設けることで合意が成立し、攻撃は避けられることとなった模様ですが、これはエルドアンの粘り勝ちか、プーチンも国際的な影響の大きいい攻撃には気乗り薄だったのか?

このロシア―トルコの協議には、アサド政権は勿論、イランも参加していないし、また旧ヌスラ戦線に対するトルコの影響力も限られていると思われるので、まだまだ停戦が破られる可能性は残っていると思います。

いずれにしても、少なくとも、当面はロシアの支援する政府軍等の総攻撃は行われないことになったと思います。


・アラビア語メディアはいずれも、ソチでの首脳会議の後、プーチンとエルドアンが共同記者会見をして、両者がイドリブでこの10月15日から政府軍と反政府軍の間に非武装地帯を設けることで一致したと発表したと報じている。
非武装地帯の幅は、15〜20劼陵魁

・また、戦車、大砲ミサイル等の重火器を撤去することが合意されたとしてるが、これがイドリブ全域を意味するのか、それとも非武装地域だけのことかは不明の由。

・また、今後非武装地帯を中心にロシアートルコの合同パトロールが、停戦を監視することになった由。

・この両者の合意について、ロシア国防相は、イドリブに対する総攻撃はなくなったのか?との質問に対し、yes として、総攻撃が中止になったことを肯定した。

・両者の合意について、一部のアラビア語メディアは、両者間に取引があり、トルコがロシアのシリアでの基地(特にタルトゥスとハミーミーム)の安全を保障し、ロシアは反政府派がイドリブの現在地にとどまることを認め合ったとしている。

オスロ合意の蜃気楼(風刺画)

14qpt777[1]オスロ合意が米のホワイトハウスの庭で、イスラエルとパレスチナ(PLO)代表の間で署名されて(1993年9月13日)から25年も経つのですね!

トランプ大統領の登場もあり、オスロ合意は事実上反故となりつつこともあり、すっかり忘れていましたが、アラビア語メディアの中には、ちゃんと覚えていて、風刺画を載せているところもあります。

この風刺画の題は「オスロの蜃気楼」というもので、パレスチナ人がオリーブの葉を持って砂漠の中の水の蜃気楼(オスロ合意)に向かってきたが、どうもおかしいと気が付いたのでしょうか?

確かに今から振り返ってみると、当時世界中の人が、これでようやくイスラエルとパレスチナにも、希望の持てる時代が訪れたとの明るい希望を感じていた時代でしたね。

それが今ではオスロ合意とは蜃気楼だったなどと風刺されている始末です。
夢と希望は現実の世界に常に裏切られるものでしょうか?

イスラエル・トルコの関係改善?

al qods al arabi netは、イスラエル紙イディオノット・ハロノートが、現在イスラエルとトルコとの間ではこの5月以来途絶えている(5月のガザにおけるIDFのパレスチナ人60名の殺害以来の由)外交関係を再開し、相互の大使を帰任させる方向で話し合いが行われていると報じていると伝えています。
それによると、イスラエルとトルコの航空機がUAEのアブダビに向かったとのことで、(明示はしていないが、アブダビで最終的な交渉が行われることを示唆している。仮にその通りとして、双方の代表団のレベルは不明・・外相レベルか?)、仮に合意が成立すれば、10月早々にも大使の帰任が実現するだろうとしています。
記事はさら、にシリア内戦が終結に近づき、シーア派のアサドがイランの支援の下に、シリアを平定しようとしていることに、イスラエルとスンイ派のトルコがともに危機感を抱いていることが関係していると付記していて、また最近米国の圧力でトルコ経済が困難に直面していることも関係していると付記しています
http://www.alquds.co.uk/?p=1017057
これまでトルコはパレスチナ問題では、多くのアラブ諸国よりもより「アラブ的・親パレスチナ的」政策をとってきたイスラエルと鋭く対立してきましたが、考えてみれば、トルコにとって現実的にはより切実な問題であるシリア内戦については、イスラエルと共通の戦略的立場にあり、両国が関係改善しようとするのは、自然な流れかと思います。
またエルドアンとしては米国との関係改善にイスラエルの影響を期待するところもあるだろうと推測されます


エチオピア・エリトリア友好条約の締結

エリトリアと言えば、長年エチオピアからの独立を求め、紛争が続いてきましたが、確か1993年ww後のアフリカで最初に分離独立を認められた国として独立しました(それまではアフリカ統一機構でも、西欧植民地主義者がかってに引いた国境線の変更をいったん認め出すと、アフリカの安定が損なわれるとして、分離独立には一切反対してきた。その次の分離独立がスーダンからの南スーダンの独立だったと思います)
それにもかかわらず、その後も両国間では国境地帯等を巡り、紛争が絶えず、確か国連PKOも展開していたかと思います。

その両国が要約のこと和解し、ことし戦争状態の終結、外交関係の再開等で合意したことは方々で報じられていました。
その背景等の詳しい事情も知らないために、あえて報告しませんでしたが、al arabiya net によれば、16日サウディでサウディ国王隣席の下で、両国大統領間で友好条約が署名されたとのことです。
署名式には国連事務総長も出席したとのことですから、かなり重要な事件かとも思いましたが、その他の外国からの出席者は例のUAE、の外相位の模様で、どうやらサウディとしては、イエメン介入で落ちたイメージを回復するために仕組んだ舞台に、箔付けのために事務総長のご臨席を要望したということのようです
サウディとしては精々その見返りとして国連への拠出金を増額したりしたのでしょうかね?
https://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2018/09/16/الملك-سلمان-يرعى-اتفاقية-السلام-بين-إريتريا-وإثيوبيا.html


トルコ情報局の国外での活動

トルコの情報局が隣国シリアのラタキアで、2013年だったかのトルコ内での大規模テロの企画実行者を逮捕して、トルコに移送した事(ちなみにこのテロ事件は、シリア情報部の支持と支援により行われた由)は先日お伝えしましたが、al qods al arabi net は、その2日後の14日、トルコ情報局が9名のクルド人をafrin で逮捕し、これもトルコに移送したと報じています。
彼等はトルコ内でトルコ軍兵士にテロを行い、2名殺害した容疑の由。
トルコ当局によると、彼らに対する尋問から、PKKとPYDに関する情報及びこれらクルド組織とシリア政府との関係に関する多くの情報が得られた由。
記事は、この数週間トルコ情報局のシリア内における活動が特に活発になっているが、その対外的活動が盛んになったのは、2016年だったかのギューレン・グループによるクーデター未遂事件以降で、情報局が対外活動部門とそれ以外に分けられたが、その後憲法の改正での大統領制の導入で、情報局も大統領の傘下に入り、その対外活動が活発化したとしています。
特にその目標は、クーデター未遂事件に関与したギューレン・グループに向けられ、彼らの潜伏先の当局と協力したりして、これまでに20国で80名が逮捕されている由。
それらの国としては、ウクライナ、アゼルバイジャン、コソボ、スーダン、ガボン等が挙げられています。
http://www.alquds.co.uk/?p=1016516
尤も、トルコの情報局は、昔から有能だが、冷酷で、人権無視を平気で行う組織という評価もあったかと思いますが、確かシリア北部の町kobaneのISからの奪還作戦の時には、軍の作戦方向や支持するクルド勢力と、情報局の支持するクルド勢力が異なり、かなりのヒッチがあったと報じられていたかと思います。
確かに、その主要標的は常にPKK等のクルド勢力であったかと思いますが(PKKを創始したオジャラン党首がトルコの圧力でシリアから追放された後、トルコ情報部はギリシャとかケニアとかの情報部?の協力を得て、彼をケニアからだったか拉致して裁判にかけたと思います)、ここにきて北部シリアの情勢が錯綜してきて、トルコのプレゼンスもあり、シリアでの作戦がやりやすくなったのでしょうか?
しかし、記事にもある通り、シリア情報部もトルコでのテロ支援を躊躇しなかったように、こういう情報合戦となると、どこがきれいとかどこが汚いという話ではなく、皆それぞれの国益をかけて、どろどろした戦いをしているのでしょう。

ダマス空港に対するイスラエルの攻撃 2

15日夜イスラエルがダマスカス空港の、イランの武器弾薬集積所をミサイル攻撃したとのニュースは朝方報告しましたが、al arabiya net とal qods al arabi net は、イスラエルの第2チャネル(TV)が、イスラエルの攻撃では、空港のイラン兵や民兵用の武器弾薬集積所と合わせて、イランから飛来したばかりの輸送機(米製のボーイング機とのこと)を破壊したと報じているとと伝えています。

それによるとこのボーイング機は到着後数時間で破壊された由。

輸送品の中身や死傷者の有無等の詳細は不明。
またイスラエル国防軍(IDF)は相変わらずコメントをさし控えている由。

IDFがコメントを控えているので、事実関係は不明だが、仮にこのような事件があったとすると、イランがイドリブ攻撃を前にしてか、シリア内のイラン民兵やヒズボッラーに対する武器弾薬の供与を強化していて、それをIDFがかなり公然と攻撃しているのではないかという気がします。

また空港に到着直後のイラン輸送機を破壊したとすれば、いつものことながらイスラエルはテヘランやダマスカスに相当信頼できる情報源を有しているのではないかと推定されます。
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