中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ゴラン高地情勢

どうやらゴラン高地に隣接するシリア側では、政府軍と反政府軍(これが種々のグループが混じっていて中にはISもいる模様)の戦闘が激しくなっている模様です。

というのは、イスラル軍は21日シリア側から、イスラエルの占領中のゴラン高地に4発のロケット弾が飛来し(空き地に着弾し、被害はなかった模様)、これに対する報復としてIDFはシリア政府軍の大砲陣地3か所に砲撃を加えたとのことです。
この事件は、IDFもシリア側での戦闘の飛び火spill overであるとしており、シリア政府軍が意図的に砲撃したものではないとしているようです。
実はこの前にもイスラエル軍は18日、ゴラン高地にシリア側から同じように砲弾が飛来したとして、報復砲撃を加えていますが、どうせシリア側での戦闘に基づくspill overの単発の事件だろうと思い、報告もしませんでしたが、矢張り連続して事件が起きると、取りあえず報告はしておきます。
但し、この事件はイスラエルとシリアとの緊張激化というよりはシリア側のゴラン高地での、戦闘の激化を反映したものですので、念のため
勿論、その結果が両国の緊張激化につながる可能性の在ることは当然です。
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5031505,00.html
http://www.alquds.co.uk/?p=812404










出エジプト記のファラオ軍勢の遺体発見?

dacaef2f-eb4b-433c-916a-4b90b3398e6b_16x9_600x338[1]たまには血なまぐさい話を離れて、学術的?な話を。

モーゼの出エジプトの話は「10戒」などという映画にもなり、モーゼ率いるユダヤ人が紅海でちょうど海の中にできた道を通って逃げていったところを、追いかけてきたファラオの軍勢が元に戻った海に飲み込まれて、溺れて死に、ユダヤ民族はシナイ半島の逃れることができたことになっていたかと思います。

どうも作り話の感じがしますが、欧米の学者は大いにあり得る話だとして、何故突然海が割れて、シナイ半島への道が一時的にできたのかについて、種々の理論を提唱しているようです。
その点に関して、al arabiya net は、シナイ半島で石器時代や青銅時代の遺跡を発掘していた欧米(具体的に不何処の連中かは不明)の学者が、シナイ半島のras ghareb という村で、、多数の人骨とファラオ時代の武器等を発見し、ここがファラオの軍勢がおぼれて死んだところに間違いないと考えていると報じています。(写真)

まあ、考古学には良く偽造品で人をだましたりすることもあり、真偽のほどは不明ですが、まあ、スケールの大きな話ではあります。
事実であれば、そのうち英米のメディアにも出るのではないでしょうか?

http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2017/10/21/هذا-هو-المكان-الذي-غرق-فيه-فرعون-وجنوده-.html









キルクーク情勢

キルクークの情勢は、ペッシュメルガの撤退で一触即発という状況は回避されたが、まだまだ情勢は予断を許さないと報告したかと思いますが、矢張り方々で両者の衝突があったり、イラク軍、特にシーア派民兵によるクルド人の抑圧の他、旧イラク軍士官の暗殺等が起きていて、まだまだ平静な状況とはほど通り模様です。

・このような中で、両者の調停に努力してきた米国は、イラク政府に対して、情勢鎮静化に努力し、ペッシュメルガと合意した以外の地域には軍やシーア派民兵を進めないように呼びかけたとのことです。
(現地情勢・・・政府軍が攻勢的になっている…に鑑みての呼びかけでしょうか?)

・クルド自治区の南の境界に近い地域で、イラク軍等とペッシュメルガの間で激しい衝突が生じた。
地元筋の話によると、トルコマンが多数を占める境界に近い町altoun kobrah の町で起きた衝突について、ペッシュメルガは、イラク軍とシーア派民兵がクルドの首都アルビルに進撃しようとしたと非難し、この前進を阻もうとした砲撃で橋が大きな損害を受けたとしている由。
これに対してイラク側はペッシュメルガが橋を壊したと非難している由。
キルクーク病院では、イラク軍とシーア派民兵の遺体30と負傷者100名を受け入れた由。

・キルクークでは何者かによる(おそらくはシーア派民兵か?)による暗殺が続いている。
旧イラク軍(サッダムフセイイン時代の軍)の空軍パイロットが家族の前で何問かに射殺され、同じ旧軍隊差も何者かに射殺された。
どうやら暗殺するもののリストが出回っている模様である。
・またシーア派民兵は、宗教指導者、政治家、ジャーナリスト、活動家等を多数逮捕し得ている。逮捕の理由は、イラク軍や民兵がキルクークを占拠したことを批判したとためとか・・
キルクーク議会議長は、シーア派民兵が町を征服したと非難していた。
このような状況で、中立系のサドル師の率いる民兵は、キルクークの平静を保つべく、キルクークに急行している由。

・シーア派の指導者シスタニ師(独立的立場か)はイラク政府に対して、クルド人の人心を守るために努力するように呼びかけた由。
http://www.alquds.co.uk/?p=812148
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/20/مواجهات-بين-البشمركة-والقوات-العرقية-جنوب-أربيل
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/20/العراق-أنباء-عن-اشتباكات-مسلحة-في-كركوك.html

エジプト治安部隊の大損害

確かこのところ2日連続して北シナイで、治安部隊がISとの戦闘で大きな損害を被り、大規模な掃討作戦を始めたことを報告しましたが、今度は本土での、治安部隊の大損害です。
アラビア語メディアは、20日ギザ県(カイロ県お隣)の南西でカイロから135km南西の砂漠地帯で、治安部隊が過激派と衝突し、警察士官複数を含めて少なくとも35名が死亡し、負傷者も出て、テロリスト側にも多数の死傷者が出たらしいと報じています。
警察士官の中には、准将、大佐、大尉等も含まれ、6名いる由(エジプトでは警察も軍と同じ階級呼称を使用している)だが、彼らの多くが警察の対テロエリート部隊に属する模様
記事によると、彼らはこの地点にムスリム同胞団系の過激組織が潜伏し、訓練しているとの情報で、捜索、掃討に向かったところ、待ち伏せを受け、RPGおよび道路爆弾で攻撃された由。
記事の中には、これはエジプト治安当局が被った最大の「歴史的」損失で、専門家の中には情報、バックアップ体制等多くの点で抜かりがあったのではないかと見ているものがいる由。
なお、現在までのところ、犯行声明はなく、専門家の見方もムスリム同胞団系とするものとISとするものがいる由
http://www.alquds.co.uk/?p=812018
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/20/قتلى-من-الأمن-المصري-باشتباكات-في-الواحات
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2017/10/20/14-قتيلاً-من-قوات-الأمن-في-مواجهات-مع-إرهابيين-بالجيزة.html

シナイ半島のみならず、エジプト本土の方でもこれまで度々テロ活動はあり、カイロでさえ要人の暗殺はあったが、ほゞ時期を同じくしてシナイ半島とギザで治安部隊に大きな損失が出るというのは、エジプトの治安維持能力に疑問を抱かせることになると思われます。








オジャランの肖像(ラッカ)

444[1]PKKのオジャラン写真と言ってもピンとこない人もいるかと思いますで、無断借用で写真を掲載しておきます。
前に立っている兵士に比しても非常に大きな写真ですね。
小さくてよく見えないかもしれませんが、兵士は全員かほとんどが女性です・・・・YPGも宣伝が上手いと思いますが、女性兵士のほとんどが我々老人には、昔懐かしいお下げ髪です。
こういう発言はセクハか?
http://www.alquds.co.uk/?p=812109

ラッカでのPKK指導者写真の掲示(シリア)

いよいよ、ラッカでもポストISの時代…ということはトルコとクルドの対立…の局面に入ったのでしょうか?

というのは、アラビア語メディアは18日ラッカで、トルコのPKKのオジャラン党首の大きな肖像画が掲げられ、早速トルコのエルドアン大統領が、これは米国トルコ関係を損なうものであると声明し、トルコ首相も、これは米国のクルド偏重を示すものであると非難した由。
他方米国防総省報道官は20日夜になって、PKKは国防総省が1997年からテロ組織として認定しているもので、その様な行為は受け入れられないと非難した由
(ただし、その前に時点では、有志連合が非難していたにもかかわらず、国防総省は事件に関し言及を避けた由。
おそらくYPGを支持してきて、トルコと対立してきた米国としては、微妙な立ち場に立たされ、何しろトランプ政権お混乱もあり、とっさの反応ができなかったのかもしれない)
但しトルコのhurryiet net は、19日国防総省の報道官が、米国としてはISの戦いでのシリア民主軍を支援してきて、今後とも支援すると語ったよし。
http://www.hurriyetdailynews.com/pentagon-will-keep-cooperating-with-ypg-against-isil-121166
http://www.alquds.co.uk/?p=812109
http://www.aljazeera.net/news/international/2017/10/20/تركيا-تنتقد-رفع-صورة-أوجلان-بالرقة
取りあえずのところは以上ですが、シリアのクルド勢力PYDとその軍事部門のYPGはもともとが、PKKから派生したもので、その意味ではラッカ陥落を祝ってオジャランの肖像を大きく掲げるのも、理解できないところではありませんが、PKK と言えばトルコにとっては最大の天敵で、これまでも米国のYPG支援をテロ組織支援として非難してきたことからすると、さらにトルコを刺激したことは間違いないと思います。
板挟みになっているのは米国ですが、今後の問題としては、どうもこの調子ではそのうちトルコがテロとの戦いという名目で、YPGを攻撃しそうな感じで(まずはafrin 地区位からか?)、米国はますます微妙な立場に立たされそうです




旧ヌスラ戦線指導者の動静(シリア)

ISの指導者al baghdadiがロシア軍機により空爆され死亡したとの説が、ロシア軍から流され、その後どうやらこれは間違いで、彼はユーフラティス警告の何処かに潜伏しているという説が有力となり、彼の音声と称するものも流されたが、その後も彼の動静は不明です・
(音声は彼のものだと専門家は考えているようですが、彼の画像は全く流れていない)

それと似たような話が、シリアの旧ヌスラ戦線(シャム解放機構)の指導者abu muhammad al joulaniについてもあり、彼についてはロシア軍がイドリブで、解放機構の会議中を空爆し、彼は重傷を負って(意識不明とか)多数の幹部が死亡したとしていましたが、その後解放機構の方では、彼はぴんぴんしており、この銃小説は誤りであると主張しました。
所がロシア軍はその後も、さらに彼が重傷を負って意識不明なことは確実だと表明しましたが、今度も解放機構は彼が元気でチェスをしている映像を流して、重症説を否定したとのことです。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/10/19/فيديو-للجولاني-غير-مصاب-فهل-أخفقت-ضربة-روسيا؟.html

過激派のグループでは、往々にしてカリスマ性のある指導者に、、メンバーが忠誠を誓うことになるので、その存否が重要になりますが、ISに次いでヌスラ戦線の方でも、指導者の存否が不明というのは、偶然の一致でしょうか?







マルタ記者の暗殺と石油密輸等との関係(リビア)

若干社会面的なな記事を一つ・・・

al qods al arabi net は、先日マルタで車に仕掛けられた爆弾だったかで暗殺された、女性記者(彼女は世界中の金持ちが税金逃れで使っていたパナマ等について、資料をすっぱ抜いた例のpanama paperを追っていた記者の一人だったとかで、この事件は日本でもかなり広く浮動されたと記憶)について、イタリア紙(複数)は、どうやらリビアからみの石油密輸出等のスキャンダルを追跡していて、狙われたらしいと報じています。
その背景として、使われた爆薬がセミテックスでリビアでは方々で手に入るもので、また彼女の息子が彼女のコンピューターで、イタリア人、マルタ人、リビア人等多数の政治家や治安関係者やリビア民兵の、犯罪行為に関する資料を発見したとのことです。
そのためか、マルタの操作に協力するために、米、英、イタリア、オランダの捜査員がマルタに到着したとのことです。
彼女が追跡していた犯罪はリビア西部からの原油の密輸出の他虚偽の幽霊病院(実際には存在しない病院)での架空の治療にかかわる多額の請求等リビア情勢に絡んだもんが多いが、、政治家のセックススキャンダル等等もあった由。
またこれら犯罪にはマフィアなどの本物の犯罪組織が絡んでいる可能性も強い由
http://www.alquds.co.uk/?p=811546
この種事件はもう少し事情がはっきりしてから書くべきでしょうが、リビアの原油の密輸は前から度々噂になっていて、仮に密輸が事実であれば(まず相当の密輸があったことは間違いないと思われる)相当の金が動き、リビア情勢への影響も少なくないという気がするので、取りあえず報告しておきます。

サーレハの手術とモスクワへの招待(イエメン)

イエメンでは、シーア派の強硬派hothyグループと前大統領サーレハの同盟が、未だにサナア等を支配し、3年近くになるサウディ等アラブ連合軍(主として空軍)の介入も状況を大きく変えてはいません。それどころか、一応は国際的に正当政府とされているhadi大統領などサウディに、ほゞ亡命状況で、どの程度現実の支配力があるのか甚だ疑問とされるところです。
そのような中で、この1年以上の間、hothyグループとサーレハ陣営の不仲、対立の噂が執拗に流されてきましたが(最近特に増えているように見える)、同もサウディやUAEの情報宣伝の臭いもして、殆ど報告してこなかったかと思います。

ところが、al arabiya net とal qods al arabi netが、サーレハがモスクワに招待されていると語ったと報じています。
これまでロシアはイエメンについては、シリアやリビアなどとは違い、極めて低姿勢で、あまり大きな動きはしてこなかったように見えますが、ここでは政治的な役割を追求し始めたのでしょうか?
両記事の要点のみ、次の通り
al qods al arabi net
サーレハは先週yemen todayとのインタビューで、ロシア医師からの左目の手術を受け、手術は成功であったと語った。そしてサナア空港の閉鎖にも拘わらずロシア医師団が今後も来ることを期待していると語った由。
手術は今月11日だった由。
またサーレハは、ロシアの研究センターから、イエメン情勢とテロ問題についての講演を頼まれていて、出席するか否か検討中だと語った由。
サーレハ陣営とhothyグループの対立は前からしばしばあったが、この8月以降激しくなっている
al rabiya net
イエメンでは再びサーレハの動向に注目が集まった。
サーレハは突然、モスクワの研究センターの一つから、テロ問題とイエメン問題に関するセミナーでの講演を頼まれていて、出席するか否か検討中であると明らかにした。
最近サーレハとhothyグループの関係が悪化し、彼は自分及び家族の安全を危惧し始めていてもしかすると無事にイエメンから出国できるか否か、hothyグループの意向を探るための観測気球かもしれない
また最近、種々のイエメン問題解決案が噂されているが、その多くはサーレハの退陣を条件としているので、この話もそのための観測気球かもしれない。
コレラの噂は、hothyとサーレハの連合が壊れる寸前だという観測に基づいている。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/10/19/صالح-يتلقى-دعوة-من-روسيا-فهل-يخطط-لمغادرة-اليمن؟.html
http://www.alquds.co.uk/?p=811400










対話に向かうクルド情勢?

昨日は、どうやらクルド問題をめぐる情勢は、取りあえずは落ち着く方向にむかいつつあるように見えるという報告をしましたがその後バルザニがアバーディ(イバーディと表記していましたが、アバーディが普通のようで、そう替えます)首相の対話イニシアティブを歓迎したとのことで、更に正常化に向かいつつある感じがします…・もちろん予断は禁物ですが。

アラビア語メディアによると、アバーディ首相は17日、住民投票は過去のもので、終わったことだとして、クルド自治政府に対して、憲法に従っての、対話を呼びかけたとのことです(この話は勿論報じられていましたが、申し訳ないが、アラブ特有のレトリックだろうと思って、報告もしていないと思う)。
首相は、記者会見で、クルドに対して、憲法の枠内で、国民的協力という基礎での対話を呼びかけたとのことです。
これに対して、クルド自治政府は19日、同日の会議で、憲法の下で協力と合意の原則で対話をするとのアバーディ首相の提案を歓迎することとしたとの声明を発出した由
(これまでアバーディ首相は、住民投票の結果を無効としない限り、対話はしないと主張していたが、「住民投票は過去のもので、終わった」ことだととして、これを棚上げして対話・・交渉を始めることを提唱したもので、流石海千山千のアラブ政治家だけのことはあると感心しています)
またal jazeera net はイラクのメディアは、クルド勢力の中には、住民投票の結果を凍結するとの動きが出ていると報じていますが、上記の通りアバーディ首相の提案を受け入れたということは、既に事実上凍結したということかもしれません、
因みに、住民投票に続いて行われるはずであった大統領と議会の選挙の方は既に凍結が決まっています。

ということで、どうやらクルド問題は交渉(対話)の方に動き出した感じがしますが、イラク最高裁が、クルド自治区の副議長が、キルクークのイラク軍を占領軍と表現したことに対して、逮捕状を出したことに対して、バルザニ議長が強く反発しており、両方にはまだ強硬派もいるだろうし、今後の状況を注目する必要はあると思います。
http://www.alquds.co.uk/?p=811298
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/19/كردستان-العراق-يرحب-بدعوة-العبادي-للحوار
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/19/أنباء-عن-توجه-حكومة-كردستان-لتجميد-نتائج-الاستفتاء.html
取りあえずは以上ですが、問題は、イラク政府は勿論、トルコ、イランが激しく反発し、下手すると武力衝突につながる可能性の強い、クルドの独立問題を、バルザニ等が、何故、強引に持ち出して、住民投票まで行ったかだと思います。
強硬姿勢を示して、中央政府から多くの妥協を引き出すことを狙っていたのなら、思惑通りに進みそうですが、真剣に独立を狙っていたのなら、早々と「憲法の枠内」での交渉に応じるということは、ある意味で白旗を挙げたことで、そうなると今後彼の地位にも影響する可能性があるような気がしますが。
矢張り今回も、双方に強く自重を求めた、米国務長官、国防長官等の努力が功を奏したものでしょうか?












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