中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

イランの連続地震

もう一つイランに関するニュースを。
但し、こちらの方は自然災害関連です。

al arabiya net は、イラン公式メディアによると、23日早朝イラン東南部で、強さ5.8度の地震があったと報じています。
この地震では、現在までのところ建物等の損害はあったものの、人的被害の報告はない模様ですが、緊急援助隊が26の村に送られた由。

但し、この地震のあった前日の22日には、イラン南部のhormuzjan(アラビア語文字からの訳)で5.7度と4.7度の地震が2回、更に西部のケルマンシャ―で5.9度の地震があり、25名が負傷したばかりとのことです。

https://www.alarabiya.net/ar/iran/2018/07/23/خلال-24-ساعة-زلزال-رابع-يضرب-إيران-.html

取りあえずの報道は以上ですが、この種自然災害では,特に大都市から離れた農村の被害が明らかになるにつれ、被害が増えていくものなので、まだ油断はできないと思います。
いずれにしても、若干前にもイランの地震の報告をした記憶がありますが、まだまだ余震等はありそうですね。

イラン大統領の対トランプ警告

昨日だったかは、ハメネイ最高指導者がイラン外交官たちに対して、ホルムズ海峡閉鎖に関する発言をしたことを報告しましたが、どうやらイランの大使会議のようなものは続いているようで、今度はロウハニ大統領がトランプに対して虎の尾を踏まないように(もっともアラビア語では獅子の尾となっているが!)警告した模様です。

これはal qods al arabi net とal jazeera net が報じるところで、イラン大統領は、米国はイラン体制を転覆し、イランを分割することを狙っており、イランにとっては屈服するか抵抗する以外の選択肢はないと表明した由。

その中で、戦争となれば、これは「戦争の母」(不謹慎ながら、なんと懐かしい言葉か!!これはサッダムフセインがイラン戦争のときに使った言葉だと記憶しています。そんな言葉をイランの指導者が使うとは!)になるだろうとし、虎の尾を踏むなと警告した由。

また現在米国との交渉は、彼らがイラン政権の転覆とイランの崩壊を求めている以上、意味がないとした由。

ロウハニはまた、イランは現在、サウディ、UAE,バハレン等との関係緊密化に努力しているが、ロシアとは相互利益の関係に基づくとした由。
また石油輸出問題について、イランはホルムズ海峡のみならず他にも海峡を有しているとした由(紅海入り口のバーブルマンデブのことか?)

なお、al qods al arabi net は、イラン軍司令官が、過去1年間で米政権は米軍に対してイランに対する攻撃をさせようと働きかけたと語った由。
(この発言がどのくらいの具体的情報によるものかは不明)

http://www.alquds.co.uk/?p=979297
http://www.aljazeera.net/news/international/2018/7/22/روحاني-محذرا-ترامب-لا-تعبث-بذيل-الأسد-فتغضبه

昨日、本日と、イラン指導部の発言を見ていると、対米衝突に向かいつつあることを意識している感じがするが、イランはなかなか老練な国なので、そう簡単に一直線に戦争ということにはならないことを期待しているも、取りあえず。

イスラエル機のホムス近郊空爆

このとこと、ロシアとイスラエルがシリア問題で一定の了解に達した所為か、イスラエル機のシリア内のヒズボッラーやイラン革命防衛隊の拠点に対する空爆が増えているような気がしますが、アラビア語メディアとhaaretz net は、シリア政府系通信及びシリア人権網等によれば、22日夕イスラエル機がホムス近郊のmasyaf基地を空爆したと伝えています。
この基地はイランが管理し、その指導下に短距離ミサイル政策の工場があるとのことで、確かシリア政府軍お化学兵器工場もあったとかで、先にイスラエル機が攻撃した場所とのことで、これで3度目の攻撃になる由。
シリア政府によれば、攻撃では物的損害があっただけだとしているが、人権網は革命防衛隊とヒズボッラーに複数の死傷者が出ていると報じています。
攻撃はレバノン領空内のイスラエル機からのロケット攻撃だとのことで、4発が発射され、シリア防空組織が3発を捕捉したとの主張されている由
(イスラエル軍は、いつもの通り、攻撃について肯定も否定もしていないので、具体的な攻撃態様等は不明だが、確かシリア政府軍の地対空ミサイルは、ミサイル撃墜の能力はなかったかと思います)
http://www.alquds.co.uk/?p=979288
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/07/22/هجوم-إسرائيلي-على-شمال-غرب-سوريا-.html
https://www.haaretz.com/israel-news/israeli-fighter-jets-reportedly-strike-targets-in-western-syria-1.6295318
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/07/22/روسيا-تسقط-طائرتين-بلا-طيار-هاجمتا-قاعدة-في-سوريا.html
上記攻撃が、ネタニアフとプーチンの会談後に行われ、ロシア機や地対空ミサイルが介入しようとした形跡がないことからも、ロシアとしてはイスラエルがシリア内のイランのプレゼンスを攻撃し、それがアサド政権の安定を危なくするようなものでない限り、これを容認するということではないかと思われます。
ということは今後ともシリア内のイランの拠点に対するイスラエル機の攻撃は続く、と言うことだろうと思います。
ロシアとの対応で、注目されることは、al arabiya net が、ロシアのインターファックス通信を引いて、21,22の両日、ドローンがロシア空軍基地hamimim を攻撃したが双方とも撃墜されたと報じていることです。
これとイラン基地に対する攻撃の関係があるのかないのか(そもそも誰の送り込んだドローンかも不明)全く不明ですが、どことなく気になる記事ではあります





ホルムズ海峡問題(風刺画)

cartoon22-7-2018-[2]ホルムズ海峡閉鎖問題に関する風刺画です。

ピストルにはホルムズ海峡と書いてあり、その引き金に指をかけている手にはイランと書いてあります。
イランがホルムズ海峡閉鎖などと言う措置に出たら、イラン自身も甚大な被害を被る(もしかすると自殺行為)という意味でしょうか?

https://aawsat.com/home/cartoon/1339426/%D8%A3%D9%85%D8%AC%D8%AF-%D8%B1%D8%B3%D9%85%D9%8A

白いヘルメットのシリアからの救出

シリアの内戦を通じて有名になったのは、ボランティア民間防衛隊、通称白いヘルメットでした。

シリア内戦は、反政府軍の支配地域に対する政府軍機(主として樽爆弾等の無差別殺りく兵器)とロシア軍機の無差別攻撃で、住民に多大の被害を出しましたが、負傷者やがれきの下に取り残された住民の救出にあたったのが、この白いヘルメットで、彼らもその活動のために多くの死傷者を出したとのことです

ところが、南西部で反政府軍の支配地域であったダラア、クネイトラ(ゴラン高地)等が、ロシア軍の斡旋で、政府軍の手に引き渡されたため、それらの地域で活躍していた白いヘルメットの生命や安全が危険にさらされることになりました。(これらのボランティアは、主として米国とカナダのNGOがスポンサーとなっていたこともあり、シリア政府軍はこれらボランティアをスパイと見ているようで、見つかれば逮捕され、拷問、処刑等が待っている可能性が強いとされている)。

このため、数週間前に、米英仏カナダ政府が、極秘裏にイスラエルと接触し、彼らを極秘裏にイスラエルを通って引き上げることに対する協力を求めた由です。
彼等は、イスラエルからヨルダンを通り、英独カナダに移送することで合意していたとのことです。

この提案にイスラエルが合意したため、白いヘルメットとその家族800名は、三々五々秘密裏に徒歩で、クネイトラ近くのイスラエル検問所とヨルダン・イスラエル・シリア3角地帯の検問所に向かうようにしじされ、20日午後11時イスラエル軍はこれらの検問所を厳重な警護の下(政府軍の攻撃を恐れて)開くことを命じられ、白いヘルメットと家族たちは無事イスラエルに入ったとのことです。

ヨルダン側は、イスラエルとの国境で待ち構えていて、22日の06:00には、彼らは無事ヨルダン領内に入ったとのことです。
この救出劇に関し、イスラエル外務省は、今回は特例的な人道危機に対応したもので、シリア内戦には中立を守り、難民は引き受けないとのイスラエルの政策に変更はないとしている由。

https://www.haaretz.com/israel-news/israel-rescues-hundreds-of-white-helmets-from-syria-report-says-1.6294226
https://www.haaretz.com/israel-news/israel-rescues-hundreds-of-white-helmets-from-syria-report-says-1.6294226

勇敢な白いヘルメットたちは、今回は幸い、イスラエルを通って外国へ移ることができましたが、アレッポなどの地域で活躍していた人たちは、その後どうなっているのでしょうか?
未だシリアに監獄に閉じ込められているのでしょうか?

米国のイラン体制不安定化工作

al qods al arabi net とhaaretz net は、トランプ政権がイラン体制の不安定化工作を始めると報じています。

これは現在および過去の米指導者12名の言によるものの由にて、工作はスピーチやインターネットを使い、イランの不安定化、核開発に対する反対を支援したり、反政府グループを支援したりするものの由。

この工作は国務長官とボールトン補佐官が支持していて、トランプ政権の経済的イラン締め付けとあわせて、イラン政権への圧力を強めることを目的としている由。
工作はイラン政権の過去・現在の言動を引用したりして、イラン政権の悪辣さを強調するもので、時には言動を誇張したり、矛盾したりするものを利用したりすることもある由。

このニュースに関し、米大統領府も国務省もコメントを避けている由。
他方イラン当局は、米政府は過去にもイランの不安定化を試みたが、失敗しており、今回も間違いなく失敗するとしている由。

http://www.alquds.co.uk/?p=978975
https://www.haaretz.com/us-news/washington-launches-campaign-to-undermine-iran-s-leaders-1.6294214

上記報道は2つのメディアでほぼ同じもので、おそらくは米政府等からの何らかのブリーフィング(要するに対イラン宣伝戦)に基づく可能性も考えられ、興味あるところ。

イラクの抗議デモ

連日のイラク南部(最近はバグダッド等中部にも拡大している)の抗議デモについては、毎日報告していますが、al arabiya net は本22日にはバグダッドと南部諸県で、「腐敗者を倒せ」と題した統一抗議が行われると報じています。

またバグダッド中央のタハリール広場では、21日前日に続いて、サービスの改善、腐敗者の追及、議会制政府ではなく大統領制を要求する群衆が集まった由。

(これまでも、政党ではなくテクノクラート内閣の要求は前からあったが、大統領制・・・・おそらく連立内閣の交渉で、政党がそれぞれの利益を追求し、汚職の温床となり、また政府がなかなか成立しないことに対する不満から国民の直接選挙による大統領の選任を求めたものと思われる、現在の大統領も議会で選ばれ、ほぼお飾り的存在・・・の要求というのは、あまり報じられてなかった)

これに対して治安部隊は、増員しつつも、広場に通じる道路や橋の閉鎖を解除した由(群衆に対する刺激を避けるためか?)
これに対してアバディ首相は、南部県、抗議デモの代表者、関係官庁の責任者を集めた会議で、政府の役割は、民衆の声を聴いて、可能なことを実行することであるとして、停電の解消、飲料水、農業用用水の確保等を、関係省庁に命じた由。
また開発計画の加速と見直しとそのための資金手当てについても検討を命じた由。

https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2018/07/21/العراق-يستعد-لمظاهرة-إسقاط-الفاسدين-الأحد.html

取り敢えず以上ですが、他方alqods al arabi net  は抗議デモの背景等について、かなり長い記事を掲載しているところ、この猛暑で根気があり、興味深い記事であれば、後刻追加します。

燃料ガスの値上げ(エジプト)

嘘でしょう!と一瞬目を疑いましたが、al jazeera net によると、エジプト政府は家庭用および商業用ガスの値段を33〜75%(消費量の少ない所は安くし、消費量が増えるに従い、高くする)値上げしました
この値上げは来月初からとのことです。
何故嘘でしょう!と書いたかと言うと、確か6月なかばに、エジプト政府は、ガス・ボンベ(最近は知らないが、少し前までは殆どの家ではガスボンベが調理用であった)の値段もふくめて、石油、ガス、および電力料金の値上げをしたばかりだったからです。
これは膨大な補助金による財政危機を救うためにIMFとの合意に従ったものとのことですが、それにしても次から次へととのかなり大幅な値上げには若干驚きます。
皮肉な見方をすれば、このような値上げをしても、大きな暴動も起きないくらい国内は安定しているということなのでしょうかね??
確か地下鉄の値上げに対しては抗議が起きたはずですが・・・・・
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/7/21/مسلسل-مستمر-مصر-ترفع-أسعار-الغاز-بنسب-تصل-لـ75









湾岸石油の停止?

先にロウハニ大統領が、米国がイランの石油輸出を止める場合には、湾岸の石油は輸出できなくなると発言し、これがイランによるホルムズ海峡の閉鎖の警告か否かとして、議論を呼び起こしたことは報告済みです。

この問題について、al qods al arabi netは、イラン最高指導者がそのネットに、イランが湾岸の石油の輸出を止める(ということはホルムズ海峡の閉鎖か?)との、ロウハニ大統領の発言を支持すると書き込んだと報じています。

他方、al arabiya net は、21日イラン通信irnaが、ハメネイがイラン外相やイランの海外大使等の外交官と会談した際に、米国との交渉は意味がないので、イランとしては米国と交渉するつもりはないと語り、更に、イランが石油を輸出できない場合には他の湾岸種国の石油も輸出できなくなるとのロウハニ大統領の発言は、重要な発言で、イラン体制の戦略であると語ったと報じているとしています。
またハメネイは、欧州等の交渉は重要だが、イランとして欧州から明確な提案が来ることをただ待っている訳にはいかないとも語った由。

記事は更に、米国のつけた11月という期限を待たずに、タンカー等の輸送者は、イランとの海外貿易を既に徐々に削減し始めてるとコメントしています。

またロシア、イタリア、仏、デンマーク等の多国籍大企業が、イランとの取引やイランにおける資源探査を停止し始めているとも報じています。

更に米政府は、イラン石油の供給が完全に停止しても、その他の国の石油輸出能力にはまだまだ余力があると説明しているともコメントしています。

(イランとしてはその石油輸出が全面的に停止した場合には、真綿で首を絞められる状況となり、その社会的不安定は増大することがは当然予見され、これに対してイランがホルムズ海峡閉鎖の挙に出るということは非常にあり得るシナリオだろうと思います。その場合には米艦隊との衝突、さらに中東全域に置けるイランとその手先対、米・サウディ・イスラエル等との激しい対立、衝突に至ることは覚悟しておきべきだろうと思われます。)

http://www.alquds.co.uk/?p=978759
https://www.alarabiya.net/ar/iran/2018/07/21/خامنئي-يرفض-التفاوض-مع-أميركا-حول-الاتفاق-النووي.html

IDFのイラク内イラン拠点の空爆?

このところイスラエルのシリア内のイラン拠点に対する空爆が続いていますが、今度はイラク内のイラン施設に対する空爆の可能性です。

al qods al arabi net は、クウェイトのal jazeera紙が、ハイレベルソースの情報(どのソースかは不明だが、クウェイト政府?米軍筋?)として、イスラエルはイラク内のイランの兵器弾薬庫やその中継施設等のイラン拠点の空爆を意図していて、そのために候補リストを作成したと報じていると伝えています。

クウェイト紙はその筋から、過去2ヵ月の間に行われた空中偵察の写真を入手した由。
それらの候補地には複数のイランとの国境検問所も含まれている由。
それによると、イスラエルは過去数年間これ等のイラン拠点を偵察してきたが、その多くがかっては米軍の基地であったところ(具体的な名前としてはH3空港が上げられている)で、現在は革命防衛隊が警備にあたっている由。
記事は更に、最近イスラエルはシリア内のイラン施設の空爆を強化しているが、これとイラクのイラン拠点問題は関連していて、イスラエル政府は、激しい外交、国際的な圧力にもかかわらず、イランはイラクを通ってシリアを通るレバノンへの回廊の建設に固執していて、そのための機材、兵器をイラク、シリアに運びこんでいるとの見方を強めているとしてます。

記事はまた、アサド政権軍がゴラン高地を回復しつつあることが、イスラエルにとってゲームのルールを変更して、その活動範囲(攻撃対象)を拡大させることになったのではないかとしています。
またこのイスラエルの新し攻撃的姿勢は、米軍がシリア、ヨルダン、イラクの3角地帯のal tanaf基地から近く撤退すると見られてることとも関係しているとしています。

http://www.alquds.co.uk/?p=978678

取りあえずのところは以上ですが何しろクウェイト紙のソースも単にハイレベルと言うだけで、どの程度信頼すべきものかは不明です。
また、これまで見た報道では同様のニュースは見当たりません。
イスラエル国防軍(IDF)がイラク内のイラン拠点を空爆するとなると、新しい大きな動きで、中東全体対する影響も少なくなく、対イラン戦争にまた一歩近づきそうな気がしますが、取りあえず。
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