中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

「イラン、シリア、ヒズボッラの会談について冷静が必要」 との記事

28日のhaarertzは、イランとシリアとヒズボッラのダマス会談を戦争会議であるように吹聴する者は無責任だとする記事を載せている所、誠に冷静でこう言う声が大勢を占めていれば、中東ももう少しは静かな所ではないかと思われます。

要点のみ次の通り。

「これまでアハマディネジャードは何回もシリアを訪問し、アサドもイランを訪問し、ナスラッラもシリアを何度も訪問している。

もし彼らがイスラエルとの戦争を計画しているのであれば人に見せるための会談など必要ないだろう。

しかしある人はあらゆる所に脅威を見たがり、危機感を感じたくて仕方のないもののようである。

イスラエルの新聞は戦争の数が増えているなどと書いているが、イスラエル軍は戦争の準備などしていない。

シリアもイランもヒズボッラも、敢えて言えばイスラエルもそれぞれ戦争を欲する理由には事欠かない。しかし理由があると言うことは戦争をするということではない。

これらの誰も実際の戦争からの利益よりは失うものの方が大きい。彼らにとって、大事なことは現実の戦争ではなく、脅威の存在である。

イスラエルはヒズボッラに戦争する気はないし、シリアはゴラン高原に戦車を進める気もない。ヒズボッラもハマスもイスラエルの脅威があるから現実の影響力を保持していられるので、またイランにしてもこれら「テロリスト」がイスラエルと正面衝突して手痛くやられたら、その影響を避けえない。戦争ではなく脅威の存在が有利なのである。

イスラエルだって、シリアとの戦争の危険を宣伝しながら、アサドが和平を示唆すると、突然条件を更に付け足すし、米国がパレスチナとの和平がイランを孤立させると言うと突然入植地凍結などの難しい条件が出てくる。」

dayan 未亡人のインタビュー

みなさんMoshe Dayan等と言う名前を知っておられますか?多分歴史の本か何かで読んだことはある?

彼は1967年と73年の第3次、第4次中戦争の時のイスラエルの国防相で、前の戦争(記憶が定かではないが確か1948〜1949の独立戦争)で片目を失い、海賊の親分みたいな黒いパッチを片方の目の上にかけていたので、独眼竜猛将として有名でした(他方アラブとの共存も願っていた)が、彼の未亡人(93歳だそうです)が、最近haaretzのインタビューに応じたとかで、28日の同紙にその記事が載って居ましたが、要点のみ次の通りです。

要するに彼を含んだイスラエル建国の責任者たちの労働党は、良い所も悪い所もあったとは思うが、どこかに理想主義とアラブに対する理解も有していたと言う意味で、現在のリクード(またはそれよりもひどい右翼)の様な拡張主義者ではなかった、と言うことでしょう。

でもイスラエルの人からこう言う発言を聞くとほっとしますね。

尤もリクードの前身と言うか、その系統は初めからテロリスト(イルグンツバイレウミとかシュテルンギャングとか)の拡張主義者でしたね。

「私にとってのイスラエルとは初期の理想主義のあったイスラエルであった。
しかし、このようなイスラエルは姿を消してしまった。シオニズムは役割を終わったと思う。

確かに自分の世代は戦争から戦争へと歩いてきたが、平和を求めてもいた。今のイスラエルは平和を語ることを忘れてしまった。今後とも拡張主義と戦争があるだけかもしれない。

最大の問題は「壁」で、壁がテロリストを阻止したと言うが、彼らを阻止するのは対話だけである。

昔は一つの国で2の民族が共存できると考えたこともあったが、現実はわれわれは違っていて彼らは我々と一緒になりたくないと言うことが明白であるので、2国家方式しか解決はない(注:ここで我々と彼らが言うのはイスラエルとパレスチナ人のこと)

ダヤンはアラブから恐れられもしたが、立派なアラブ人からは尊敬されまた愛された。アラファトさえ彼と戦ったのは光栄だったと私に言ったことがある。」

モーシェ・ダヤン(ウィキペディア)

仏原爆実験の忘れ物

中東の核関連の話ですが、こちらはずいぶん昔の話で、また地理的にも遠く離れたアルジェリアの話です。

28日付のal quds al arabiは仏実権の忘れ物が極めて危険な状況にあり早急な対策が必要と報じています。

要点のみ。

「アルジェリア南部のサハラ砂漠には未だに有刺鉄線と『危険』と書かれた標識が立ている。

首都から2000kmの距離にあるここでは、1960年代に13回の核実験が行われたが、忘れ物は以上の2点にとどまらず、多くの核廃棄物が放置されており、また空中には依然として高濃度の放射能が検知されている。

最近ここを訪れた仏の独立核研究者は、これらの廃棄物が周辺の人間及び環境に深刻な影響を与えている、として早急な対策の必要性を強調した。

2007年にアルジェリアを訪問したサルコジ大統領は、この問題を検討するために両国間合同委員会を設置することに合意したが、現場の危険性はその結論を待ってはおられない状況にあるようだ」

対イエメン援助

28日の al quds al arabi は、サウディが先般のロンドン会議での約束に従ってイエメンへの援助10億ドルの供与を決定したと発表したと報じています。

それによると、これまでサウディ開発基金がイエメンの当局との間で9件で640百万ドルのプロジェクトに署名し、現在リヤドで開かれている援助会議で残りのプロジェクトについても署名されることになっている由です。

イエメンに対する援助はイエメンに存在する「アラビア半島アルカイダ」と言う組織に対するイエメン政府の戦いを支援する意味が強く、この組織はサウディのアルカイダとイエメンのアルカイダが合体したものであるだけに、サウディにとってもいわば半分自分の戦い(実際サウディ軍が北部の戦いに加わり、サウディ軍兵士約140名が死亡している)と言えるかと思いますが、それにしても流石サウディ、太っ腹ですね。

イスラエル空軍の新しい訓練

28日付のjerusalem post はイスラエル空軍が遠距離行動の必要性にこたえ危険な給油訓練を始めたと報じています。訓練の目的は対イラン軍事行動の可能性であることは明らかですが、どうにもきな臭い匂いがします。

要点のみ

「イスラエル空軍は遠距離作戦で給油を速やかに行う必要のある場合に備えて、地上にある軍用機のエンジンをかけっぱなしのままで給油する訓練を始めた。

通常軍用機は地上で給油する場合にはエンジンを止めて行うが、急速給油の場合を考慮しての極めて危険な訓練であるが、目標はイランに対する攻撃に備えてである。

他方、イランは20%まで濃縮したウランを殆ど総て地上に持ち出すと言う不思議な行動に出て(何しろ地下格納に比べたら各段と空襲に弱い)欧米の情報当局を悩ましているが、その理由についてひとつの説は地下の格納能力が限界にきたというものであるが、なぜ危険を冒して殆ど全部のウランを地上に移したのかの説明にはなっていない。

もう一つの、うがった見方は、これでイスラエルの気を引いて、故意に攻撃させようと言うもので、イスラエルが攻撃すれば総てのイラン人を政権支持に固め、大統領選挙後不安定となっている内政が一気に引き締められるというものである。」

花の輸出とタイ労働者

28日 のjerusalem post は、イスラエルの花の輸出が今年のバレンタインデイのシーズンには昨年比で30%のマイナスで、農民組合がその原因は政府が約束したタイ労働者の入国を認めなかったので、十分な労働力がおらずに需要に応じられなかった事であるとして、政府を訴えるという脅しをしていると報じています。

中東の国にとって欧州への生花の輸出は大きな輸出産業になりつつありますが(バレンタインデイに花を贈る方がチョコレートよりは麗しい気がしますが、矢張り日本は何処かの商魂たくましきチョコレート会社のせいで、チョコレートなのでしょうね。)、イスラエルで労働者不足でタイの労働力に頼るとはキブツの国も堕落したものです。

所で、昔は欧米のみならず日本の若い人もイスラエルの宣伝に乗せられて、キブツにボランティアでの勤労奉仕に行ったものですが、最近でもそういう人たちは居るのでしょうかね?

何しろキブツはイスラエル建国の原点ですから、個人的には最近の報道によれば、そのキブツもキブツ員が全員平等で自ら額に汗して農作業に取り組むよりは、労働者を雇って経営するところが増えたと聞いて若干寂しく感じています。

レバノン大統領のロシア訪問(ヘリコプターの供与)

27日付のイスラエル紙はレバノンのal nahar紙を引用して、スレイマン・レバノン大統領は同国の大統領として始めてロシアを数日間訪問して26日帰国したが、訪ロ中にロシア製の新型ヘリコプターMi24ヘリコプター10機を購入することとなったと声明したとのことです。

それによると当初ロシアはMi29タイプの戦闘機を売却したかったが、レバノンとしては新型ヘリコプターとその搭載する最新型ミサイルが欲しかったとのことです。

ミシェル・スレイマン(ウィキペディア)
Mi-24 ヘリコプター (ウィキペディア)

戦争会議の開催?

27日付al qods al arabi は、『戦争会議の開催」と題して、ダマスカスで行われた3者会談について報じている所、名前が極めて穏やかではないが、記事の要点のみ次の通り。
「ダマスカスでアサド、アハマディネジャード両大統領及びヒズボッラの指導者ナスラッラの3者会談が行われたが、会談ではイスラエルの3者のうちだれかに対する軍事行動の場合、誰がどのような役割を果たすかという具体的な問題を検討したいわば戦争会議とでも名付けるべきものであった。
会議のタイミング、その検討内容、及びその後の発表の仕方は、新しい戦略的同盟が形成され、それがイスラエルー米国枢軸に対抗するものであることを明らかに示している。
アハマディネジャードはこの春か夏にはイスラエルが攻撃を仕掛けると考えているが、ナスラッラはイスラエルがレバノン飛行場、発電所その他の重要施設を攻撃した場合には、ヒズボッラがイスラエルの同じ施設を攻撃すると声明している。
このような調子の発言と自信はこれまでアラブの指導者からは感じなかった所で、イスラエルとの関係は新しい段階に入ったかと思われる。
シリアはクリントン長官からの呼び掛けに反対して、イランとの関係強化の道を選んだ。
クリントンはシリアに対してイランから距離を置くことを求めたが、その見返りを何も示さなかった。シリアは湾岸戦争では間接的に米国等に協力し、その後もテロと戦う姿勢を示してきたが、米国からは何の見返りも来なかった。
これに対してナスラッラが堂々とダマスを訪れ、アハマディネジャードがスンニ派のモス(オマイヤモスクのことか?)で礼拝したとかは前代未聞のことである。情勢の進展は極めて急激である」。

アルジェリア警察の精神問題

27日付al qods al arabiは、25日警察長官が部下に射殺されたことを受けて、27日内務大臣が警察の将校党は今後定期的かつ強制的に心理テストを受ける必要があると決定したと報じています。
同紙によると、アルジェリアでは警察長官の射殺事件の他に、仕事の圧力から経過で自殺するものが出ており、この際強制的かつ定期的な心理テストを義務付けたものとのことです。
なおこのテストは(当たり前のことですが)完全な秘密裏に行われ、問題のあるものは治療を受けることになるが、警察の中で精神的に問題を抱えているものが多く居たことについては、前から警告が発せられていたとのことです。
アルジェリアでは長いことイスラム過激派と軍、警察との間で、激烈な殺し合いが続いていましたが、現大統領になってからは、その政策変更もありかなり落ち着いてきたと理解されていますが、ここにきて警官の中に多数の精神的不安定者が居るとは、一体何が起きていりうのでしょうか?

南イエメンでの非常事態宣言

27日付のal jazeerah は南イエメンのdha-lia州(注:アラビア語から音訳のまま)で27日朝から非常事態宣言を実施したと発表した。
この非常事態宣言は南部運動が南イエメン全土でデモ行進をするように呼びかけたことに応じて行われたもので、また25日警官が南のアブヤン州で射殺され、1週刊の間に殺された警察官は4名に達した由。
イエメンは北部のシーア派の部族の反乱に加えて、南部でも分離独立、またはより大きな自治を求める住民と当局は衝突していましたが、どうも情勢はさらに悪化しつつあるという印象を受けます。
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