中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ミニ解説(中東和平) 

最近中東和平に関する記事を2〜3書いたので、この辺で中東和平が何を話し合っているのか(または話そうとするのか)について、日頃あまり中東のことに関係ない人のために解説しておきます。若干初歩的過ぎるので、大方の方は読み飛ばしてください。
中東和平と言えばイスラエルとアラブ諸国の間の和平問題ですが、これまでにエジプト、ヨルダンはイスラエルと平和条約を結んでおり、現在の問題はパレスチナとシリアです。このほかレバノンの問題もありますが、レバノンについてはイスラエルは全面撤退しており(尤もヒズボラはこれを否定しているが、国連等は全面撤退と認定)ヒズボラの問題を除けば実質的な問題はない。他の問題が片付けば、ほぼ自動的に和平が実現すると思われる。
その和平の基礎となるのは国際的にすべての当事者から受け入れられている安保理決議242(67年戦争の後安保理が包括的解決の為に採択した決議)ですが、これまで決議をめぐっては決議がイスラエルの全占領地からの撤退を求めているか否かが最大の争点でした。わが国も含めてほとんど全ての国が、当事者が合意する一部の例外を除く全面撤退が求められるとの意見ですが、イスラエルはこの解釈に継続して反対してきた。
シリアとはゴラン高原等の領土の返還問題があるが、その範囲(おまけに昔交渉した当時は極端にいえば、差は数メートルの問題であったという評さえあるほど)が問題となるだけで政治的意志さえあれば、いつでも解決可能(それがないからここまで解決していない)と考えらエルが、問題はパレスチナです。
パレスチナ問題が、中東問題の発端の問題で、正に中東和平の根幹なだけに、その解決はまことに難しいものがあります。それらの問題について、単純化しすぎるきらいはあるが、できる限り単純化して説明すれば次のようなところです。
領土:67年戦争でイスラエルが占領したヨルダン川西岸(以下西岸)とガザが問題ですが、このうちイスラエルはガザからは撤退したが、西岸とともに未だに実質的に管理下に置いている。
このうち和平のためにガザからの撤退には問題はないが(撤退済み)西岸が問題で、イスラエルの宗教・右派勢力の存在に加えて、入植地が増殖を重ねており、どこまで撤退するかが問題。これがオバマが入植地の凍結を主張した理由。
エルサレム:占領地のうち東エルサレムはイスラエルは自国領に編入、永遠の首都と規定。勿論パレスチナ側は東エルサレムの返還とそれを首都とすることを主張。
難民:パレスチナ難民には48年戦争の難民とその子孫と67年戦争の難民と子孫の2があるが、いずれにしてもその帰還問題が最大の難題のひとつ。国連決議では難民は自分の住んでいた土地への帰還か金銭的補償を選べることになっているが、イスラエルはイスラエルへの帰還には断固反対、金銭的補償も国際社会がするべきとの立場。
イスラエルの安全保障:返還するパレスチナの地を非武装とするか、イスラエル軍の保障駐留を認めるかという問題
水問題:水資源に乏しい中東では水問題は深刻
パレスチナ独立国家:イスラエルは伝統的に反対してきたが、21世紀に入り国際社会の意向もあり、これを認める方向。問題はどの程度の主権制限を要求するか。  

サウデイアラビアとイエメン

24日のal jazeerah は最近のイエメン情勢について次のように報じています。そういえば、たしか28日にロンドンでイエメン問題に関する国際会議があることになっていましたが、どの程度のレベルでどこが出席するのでしょうかね?
「サウディの国防次官khaled sultan(注:sultan皇太子兼国防大臣の息子。国王や父親が初代国王の異母兄弟で、第2代目のサウディ王室の指導者とすれば、第3世代の有力指導者の一人。昔からサウディ軍に関係していた)は、イエメンのホーシーグループとアルカイダの関係を示す証拠はサウデイ軍の作戦を通じては発見されなかったが、両者の間に関係があり、アラビア半島を不安定化すると言う同様の目的を有していることに間違いはなく、今後ともサウディは半島安定化のためホーシーグループと戦っていくと述べた。これまでの戦闘でサウディ軍に113名の死者が出ている。またサウデイ軍はこれまでにその領土内及び国境地帯からホーシーグループを駆逐したと言われている。
他方大統領親書を持ってイエメンを訪れていたエジプトの外相は、来る28日のロンドン会議で、エジプトは政治的にイエメンを全面支援すると述べた」

次のイスラエル攻撃はレバノン?

最近レバノンとイスラエルとの緊張が伝えられていますが、24日のhaaretzは最近の両国関係について次のような記事を書いています。
なお、その関連ではヒズボラが所持するミサイルのうち長射程のものを北部レバノンへ配置換えしていて、彼にヒズボラとイスラエルが衝突すればレバノン全土を巻き込んだ大規模なものになると危惧する報道もありました。なお、2006年のイスラエルに依るヒズボラの軍事力除去を目的とした南部レバノン侵攻では、ヒズボラの保有するミサイルを最後まで制圧できずに、北部イスラエルに多数のミサイルが飛来して、相当多くの被害が出て、イスラエル内でも作戦に対する批判がありました。いずれにしても射程の長いミサイルを北部に配置転換することは、2006年後のヒズボラ所有ミサイルの改良及びイスラエルの壊滅作戦からなるべく離れた所に置くと言おう意味で、軍事的には理にかなった行動かと思います。

「イスラエルの閣僚がイスラエルはヒズボラと軍事衝突するだろうと言う発言があった直後に、ネタニアフ首相はイスラエルは現在レバノンに対する軍事行動は計画していない、としてこれを否定した。
一つの背景としては先週バラク国防相がひぞボラに対して挑発行動をしないように警告したことがある。またアラブ紙が伝えるところに依るとシリアとレバノンはイスラエルの軍事行動に備えて厳重警戒態勢にあるとのことである。
t因みにヒズボラはシリア経由でイランからミサイルの供与を受けており、射程の長いものでは300kmのものもあり、このミサイルはテルアビブ及びエルサレムを射程距離内に入れている」

トルコのアルカイダテロリスト逮捕

23日付jerusalem post は、トルコ警察がトルコ全土でアルカイダのテロリスト摘発に乗り出し120名を逮捕したと報じていますが、同紙に依ればトルコ警察は先週金曜日にもイスタンブール等の大都市で同じくアルカイダ狩りをして約40名を逮捕したとのことです。
また同紙は、トルコ軍はアフガニスタンのNATOの持ち回り指揮を11月から引き受け、アフガニスタン駐在トルコ軍を約2倍にして1750名に増員したばかりとのことです。但し、このこととアルカイダ摘発との関連性は不明です。
トルコは長いこと世俗的近代国家を目指して、軍の強力な指導の下にありましたが、最近では中東一般のイスラム回帰現象の影響か、穏健イスラム政党が政権を握り、軍の勢力を抑え込んできました。
なお、トルコでもアルカイダの勢力は存在することは間違いなく、2003年にはイスタンブールの英国総領事館の爆破等大規模なテロ事件が発生しています。

中東和平(イスラエル紙の記事)

23日付haaretz紙は、「国連事務総長が中東和平について憂慮を表明した」と題して、最近の中東和平を巡る動きを報じているが、オバマ大統領が和平の障害は予想以上に大きかったと語ったと伝え、この1年の動きを総括しているのではないでしょうか?

オバマとしてはミッチェル特使を送り込んだり、若干の手は打っているようですが、正直言って打つ手がないと言うのがこの1年経ってやっと見つけた現実なのでしょうか?

要旨のみ次の通りです

『国連事務総長は国連の会議で、パレスチナ・イスラエルが早急に和平交渉を始めることを逍遥して、交渉の遅れは和平への動きを止めかねないと警告するととtもに、イスラエルの入植地建設、特に東エルサレムの動きが和平の障害となっていると述べた。
これに対してイスラエル政府は国連は問題の本質を読み損なっていると批判した。

またオバマ大統領は再度ミッチェル特使を送ってきたが、彼に対してネタニアフが米国に対してヨルダン川西岸におけるイスラエルの軍事的プレゼンスを要求したことが、彼の任務をさらに困難にした。

またオバマ大統領は、中東和平の障害を過小評価していたことを認め、この1年の動きに失望を表明したが、和平の最大の障害はイスラエル、パレスチナ双方ともに内部の意見が分裂していて交渉に入る態勢にないことであると述べた。』

ヨルダン川西岸地区(ウィキペディア)
ジョージ・ミッチェル(ウィキペディア)

イエメンの入国査証

le monde 、al jazeerah等多くの外国マスコミは21日、イエメンがこれまで外国人観光客に対して空港での査証取得を認めていたのを、治安改善の日まで取り止めたと報じています。

それらの報道によると、イエメン政府はイエメンでアルカイダより訓練を受けたナイジェリア人のデルタ航空爆破未遂事件以来、テロリスト摘発のために国際社会から大きな圧力を受けており、今回の措置もこのような圧力の下で取られた措置だとのことです。

また英国はイエメンへの直接航空路を当面凍結したとのことです。
イエメンについては今後ともテロとの関係でいろいろなニュースが流れてくると思いますが、取りあえず。

在日イエメン大使館

仏のブルカ禁止

21日付のThe economist “The war of French dressing” は、仏議会で湾岸アラブ諸国等で女性が眼だけ出して頭からすっぽり黒ずきんをかぶる服装のブルカを仏では公共の場で禁止しようとの法案が提出される見通しとして、仏の世俗政策と表現の自由または宗教の自由との関係についての論説を掲げています。

それによれば、祭政分離で世界で最も厳しい政策をとる仏(注。この点に関しては、世界で最も厳しい政府の宗教からの分離を実行しているのが仏の他にトルコと日本です。そのうち仏とトルコについてはこの様な厳しい政策は人権侵害との批判があるのに対して、日本では往々にして更に厳しい祭政分離を求める勢力が人権団体だったりすることが面白い所です)では、これまでも公立学校等において宗教的なシンボルを身につけることが禁止される等、過度のイスラム主義の服装に対する取り締まりが厳しくなりつつあったが、ブルカの禁止についても賛否両論があるそうですが、禁止論者は意気軒高だそうです。

ブルカ(ウィキペディア)
政教分離原則(ウィキペディア)

生物兵器とテロリスト(イスラエルの演習)

21日付のhaaretz はイスラエルで先週生物兵器に依るテロに対する大規模な演習が行われたと報じています。それによると、設定として故意にスモールポックスにかかったテロリストがイスラエルに潜入したという仮定での演習だそうですが、その演習には30カ国が参加したとのことです。
なお、Hに依るとイスラエルは全国民に必要なだけのスモールポックスのワクチンを有しているが、問題はテロリストが国民に対するワクチン接種の前に潜入することだそうです。
それはともかく、今回の新型インフルエンザでもワクチンが余った欧州に比べて(この点BBc等ではWHOの一部が製薬会社と結託して、流感の被害を誇大に流して、ワクチンを必要以上に多く造らせた、との疑いが生じて関係国が調査中とのことです。イラクに対する石油と食料プロジェクトでも国連の職員が不正を働いた疑いがありましたが、国連といてtも所詮は人間の組織です。悪い奴、と言うか誘惑に弱いやつはどこにでもいるのでしょうね)日本はワクチンが不足と言うことで、大騒ぎをしていました。
なにしろ、生物、化学兵器のテロリストのよる使用では、日本は最先端国(オーム真理教事件)ですが、果たしてその教訓がどの程度歴代政府に取り入れられているのか、はなはだ心もとない所です。
こう言うところに監視の目が行きとどかないと言うのが日本の政治の最悪のところと思いませんか?

米国上院補欠選挙とネタニアフ

わが国のマスコミも米国のマサチューセッツ州の上院議員補欠選挙で、これまで長年民主党が抑えてきた議席が共和党に奪われたことを報じていますが、いずれも問題としてはオバマ大統領の医療保険改革が難しくなる可能性が出てきたとの論調かと思いますが、流石イスラエルの新聞は全く別の(と言うかイスラエルの利害の)観点から、この結果を論じているところ、同じ結果が見る人が違うとなるほど全く別の視点と言う者があるな、と言うご参考として次の通り。
「上院議員選挙のオバマの負けは同時におネタニアフの勝ちである。オバマは今後ますます共和党との関係に配慮せざるを得なくなり、特に中東の問題でイスラエルの意向に反したことを押し付けることは困難になった。
イスラエルで米国政治に最も通暁しているのはネタニアフで、彼はオバマの入植地凍結の要求に最低限のところでお付き合いをしながら、おまけに現在のミニマムの凍結措置も10カ月という期限を切ってあり、その期限は丁度米国議会選挙に合わせてあり、その選挙では民主党は大敗することが予測されている。
オバマは最初の1年間で中東和平交渉を再開することに失敗し、和平の貴重な機会を失ったとの評がある。なにしろ今後オバマは共和党の意向を無視しては動けなくなり、それは基本的にネタニアフの利益だからである」。

イスラエルのOECD加盟問題

20日付のhaaretzは、イスラエルの加盟申請を審査してきたOECDの報告書に依れば、加盟の最大の障害はイスラエルの貧困で、加盟すればOECDの最貧国になるだろうと次のように報じています。どうも我々イスラエルの軍事力とかハイテクに目を奪われ、その基本的な経済的な遅れをあまり認識していなかったようです。
正直言って、韓国に比べてもイスラエルの方が貧困であること、またアラブ系に比べても超正統派のユダヤ人の方に貧困者が多いと言うことには気がつきませんでした。
「イスラエルはOECD加盟国に比し貧困で社会的な格差が大きい。
イスラエルの5人に一人はOECD平均の2倍以上貧困である。貧困の多くはアラブ系と超正統派ユダヤ人で、前者は50%、後者は60%が貧困の範囲に入る。」
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