中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

アルジェリアの大雨被害

0c8fef0b-5c77-4106-993a-a2805b0f0c46_16x9_1200x676[1]これは台風に直撃されたフィリピンの写真ではありません。

アルジェリアのコスタンチナ県(確か東部海岸だったと思う)で、19日夕、大雨に見舞われ、2名死亡5名負傷、多数が行方不明になっているとのことで、また家屋等に対する被害も甚大とのことです。

今年は世界中で異常気象が続き、欧州や中東でも酷暑と旱魃に見舞われましたが、今度は大雨被害です。

イドリブ情勢

シリアのイドリブに関し、非武装地帯を設ける等で、プーチンとエルドアンが合意して以来、現地では基本的に静穏が続いている模様です。

尤も、反政府派は、これまでも政府軍は停戦等を守ったためしはなく、今回も方々で小規模の攻撃をかけているとしている模様ですが、少なくともロシア軍機は空爆を停止しているようで、また政府軍機の活動も報じられてはいない模様です。

このような状況を背景に、al jazeea net は「イドリブ合意は戦闘状態の終了に道を開くか?」などと言う、いささか気の早い記事を載せていますが、中身は、住民は反政府軍が、特に非武装地帯から重火器を撤去した後に、政府軍が入り込んでくるのでは?と危惧しているとか、これに対してトルコ外相が、イドリブ合意の結果は現地の線引きは変わらないと語ったとか、イドリブ合意はシリア国民の願った平和ではないとか、他方トルコは合意を実施させるだけの実力を維持しているとか、種々の「専門家」の見方を紹介しています。

まあ、取りあえずは様子見というところなのでしょうが、他方al arabiya net は、イドリブからトルコ国境方面とかに避難していた国内難民(国連等の推計では30,000名に上る由)のうち、シリア人権網によれば、イドリブ合意の署名後48時間以内に、既に7,000名が彼らの住所に戻ったとしていると報じています。

まあ頼りない情報ではありますが、現地住民の目から見ても、当面直ぐ大規模攻撃が行われることはなくなったということなのでしょうか?

ロシア機の撃墜問題(余波)

ロシア機の撃墜問題は、未だ未だその余波が続いている模様で、アラビア語メディアから若干取りまとめたところ次の通りです。

とくにal qods al arabi net は、陰謀論の花盛りのような、種々の穂情報を集めていますが、仮にイスラエルがロシア側に対して、疑心暗鬼を抱かせることを目論んでいたとすれば、大成功というところなのかもしれません。

・イスラエル国防軍(IDF)は、空軍司令官を長とする使節団が、この事件に関するイスラエル側の調査結果をロシア側に提示するために、20日モスクワに向かうと発表した。
また声明は、使節団はロシアに対して、イランの継続的なシリアへの武器持ち込みの実態についても、説明することになるとしている。

・他方、「今日のロシア」によると、ロシア副首相は19日、シリアのロシア基地hmeemeem (空軍基地)とタルトゥス(海軍基地)は、そのその防空力を高めるために、最新型の電子監視システムが配置されることになったと語った由。
(確かこれらの基地には既にS400かS300地対空ミサイルが配置されているはず)

・一方で、al qods al arabiya net は、ラタキアのシリア防空軍がS200でロシア機を撃墜した余波が広がっているとして、次のような話を報じている。
どこまでが事実で、どこからが情報戦かは知らないが、興味深い話ではあります。
    シリア筋は、ロシア軍憲兵隊が19日朝、ラタキアの防空第44大隊に踏み込み、先日のS200の発射に関係した将校、下士官、兵士を逮捕し、hameemeem 基地に連行し、そこに牢獄で尋問していると語った。
この情報は反政府軍が確認したが、政権に近い軍事筋は完全に否定している。
    他のシリア政府に近い筋は、事件は錯誤の連鎖であったとしながら、もしかするとイランが背後でロシア機の撃墜を望んだかもしれないとしている。
    また別の退役軍人は「今日のロシア」に対して、事件はロシア軍内にプーチンやロシアに対してではなく、イスラエルに忠誠を誓う軍人グループがいて、軍内の高いレベルで、イスラエルのための情報操作があった可能性があるとしている。

ロシア機撃墜後のロシア・イスラエル関係

ラタキアに対するイスラエル機の攻撃と関連して、シリアの防空部隊が誤ってロシア機を撃墜したことから、今後のシリアを巡る両国の関係が注目されているところ、al qods al arabi net はイスラエル紙イディオノット・アハロノートの軍事評論家が、この問題について書いた評論を載せていると伝えています。

それによると、プーチンも撃墜したのはシリア軍であったことを認め、またネタニアフもロシア兵の死亡について残念の意を表明し、当時の状況についてプーチンに詳しく説明し、今回の事件の調査の結果はロシアにも連絡すると約束したことから、今回の事件はイスラエルのシリアに対する今後の攻撃には影響を与えないと思われるが、イスラエルはその軍事活動につき、ロシアとより密接に調整することとなろうとしている由。

さらにこの専門家は、今後の両国間の問題は、シリアの対空ミサイル近代化問題で、ネタニアフ首相はプーチンに対して、シリア軍にS300やS200の近代化されたミサイルを引き渡さないように、説得を続けることになろうとしています。

これまでもロシアのシリア軍へのS300供与は度々話題に上ったが、ネタニアフはトランプの協力も得て、これまではプーチンが供与しないように説得することに成功してきたとのことです。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/9/19/أنقذوا-الأطفال-المجاعة-تتهدد-5-ملايين-طفل-باليمن

ロシアの地対空(対ミサイルも含む)防衛システムについては、既にイランがS300を導入し、トルコがより新型で射程の長いS400の導入を進めようとしていて(米国が猛反対しているが、それにもかかわらず、エルドアンは2019年導入の方向で動いている模様)、更に、カタールもS400の導入に関心を示していると伝えられています。

そこにきて、さらにシリアに対するS300の供与問題が浮上してきている訳で、中東は正しくロシアのミサイルの重要な市場になりつつある感がしますね。

イエメン漁民の死(ホデイダ)

アラブ連合の支援を受けた政府軍等が、西部地域の最重要港ホデイダ攻撃を再開したことは先に報告した通りですが、攻撃された目標になかに海軍学校も含まれていた模様です。

それと、何らかの関連がありそうなのが、al jazeera net の伝える、イエメン漁民の死です。
記事によると、18名の乗った小舟艇(漁船)が、ホデイダの近くの海で、アラブ連合により攻撃され、彼らが死亡したとのことです。

それ以上の詳細は不明ですが、おそらくアラブ連合空軍にhothy海軍の舟艇と見間違われて、攻撃されたのではないでしょうか?
何しろアラブ連合空軍が誤認爆撃は得意ですから。

大統領選出問題(イラク)

イラクでは、総選挙の後すったもんだの挙句、ようやく議会議長が選出されましたが、今度は大統領の番です。

(イラクでは、議会議長はスンニ派、大統領はクルド、首相はシーア派からとなっているところ、この順番に権限が増えてゆく…敢えて言えば重要なのは首相ポスト!・・・ところ、議長でさえ、あれだけ揉めたのだから、今後まだまだすったもんだが続くのではないでしょうか?)

大統領選出問題について、アラビア語メディア は、議会議長が大統領選出に関する特別委員会を設置し、候補者の審査等を始めるとしています。

またこれまで立候補の意図を表明した(ということでは正式の立候補ではない?)のは
saradar abdallah,latif rashid,mllah bahatar,fadhi mirani,burham salem,salim shushiki の6名とのことです。

他方、al qods al arabi netは、クルド勢力間のこれまでの取引では、イラク国家の大統領はこれまでの大統領タラバニの属する「クルデスタン祖国同盟党」から、クルド自治区の大統領はバルザニの属するクルデスタン民主党から出ることとなっていた由。

しかし、先般のクルド自治区を巡る独立問題等でのバルザニの退場、そしてその後の改正でのクルド自治区の大統領職の廃止(権限はクルド自治区の諸大臣とクルド自治議会の間で配分された由) のため、クルデスタン民主党は選挙結果に基づき、イラク政府の大統領職を狙うとしている由。

これを報じるal qods al arabi net は「イラク大統領を巡る戦いが、タラバニとバルザニの党の間で燃え上がった」と見出しをつけていますが、確かイラク・クルド地区では、イデオロギー等の問題はあるも、長いことバルザニ家とタラバニ家の確執、競争がその核心であった(要するに部族社会の、有力家族の支配の構図)という側面が強い模様で、今後、中々スムーズに大統領選挙が行われるのか危惧されるところです。

ロシア機撃墜の余波(プーチンの反応等)

ロシア機のラタキア沖における撃墜(シリアの防空網によるもの)については、ロシア国防省がイスラエルを非難し、何らかの報復を示唆する等、イスラエル・ロシア関係が緊張しましたが、プーチンの発言で、どうやらとりあえず問題は下火になった模様です。

アラビア語メディア及びhaaretz net 等は、プーチンが記者団に対して、この事件は悲劇的なものではあったが、撃墜したのはシリア防空網で、イスラエル機ではないと語ったとして、haaretz net はプーチンがイスラエルの責任を否定したと報じています。
またロシアがとるべき対応措置については報復の権利は維持するも、当面の措置としてはシリアのロシア軍の防空能力の強化であるとした由。

他方、ネタニアフは、プーチンに電話をして、ロシア兵15名の死亡に遺憾の意を示しつつも、ロシア機の撃墜はシリア防空軍によるもので、イスラエル機は関係しておらず、撃墜された当時はイスラエル機は本国に帰還する途中で、当該空域には居なかったとして、イスラエ機がロシア機を隠れ蓑として使ったとのロシアの説を否定した由。

また、ロシア空軍の元将軍等は、シリアの保有するS200地対空ミサイルは旧式で、更新が必要となっているが、問題はシリア軍の訓練で、彼らは味方と敵も区別できないと語った由。

更に、情報としてイスラエルからの事前通告の時間的余裕が十分であったか否かの問題はさておいて、事前通告は「1分前」よりはかなり前にされていたとした由。

また、ロシア国防省だったかが、仏のフリゲート艦が、艦対地ミサイルをラタキア向けに発射したとしたことに対しては、在米仏大使が完全な捏造であるとして、ロシアの非難を否定した由。

他方イスラエル機の目標については、シリア人権網は、弾薬庫であるとしているが、これが政府軍のものかヒズボッラー等イラン関係のものかは不明。
取りあえずは、これ以上イスラエル―ロシア関係の緊張は抑えられた模様ですが、今後の問題としてal jazeera net などはイスラエル機のシリア上空での活動は制約されざるをえまいとしています。

また上記の通り、ロシア空軍幹部の間にもシリア防空軍の訓練等にかなり大っぴらな批判があるようで、またS200が旧式で更新の必要があるとしたことから新型ミサイルの供与問題等も出てくべく、この問題は今後ともまだまだ尾を引くかと思われます。

ロシア機の撃墜(ロシアのイスラエル非難)

ロシア機がラタキア沖合の海上で(シリア政府の対空砲で)撃墜されたらしいことは、既に報告済みですが、アラビア語メディア及びイスラエル・メディアは、いずれもロシアはこの事件にはイスラエルに責任があるとして、モスクワ駐在のイスラエル大使を招致して説明を要求したと報じています。
(ロシアも撃墜したのはシリアの防空部隊であることは受け入れている模様)

それによると、ロシア国防省のイスラエルに対する非難は2点で、一つはこのような攻撃を、ロシアに通告したのは実際に攻撃を行う1分前だったこと、もう一つは4機のイスラエル機がロシア機の近くを通ったので、シリア防空網が誤ってロシア機を標的にしたということで、イスラエルは重大な挑発行為を行ったということのようです。

またynet news によれば、ロシア国防相はイスラエル国防相に対して、事件に関しては、イスラエルにすべての責任があると非難したとのことです。

現在までのところイスラエル政府の反応は不明ですが(何しろ、そもそもイスラエル機がラタキアを攻撃した事実すら確認していないのだから)、haaretz netは、ロシアの抗議はそのメンツを保つための工作であるとコメントしています。

シリア上空での米等有志連合機、ロシア機、政府軍機が比較的狭い領域で入り乱れて活動していることは、事故や誤認識による事件の危険性が強いことは、前から指摘されてきたところで、これまではかろうじてそのような事故が起きなかっただけのことかもしれません。

但し、ロシア軍と米等有志連合、およびイスラエル軍は相互にそれぞれの活動を事前連絡している模様で、今回もロシア国防省によれば、攻撃の1分前に通告があったとのことです。
事実関係は勿論不明ですが(おそらく今回はイスラエルもかなり詳細な時系列を公表せざるを得なくなるかもしれない)、攻撃の1分前と言うのが事実ならば、確かに極めて挑発的な行為ですが、おそらくそんなことはなく、時間的には常識的な余裕をもって通告されたが、何らかの理由で現地の航空機にその辺が連絡されなかったというのが真相ではないかという気がしますが、勿論そのへんの事情は知る由もありません。

いずれにせよ、今後ロシアがこの問題をどのくらい国際化、深刻化するかが注目されるところでしょうか。

ホデイダ攻略戦の再開

アラビア語メディアはいずれも、サウディ等アラブ連合軍が政府軍を支援して、ホデイダ攻略戦を再開したと報じています。

それによると、アラブ連合軍は、海軍学校を含むホデイダの複数個所、特に要塞化された拠点を激しく空爆しているとのことで、政府軍等は、複数方面からホデイダの攻略を進めていて、またアラブ連合軍の海上部隊も攻撃に参加(艦砲射撃か?)している由。

一部の報道は、アラブ連合軍のホデイダ地域司令官が、今回の攻撃は前例のない激しいものだと語ったと報じています。

いずれにしても、ホデイダ攻略戦は確か7月に始められ、ホデイダ空港を占拠し、サナアとの道路も切断したと報じられて以来、ぱたりと報道が無くなるというイエメン内戦に相応しい?不思議な戦闘で(通常の戦闘では、特に絶対的な航空優勢を有している方が、空港等の戦略拠点を奪取したら、その勢いをかって、一気に攻略を進めるのが普通と思われる。2ヵ月も無為に過ごすことは、その間hothy軍の要塞化に時間を貸したようなもの!もしかしたら、報道とは違って、政府軍等の人的損失が非常に大きく、戦闘を続けられなかった可能性がある)、今回も「前例のない」激しい空爆で、、どのくらい攻略を進められるのか、疑問だが、報道のまま。

ロシア機の撃墜?(シリア)

朝方、ロシア機がラタキア上空でロシア基地との通信が途絶えた、とのロシア軍の発表をお伝えしましたが、米筋によると、これはシリア政府軍の防空部隊が間違って撃墜したと思われるとのことです。

問題の航空機はロシア軍のIL-20型機で、同機はロシア軍基地hameemeem に帰る途中、地中海上のシリアから35卉賄世如現地時間夜11時、レーダーから消えたとのことです。

ロシア軍によると現在航空機の捜索が行われているところ、14名の乗員等の安否は不明の由。

この事件に関し、al qods al arabi netは、米当局によれば、、米政府はシリア政府軍の対空砲が、誤って撃墜したものとみていると報じています。
(それ以上の詳細は不明ですが、米政府として、米軍としていないところをみるとCIA等の情報も入っているのでしょうか?)

またal arabiya net はロシア軍も、その可能性を認めていると報じています。

(更に午前中にロシア・メディアが仏フリゲートが艦対地ミサイルを発射したと報じていることを報告しましたが)シリア政府のメディアは、海上からのミサイル(クルーズミサイルか?)複数が、ラタキア、ハマ、ホムス等を攻撃したと報じている由。

詳細は上に書いた通り不明ですが、政府軍による撃墜が事実とすれば、おそらく現地の混乱の中の不作為の誤射だろうと思われますが、もしかしたら最近ロシアがシリア政府を無視して、イドリブ問題についてトルコと合意したことに対する意趣返しの可能性…まさかそんなことはないでしょうが…もあるのでしょうか?

仏艦のミサイル発射は、極めてありにくい話と思うも、取りあえず報道のまま。いずれにしても、剣呑(けんのん)な情勢になってきました。
livedoor プロフィール

abu_mustafa

最新コメント
記事検索
  • ライブドアブログ