中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

非常事態の延長と外出禁止令(エジプト)

エジプトでは、このところ大きなテロは起きていないように思いますが、治安状況は相変わらず芳しくない模様で、al qods al arabi net は、エジプト全土で非常事態が10月初めから、来年1月まで3月延長されたが、これに合わせて、北シナイ州のラファアとエルアリーシュの一部では、夜間外出禁止令が、来年1月まで延長されたと報じています。
記事は同地域の外出禁止令が延長されるのはこれで13回目だとしています。
なお、外出禁止令はこの13日から来年1月までで、禁止時間は午後7時から朝6時までとのことです。
http://www.alquds.co.uk/?p=807719
エジプト政府は盛んに治安の回復を強調していますが、この調子では、特にシナイ半島で治安が回復したとは言い難いようです(もっとも、絵jプトは確かムバラクの治世では、殆どの期間非常事態が常態化していたかと思うので、それだけで治安が極めて悪いと決めつけるわけにはいかないと思うが・・・・)







米、イスラエルのUNESCOよりの脱退

al qods al arabi net 等は、米国が11日国連お教育・科学・文化機構UNESCOから脱退すると発表したと報じています。
その理由は詳しいことは分かりませんが、反イスラエルの偏向で、UNESCOは世界の文化を守る機関ではなくなったとのことのようです。
またイスラエルのネタニアフ首相も、イスラエルも同様に脱退すると語った由。
http://www.alquds.co.uk/?p=807443
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5027682,00.html
米国は確か1983年だったかに、UNESCOの当時の事務局長が「新国際報道秩序」なるものを唱えて、欧米のマスコミが主導している世界の報道を途上国の報道をより反映させたものにする(要するに民間のマスコミの自由な活動を抑えて、政府主導である途上国のマスコミを伸ばそうとしたと解された)ことを主張し、米英シンガポールが脱退したことがあります。
このため、確か当時わが日本がUNESCOの必要資金の相当部分…25%くらいか?…を負担していたかと思います。
米国はその後いったんUNESCOに復帰しましたが、2011年パレスチナが加盟したことに抗議して,分担金の支払いを拒否しことがありました。
その意味では、米国の離脱は初めてのことではありません。
しかし、今回は前の時のような重大な問題が起きたという話も聞いていないし(おそらく種々の反イスラエルとされる決議等はあったかと思うが)、矢張りトランプの反国際主義の表れでしょうか?
まあ、こちらの方は国際政治に与える被害はそれほど大きくはないと思いますが、仮にトランプがイランの核合意から単独で離脱するようなことがあれば(西欧諸国は離脱しないと表明してるはず)、独外相ではないが、英仏独等西欧諸国と中国ロシアが共同の立場をとるという、米国の国際的孤立が明確になり、こちらの方が懸念されます。
確かトランプは13日に立場を表明することになっていたかと思います。







パレスチナ両勢力の和解合意

パレスチナについては、これまで西岸をPLO(ファタハが中心)、ガザをハマス(ムスリム同胞団のパレスチナ支部から発展)が支配し、両者間には特に対イスラエル関係で根本的な相違があり(PLOはイスラエル承認、ハマスは承認拒否)、両者の関係は対立的というよりも、むしろ敵対的なものでした。
ところがこのところ、両者間で和解の動きが強まり、双方の地域を合同して治めることに合意したかと思いますが、更にエジプト(情報局)の調停で、双方の代表団が、カイロで交渉をしていました。
昨日辺りから、どうやら和平合意に達したらしいとの報道が流れていましたが、その詳細も不明で、何しろあまりに長く深い対立があったので、どこか疑わしいという感じを拭い去れずに、特に報告もしませんでした。

然るところ、どうやら12日合意に達して、双方が署名したとのことで、アラビア語メディアの報じる合意内容は取りあえず以下の通りです。
・ガザの境界線の検問所は統一政府の管理下に入り、依然の様に大統領警護隊の警備下に入る
・統一政府の指揮下に数千の警官(現在のイン数は3000の由)がガザ全域に配備意される
・ハマスが任命した公務員は、4か月の間で統一政府の雇用に切り替わり、給料が支払われる
・統一政府が組織され、議会及び大統領選挙が行われる
・11月21日にはすべての勢力を含む拡大委員会がカイロで開かれる
・その他すべての問題点は12月までには解決される

おそらく上記の合意というのは、とにかくは合意しやすい行政事項で、最大かつ根本的な問題のイスラエルの承認問題がどうなったかは、全く不明です。
この点に関して、イスラエル政府は公式の声明で、最重事項は国際合意を守か否か、イスラエルの承認問題とハマスの所有するミサイル等の武器の問題であるとして、地下トンネルの掘削、ミサイルの製造およびテロの支援は4か国合意に反するとして、今後ともイスラエルに対する敵対行動が行われれば、ハマスの責任とみなすと表明したとのことです
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/10/12/فتح-وحماس-توقعان-اتفاق-المصالحة-بالقاهرة-برعاية-مصرية-.html
http://www.alquds.co.uk/?p=807462

取りあえずのところ以上で、イスラエルが言うまでもなく、イスラエルの承認問題と武力抵抗問題をどう調整するかが、最大の問題で、どこまで合意されているのかは不明です。
場合によってはこの問題でせっかくの合意がご破算になる可能性もなくは無いかと思います。
但し、ムスリム同胞団を敵視するエジプトがガザのハマスに大きな圧力をかけてきて、イスラエルの圧力と相まって、ガザの生存環境が脅かされる程度にまで悪化していることは事実のようで、またPLOにしても幹部等の腐敗が囁かれ、パレスチナ人民の信頼を失っていて、西岸でさえ最近ではハマスの人気が高まっているようです。
特に西岸、エルサレム等ではネタニアフ政権の強硬な抑圧政策が、さらに強化されているようで、またトランプ政権もオバマ政権とは異なり、パレスチナ問題解決のために真剣な努力をするつもりはなさそうです
そのような状況で、ともに危機感を強めた両政権が、エジプトの調停で和解に動いた(イスラエルとの関係やパレスチナ問題では、しばしば外務省ではなく、情報局が主たる役割を担った来た)ということだろうと思いますが、矢張り問題は根本的な対立点をどう調整するか、できるかということだろうと思うので、未だまだ楽観はできなそうな気がします










ロシアのシリア将来計画(アラビア語紙の記事)

al arabia net は、これもサウディ系のal sharq al awsat 紙を引用して、ロシアは将来のシリアの政体については、ロシのような連邦制を考えており、今月末にその空軍基地hameemeemに関係者を集めて、アスタナ会議のフォローアップをしようとしていると報じています。

面白そうな記事(これまでのロシアの立場等から見てありえそうな話でもあり)なので、件のメディアのネットを当たって見ましたが、探し方が悪かったのか、新聞ということもありまだ出ていないのか、とにかく取りあえずは見当たりませんでした。
記事の要点は以下の通りですが、YPGを中心とするクルド勢力に大きな役割を期待しているというところは、このクルド勢力が米国に支援されているところから、仮にロシアがこれを頼りにすれば、YPGは強力な後ろ盾を持つことになりますが、トルコがどのような反応を見せるかの問題が出てきそうです。

「ロシアは、将来のシリアは自国と同じような連邦制になることが適当と考えていて、今月29日にその空軍基地hameemeeem でシリア関係各派を集める会議に、その責任者を出席させることとしている。
al sharq al awsat紙は、シリアの反政府派は、このアスタナのフォローアップの会議は、シリアの和平に関し、ジュネ^部会議(国連主導の会議)とは別の機構を作り出すと危惧している。
ロシアはラッカとデリゾルのISは今後数週間で一掃されるとみており、この会議には非戦闘地域からの代表とシリア政府、反政府派の代表の出席を目論んでいる。
情報筋によると、この会議は・シリアの現状・緊張緩和・将来の憲法・将来構想に関する交渉委員会・より広範囲の停戦を議論するだろうとしている。
そして、ロシはシリアのYPG等のクルド勢力が北部シリアでシリア領土の3分の1近くを支配し、アラブ兵もいれて70000名もの兵力を要していることから、シリア政府に対する交渉のカードとして使おうとしている」
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/10/12/موسكو-ترى-مستقبل-سوريا-اتحادياً-على-غرار-روسيا.html











シリア情勢(デリゾル等)

シリア情勢につき、断片的ながら、次の通り

・ロシア軍機等は相変わらずデリゾル地域で、猛爆撃を繰り返している模様で、地元筋によると11日、デリゾルの東でロシア機の空爆で住民が20名死亡し、数十名が負傷した由。
またboukmarの中心街を狙った空爆で、10名が死亡し、多数が負傷した由。
これらの空爆は、政府軍のal mayadeen 攻撃に合わせて行われている
・最近デリゾルに対しては440回のロシア軍機の攻撃、95回の有志連合の空爆が行われた由。

・ハマでも空爆で住民3名が死亡した

・イドリブ近郊では爆発で、住民1名死亡、2名が負傷した

・ダマスでは、市の中心の警察署に対する3名の自爆攻撃があり、2名死亡し、6名が負傷した。
ダマスの警察に対する自爆攻撃としては、最近2回目のものである。
ISのアマク通信は、この事件を報じているが、犯行声明は出していない

・有志連合報道官は、シリア民主軍はラッカの90%を占拠し、方々に残るISの抵抗ポケットの掃討作戦を行っているが、最近IS戦闘員の投降はあったものの、残る戦闘員は、死ぬまで抵抗する姿勢を見せていると語った
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/10/12/التحالف-الدولي-داعش-سيقاتل-حتى-الموت-في-الرقة.html
http://www.alquds.co.uk/?p=806698
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/11/عشرات-القتلى-في-غارات-جوية-بريف-دير-الزور-وحماة





















クルド情勢(イラク)

現在のところは相互非難程度の話で、現実に大規模な軍の移動等は見られない模様ですが、クルド問題では軍事介入の話が持ち上がってきています。
どうも剣呑ですね。

・11日クルド地域では、イラク軍がキルクークを攻撃すると脳淡さが広まった由。
・これに対して、イラク政府は、キリクーク攻撃等の意図も準備もしていないと、このうわさを否定し、クルド自治政府のためにする宣伝であろうとした由
・但し、ペッシュメルガ(クルドの民兵というかクルド自治政府の軍)は、モースルとアルビル(クルド自治区)をつなぐ道路、ニノワ県とdehoukを結ぶ道路等を、砂袋等で閉鎖した由。
これはイラク軍の侵攻に備えたものの由
・またクルド自治政府はイバーディ首相に対する攻撃をはじめ、イラクの膨大な石油収入にもかかわらず、クルド人等は貧困国のような生活を強いられているが、これまでの石油収入がどこに消え、誰が懐に入れたか調査を始めたと語った由。
また、現在キルクークは平静で、問題はなく、キルクークで何かが起これば、イバーディ首相の責任であるとした由
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/11/بغداد-ترد-على-أربيل-وتنفي-التخطيط-لشن-هجوم-على-كركوك.html
http://www.alquds.co.uk/?p=806674
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/11/بغداد-تنفي-نيتها-مهاجمة-كركوك-والبشمركة-تغلق-طرق-نينوى






イランの米に対する警告

 先ほど米国がヒズボッラーの幹部2名にかかる多額の懸賞金を発表しましたが、米国がヒズボッラーをテロ組織と認定したのは随分前からで、今頃になって、このような強硬措置を発表するのは、トランプの対イラン敵対政策の反映かもしれないとコメントしておきましたが、どうやら今週末にはトランプが対イラン強硬策(イラン核合意の破棄と革命防衛隊のテロ組織認定)を発表するとの見方がもっぱらのようで、al arabiya net はイランのザリフ外相がトランプ政権に対して、革命防衛隊をテロ組織と認定するのは戦略的な重要な誤りであると警告したと報じています。

これは同外相が、イランのマスコミに対して発言したもののようで、その場合にはイラン政府は全ての選択肢をテーブルに乗せ、必要と考える対抗措置をとると警告した由。
また、革命防衛隊司令官も同様の警告をしたことは先に報告してありますが、同司令官はイラン外務省とは密接に連絡しているが、彼らは外交的表現でイランの立場を表明しているとしつつ、イランの反応はきわめて強硬なものとなることを示唆した由。

http://www.alarabiya.net/ar/iran/2017/10/10/ظريف-يهدد-أميركا-إذا-صنفت-الحرس-الثوري-كمنظمة-إرهابية.html

確かにトランプは嵐の前の静けさと表現しており、これが北朝鮮に向けられたものかイランに向けられたものかは判然としませんが、どうやらイランでは自分たちに向けられたものとして、身構えている模様です。
やれやれ・・・・


イラクの国内避難民

イラクの場合地理的要因もあってか、シリアの場合ほど、ISとの紛争で生じた避難民が、大挙して周辺国や欧州に難民として押し掛ける事態には至っていないような気がしますが、他方国内避難民の数は多数に上っています。
国連事務総長報道官は、2014年にISが国内の広い地域を占拠してからの避難民の数は500万人を越えているが、最近のキルクークの南西部の奪還作戦で、更に増えて540万人に上るとした由。
国連としては、これら避難民の状況について深刻な懸念を表明した由。
他方イラクの移民・難民大臣は、al hawija からの避難民は9000名に達したと発表した由
取りあえず
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/10/الأمم-المتحدة-5-4-ملايين-نازح-عراقي-منذ-سيطرة-داعش.html

イエメン問題(安保理審議と新和平イニシアティヴ)

安保理は10日夕、イエメン問題の人道的側面につき審議を行ったところ、国連のイエメン特使はその後の記者会見で、国連として現在包括的なイエメン問題に関する提案を検討中であると語った由。
また、安保理はイエメン内戦の人道的側面について、重大な懸念を表明する声明を発した由。

どうもイエメンイについては、国連の特使の努力は多とすべきかとは思うも、繰り返し、繰り返し、実効性のない提案と会議の継続で、今回の包括的な提案などと言っても、多くを期待できないような気がしています。
結局はサウディが、イエメン内戦をどう決着させるかについて腹を決めて、相当程度思い切った行動をとらない限り、国連の活動は所詮限定的な効果しかないような気がします。
それにしても、国連等が支援してきたhadi大統領の「正統政府」は何をしているのでしょうか?hadiはリヤドに腰を落ち着けて優雅な暮らしをしているように見え、軍や政府首脳の首を変えても、何も変化していない感じで、他方コレラや飢餓を含めて国民の苦痛は広がる一方の感じがします
取りあえずal jazeera net の記事から(ほかには本件に関する記事は見当たらない)

・国連のイエメン特使は安保理会合後、イエメン問題の包括的解決と人道問題解決のための提案を作成中であると語った。
また現在、働きかけているのは、内戦の当事者を一堂に集めた会議の招集で、場所はイエメンの外で、おそらくジュネーブになると語った由。
・具体的な内容については、取りあえず信頼性の醸成で、そのためにホデイダ港の機能拡大や、タエズの封鎖解除、政府職員の給与の支払い等であるとした由。
・彼は安保理に対して,イエメンの3分の1の県では飢餓とコレラに苦しんでいると報告したが、特にコレラは史上最悪の規模であるとした由。
さらにテロの危険が増大しつつあると警告した由
・これに対して安保理議長は、イエメン内戦の解決のめどが立たないことに重大な遺憾の意を表明し、イエメン問題は政治解決が唯一の方法であることを確認し、総ての当事者が、これまでの安保理の決議や特使の提案を守ることを呼びかけた由。
人道的側面では、特にホデイダ港とサナア空港の活動拡大とアデン港の人道的活動への活用を呼びかけた由
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/11/مقترح-أممي-جديد-لحل-سياسي-وإنساني-باليمن
取り敢えず以上ですが、これを読んでいると、内戦開始以来、更にはサウディ等の介入以来,かなりの年月が経って居るのに、物事は何も変わっていないという感じがします。
サウディだって、もう何らかの解決の時期に来ていると感じているのではないかという気がしますが、この程度のコストであれば重大な痛痒は感じていないということでしょうか?
どうもイエメンの話を書くと憂鬱になるので、この辺で




クルド自治区問題

クルド自治区の独立問題は、これまでのところ手詰まり状態が続いていますが、イラク政府はクルドに対する制裁措置(というか対抗措置)として、キルクーク油田からトルコへの原油輸送をクルド経由から、クルドを経由しない古い油送管に切り替えることにしたとのことです。

これは、al arbiya net が報じるところですが、それによるとイラク政府は、石油関係者に対して、クルド自治区を経由しない古い油送管のチェック、補修を大至急行うように命じたとのことです
また、先に報告した通り、空港(空域)の閉鎖)の他、イラク政府資金の回収、イラク公務員で住民投票に協力したものの訴追を命じましたが、そのフォローアップをしているとともに、さらなる制裁措置も検討中の由
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/11/خط-أنابين-نفط-يربط-العراق-بتركيا-بديلا-عن-كردستان.html

現在キルクークはクルド自治政府の支配下にあり<先日の住民投票も行われましたので、キルクークの油田が具体的にどの辺にあり、現在誰の支配下にあるかは不明で、この措置の実効性については疑問もあるところですが、キルクークの帰属問題はクルド自治区の独立問題とは別個に問題になり得る問題(要するにアラブ人、クルド人、トルコマン等の混住の地)で、今後石油の話が出てくると、ますますややこしくなりそうです。







livedoor プロフィール
最新コメント
記事検索
  • ライブドアブログ