中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

自分で病院に行った犬(トルコ)

5b9cb97d0f2543029ce549ef[1]トルコではペットに関し、時々興味あるニュースが報じられていますが、hurryiet net は14日トルコの黒海のamasia地方で、ある日後ろ足を怪我をした犬が自分一人で病院に入って行ったと報じています。
(監視カメラの写真)

はじめ病院のスタッフは犬に恐怖感を覚えたが、犬が後ろ足をけがしていることに気が付いて、治療をしてやったところ、治療の終わった犬は立ち去っていったとのことです。
この監視カメラの写真が出回るとトルコでは大人気となった由。

イドリブ攻略作戦の遅延とソチ首脳会議(17日)

al qods al arabi net は、間近に迫っていたイドリブ攻略作戦を遅延させることにトルコが成功したと報じています。

それによると、トルコは軍事的な圧力と、外交努力を総合しての、ロシア、アサドに対する働きかけを通じて、ロシアに対してこのままで攻略作戦を始めることは、トルコとの関係の重大な悪化を招き、折角これまでロシアがシリア問題の政治的解決のために築き上げてきた外交、軍事的努力を無にすると説得してきた由。

その結果、数日間または数週間の攻略戦開始延期を獲得したが、ロシアが作戦を延期したことは、最近ロシア軍機と政府軍機のイドリブに対する空爆の激しさが大幅に低下していることに示されているとしています。

トルコは(これまでこのブログでも報告してきた通り)大量の増派部隊を国境地域に送り込んでいるがそれのみならず、最近イドリブにトルコが有する12ヵ所の監視所(要塞化している由)に戦車、装甲車、大砲等を含む大規模な部隊を派遣し、ロシアに対してイドリブに対する大規模攻撃が行われれば、これらのトルコ軍と衝突する可能性があることを示した由。
(トルコ軍のイドリブへの増派問題については、本日のal jazeera net が、トルコは戦車等を含む大規模な増援部隊をイドリブに送り込んでいると報じています)

軍事的にはロシア軍の方が圧倒的に優位にあるが、ロシアとしてもトルコ軍との衝突の可能性については真剣に考えざるを得ない状況の由。

トルコ側では、参謀総長が前線を視察して、トルコ軍としては、トルコの安全保障を守るために陸、海、空の全ての兵力を使用する考えであると発言している由。

外交面では、トルコの最重要な働きかけは、ロシアに対して攻略作戦を始めないことを説得することにあり、そのためにイランでの3首脳会議に出席したほか、外相、国防相、その他のレベルを通じてロシアに対する働きかけを強めてきた。

しかし、テヘランの首脳会議で、ロシアにイドリブ攻略を思いとどまることの説得に失敗してからは、更にその範囲を広げて、国際的なキャンペーンを張っている。

その最大の言い分は、イドリブ攻撃は最大規模の人道危機をもたらすというものであるが、攻撃は更に人道危機だけにとどまらず、シリア問題をめぐるこれまでの政治的解決の枠組みを破壊し、重大な国際問題に発展するであろうというものである。

その一つが化学兵器使用可能性に対する欧米の注意を喚起することで、特に独を含む欧州への働きかけを強化してきた。
また欧州に対しては、イドリブ攻撃は大量の難民を発生させるが、彼らはトルコにとどまるだけではなく、さらにその先に渡ろうとするとして、欧州に恐怖感を植え付けようとしている

このような情勢を受け、この17日、ロシアのソチで急遽両首脳会議が開かれることとなり、また外交軍事当事者の接触も頻繁になっている。
またトルコは、ロシアのテロとの戦いとの言い分に対して、ヌスラ戦線(アルカイダ系)を他の反政府グループと区別するためのメカニズムについて提案している模様である。

国会議長の選出(イラク)

イラクでは議会総選挙の後、票の数え直し請求等の長いごたごたを経て、ようやく議会議長、大統領、首相の選出が行われることになっていましたが、こちらの方も政党間の、角逐、取引等のために、最初のステップである議長の選出もこれまで引き延ばされてきました。

然るに、アラビア語メディアは15日、議会がようやくにして新議長を選出したと報じています。

新議長はスンニ派の国家枢軸党(そもそもイラク憲法では、大統領はクルド、議長はスンニ派、首相がシーア派から出ることになっている。muhammad al halabsi(37歳)で、出席議員291名のうち169名の支持を得た由。
第2位がアバーディ首相の勝利党のkhaled obeidi(元国防大臣)で89票を獲得した由。
またサドル師のサーイルーンの男が第1副議長に選出された由(副議長は確か2名だから、もう一人の選出が行われるのか?)

取り敢えず以上ですが、これでイラクの新政府選出の動きもようやく軌道に乗り出したと見るべきか、それとも比較的権力もなく重要性の薄い議長の選出でさえ、これだけ時間がかかったのだから、最重要ポストの首相の選出までは更に揉めるだろうと見るのか、とにかくイラク式民主主義も悪路を走るぼろ車の様です。

ダマス空港に対するイスラエルのミサイル攻撃

イドリブに対する政府軍等の総攻撃はまだ始まっていないようですが、その間もシリアを舞台にイラン製兵器の搬入とこれに対するイスラエルの攻撃が続いている模様です。

アラビア語メディアとイスラエルのメディアは、シリアの政府系通信によると、15日夜イスラエルのミサイルがダマス空港近辺を攻撃したが、シリアの防空部隊が、これを撃退したと報じています。

シリア人権網等によると、攻撃された目標は、イランから最近シリアやヒズボッラーのために送られてきた武器弾薬類の貯蔵庫とのことです。

他方イスラエル国防軍(IDF)は外国の報道についてはコメントしない、としてコメントを拒んでいる由。

https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/09/15/إعلام-النظام-التصدي-لهجمات-إسرائيلية-قرب-مطار-دمشق.html
http://www.alquds.co.uk/?p=1016052
https://www.haaretz.com/israel-news/israel-strikes-near-damascus-airport-syrian-state-media-reports-1.6471935
https://www.ynetnews.com/home/0,7340,L-3083,00.html

これまでの経験に鑑みれば、おそらくイスラエルのミサイル攻撃があったのは事実で、シリアの対ミサイル防衛能力は極めて限定されているので、多分かなりの損害を被ったのではないかと思われます。

いずれにしても、イドリブ攻撃が間近とされていて、シリアを巡る緊張が高まっている中で、イランが相変わらずせっせと武器弾薬類を運び込み、これをイスラエルが攻撃していることが注目されます。
双方にとって、それをやるだけの理由があるのでしょうね。

サウディ皇太子に対する批判的な英米紙(誌)報道

サウディの皇太子は世界中があっと驚くような素早さで、サウディのほぼ全権を掌握したかに見えますが(英のthe economist などは、女性解放をはじめ、彼がサウディの偉大な改革者であると喧伝さえしたように思われた)、このところ彼は裸の王様で、彼は真の改革者ではなく、彼の独断専行がサウディ王室の安泰を害しつつあるとの論調が見られるようになってきました。

勿論世界でも最も秘密主義のベールに覆われたサウディ王室内の話ですから、何が事実で何が噂に過ぎないのか、判断するのは容易ではありませんが、本日のal qods al arabi net とal jazeera net は、彼の政策に極めて批判的なthe news week とthe timesの記事をそれぞれ紹介しています。

前者は、皇太子の政策がサウディ王室の統治の基盤を失わせつつある、という趣旨のようで、後者は、皇太子の時代は終わりつつある、と題してサウディの国王でさえ、皇太子の政策の失敗に失望しつつあるという趣旨の様です。

勿論サウディ系のal arabiya net はこのような記事には一切触れていません。

このようにサウディ皇太子に極めて批判的な記事2つが、同じ日にアラビア語メディアで紹介されたのが、単なる偶然か、誰かの手によるものかは不明ですが、なかなか興味のある記事のようですので、それぞれの要点のみ(英語の記事のアラビア語メディアによる紹介ですから、どこまで正確なものかは不明)取りあえず、要点のみそれぞれ次の通り。

【The Timesの記事の要点】
英国の歴史学者によれば、サウディ皇太子は改革者でもなければ、協力もなく、彼の時代は終わりつつあるという。
それによると彼の目覚ましい台頭で欧米は彼を改革者として期待したがこれは望みでしかなく、彼の父親の国王でさえ、彼の政策に疑問を抱きつつあるという。
彼の経済政策「2030年」は、国王がARAMCOの株の5%を世界市場で売ることに反対した(その理由は9.11事件の被害者団体が、サウディ政府の関与を裁判で訴えているので、米裁判所がARAMCOの資産を接収する可能性があるための由)ので、その資金繰りは行き詰った。
また外交面でも皇太子の政策は批判を浴びているが、特にイエメン介入については、毎月50〜60億ドルが戦費に費やされていると言う。
また彼のカタール孤立化政策も失敗したという。
記事は皇太子は改革者でもなければ協力もないという、と言うのは国王がその気になればいつでも彼をすげ替えることができるからの由。
何しろサウディの王族の間には、彼に対する不満が増大しつつあり、皇太子は常に厳重な警備下にジェッダにヨットを用意させていると言われている由(亡命用か?)

【Newsweekの記事】
皇太子の指導下で、サウディの体制は緩やかな崩壊の軌跡をたどっているように見える。
2011年のアラブの春の時は、サウディ政府はイスラム主義者(穏健、過激派を問わず)民主化運動家等を弾圧することで、これを乗り切った。
現在、皇太子が一人ピラミッドの上に立っているが、彼の政策のおかげで、サウディは、直接力に訴えることなく、体制の安定を保証してきた多くのものを失ったという。
記事を書いた歴史家によると、これは極めて危険な兆候で、サウディ体制は徐々に崩壊の危険を抱えつつあるという。
まず、皇太子はこれまで長いことサウディ体制の公式イデオロギーとして、その安定を保証してきたワッハービイ主義の影響力を削減した。
皇太子は改革派として批判されることを恐れ、過激な思想であれ、急進的な思想であれ、彼に批判的なものは牢屋にぶち込んだ。すべての彼の批判者が、映画館の開放や女性の運転に反対した訳ではないというのに・・・
このためサウディ社会には空白が拡大し、皇太子はこの隙間を埋めるには、直接力を使う以外にない。
第2に皇太子は経済的改革を通じてサウディを近代化することを目指し、若者たちに、ポスト石油のサウディでは綺麗な都市で、満足できる仕事を有する生活を約束した。
当初はこの約束は若者たちの夢と希望を掻き立てたが、直ぐ失望にとってかわられた。その代表例がARAMCOの株5%の国際市場での上場であった。

若者たちは現在、学校を卒業すると夢の仕事どころか失業が待ち構えていることを感知している。

また2016年に、他の王族を排除して、皇太子一人に権力を集中したことはサウディ王室の意見一致の伝統を、永久になくした可能性がある。この点で、王族等の大量逮捕は、彼らがクーデターを計画することを阻止する予防的措置であったと見るものもいる。
皇太子は余りに多くの敵を作ったために、今後さらに弾圧を強めることなくして、体制の正統性を守れるかの問題が生じている由。

皇太子は外交面では、イランを包囲し、彼らの勢力をアラブ諸国から追放することは「新たな砂漠の勇士」との称号を勝ち得るものと考えた。
確かにTVの中ではサウディ兵は大きな成果を勝ち得ているが、現実は全く異なっていて、戦場は停滞し、多くのミサイルが首都リヤドの近辺にも降り注いだ。

要するに、皇太子は勝利の見込みもなく、脚を抜く戦略もないイエメンの泥沼にサウディを引きずり込んだのである。
イエメンでの殺戮の増大と悲劇に対する国際的な非難の拡大に対して、サウディとしては英米の庇護に頼る以外に道はないのである。

然しながら、このような状況が近い将来のクーデター等体制変化を意味している訳ではない。サウディ体制の弱化と崩壊は長い期間をかけて徐々に進んでいくものと見られている。

チュニジアの政治危機

チュニジアは現在ナハダ党とチュニジアの声(世俗派で、現在の大統領シブシーが創設者)の連立が政府を形成しているところ、それらの中で「チュニジアの声」では、現在の首相のyusef al shahid とシブシー大統領の息子が勢力を争っていて、チュニジア政局の不安定化を招いていました。

然るところ、アラビア語メディアの報道によると、両者の確執がさらに強まり、「チュニジアの声」は14日夜、shahid 首相の党籍を凍結したとのことです。

それによると、「チュニジアの声」は、首相の改革政策が不十分であるとして、またナハダとの関係にも疑問を呈し首相の辞職を求めていたところ、首相がこれを拒否したので、資格停止の処分に出たとのことです。

それにしても、この内紛はシブシ大統領にとっては、いわば身内の内紛ですが、どう対応する積りなのでしょうか?
民主主義とは建前はともかく、実際は非常にややこしいものですね。

ガザ情勢(14日)

昨日は金曜日で、恒例の(という言い方は酷いが)帰還のための行進が行われ、13000名とも言われる群衆が境界線に向けてデモ行進し、イスラエル国防軍(IDF)の発砲で、児童(12歳の由)を含む3名が死亡し、80名とも11名とも120名ともと言われるパレスチナ人が負傷した(興味深いことに、これらの数字の中で、最大の120名というのはhaaretz net がガザ保健省の数字として報じているもの)とのことです。

これらの状況はal qods al arabi net ,al jazeera net ,haaretz net が報じているところ(al arabiya net は、サウディ系の所為か否か、気付いた限りでは特に取り上げていない)、これで2ヵ月以上も毎週金曜日になると、恒例のようにデモ行進が行われ、複数の犠牲者(最近では児童の割合も多い)が出ていますが、デモを組織する連中は、このデモから何を得ようとしているのでしょうか?

このような形の圧力で、ネタニアフやトランプがその政策を変更するとでも思っているのでしょうか?
虚しい犠牲と言ったら言い過ぎでしょうか?

ARAMCO製油所への弾道ミサイルの発射

どうやらhothyグループはサウディ南部のジャザーンの国営石油会社ARAMCOの製油所に対して、弾道ミサイルを発射した模様です。

al qods al arabi net は、hohyグループのal maseera が、同軍のミサイル部隊が13日サウディ南部ジャザーンのARAMCOの製油所向けに弾道ミサイルbadr 1を発射したと声明したと報じています。

他方、al arabiya net はhothy軍がジャザーンの住宅地に向け、ミサイルを発射したが、サウディ防空軍が、これを捕捉撃墜したと報じています。

さらに、今回はhaaretz net が、サウディがジャザーンのARAMCO製油所向けに発射されたミサイルを撃墜したとしていると報じています。

どうやら、今回はARAMCOの製油所向けに発射されたミサイルは捕捉撃墜されたというところのようですが、このように連日イエメンから弾道ミサイルが発射されるとなると、製油所等に命中するのも時間の問題かという気もします。
尤も、これらミサイルの精度が非常に悪く、いずれも目標を大きく外れているという可能性もありそうですが・・・・

サウディのiron dome購入?

イスラエルの短距離射程用ミサイル防衛システムのiron domeは、これまでも実戦でその能力を証明してきましたが、haaretz net は、サウディがこのミサイル防衛システムを購入することになったと報じています。

これはロンドン発行で湾岸情報に詳しいAl-Khaleej Onlineが報じたところで、それによるとイスラエルはこの売却に反対であったが、米国が圧力をかけたために、売却に同意したとのことです。

売却されるミサイル数やその価格等は不明だが、このシステムは12月に引き渡され、サウディ・イエメン国境方面に展開される由。

サウディは、このシステムの有効性を確認すれば、更に追加の購入を行う予定の由。
現在イスラエルはこの売却を強く否定していて、サウディはコメントしていない由。

現在の所、イスラエルが強く否定し、サウディがコメントしていないということで、真偽のほどはまだ確認できていないというべきでしょうが、最近はイスラエルとサウディの協力関係に関する報道が極めて増加していて、まんざら嘘ではなさそうです。

因みに、アラビア語メディアはトランプの娘婿クシュナーが、両者の橋渡しmatch making をしたと報じています。

それにしても、従来サウディの米国製兵器(例えばF15とか)の購入には、イスラエルが必ず激しく反対を表明してきたことを思えば、世の中変わったものです。

トルコ中央銀行の貸付利子値上げとトルコ通貨の安定

トルコは通貨の暴落、インフレ等の経済危機に直面しているところ、hurryiet net は、トルコ中央銀行が13日その貸付利子を、これまでの17.75%から24%に上げると発表したと報じています。

中央銀行は、今後とも価格安定を重視し、タイト・マネー政策(金融引締め政策)を維持するとして説明した由。

トルコリラは、この決定後、対ドルで2週間ぶりに1ドル6.01リラのレベルを回復した由。

他方エルドアン大統領は、中央銀行は独立で、その決定を自ら行うとしつつも、その引き締め政策に対する不満を表明した由。
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