本日のTVと新聞は、イエメンでJICAの仕事をしていた邦人が誘拐されたと報じています。
報道によるとその人はサナア(イエメンの首都。日本ではサヌアと書くことが多いが、現地の発音の感覚からはサナアの方がピンとくるので、小生はそれで通している)の近くで、日本政府の援助の小学校の校舎建設の監督をしていたところ、通勤途上運転手とともに部族に誘拐され、その目的は当局と部族員の釈放を交渉するための「人質」で、警察に依れば本人は元気とのことで、イエメンでは部族が中央政府に対する要求の人質として良く外国人が誘拐されるが、大体無事早期に解放されるとのコメントが付いていました。
当初邦人の誘拐と聞いて、現在イエメン北部で政府軍、サウディ軍と戦っているHothiグループの仕業かと思い、もしそうならかなり長引くと思ったのですが、サナアの近郊ということであれば、おそらくHothiの連中の仕業ではないと思われます。
前にも書きましたが、イエメンという国は今でも基本的には部族社会で、中央政府の最大の課題は共和国発足以来その権威の全国的確立で、一時は南北統一も実現し、ブッシュ前大統領の関係(石油利権)で米国とも関係がよく石油からの収入も増えると言うことで、中央政府の力が遂に部族を圧倒するかとも思ったのですが、南とは内戦終了後も紛争が絶えず、北でも部族を相手に苦戦しているという状況で、どうも中央政府の権威は逆に落ちているという気がします。
その象徴がサナア近郊での外国人の誘拐で、1時間程度のところにマアレブの遺跡がありますが、その近辺及びそこへの街道は良く外国人が誘拐されることで有名で、もっと近いシバームコーカバンの遺跡の近くでも誘拐されると言うしますです。
これら誘拐事件は大体が政府と部族で話し合いがついて人質は無事釈放されることが多いのですが、誘拐事件の頻発は外国人観光客の激減をもたらしたし、何よりも政府の権威を失墜させています。
今回もHothiか何かの影響がなく、早期釈放されることが期待されています。
なお、せっかくの日本の援助関係者を誘拐することは、誠にけしからん話で、義理も恩義も感じないないのかという話になりますが、誘拐した部族の方からすれば、大事な関係者だからこそ、政府も手荒な事をしないで早期に話に乗ってくるという期待がある訳です。
ある意味誠にけったいな国です。