中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2009年08月

アラブ高校生の試験

大学も定期試験も終わり、採点という大仕事が待っていますが、今でも定期試験の時期になると想い出すのが、アラブにおける高校生の試験です。
と言っても高校生の試験に立ち会った訳ではなく、またアラブと言ってももせいぜいシリアとエジプトくらいですが、なぜそれほど印象深かったかと言うと、とにかくアラブでは高校生と言うと結構顔つきも言うことも大人です。
その高校生がこの時期になると、夜公園で教科書を片手にぶつぶつ呟きながら行ったり来たりを繰り返しています。どうしたのかと思って聞いてみたら、これが試験勉強で、要するに教科書を片手に持って、内容をぶつぶつ口の中で呟きながら、行ったり来たりして丸暗記するのだそうです。
どこかで聞いたことがあるが、丸暗記をするには口に出したほうが効率がよく、また歩きながら行ったり来たりも、特に夜の涼しい時には、効果があるのだそうです。
確か前にアラブ開発報告をご紹介しましたが、その第1回の衝撃的な報告がアラブの教育、文化の立ち遅れでしたが、その中でやり玉に挙げられていた教育の問題の一つが、高校生以上の中高等教育での暗記主義、詰め込み主義だったと思います。
要するにそのような教育方法が、自分で物事を考えたり、柔軟な思考をする大きな妨げになっていると言うことだったと思います。
さぞかし強い印象だったと思うのですが、何故か今でも、試験の採点をしながら、時々ふとアラブの高校生が暗い公園を教科書片手にうろうろする姿を思い浮かべることがあります。

イスラエルスパイ終身刑

前にこのブログでご紹介したかと思うが、レバノンでのイスラエルスパイ網が摘発され(逮捕されたのが22名の由)、レバノンのイスラエル情報網が大打撃を受けたというニュースがありました。
その件について、本日のBBC電子版は、レバノンの軍事法廷は、ヒズボッラに関する情報をイスラエルに提供していたFaisal Makladと言う男を終身刑に処した(ただし、上告可能)と報じています。
同紙によると、彼及び罪を自白した7名の証言に依れば、イスラエルは2006年の南部レバノン侵攻の後、ヒズボッラを壊滅させること及びその指導者nasrallah暗殺のための情報を要求しており、またそれまで眠っていた(要するに万一のために通常は活動をしないで指令を待っている、という意味。sleeper と呼ばれる)スパイ網の再活性化もこれらスパイたちの仕事であったとのことで、彼らはイスラエルとの間を往復し、またしょっちゅうイスラエル情報局と交信していたとのことである(スパイの所持していたといわれる暗号解読機の写真が載っている)
イスラエルのモサドが占領地のパレスチナ人を含むアラブ人の間に広範な情報網(要するにスパイ網)を持っていることは、中東では公然の秘密で、イスラエルはこれらのスパイからの情報に基づき、パレスチナ人指導者らの暗殺を実行してきた訳で、モサドがnasrallah の暗殺を狙っていたということは極めてありうる(と言うよりはまず間違いないと思う)ことと思われます。
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