中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2010年02月

「イラン、シリア、ヒズボッラの会談について冷静が必要」 との記事

28日のhaarertzは、イランとシリアとヒズボッラのダマス会談を戦争会議であるように吹聴する者は無責任だとする記事を載せている所、誠に冷静でこう言う声が大勢を占めていれば、中東ももう少しは静かな所ではないかと思われます。

要点のみ次の通り。

「これまでアハマディネジャードは何回もシリアを訪問し、アサドもイランを訪問し、ナスラッラもシリアを何度も訪問している。

もし彼らがイスラエルとの戦争を計画しているのであれば人に見せるための会談など必要ないだろう。

しかしある人はあらゆる所に脅威を見たがり、危機感を感じたくて仕方のないもののようである。

イスラエルの新聞は戦争の数が増えているなどと書いているが、イスラエル軍は戦争の準備などしていない。

シリアもイランもヒズボッラも、敢えて言えばイスラエルもそれぞれ戦争を欲する理由には事欠かない。しかし理由があると言うことは戦争をするということではない。

これらの誰も実際の戦争からの利益よりは失うものの方が大きい。彼らにとって、大事なことは現実の戦争ではなく、脅威の存在である。

イスラエルはヒズボッラに戦争する気はないし、シリアはゴラン高原に戦車を進める気もない。ヒズボッラもハマスもイスラエルの脅威があるから現実の影響力を保持していられるので、またイランにしてもこれら「テロリスト」がイスラエルと正面衝突して手痛くやられたら、その影響を避けえない。戦争ではなく脅威の存在が有利なのである。

イスラエルだって、シリアとの戦争の危険を宣伝しながら、アサドが和平を示唆すると、突然条件を更に付け足すし、米国がパレスチナとの和平がイランを孤立させると言うと突然入植地凍結などの難しい条件が出てくる。」

dayan 未亡人のインタビュー

みなさんMoshe Dayan等と言う名前を知っておられますか?多分歴史の本か何かで読んだことはある?

彼は1967年と73年の第3次、第4次中戦争の時のイスラエルの国防相で、前の戦争(記憶が定かではないが確か1948〜1949の独立戦争)で片目を失い、海賊の親分みたいな黒いパッチを片方の目の上にかけていたので、独眼竜猛将として有名でした(他方アラブとの共存も願っていた)が、彼の未亡人(93歳だそうです)が、最近haaretzのインタビューに応じたとかで、28日の同紙にその記事が載って居ましたが、要点のみ次の通りです。

要するに彼を含んだイスラエル建国の責任者たちの労働党は、良い所も悪い所もあったとは思うが、どこかに理想主義とアラブに対する理解も有していたと言う意味で、現在のリクード(またはそれよりもひどい右翼)の様な拡張主義者ではなかった、と言うことでしょう。

でもイスラエルの人からこう言う発言を聞くとほっとしますね。

尤もリクードの前身と言うか、その系統は初めからテロリスト(イルグンツバイレウミとかシュテルンギャングとか)の拡張主義者でしたね。

「私にとってのイスラエルとは初期の理想主義のあったイスラエルであった。
しかし、このようなイスラエルは姿を消してしまった。シオニズムは役割を終わったと思う。

確かに自分の世代は戦争から戦争へと歩いてきたが、平和を求めてもいた。今のイスラエルは平和を語ることを忘れてしまった。今後とも拡張主義と戦争があるだけかもしれない。

最大の問題は「壁」で、壁がテロリストを阻止したと言うが、彼らを阻止するのは対話だけである。

昔は一つの国で2の民族が共存できると考えたこともあったが、現実はわれわれは違っていて彼らは我々と一緒になりたくないと言うことが明白であるので、2国家方式しか解決はない(注:ここで我々と彼らが言うのはイスラエルとパレスチナ人のこと)

ダヤンはアラブから恐れられもしたが、立派なアラブ人からは尊敬されまた愛された。アラファトさえ彼と戦ったのは光栄だったと私に言ったことがある。」

モーシェ・ダヤン(ウィキペディア)

仏原爆実験の忘れ物

中東の核関連の話ですが、こちらはずいぶん昔の話で、また地理的にも遠く離れたアルジェリアの話です。

28日付のal quds al arabiは仏実権の忘れ物が極めて危険な状況にあり早急な対策が必要と報じています。

要点のみ。

「アルジェリア南部のサハラ砂漠には未だに有刺鉄線と『危険』と書かれた標識が立ている。

首都から2000kmの距離にあるここでは、1960年代に13回の核実験が行われたが、忘れ物は以上の2点にとどまらず、多くの核廃棄物が放置されており、また空中には依然として高濃度の放射能が検知されている。

最近ここを訪れた仏の独立核研究者は、これらの廃棄物が周辺の人間及び環境に深刻な影響を与えている、として早急な対策の必要性を強調した。

2007年にアルジェリアを訪問したサルコジ大統領は、この問題を検討するために両国間合同委員会を設置することに合意したが、現場の危険性はその結論を待ってはおられない状況にあるようだ」

対イエメン援助

28日の al quds al arabi は、サウディが先般のロンドン会議での約束に従ってイエメンへの援助10億ドルの供与を決定したと発表したと報じています。

それによると、これまでサウディ開発基金がイエメンの当局との間で9件で640百万ドルのプロジェクトに署名し、現在リヤドで開かれている援助会議で残りのプロジェクトについても署名されることになっている由です。

イエメンに対する援助はイエメンに存在する「アラビア半島アルカイダ」と言う組織に対するイエメン政府の戦いを支援する意味が強く、この組織はサウディのアルカイダとイエメンのアルカイダが合体したものであるだけに、サウディにとってもいわば半分自分の戦い(実際サウディ軍が北部の戦いに加わり、サウディ軍兵士約140名が死亡している)と言えるかと思いますが、それにしても流石サウディ、太っ腹ですね。

イスラエル空軍の新しい訓練

28日付のjerusalem post はイスラエル空軍が遠距離行動の必要性にこたえ危険な給油訓練を始めたと報じています。訓練の目的は対イラン軍事行動の可能性であることは明らかですが、どうにもきな臭い匂いがします。

要点のみ

「イスラエル空軍は遠距離作戦で給油を速やかに行う必要のある場合に備えて、地上にある軍用機のエンジンをかけっぱなしのままで給油する訓練を始めた。

通常軍用機は地上で給油する場合にはエンジンを止めて行うが、急速給油の場合を考慮しての極めて危険な訓練であるが、目標はイランに対する攻撃に備えてである。

他方、イランは20%まで濃縮したウランを殆ど総て地上に持ち出すと言う不思議な行動に出て(何しろ地下格納に比べたら各段と空襲に弱い)欧米の情報当局を悩ましているが、その理由についてひとつの説は地下の格納能力が限界にきたというものであるが、なぜ危険を冒して殆ど全部のウランを地上に移したのかの説明にはなっていない。

もう一つの、うがった見方は、これでイスラエルの気を引いて、故意に攻撃させようと言うもので、イスラエルが攻撃すれば総てのイラン人を政権支持に固め、大統領選挙後不安定となっている内政が一気に引き締められるというものである。」
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