中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2010年04月

ブログ更新お休みのお断り

明日から日本は5連休です。私も愛犬が居るので遠くまではいけませんが、浅間山の麓の古い汚い小屋へ行って来ようかと思っております。
と言うことで明日5月1日から最低5日まではブログの更新もお休みになります。
明日からアラブ外相会議があったり、いろいろと中東でも面白い話がありそうですが、何せ全くパソコンを使う環境に無いので、こちらが入手するニュースの方も暫くはストップです。
昔外務省などで言われていたことは、情報をやるものは一日サボるとそれを取り戻すのにその数倍はかかる、と言うことでしたが。この歳になって情報担当官のような気分ではないので、大っぴらに休ませていただきます。
取り急ぎ

米保安チームのレバノン・シリア国境視察(レバノン政府との悶着)

シリアがヒズボッラにスカッドミサイルを供与したか否かに大きな関心が集まっている時に、29日レバノン外務省とヒズボッラは米国のセキュリティ関係者が、レバノンとシリアの国境を勝手に視察したのは外交関係に関する条約違反であると非難したと、30日付のjerusalem post net が報じています。
米チームが視察したのはal masnaaと言う最も交通の激しい国境線だそうですが、レバノン側が米国は勝手に視察したと非難しているのに対して、米大使館はこの視察は数ヶ月前からレバノン政府と協議してきたところに基づいて行われたと述べており、またレバノン内務省もこの視察は通常の活動であるとしているとのことです。
両者の言い分が真っ向から食い違っていて、どうも不思議な事件ですが、シリアとレバノン間の軍事資材の運搬に関する情報を得たければ、非公式な情報活動を行うはずで、昼間どうどうと視察などするはずがなく、またレバノンの内務省が特に問題ないとしていることから見れば、どうもレバノン政府も事前に了解していたが、ヒズボッラが騒ぎ出したので、あわててこれに同調した気配が強いように思われます。
まあ狼に囲まれた弱小国レバノンの悲しさと言うことかもしれません。

核非拡散に関する米・ロシア提案

5月3日からNYでNPTのフォローアップ会議が開かれると言う話は前にも書きましたが、その会議に向けて米・露の平和案がアラブ代表団に配布され、アラブはこれを拒否すると30日付のal jazeerah net は報じています。
イスラエルの核に関して?中東和平と関連付け?それを米・露の共同案として提示すると言うことはこれまで無かったことで、その意味では(多分)オバマの新政策は正しい方向を向いていると言う気がしますが、他方その実現には現地(中東)で大きな問題を越えなければならないだろうと思われます。
要点のみ
「アラブ連盟は中東和へに関してアラブ代表団に配布された米・露案を拒否すると語った。
この和平案では米・ロは中東の非核地域案を検討するためには、その前に完全な中東和平が実現していることが条件となるとしている。
アラブ連盟の核問題担当大使に依れば、このペーパーはアラブ大使に配布されたもので、近く開かれるアラブの会議(注:明言はしていないが、5月1日から予定されているアラブ外相会議を指すと思われる)で議論される由。
同大使は、同時にイスラエルがNPTに参加していない以上、アラブがこの提案を拒否することは明らかであると付け加えた。
またアラブ外交筋は、NPTの会議について、アラブとしては最終コミュニケに中東非核地域支持が盛り込まれる必要があるとしており、エジプト政府は来年このための国際会議の開催を要求している。
他方核兵器を100発有していると見られながら、その保有を肯定も否定もしない政策のイスラエルは、中東非核地帯に参加することは拒否していて、バラク国防相は誰もイスラエルを強制できない、と語った。」

密輸トンネルとエジプト

エジプトのシナイ治安当局が、ガザとエジプトとの間の密輸トンネルにガスを注入して密輸者4人を殺し、6人を負傷させた(30日の別の報道では8人負傷となっている)件については、確か昨日ご紹介したと思いますが、30日のal jazeerah net はエジプト内務省がエジプト当局がガスを使用したことを否定したと報じています。
他方同じくJPは別の記事で、エジプトの国会、アラブ人権協会がエジプトの行為を非難したと報じています。
これらの報道は死者や負傷者の写真も生々しく掲載され、とにかく事件が起きたことは間違いなく事実でしょう。
この事件の真相はもしハマス政府が司法解剖をすれば、ガスが使われたのかいないか、いかなる種類のガスか等が明らかになって来ると思いますので、尚早に判断するのは危険ですが、確か若干前にも国連人権委からエジプトがシナイ半島からイスラエルに密入国しようとするアフリカ人を射殺する事件が後を絶たないとして非難されたことを紹介しましたが、どうもガザのエジプト当局はイスラエルとの国境の閉鎖について相当手荒なことをしている、との印象はぬぐえません。
関連報道取りまとめ、要点のみ。
「エジプト内務省は29日、エジプト当局がトンネルにガスを注入して密輸者を殺害したとの報道を否定した。
エジプト内務省によると、密輸トンネルを発見し、ハマス政府と連絡後これを破壊したら、その近くの別のトンネルが陥没し、パレスチナ時に死者が出た模様としている。
内務省はトンネル爆破の際には必ずハマスと連絡をしてから行っているとしているが、今回の事件の死者の死因についてはなにも述べていない。
他方、エジプト国会で、一部の議員から(注:明記していないが野党と思われる)内務大臣を招致して質疑を行うべきだとの要求が議長に提出されている。
また、アラブ人権協会はエジプトの行為は人権保護という観念から著しくかけ離れたものであるとして、これを非難した。」

北部国境緊張の原因と題するイスラエル紙分析

シリアがイランのスカッドミサイルをヒズボッラに既に供与したか否かについては依然として多くの議論が見られるところ、29日付イスラエル紙y net news は、既に供与された少数のミサイルはイスラエルに対する脅威とはなっていないが、シリアおよびレバノンはイスラエルが近く武力攻撃をするとの恐怖に取りつかれており、イスラエル軍の小さな動きが攻撃の準備と誤解され、ヒズボッラが先制攻撃をするということが生じないようにイスラエル政府は攻撃の意図が無いことを種々のチャネルを使って伝達しているとの記事を載せています。
なかなか面白い記事なので要点のみ。
「北部国境の緊張はスカッド供与のニュースが流れてから急増し、その後一時収まったが、クウェイト新聞がイラン・シリア・ヒズボッラの攻撃計画と称するものを報じてから急上昇した。
シリアとレバノンはイスラエルの攻撃を真剣に恐れている。
これまで国家が国家以外の存在に対してスカッドミサイルを供与したという例はないが、ヒズボッラの受け取った少数のスカッドはイスラエルにとっての大きな脅威ではない。
近年ヒズボッラは各種ロケット、ミサイルを45000発受領して、これを強固に防御された場所に隠匿している。
これらのうち長射程のものはイスラエル全土を射程に収め、またそのうちのいくつかはスカッドよりもはるかに正確である。おまけにスカッドが液体燃料のために発射前に30分以上も要するため容易にイスラエル軍に捕捉されるのに対して、これらのロケットは固体燃料であるために発見は極めて困難である。
他方スカッドは長射程であるためにレバノンの北部から発射可能という利点はある。
要するにヒズボッラが多量のスカッドを入手しない限り、彼我のバランスを大きく変えることはないと言うことで、このため米国等を通じてこれ以上のスカッドの供与が無いようにシリアに警告している訳である。
イスラエルからの武力攻撃の意図が無いとのメッセージにもかかわらず、シリアとヒズボッラが恐怖を感じているのはイランからのメッセージの所為である。」
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