中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2010年07月

アサド大統領とアブダッラ国王のレバノン訪問

中東及びその他の地域のマスコミは、30日ベイルートで行われた、レバノン、シリア、サウディの3国首脳会談を大きく取り上げています。また報じている中身もほとんど同じで、サウディとシリア(特にシリア)の首脳がベイルートを訪問したことの重要性、訪問の背景は近く発表される予定のハリリ元レバノン首相暗殺事件に関する報告書がレバノンの安定を大きく揺るがす可能性があるので、レバノンに関係のある!両国の首脳がそろって訪問して、事態の安定化に努めたことを取り上げ、さらに共同声明ではレバノンの一体性と安定の重要性と外部からの干渉の排除が強調されたことが報じられています。
しかし、肝心の会談の内容については、どの報道でも全く触れられておらず、特にハリリ暗殺犯の特定問題とそれへの対処振りについて、どのような話し合いがあったのかは全く不明です。
なお、al qods al arabi net のごとく、両首脳はシリアから国王専用機で一緒に飛来して、二人がともにあることは示したが、合意しているか否かは不明であると皮肉入りで報じているものもあります。
また同じAQAA紙は、レバノンの専門家の意見として、3人は取りあえず事を荒立てないようにしようと言うことでは合意したが、問題は政治家ではなく一般民衆で(street)仮にハマスの要員が特定されれば、ハリリ支持のスンニ派民衆が騒ぐくし、一方ではヒズボッラ支持のシーア派の民衆が騒ぐので、その時になってみないと、どの程度の騒ぎになって、政治家たちがどう対処しようとするのかは解らない、と話冷めた見方もあります。
報告書は今年中に発表の予定ということですから、今後ともレバノンを巡っては、イスラエルとの関係もあり、いろいろの動きがあることと思います。

レバノンの動きも最近はフォローしていなかったので、忘れたり、間違っているところもあるかと思いますが、最近中東の問題について関心をもたれた方には解りずらいと思いますので、取りあえず思いつく所だけでも経緯を書いておきます。間違ったところ、不正確なところに気がついた方があったら、コメントしてください。
1、レバノンは多数の宗派の共存する国だが、そのうちのキリスト教徒主導の体制が人口の変動に合わなくなり、更には中東問題の絡みでパレスチナゲリラがヨルダンから流れ込んだ等の複雑な事情が絡んで、1975年に内戦に突入して、それにイスラエルの2度の介入等もあり、結局は1989年のタイフ(注:サウディのメッカの近くの避暑地)合意までは、レバノンには安定した政府は存在しなかった。
2,1976年にはシリア軍が平和回復と言う名目で進駐したが、当初はイスラム教徒及びパレスチナ人の側についていたのが、途中からパレスチナを抑える側についた。
3、イスラエルは1978年、82年の2回にわたり、レバノンに侵攻し、特に82年の時にはベイルート近郊まで進出し、PLOを壊滅させるためにベイルートを包囲した。
またイスラエルは2000年に完全撤退するまではレバノンの南部に親イスラエルの傀儡勢力を維持した。
4、タイフ合意では国民和解憲章が署名されたが、その後もレバノンの混乱は続き、結局1990年にシリア軍が介入して親シリア勢力を権力の座につけるまで続いた。一般的にこの年がレバノン内戦終結の年とされている。
5、その後もシリア軍はレバノン国内に居残り、レバノン内政、経済に大きな影響力を有していた。
6、他方、レバノン内戦を通じて、シーア派の中では、ベッリ等の伝統的な政治家の影響力が弱まり、イランの革命防衛隊の指導、援助を受けたヒズボッラが最大の勢力、武装勢力へと大きくなって行く。このヒズボッラの育成にはシリアも大きく預かっていた。
7、他方サウディで財をなしたハリリ(スンニ派)が1982年と2000年の2回にわたり首相となり、ベイルート始め内戦で破壊されたレバノンの再建に取り組んだ。その結果、ベイルート等も見違えるような再建、発展を遂げた。
8、しかし、2回目の首相就任の頃より、レバノンの再建、独立回復のためにはシリア軍の撤退が必要との考えに傾いていき、2005年にはベイルートの中心街を車列が通過中爆発が起こり、殺された。
彼の暗殺の背後にはシリア軍、特にその情報機関があると噂され、レバノン杉革命と称される大衆運動がシリア軍の撤退を要求し、その結果シリア軍はレバノンから撤退した。
9、しかしその直後から、レバノンでは多くの反シリア政治家、ジャ−ナリストの暗殺事件が起こり、その背後にはシリアとその手先が居ると信じられてきた。
10、2006年にはイスラエルがヒズボッラに対する攻撃で、ベイルートの爆撃、南部レバノンへの侵攻を行った。
11、2006年には内閣が国連のハリリ暗殺調査法廷の設立に賛成した為ヒズボッラ等の閣僚が辞任。その後ヒズボッラと反ヒズボッラの対立が深まる。
国連の法廷自体は2007年安保理が設立。
12、その後レバノン内政は主として親シリア勢力と反シリア勢力との対立で、緊張してきた、ヒズボッラも閣僚に加えた内閣ができるようになり、2009年には暗殺されたハリリの息子の率いる勢力が、議会の最大勢力となり、勢力を増したヒズボラの閣僚も加えた国民和解内閣が紆余曲折の結果できた。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=today\30z49.htm&storytitle=ff??????? ????? ??????? ???????? ?? ?????????... ????? ????? ??? ???? ???????? fff&storytitleb=???? ???????? ?????? ???? ?? ????? ???? ???? ?????? ??? ???? ??? ??????? ??? ??????? ?? ???? ???????&storytitlec=

中東和平(直接交渉の行くへ)

先日のアラブ外相会議は直接交渉の開始を支持しましたが、肝心のアッバス議長が開始のためには条件を付けているようで、交渉の開始の決定は、アラブの決定でもアッバス議長に委ねられている為、果たして交渉が始まるのか、未だ若干の疑問が残ります。
そのような疑問を反映してか、イスラエルの新聞も「オバマの圧力にもかかわらずアッバスは消極的である」「アッバスは表面的な消極姿勢と本音は別で交渉に応じるであろう」「9月の入植地凍結解除の時期までにはアッバスは直接交渉に入る」等の推測が流されています。
アラブの側からはこのような推測記事はあまりお目にかかれませんが、先日も書いた通り、何しろアラブ連盟の委員会の議長が、直接交渉の開始に支持を与えておきながら、ネタニアフが居る限り交渉しても何も変わらない、などと公言している状況で、とにかく不透明であることは間違いありません。
中東を離れてかなり経っていて、勘も鈍っていますが、現地の報道などから、自分なりの考えをまとめてみると、取りあえずの状況は次のようなところでしょうか?
多分、かなり的外れの可能性があるので、ぜひコメントなどいただければと思います。

1、今回の動きの背景として米政府が大きな圧力をかけたことはます間違いない。圧力と言って悪ければ、両差の合意のためのおぜん立てである。
2、オバマは就任直後、入植地の建設は交渉の結果を先取りするもので、アラブの反発と不信感もここから来ているとして、入植地の凍結を求めたが、イスラエルの強硬な反発を受け、間接交渉からは何の成果もなかったので、入植地問題は最終的な国境線の交渉のところで自動的に決まって来る問題で、これを切り離して条件とするのは不当で、意味がないとのイスラエルの意見を受け入れ、とにかく直接交渉を開始する方向でアラブに圧力をかけた。
3、そのとき最も力になったのがムバラクで、末期癌と言われながら、多数の関係首脳達と長時間の会談を通じて直接交渉の必要性、アラブとして他に選択の余地がないことを説得した。エジプトはここでも米国の忠実な同盟国であることを証明した。
4、その他ヨルダン国王、サウディ国王もそれなりの役割を果たした。
5、アラブ連盟そのものは、事務局長のムーサはエジプトのシナリオ通りに動いた。
6、そこで、問題は米国がアッバスを説得するために、どのようなコミットをしたかであるが、2国家方式による解決支持は問題ないとして、ネタニアフの立場に鑑みて、67年国境を基礎とするとまでコミットできたかは疑問。どの程度それに近いことを言えたかが鍵。
おそらくは、その他ガザの封鎖緩和とか西岸に一部管理権の移譲とかの所謂信頼醸成措置を進めると売り込んだことは間違いない。
抽象的ながら解決は国際正義と関連の国際法、国際取り決めに基づいて行うことを確約する、という形で最終的な交渉では、相当程度ネタニアフに対して圧力をかけることを匂わせた可能性が強い。それがオバマの基本的哲学に合っているし、ネタニアフの強引なやり方に対する国際社会の反発からも、オバマとしてもぎりぎりの時になれば、思い切った圧力をかける覚悟はできているのではないか?
7、入植地の凍結期限が9月に来るネタニアフにとって、これまでの米国との対立は相当の消耗で、前提条件なしの直接交渉と言う形が取れれば、イスラエルの外交的勝利(取りあえずは)と言うことになるので、米国が先のことで何かアラブに約束したとしても、先ずは満足と言うことであろう。
8、最大の問題はアッバスの立場であるが、現実主義の彼はおそらく他に方法が無いことは理解していると思う。
交渉しなければ、占領地のイスラエル化ガ進むだけで、ネタニアフの思う壺。交渉すれば大幅な譲歩を迫られ、パレスチナの過激派や一般民衆の反発を買うだけ。どちらに行っても、地獄だが、味方の罵詈讒謗に耐えれば、パレスチナ人、国家のためには譲歩してでも交渉しなければならない(なし崩しに全部取られるよりはまし)。つらい立場です。
9、現在、イスラエルとパエrスチナの力関係は圧倒的にイスラエルに有利である。頼りのアラブ(本当は全く頼りにならないのだが)もエジプト、サウディの指導者が老齢で今後どうなるか解らない上に、皆自分の問題を抱えて、パレスチナ問題に真剣に取り組んでくれるところはない。
そもそもが国民の親パレスチナ感情と政府のそれとの差が大き過ぎる。
軍事的にアラブ諸国が全く頼みにならないことは言うまでもない。
10、結局、彼にとっては唯一の頼みが米国であるが、頼りにしたオバマも、現実の中東に面して腰くだけで、入植地の問題では梯子を外された。しかし、現在の彼にとって、当面は米国の言うとおりについて行く以外に道はない(要するに直接交渉を拒否して、和平に後ろ向きなのはパレスチナだという宣伝材料に使われないためにも)
仮に交渉が失敗した場合でも、おそらくはネタニアフの強硬政策及び国際法違反が原因だったと言うことになるので、国際的には、直接交渉に入ったところで、彼にとって失うものは余りない(勿論オバマがネタニアフと一緒になって、彼に圧力をかけて来るような事態は最悪だが、おそらくそれは起こらないと思われる。要するに実質問題に関する限り、国際的正当性は彼にあり、ネタニアフには力の立場があるだけ)
問題はそれがパレスチナ、アラブ内における彼の立場に及ぼす、ネガティブな影響で、下手をするとハマスの影響力が更に大きくなる上に、PLo
内における立場さえ悪くなりかねない。
11、従って、アッバスとしては、今後国際政治の現実とアラブ政治の現実のバランスを取りながら、如何にしてアラブ政府に共同責任を取らせつつ、交渉においては米国がパレスチナの立場をどこまで支持してくれるかを見極めようとするだろう。

ロケット攻撃と報復爆撃(ガザ)

これまでもガザからは時々ロケット弾がイスラエルに飛んできましたが、大部分は人家のない所に落ち被害もなく、イスラエルの方でもロケットを発射しているの派過激派であって(イスラミっク・ジハードのことか?)ハマスではないとして、大規模な報復は避けてきました。
ところが30日早朝、イスラエルのまちのアシュケロンに長距離ロケット及びカチュウシャ弾(多連装ロケット弾)が飛来して、人命に被害はなかったものの、建物や車に若干の被害があった模様で、またショックで手当てを受けた人はいるみたいです。
これに対して、イスラエル軍は同じ30日の夕刻、報復としてガザ地区のハマスの拠点等を爆撃して、8名のハマス要員等に負傷者が出た模様ですが、31日付のhaaretz net はハマスの武装要員1名が死亡したと伝えています。
また、y net news は、これらのロケット弾発射はハマスではなく(ハマスに対しては2006年侵攻時からのイスラエルの抑止力が効いており、ハマスが現在ロケット攻撃をするメリットはないとのこと)、過激派が先日のアラブ外相会議を受けての直接交渉が開始されるのを妨害するために行ったものであろう、との記事を掲げています。
もしそこまでハマスの行為でないことが明確ならば、何故イスラエル軍がハマスの拠点を攻撃して、ハマス要員に死者まで出したのかと言う疑問が出てきますが、これまでイスラエルはガザを支配しているのはハマスで、ハマスにはロケット攻撃を阻止する責任があり、ハマスがその責任を果たせなければ、ハマスをも報復攻撃の対象とするという立場をとてt来ています。
その点でレバノンに関して、ヒズボッラがイスラエルを攻撃した場合には、レバノン政府の施設も攻撃するとバラク国防相が警告したのと同じ考えでしょう。
しかし、今回のイスラエルの攻撃で要員を殺傷されたハマスが黙っているかが問題で、仮に今回は報復しないまでも、このような事態が続くと、ハマスとしてはパレスチナ過激派を掃討するかイスラエルの報復するかの選択を迫られることになります。
と言うことは今後とも、パレスチナの過激派は(その点ではイスラエルの過激派も同じだろうが、少なくともイスラエル・パレスチナの力関係は圧倒的にイスラエルに有利なので、過激派が実力を使ってでも交渉そのものを阻止しようとする理由はないと思われる)交渉再開、再開された後でもいつでもこれを阻害する何らかの手段を持ていることが、事実として示されたと思います。
http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/report-hamas-activist-killed-in-iaf-strike-on-gaza-targets-1.304966
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-3927415,00.html

駐ソマリア・アフリカ軍の増強(シャバーブの非難)

アフリカ首脳会議が、ソマリアに居るアフリカ軍を増強することを決定したことは先にご報告しましたが、この決定に対してソマリア政府と戦っているイスラム原理主義運動のシャバーブ(最近アルカイダとの連携を強めている)がこれを非難して、モカデショ(ソマリアの首都)は彼らの墓場になるだろうと警告したとのことです(al qods al arabi net )
シャバーブのスポークスマンは、彼らがソマリアに来ても、何の変化も生じない、何故ならソマリアが彼らの墓場になるだけだと警告したとのことです。
これに対して政府は増強を歓迎して、この措置はソマリアのみならず、アフリカ全体の治安を改善することになると述べたとのことです。
なお、別のアラブ紙(al jazeerah net )は情報通の見方として、シャバーブが戦闘を行う理由づけは、アフリカ軍と言う外国部隊の駐留で、今次首脳会議が決定した通りに、アフリカ軍がより積極的な軍事行動を行う場合には、中央政府の権威を更に落とし、シャバーブの人気を高め、結局は民間人の被害が増えるだけ、と言う見方もあると紹介しています。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest/data/2010-07-30-04-33-06.htm&storytitle=???? ?????? ????? ???? ??????? ????? ???????? ??????? ????????&storytitleb=&storytitlec=
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/9577CE6A-6A8C-412A-AD41-C47E1CD8D762.htm?GoogleStatID=24

スーダンのゴールドラッシュ

スーダンは資源に恵まれた国で、例えば南部スーダンは石油資源があるために、中国はその人権無視の政府を支持している(南部に利権を有している)と言われますが、今度は金です。
30日付のal jazeerah net は、スーダンで金が出ると言う噂が流れ、このためスーダンの地方に依っては、時ならぬゴールドラッシュの様相をていしていると報じています。
特に北部のナイル川州の内務省の統計に依れば、近隣の18か国から1400名の探鉱者が流入しているとのkとで、彼らはエジプト、エチオピア、シリア、エリトリアのみならずモロッコからも来ているとのことです。
これらは政府が把握している数だがその他の多くの未確認者も、その多くが北部で金を探鉱(注:といっても地面に浅い穴を掘ったり、川の中から砂金を探したりと正にカルフォルニアのゴールドラッシュの様相のようです)しているが、スーダンとは文化も違う多くの外国人の流入は、治安問題にもなっているとしています。
事故も多く、既に77名が探鉱中に死亡し、また麻薬も広まっているとのことです。
全体では4万人を超える外国人が流入していると見られ、それに伴った犯罪も増え、昨年の21kgに比して今年は既に48kgの麻薬が押収されているとのことです。
政府としてもこれらの活動が、国家に害を与えないような方法で行われるように、規制に努力しているとのことで、特に探鉱会社を通じての規制に熱心とのことです。
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/99B345F3-B7D9-4D28-B9A7-30A159ABDDC0.htm?GoogleStatID=21
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