中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2011年02月

リビア情勢(サヌーシー王朝の後継者のルポルタージュ)

リビアでは現在反カッダーフィ体制側が、カッダ−フィのクーデター前のサヌーシー王朝の旗(緑、黒、赤の3色旗)を掲げているのでサヌーシー王朝の後裔について関心が出てきていますが、28日付の le figaro international は、現在の王位継承者の muhammed al sanusi についてのルポルタージュを載せているので、その要点のみ次の通り、ご参考まで

「muhammed al sanusi は現在51歳でロンドン在住であるが、もしかしたら反カッダフィの諸勢力の集結点、ある意味で傘になれるかもしれない。

彼は、日々TVを通じて繰り広げられるリビアのドラマを見て、カッダ−フィ政府の最後は遠くないという。

その場合、彼はまた王朝の復活を目指すのであろうか?この点に関して彼はオープンである。国民がそれを望むのであれば、リビアに奉公するつもりはあるが、国民が別な体制を望むのであればそれを尊重する、と語ったことがある。

彼は仕立ての良い服を着て、短いあごひげを生やし、優しい声で話す。

しかし彼とカッダーフィの間で妥協はない。彼は彼の父親が当時国王であった大伯父の不在の間(トルコ訪問中)に王座を降りる書面に署名したことを覚えている。かれに父親は連中は頭にピストルを突き付けていたからね、と語ったものである。

父親と家族は2年間刑務所で過ごした後、自宅軟禁されていたが、1984年サヌーシー王朝の痕跡を総て消したいというカッダーフィのために自宅を追い出され、外国に亡命した。

現在の王朝旗の出現は、王朝復活の希望と言うよりは、カッダーフィ体制からの決別の象徴であると見られている。

リビア全体でのサヌーシー王朝に対する支持は明確ではないが、キレナイカではサヌーシーが宗教団体の長であると同時に対植民地抵抗運動の長でもあったために、今でも尊敬されている。

サヌーシー教団は原理主義と言う意味でアウディのワッハービアに似ているが、サウディのように極端な教えではない」

http://www.lefigaro.fr/international/2011/02/27/01003-20110227ARTFIG00251-l-heritier-du-trone-libyen-en-exil-a-londres.php

☆サヌーシー教団(ウィキペディア:日本語)
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%BC%E6%95%99%E5%9B%A3

米国の拒否権(米議会の圧力)

先日の国連安保理での入植地建設非難決議に対する米国の拒否権行使は、改めて中東紛争に関する米国の孤立振りを印象付けました(英独仏を含めたの安保理理事国14カ国が総て支持、棄権さえ無かった)。

この問題について、28日付の y net news は、米国の拒否権行使は、オバマ政権の国連でのこれまでの政策及びイデオロギーに拒否権を使わせることになったと評価したうえで、それは米国議会の力であったと主張しています(確かに、その時の投票後・・だったと思うが・・の投票説明をした、米国常駐代表の演説は完全な弁解に終始し、オバマ政権の不本意さが見え見えのスピーチでした)

同記事は、この拒否権行使の裏には、共和党、民主党を問わず、外交委員会のメンバー、その中東小委員会のメンバー等が一致して率先して精力的に、オバマ政権に働きかけたことがあったと指摘しています。

そして、同記事は外交問題に関する大統領と議会の複雑な関係、憲法上の check and balance 制度を解説するとともに、ベトナム戦争以来の両者の関係の歴史を解説しています。

そして、中東に関しては、米議会はイスラエルが尖鋭に対立する現在の議会でも、両党がともに支持しうる共通の数少ない問題であることを示すとともに、イスラエルの問題は純粋な外交問題ではなく、議会にとってはキリスト教・ユダヤ教と言う基盤に立つ国内問題であると論じています。

そして同記事はイスラエルとしては、米議会の力を認め、議会の力を利用していくと言う、従来からの政策を今後とも推進すべきであると強調しています。

記事の要点は以上の通りで、こと中東問題になると議会の関心と影響力が殊の外、強いことは周知の事実ですが、先日の拒否権行使についてここまであからさまに、イスラエル紙に米国議会の力とそのイスラエル一辺倒ぶりを謳歌されてしまうと、今後のオバマ政権下での米国の中東和平に対する力の無いであろうことを改めて予告されたようなものです。

先日も書いた通り、米国の中東における影響力には大きな陰りが見えており、その米国がおそらく世界中の大部分が正義と感じることを正義と感じない様であれば、その影響力のさらなる低下は必然ではないかと思われ、半ば暗澹たる感じがしないでもありません。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4034927,00.html

イランの人権侵害(欧州の制裁措置?)

イランでは民主化運動の指導者とされるムサビとカルビの2人が隠れ家に移ったとのニュースがありますが、イランの人権侵害について、28日付のjerusalem post net の記事は、欧州外交官がイランの人権侵害の加害者80名の名簿を作成中と伝えています。
それによると、このニュースは米国のジャーナルストが報じたものとのことで、欧州諸国はこの3月中にもこれらの悪質な加害者に的を絞った(targeted)制裁を科すことを検討することになるとのことです。
彼らは、民兵司令官、警察司令官、検察官、看守、裁判官及び公務員等で、、人権侵害の容疑は殺人、拷問、レイプその他の悪質な人権侵害とのことです。
このリストは情報・通信大臣、その次官、警察のコンピュータ犯罪部長、
革命防衛隊のIT関連責任者等が含まれるとのことですが、イラン経済で大きな比重を占めている革命防衛隊組織そのものは含まれないとのことです。
なお、記事によれば米国は既に独自の対イラン制裁を発動しているが、その中には重大な人権侵害の疑いのある8名の個人に対する制裁も含まれているとのことです。
http://www.jpost.com/International/Article.aspx?id=210117

ムバラク一家のエジプト内の資金

これまでムバラク一家は海外に巨額の資産を保有していると報じられてきましたが、当然予測されたことではありますが、国内にも巨額の資金を有しているようです。
これは28日付のal ahram netの記事が報じるところで、それによると前議員mustafa al bakry(如何なる経歴の人かは不明)が、ムバラク一家が国内に多額の秘密口座を有していると、最高検察に告発してこれらの資産を保存するための法的措置を講じるように求めたとのことです。
その要点のみ次にご紹介しますが、記事は多くの口座番号を含むかなり詳細なものですので、関心のある方は(アラビア語ですが)
http://www.ahram.org.eg/457/2011/02/28/25/64884.aspx
をご覧ください。
それにしてもどこからこんな詳しい資料を入手したのでしょうか?勿論話が正しいとしてのことですが。

「前大統領夫人と二人の息子アラーとガマルの有している秘密口座は次のとおりである(注:確かムバラク大統領の没落の前夜あたりに、長男のアラーがガマルに対して、おまえが親父を腐敗・堕落させたと非難した話が流れていましたが、その本人もまた巨額の秘密口座を有しているとは皮肉なことです)。
アラーはナショナル銀行のヘリオポリス支店に1億エジプトポンド以上の資金を有している。その大部分が仲介料や投資家からの恐喝の上りである。
またガマルもナショナル銀行のヘリオポリス支店に幾つかの口座で約1億エジプト貨、ドルで5000万ドルの口座も有している。
スーザン夫人も同じようにナショナル銀行のヘリオポリス支店に多額の口座資金を有している他、アレキサンドリア支店にも口座を有している。」
彼はエジプト貨、ドル、ユーロでナショナル銀行に10の口座を有している。

リビア・コネクション(ロッカビー事件に対するカっダーフィの直接の関与疑惑)

確か、かなり前になりますが、例のロッカービ事件の犯人として有罪判決を受け、スコットランドの刑務所で服役していたmaqrabiが、末期癌との理由でで釈放された事件では、当初関与を全く否定していた英国政府の関与が暴露されると言うことがありました。
その背景には英国資本のBPの石油利権獲得が噂されていました。
この点に関して、27日付のal qods al arabi net の記事は、英国daily express紙を引用して、彼の釈放は、釈放されなければカッダーフィの関与をばらすと言う脅迫のためであったと言うニュースを報じています。
同記事はまたカッダーフィが昔テロリストとして名高かったアブニダルグループ(注:PLO傘下のゲリラグループであるが、専ら悪質なテロ行為をしたことで有名で、最後には殆どお雇いのテロ請負グループになったと評されていた)を使って、この計画に関与したリビア側の関係者を処分して行った(要するにカッダーフィの関与を隠すため)と言うニュースも報じています。
このようにカッダーフィ側の事情は詳しく報じられていますが、何故それに英国が応じたのかと言う点は不明です。矢張り石油利権(カッダ−フィから釈放してくれれば破格の条件で利権をやる、とでも持ちかけられた)のでしょうか?
先ほどのブレアの1件と言い、旧植民地国のやることにはどこか胡散臭いところがあるような気がします。
勿論この記事の真偽のほどは全く不明です。
また、maqrabiがそれほど危険な人物なら、カッダーフィが今まで生かして置いた理由も納得できません。どうも怪しげな話ではありますが
記事の要点のみ

「ロッカビー事件で服役していたmaqrabiは彼をリビアに釈放しなければ、カッダーフィの関与を暴露すると脅迫した。
実はカッダーフィは,事件への関与を隠すために、事件にかかわったその他の者の処刑を決定し、パレスチナグループのアブ・ニダールに暗殺を依頼した。
この新しい情報はアブニダールグループの幹部が、カッダーフィの支配も終わりとなりつつあるので、maqrabiに対する疑問を最終的に明確にし、その他の者に対する疑惑に終止符を打とうとしたものである。

事件の概要は、1988年スコットランド上空で爆発し、乗客、乗員270名が死亡した事件で有罪が確定し(無期懲役)スコットランドの刑務所で服役していたmaqrabiはスコットランド司法大臣の人道上の配慮で2009年8月に釈放されリビアへ帰国した。

またこの話を暴露した男はアブニダールのNo2の男で、これまで100名以上の暗殺、ハイジャック、爆発、そしてローマ及びウィーン空港での銃乱射事件の責任者で、1999年まではトリポリに事務所を有していた。
彼はまたカッダーフィ政権の終焉は、その他多くの爆破事件及び暗殺事件を明るみに出すものと考えていて、カッダーフィの恐怖が無くなったので暴露する気になったとのことである。

彼によるとロッカービ事件は米国航空機のベンガジ及びトリポリ爆撃に対する報復で,米航空機を狙ったもので、作戦はアブニダールグループとリビア情報機関との共同作戦であったとのことである。
パレスチナグループがスメテックスと追う強力な爆薬400gを仕込んだ爆弾を製造し、これをカセットラジオの拡声器に組み込んだ。これがお土産のように細工され、トリポリ経由でマルタに送られた。
ロッカービ作戦グループは、たびたびマルタを訪問しては、準備を進めたが、その際リビア航空機乗員用のパスポートを使用して容易に爆発物等を運び込むことができた。
これまでアブニダールグループはリビア情報局の責任者を含む多数を抹殺してきたが、リビア当局も前情報局の責任者を含む多数を抹殺した]
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2011-02-27-11-07-44.htm

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