中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2011年12月

年末のご挨拶

2011年もあと数時間で終わりです。
まあ、我ながら長々と生きてきたもんだと思いますが、本年も拙いブログをご愛読いただき、誠に有難うございました。
考えてみれば、昨年のチュニジアでの発端以来、本年は最初から最後まで、所謂アラブの春で、中東は事件の連続でした。このブログも昨年までに比べたら、本年は倍以上の記事を書いたような気がします。
一部では、このアラブの春は百年に一度の大変動だなどと評されますが、百年以内のうちにww1が起こり、中東を支配していたオスマン帝国が倒れ、主権アラブ国家がいくつも成立し、オスマントルコの後に共和国トルコができると言う事件があり、どう考えても今回のアラブの春がオスマン帝国崩壊のもたらした大動乱に匹敵するとは思われません。
しかし、それはそれとして、少なくともこの数十年来のアラブ世界の基本的構造をひっくり返したものであることは間違いなく、特に50年代から60年代にかけて中東世界を席巻したものの、その後歴史的役割を終えて久しいアラブ民族主義に最終的幕を引かせることとなったと思います。
勿論シリアやイエメンは未だ頑張っていますが、イエメンのサーレハの終焉は近そうだし、現在のイエメンはアラブ民族主義どころか、軍閥または部族主義国家に逆戻りした感すらあります。
シリアの方は未だアサド政権が最終的に崩壊するか、それともしぶとく生き残るかは不明ですが、国連の推計でも6000名に上る市民を殺害したアサド政権がこのまま無傷で生き残れるはずはなく、仮にに生き残った場合にも、政権内闘争や宗派間対立の激化等シリアの政情は今後不安定化、激動を免れないと思います。
従って、来年の中東では、当面最大の問題がシリア情勢であることに変わりはないと思います。
アラブ民族主義の燃えカスに比べたら、割かしうまく立ちまわったのが、モロッコ、サウディ、ヨルダン等の王制国家で、バハレン問題、クウェイト問題を始め殆どの王制国家がそれぞれ民主化の問題を抱えていますが、彼等には立憲王政として生き残りを図るという奥の手もあり、当面はサウディ国王の後継者問題、バハレンの内政問題等が大きな問題として出てくる可能性は強いが、王制国家が民主化問題にどう対応するかが注目されます。
それと合わせて、来年以降中東で最大の問題となりそうなのが、イランで、その核開発問題、欧米の制裁強化問題、イラン経済問題、民主か問題等多くの難問を抱えていますが、政権内の権力争い(最高指導者周辺と大統領の確執等)もどうやら激しくなりつつあるみたいです。
特に米、イスラエル等が武力行使に踏み切る場合には、一挙に石油問題も含めて中東が激動化する可能性が強く、どうやら来年はイランから目を離せない年になる可能性が強そうです。
それと合わせて注目されるのが、アラブ世界政治のイスラム化の動きです。チュニジアに続いてエジプトでも民政移管すればイスラム政党が政府を抑えることはほぼ確実で、さらにリビアでもイスラム勢力の増進が見られる他、ポストアサドのシリア、アルジェリアでもイスrム勢力が大きく伸長する可能性が強いと思います。
このイスrム勢力の伸長は更に、2の面からもその影響が注目されます。
一つは、穏健と言われるイスラム勢力の伸長とオサマビンラーデンの死亡がアルカイダ等の過激イスラム勢力に与える影響。
もう一つはトルコのイスラム化に加え、エジプト、更にシリア(仮にアサドが潰れた場合)党のイスラム諸国に囲まれることになるイスラエルの中東和平に対する姿勢の影響、伝統的に世俗主義的であったPLOに対する影響等ん中東和平に対する影響です。
勿論、今から来年のこと、特に中東の来年に関して推測することが無理な仕事で、大体が裏切られることが多いと思いますが、来年も中東は要注意の地域であるという点だけは、間違いないところかと思います。
来年もよろしくお願いたします。

abu_mustafa

イランのミサイルテスト

先ほどイランのミサイルテストの話を朝がた書きましたが、31日付のhaaretz net やal qods al arabi net 等は、イラン通信がイランが30日海軍演習の一環として、長距離地対艦ミサイルのテストを行ったと発表したと報じています。
記事の要点は以上で、それ以上の詳細は不明ですが、ホルムズ海峡を閉鎖するだけなら、対岸に設置した短距離地対艦ミサイルで十分なはずで、矢張り米第5艦隊の空母部隊などを標的とした訓練の可能性もあり、もしそうであればペルシャ湾における米海軍の存在に対する本格的な挑戦の始まりかもしれません。

http://www.haaretz.com/news/middle-east/iran-test-fires-long-range-missiles-amid-nuclear-tensions-1.404719
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest/data/2011-12-31-06-28-17.htm

イランの長距離ミサイルのテスト

ホルムズ海峡の閉鎖問題をめぐるイランと米国との口頭での応酬が激しさを増している中、イランは30日長距離ミサイルのテストを行うと発表しました。
これは30日付のal qods al arabi net が報じるところで、それによるとイラン海軍副司令官が30日イランは現在行われている海軍演習の一環として、ペルシャ湾で長距離ミサイルのテストを31日朝行うと発言したとのことで、海軍演習の目標は実戦的環境で如何に敵を撃退するかをテストすることであると説明した由。

記事の要点は以上で、この長距離ミサイルと言うのが、艦艇搭載のミサイルか否か、どの程度の射程距離のものか等一切不明ですが、ミサイルのテストが実際に行われれば、緊張する米・イラン関係を更に緊張させる可能性もあるべきにつき、取りあえず。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2011-12-30-09-09-42.htm

ラフサンジャーニのホームページへのアクセス禁止

30日付のal qods al arabi net は、イランのラフサンジャーニのホームページがアクセス禁止になったと報じています。
記事によるとラフサンジャーニの弟が30日、政府の命令でラフサンジャーニのホームページがアクセス禁止になったと発言した由にて、実際に試してみたが、全くアクセスできなかったとのことです。但し、政府の何処が禁止したかは不明の由。
ラフサンジャーニは政権内の保守派(穏健派)として隠然たる勢力を有していると見られていましたが、大統領等急進派との確執が激しくなり、2009年には金曜礼拝での発言が禁止され、3月専門家委員会議長より解任されていたとのことで、今回のネットのアクセス禁止で、ますます彼の影響力に対する削減が進んでいると言うことでしょうか?
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2011-12-30-13-49-49.htm

シリア情勢(30日)

シリアでは30日全土で数十万人規模の抗議デモ(反政府派によれば、抗議運動が始まって以来最大のデモの由)が行われたが、シリア各地でアサド政権により30人が殺害されたとのことです。
30日付のal jzeerah net及びalqods al arabi net の報道をとりまとめたところ次の通りです。
本日は2011年の最後の日ですが、どうもシリアの情勢は未だ未だ流動的かつ不透明な様です。

・シリアでは30日各地で30名がアサド軍の銃撃により殺害されたが、4名がホムス、4名がダラアで残りはハマ、イドリブ、ダマスカス郊外等であった由。
これでアラブ連盟監視団の到着以来の死者は少なくとも98名に上るとのことである。
・シリア国民評議会議長は、アラブ連盟の職務は現地の監視だけでなく、そもそもアサド政権が調停案を順守して、国民の殺害を阻止することにあると声明した。
・連盟事務局長は、アラブ連盟として現地情勢を判断するには1週間程度を要するであろうと述べた。
・監視団団長は、先に彼の言として、シリアでは特段のひどい状況は見ていないと伝えられたことを否定し、アラブ連盟報道官もこのような発言は全く無かったとして、今後は必要に応じて、毎日書面によるコメントを発して、書面は報道機関に直接配布すると述べた由。
・これに対してロシア外務省は、監視団によれば、シリアの情勢には元気づけられるとコメントした。
・他方、自由シリア軍司令官のアサアド大佐は、28日彼の総ての部隊に対して軍事行動を中止するように命じたと声明し、監視団との面談を求めていると述べた由。

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/ED9DA6A9-CE51-45D7-9FAF-646D31CD00AE.htm?GoogleStatID=1
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/7A1750A3-E4B8-4F21-955B-3C9278C861BB.htm?GoogleStatID=1
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2011-12-30-12-14-37.htm
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2011-12-30-08-45-10.htm
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