中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2012年02月

米・イスラエル関係(イスラエルのイラン攻撃問題)

28日付及び29日付のhaaretz net は、イスラエルのイラン攻撃問題について、極めて興味深い記事を掲載しています。
一つは、ネタニアフの訪米前に、「ネタニアフはオバマに対してイランを攻撃するように脅すことを求めるであろう」と題した記事で、ネタニアフの訪米前に米、イスラエル間で、両者の立場の一致を図る努力が続いて居ると言う記事で、もう一つは米国情報機関はイスレルはイラン攻撃について米国に事前予告はしないと見ているとの記事ですが、どうやら今回のネタニアフの訪米は、イランに対する攻撃問題にとって極めて重要(crucial)な節目になりそうな気配になってきました。
ネタニアフの訪米に関して、ネタニアフはこれまでのオバマの「総ての選択肢を排除しない」と言う発言より踏みこんだ「米国はイランが一線を超えT場合には武力行使の用意がある」との立場の表明を望んでいるとして、両政府間で声明の文言を詰める作業が続けられていると報じています。
しかし、両者間ンは抜きがたい相互不信があり、双方の国内問題も絡み、米国はネタニアフが共和党、議会を使ってオバマに圧力をかけようとしていると疑っており、ネタニアフはオバマがペレス大統領等を使ってイスラエル国内に影響を与えようとしていると疑っているとのことで、双方の要人(特に米国)の訪問の例なども挙げてこの辺の事情を詳しく説明しています。
もう一つの記事は、イスラエル政府関係者が、イスラエルが単独でイラン攻撃を決めた場合には、米国が事前に予告を受けていると、イスラエルの攻撃を止めなかったとん非難を受けることになるのを避けるために、事前予告なしに攻撃するだろうと語ったとして、このニュースがネタニアフ訪問前の緊張を高めていると報じています。
二つの記事H下記のネットで読めますが、双方とも英文ですので、関心のある方は是非全文を読まれることをお勧めします。
http://www.haaretz.com/print-edition/news/netanyahu-will-ask-obama-to-threaten-iran-strike-1.415428
http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/israel-wouldn-t-warn-u-s-before-iran-strike-says-intelligence-source-1.415313

アルメニア・ジェノサイド法(違憲判決)

仏国会がww1当時のトルコにおけるアルメニア人の虐殺を否定することを禁止する法律を可決し、これに対しトルコが大反発して、両国間の大きな外交問題になっていると言うことは、前にご報告しましたが、29日付のトルコ紙のネットは、28日夕刻仏憲法裁判所がこの法律は表現の自由を規定した仏憲法に違反するので、違憲であるとの判決を下したと報じています。
トルコ国内では、Ahmet Davutoğluが大歓迎の意を表したとして、これでトルコと仏は関係改善に取り組めることになるとのコメントをしています。
なお、仏国会は2001年にアルメニア人虐殺をジェノサイドに当たるとの決議をしているが、この決議については、憲法裁判所は判断を求められていないとして、判断を示さなかったとのことです。

我が国でもww2時代の行為が未だに問題になっていますが、歴史上の問題が未だに国際関係に影響を及ぼすことは洋の東西を問わず変わりHないようです。
そう言えば、ベイルートのクルド人の靴屋だったか洋服屋だったかの軒先に「トルコ人と犬は入るべからず」と書かれていたことを思い出しました。
http://www.hurriyetdailynews.com/french-court-cancels-genocide-denial-bill.aspx?pageID=238&nID=14901&NewsCatID=338

諮問委員会(上院)議長の選出

先日選挙されたエジプト上院ではムスリム同胞団が圧倒的な強さを示しましたが、28日付のal qods al arabi net によると、同胞団執行委員会メンバーのhmad fiqriが180票中175票を得て、その議長に選ばれたとのことです。
また上下両院の議員が3月4日に会合して、憲法起草のための創立委員会50名を選出するとのことです{じょか両院の構成を見れば、ムスリム同胞団及びサラフィストが圧倒的な比重を占めており、彼等の起草する憲法草案がどの程度「民主的な」ものになるか注目されます)。
なお、現行法令では上院の議員の3分の1は大統領が任命することになっている由(下院の場合同じような任命は10名の由)
取りあえず
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-02-28-13-54-25.htm

スーダン・南スーダン関係

28日付のal qods al arabi net は、北スーダ人民運動(南スーダンとの国境地帯で活動する反政府組織)が、28日国境地帯のjauのスーダン軍基地を攻撃し、スーダン軍兵士150名を殺害したと発表したと報じています。
この作戦は西スーダンのダルフールで反政府活動を続けている「公正・平等運動」との共同作戦とのことです。
これに対して、スーダン政府はこのような被害を否定しつつ、この攻撃の背後には南スーダン政府の支援があるが、これは停戦に関する両国間合意違反であり、スーダン政府は適当な措置をとる権利を留保すると表明した由。

取りあえずの記事の要点は以上で、スーダン南部の反政府運動とダルフールの叛徒の共同作戦と言うところが注目されますが、勿論記事の信憑性については不明です。
しかし、南スーダンの独立以来、同国とスーダンは石油の問題、国境画定問題、入り組んだ民族問題等を抱えて、対立が深刻化しており、南スーダンには我が自衛隊も派遣されていることでもあり、今後スーダン情勢についてもフォローしていきたいと思っています。
なお、アフリカ諸国は植民地からの独立のあと、国境線を変更することに伴う大きな混乱を避けるために、前からの国境線を尊重する、いわゆるウティ・ポシデティスの原則を尊重することにしてきましたが、この原則を初めて破ったエリトリアのエチオピアからの独立後、両国は何度か武力衝突しており、今回のスーダンからの南スーダンの独立も同じような問題を抱えて居るのだろうと思います。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-02-28-11-44-42.htm

シリア情勢(28日)

28日のシリア情勢に関し、al jazeera net 等より取りまとめたところ次の通りです。
国連によればシリアでの死者は7500名に上るとのことで、各地で重火砲を使った政府軍が住民を殺戮しており、確か昨日シリアは既に内戦状態にあるのではないかと書きましたが、情勢はむしろ政府軍による一方的殺害または非対象的内戦(自由シリア軍も含めて反政府側にはせいぜい小銃しかない)とでも呼び得る状況かと思います。

・国連政治担当事務次長は安保理に対する報告で、シリアでは毎日100名の死者が出ており、総数は既に7500を超えたと報告した。
同次長はまたシリアの情勢に鑑み正確な数字は困難であるが、日に100名の犠牲者と言う数字は信頼できる数字であると述べたよし、
http://www.aljazeera.net/news/pages/d5d47e0e-39a4-44b8-9412-f2a8fe599eb8?GoogleStatID=1
・28日のシリアにおける政府軍攻撃による死者は102名で、その大部分がホムス及びハマであった。そのうち26名がホムスのババ・アムル地区で、50名がホムスの他の地区で、27名がハマ郊外で、6名がアレッポ郊外で、5名がイドリブ郊外で殺害された。
アレッポでは治安部隊とバース党の民兵が大学の歯科学科、情報学科、電気学科等を襲撃して、多数を逮捕した。
http://www.aljazeera.net/news/pages/d5d47e0e-39a4-44b8-9412-f2a8fe599eb8?GoogleStatID=1
・負傷した英記者hベイルートに密出国できたが、仏記者はまdシリア内にいる。
{日本時間0700のBBC放送は仏記者の居場所は不明と報じていました)
http://www.aljazeera.net/news/pages/d5d47e0e-39a4-44b8-9412-f2a8fe599eb8?GoogleStatID=1
・仏外務省報道官は、安保理でのシリアに関する新しい決議のための協議が28日から始まると語った。
報道官によれば、決議の主要点は暴力行為の停止とホムス等に対する人道支援の2点とのことで、ロシア等の拒否権を防ぐために、シリア政府に対する非難の文言は必要最小限度抑えることを検討している由。
http://www.aljazeera.net/news/pages/edb62db0-79dd-4cca-aa0e-cefe703e8698?GoogleStatID=1
・ジュネーブの国連人権理事会で、シリア代表は大方の代表の議論に抗議して退席した。
人権理事会は28日シリア非難の決議を採択する見込み
{上の事務次長の報告と言い、人権理事会の議論と言い、国連は矢張り人権問題については極めて中立的・・イスラエルのガザ侵攻に関する厳しい報告を見ても国連が過度に偏向しているとは到底思えない・・かつ厳しい見方をしていると思います。但し、問題は国連の構造上・・と言うか国際社会の現状を反映して・・安保理が拒否権で麻痺していると言うことだと思います)
http://www.aljazeera.net/news/pages/edb62db0-79dd-4cca-aa0e-cefe703e8698?GoogleStatID=1
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-02-28-09-15-42.htm
・クリントン長官はアサド大統領は戦争犯罪人であると非難した
(仏やアラブ連盟やGCC諸国の具体的施策模索に比して、米国は発言がヒステリックになり、またかなりぶれる半面、国連でも他でも現実の指導力を発揮していないように見えます。オバマ政権の問題でしょうか?)
http://www.aljazeera.net/news/pages/edb62db0-79dd-4cca-aa0e-cefe703e8698?GoogleStatID=1
・チュニジア大統領はシリア問題の平和的解決のために、アサド大統領及び親族にチュニジアへの亡命を認める用意があると語った。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-02-28-15-06-50.htm
・トルコの国家安全保障会議は声明にてシリア民衆の保護と人道的支援の必要性を呼びかけた
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-02-28-13-24-12.htm
http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-mulls-kosovo-like-plan-for-syria.aspx?pageID=238&nID=14894&NewsCatID=338
(他方上記のhurriyet net は同じ記事の中で、トルコは安保理の決議なしで、コソボの例に倣ってシリアに人道援助の回廊を設置することを検討していると報じていますが、こちらの方にはニュースソースも、誰が実際に検討しているのかの記述もなく、真偽のほどは全く不明です)
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