中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2012年03月

モサドのイラン国内作戦削減

30日付のy net news 及び31日づけのhaaretz net ,al qods al arabi net はいずれも30日付の米time誌を引用して、モサドがイラン国内における非合法活動を削減していると報じています。
その情報源はイスラエルの情報筋とのことですが、特に科学者の暗殺、ミサイル基地の爆破、スパイのリクルート等の活動が削減されたとのことです。
その理由は、特にネタニアフ首相等の、モサドの活動がイラン当局により暴かれた場合の反応を憂慮してとのことで、特にネタニアフはモサドがアンマンでハマスの政治局長ミシャイルを暗殺しようとして、要員2名が逮捕された時の首相で、結局解毒剤を提供し、ハマスの指導者の釈放に応じぜざるを得なくなったことがトラウマになっているとのことです。
またイラン人科学者Massoud Ali Mohmmadiの暗殺犯人としてMajid Jamali Fashidが逮捕され、モサドとの関係を詳しく自白し、そのことが西欧情報関係者から事実と認定されていることも大きな問題になっており、米国がこれらの工作に目をつむってくれる時期は過ぎたとのことです。
モサドの工作の削減はイスラエル国内では不満も呼んでおり、イラン政府に核開発の時間を与えたとの批判もある由。
一部の情報関係者は、イランはイスラエルのこれらの工作のため、核開発が2年間遅らされたと推定していると主張している由。

記事の要点はそれぞれ若干の差異はあるものの、概ね上記の通りですが、興味のあるのは何故現時点でイスラエルの主要マスコミのネットがこの記事を大きく取り上げたか、その背景です。勿論、その前提として、そもそもこの記事が云う通りモサドがイラン内での工作を削減したと言うのが事実か否かの問題はあります。
しかし、記事のニュアンスは、モサドが科学者の暗殺を始め非合法活動をイラン国内でやっていたことは事実、との認識に立っているように見え、これを否定するモサドその他のコメントも報じられていません(通常ならば荒唐無稽のお伽話だ、等と言う政府筋のコメントが載ると思うのですが)
一つはイランに対するメッセージで、モサドにはそれだけの能力があるのだから、イランが核活動を続ければ破壊工作が続くと言う警告です。
もう一つはイスラエルも米国の外交戦略路線にとりあえずは同調するので、モサドの手荒な非合法活動は当面自粛すると言うメッセージです。
もう一つはモサドが米国と組んでネタニアフ等のイラン攻撃路線を覆そうとする意図的リークです。
どうも、そのどれもが極めてあり得るシナリオとするにはいまひとつピンとこないところがありますが、このような記事が何の目的もなしにリークされることはあまり考えられません。
誰か納得できる説明のできる方はいませんか?
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4210322,00.html
http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/report-israel-s-mossad-scales-back-covert-operations-in-iran-1.421776
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-03-31-09-51-26.htm

米海軍のペルシャ湾兵力増強

30日づけのal qods al arabi net は米CNN放送等を引用して、米海軍がペルシャ湾での兵力を増強していると報じています。
記事の要点は以下の通りですが、掃海艇4隻の派遣は正しくホルムズ海峡は閉鎖させないという具体的な意思表示でしょうね。

CNNによれば、米海軍は近く掃海艇4隻をペルシャ湾に派遣する。それによるとUSS century等の4隻の掃海艇(他の3隻の名前も書かれているが、このcenturyと言う名前も含めてアラビア語なので、正確な英語名は不明につき省略)は4月末に米国を出発するとのことである。
別な軍筋は米国は当面航空母艦2隻のペルシャ湾派遣体制を維持する意向と述べた。
また別な筋によれば、現在改修中の動く司令部USSポンス(軍事問題に詳しい方から強襲上陸艦との指摘があったが、ここは原文のまま)が近く改修完成する予定で、数カ月以内にペルシャ湾地域に派遣される予定の由。
この艦は補給品、弾薬等の供給、及び航空機、掃海艇の修理等も行うことができる由。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-03-30-07-47-17.htm

イスラエルとの国交反対(チュニジア)

30日はイスラエル政府が1976年だったかにパレスチナ人の土地を収用したことに抗議したしたことを記念し、毎年抗議集会が開かれていますが(30日付のal jazeera net によれば西岸、ガザ、エルサレムでも抗議デモが行われ、イスラエル軍の銃撃等で、1名死亡、100名が負傷したとのことです)、チュニジアの首都チュニスでも1000名以上の群衆がパレスチナ支持を呼びかけてデモをしたが、彼等は同時に新しい憲法でイスラエルとの関係正常化を禁止することを要求したとのことです。
最近チュニジアではユダヤ系チュニジア人に対する反発とか、反イスラエル気分が高まっているとの報道がありますが、取りあえず。
なお、かって1900年代末にはチュニスにイスラエルの通商代表部があり、大使館への昇格も検討されていたようですが、その後イスラエルの対パレスチナ強硬策もあり、代表部は閉鎖されています。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=today\30z496.htm&arc=data\2012\03\03-30\30z496.htm
http://www.aljazeera.net/news/pages/e8cf7c02-8161-447a-adc2-72ef87c8fef3?GoogleStatID=1

シリア情勢(30日)

30日のシリア関連情勢al jazeera net ,al qods al arabi net 等より取りまとめたところ次の通りです、

31日付の朝日は国連事務局筋からの情報として、停戦が実現した場合に備えPKOの派遣を検討しており、その規模は200〜250名程度で、人員は取りあえず近隣に展開している国連PKO要員から重点する予定と伝えています。
同じことは下記のal jazeera も報じていますが、人員の規模から見てもいわゆる停戦監視団(少数の将校Kらなるグループで、武器は自衛のための小火器程度)だと思いますが、そのためには停戦の実現が前提となります。
その意味では実力を背景に兵力の引き離しとか停戦の実現を図る国連軍とはかなり性格が異なり(アラブ連盟が先に検討していたのは、国連軍またはアラブ軍)、ロシアと中国の否定的な立場に鑑み、この辺がぎりぎりの妥協点と言うことでしょうが、そもそもその前提の停戦が実現するかどうかが問題です。
国連PKOでもインドーパキスtンとかパレスチナとか停戦監視団の先例は多くありますが、記憶では大部分が国と国との間の停戦の監視で、内乱のような場合にはむしろ国連軍の派遣になることが圧倒的に多いと思います。これは内戦と言う場合に、当事者が明確でなかったり、停戦が明確でなかったり、正規軍同士の戦闘とは異なるので、必要に応じて実力で停戦を実行させる能力を有する国連軍(通常数千人規模)である必要の所為と思われます。

また最近感じることは、かなり皮肉なことに、シリア政府軍の行動がこれまでのイスラエル軍の行動と似ている(虐殺とk残虐行為とかいう意味ではなく)なと言うことです。
要するに冷たい軍事的観点からは、軍事的に優勢な方は早期の停戦を望まず、とにかくまずは相手を屈服させることを狙い、国際社会の圧力で停戦に応じぜざるを得ない時にも、口実を見つけては停戦を破り、取るものを大きくしようとすることで、そう言う観点からは今回シリア軍がアナン特使に停戦を約束した後も、むしろ攻勢を強めているところは、これまでのイスラエル軍の行動と酷似しているな、と言う感じがするわけです。
その為にイスラエル軍は度々国際社会から非難されてきましたが、皮肉なことにその批判の先頭に立っていたシリアが同じことを繰り返していると言う訳です。
勿論、単なる感想に過ぎませんがね・・・

・30日もシリア軍は各地で攻勢を強め、全土で少なくとも24名を殺害した。その大部分はdir al zur,イドリブ、ホムス、ダラアであった。
他方群衆は30日の金曜日を「アラブ、イスラム諸国に裏切られた日」として、多くの都市で抗議デモを行った
http://www.aljazeera.net/news/pages/abe5895f-75fb-417e-9ace-485828be7d50?GoogleStatID=1
・トルコ・シリア国境でトルコ軍兵士とシリア軍兵士の間で銃撃戦があった
(これはal araiya net の報じる所で、衝突の規模や死傷者んついての情報はない。なお、31日朝・・日本時間・・のトルコ紙のネットにはシリアとの衝突のニュースは見られない。仮にこの報道が真実であれば、少なくとも報道された限りではトルコ兵とシリア兵の初の衝突と言うことになり、その影響は大きいと思われる)
http://www.alarabiya.net/articles/2012/03/30/204156.html
・アナン特使の報道官は記者会見で、シリアの当事者総てに即時停戦を呼びかけるとともに、シリア政府に対して即刻アナンプランを実施するように求めた。
国連平和維持局は、停戦監視団の派遣に備えて、近く予備ミッションをシリアに派遣する予定である。
アナン特使の考えでは、中東及びアフリカに展開するPKOから200〜250名の監視団を派遣すると言うもので、その前提として安保理における決議の採択がある。
http://www.aljazeera.net/news/pages/d5566622-454d-45f3-ae7c-135a4a79553f?GoogleStatID=1
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-03-30-09-45-30.htm
・クリントン長官は31日トルコでのシリア友人会議に出席するが、それに先立ちサウディでアブダッラ国王とサウド外相とシリア情勢について協議した(内容は不明)
http://www.aljazeera.net/news/pages/d5566622-454d-45f3-ae7c-135a4a79553f?GoogleStatID=1
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-03-30-14-02-23.htm
・米国はシリアの国防大臣、副参謀長、大統領護衛隊長等シリア軍人に対する制裁を決定した、制裁は米国内の彼らの財産の凍結及び米国人が彼らと接触することの禁止等を含む。
http://www.aljazeera.net/news/pages/2e3d3ea1-3246-4608-b47e-1105a3d31ecf?GoogleStatID=9
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-03-30-17-09-53.htm

米国の対イスラエル・リーク作戦?

確か先ほどアゼルバイジャンの空軍基地問題で、もしかしたらこのニュースは米国筋の意図的なリークかもしれないと言う勝手な推測を書きましたが、29日付のy net news はRon Ben-Yishai 署名の記事で、最近米国政府はイスラエルのイラン攻撃を阻止するために、意図的にリーク作戦を展開しており、それが目に余るとの記事を掲載しています。
勿論このような主張を確認することは極めて困難で、要するに事実は藪の中と言うことですが、オバマ政権とネTニアフとの関係から見れば、全くあり得ない話でもないかと思いますので、記事の要点のみ次のとおり。
なお、ご関心の向きは下記のネットにアクセスされれば、英文ですのでお読みになれます。

最近オバマ政権はイスラエルの本年中のイラン攻撃を阻止するために活発なメディ攻勢に転じた。最近の米メディアに対する政府からのリークの洪水がそのことを物語っている。
米の第1の目標はイスラエルの作戦の選択肢を狭めて攻撃を困難にさせることで、先週のリークの大部分がsのことを物語っている。幸いリークの大部分は誤った情報に基づくものであるが、イスラエル外交に大きな損害を与えた。
第2の目標は、イスラエル国民に対してイラン攻撃は目的を達しないことを納得させることにある。イラン攻撃が単に核開発を6月遅らせるだけであれば、危険を冒す理由はなくなる。これに関する議会報告は極めて不正確なものであったが、目的は正確な情報ではなく、イスラエルの世論工作であった。
第3の目標はイスラエル世論をしてイランの報復の恐ろしさに注意を向けさせることである。
これらの情報は多くの場合不正確であり、且つここの事実は既知のことである。しかし、全体としてこれらの情報はイラン情報当局が多大の時間と労力をかけて、米国やイスラエルがイランの核開発について何処まで知っているのか、調べる手間を省いてやるようなもので、全くの対イランサービスに他ならない。
これが同盟国の政府のやるべきことであろうか?
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4209836,00.html
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