中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2012年05月

ムバラク裁判(エジプト)

エジプトでは大統領選挙等のニュースですっかり忘れていましたが、ムバラク前大統領の裁判の判決が近く出ることになっています。
この裁判はムバラク及び元内相その他の政府関係者及びムバラクの息子2人等に対するもので、平和的抗議デモ参加者の殺害および影響力(権力)の乱用に関するものだったと思います。
この点に関して30日付のal arabiya net は、判決は48時間以内に出る(ということは6月1日と言うことでしょうか?)として、判決の内容には3の可能性があるとして
・第1はムバラク無罪の可能性
・第2はムバラクに責任があったとして
   治安部隊がデモ隊に実弾を発射して殺害したことが証明された場合には、ムバラクがその事実を知らず、 命令を与えて居なくとも、禁固10年   
   ムバラクが実弾射撃を知っていて、これを黙認したか阻止しなかった場合には禁固25年
・第3はムバラクが発砲を命令した場合には死刑
というシナリオがあるとしています。
更に、彼に対する判決が大統領選挙の決選投票に何らかの影響を与えることは必至で、仮に無罪となれば、民衆の怒りをかきたて、重大な騒動に発展する可能性があるとしています
(このような状況が予測されるときに本当に予定通りの日程で判決が出るのでしょうか?その辺は不思議です)
http://www.alarabiya.net/articles/2012/05/30/217539.html
他方30日付のal qods al arabi net はエジプトの政府TVによれば、検察はムバラクの息子2人及びその他7名を証券取引所の操作の経済犯で新たに、刑事裁判所に送致したと報じています。
取りあえず
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-05-30-13-35-33.htm

エジプト大統領選挙

エジプトの選挙は驚くことばかりですが、こちらも忘れていましたが、エジプト議会がムバラク時代の首相等を欠格とした法律で、一旦はシャフィーク候補が欠格とされたが、その後の異議申し立てで、立候補が認められ、議会の法律そのものは憲法裁判所に付託されていました。
この問題が再度蒸し返されています。
31日付のal jazeera net は、革命青年連合等がこの法令の適用を求め、憲法裁判所は審議を早めるべきであると要求したと報じています。
また、先日の選挙で第3位と第4位になったサバ―ヒ候補とアブルフトゥフ候補も、憲法裁判所の判断が出るまでは、決選投票は行うべきではないと主張しているとのことです(何しろシャフィークが欠格であったとすれば、第3位及び第4位の候補には決選投票に残り得た十分な余地が出てくるのですから、この主張はある意味で当然でしょうね)。
また、仮にシャフィークが大統領に選出された後で、大統領がそもそも欠格者であったとの判決が出たら、一体どういうことになるのか、とも指摘されている由。
http://www.aljazeera.net/news/pages/a33e3177-bb78-4cda-a599-51dcea752e0c?GoogleStatID=9
記事の要点は以上ですが、30日付のal qods al arabi net はサウディのある宗教指導者が、エジプト国民に対して決選投票でシャフィークに投票しないように呼びかけたとのことです。
やれやれ
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-05-30-14-40-18.htm

シリア情勢(30日)

30日のシリア情勢についてal jzeera net 等の報じるところを取りまとめたところ次の通りです。

0600放送のBBCでは、米国のさる下院議員(イスラム教徒の由)が、安保理の決議なしでも米欧はトルコと協力してシリア北部に安全地帯を設置すべきで、同地帯を守るためには軍隊を派遣すべきであると発言していました。
おそらく、このような意見は米国では未だ未だ極めて少数の意見だと思いますが、今後ともアサドの虐殺が続くようならそのような要求が強くなり、米政府の行動に影響する可能性も出てくると思います。

・30日シリアではダマスカス近郊、郊外、市内等でも政府軍と反政府軍の衝突があり、政府軍の砲撃と相まって、民間人、政府軍、反政府軍に39名の死者が出た。政府軍と反政府軍の激しい衝突が伝えられたのは、他にホムス及びアレッポがある。
http://www.aljazeera.net/news/pages/d61aa0e0-e31c-4e60-be9a-4df94b6680d6?GoogleStatID=1
・国連停戦監視団は東部のdir al zur の近くで、後ろ手に縛られ冷酷cold blood に処刑された13名の遺体を発見した。
(シリア各地で現地処刑が大量に報じられていましたので、この種の遺体は今後とも他で発見される可能性が強いと思います)
http://www.aljazeera.net/news/pages/d61aa0e0-e31c-4e60-be9a-4df94b6680d6?GoogleStatID=1
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-05-30-14-56-17.htm
・人権理事会は6月1日houlaの虐殺を審議するために特別会合を開くこととなった。この会合は、米国、トルコ、カタール、欧州連合がその開催を要求したものである。
(人権理事会の設立に当たっては、途上国に牛耳られるとの懸念から米国が反対していましたが、拒否権のない同理事会がロシアや中国の反対にも拘わらず、シリアの人権蹂躙を非難して来たことは、国連機関の重要な役割を裏付けるものとおもいます。勿論理事会には制裁決定などの権限はなく、それは安保理の分野です)
http://www.aljazeera.net/news/pages/37dc7d97-4ed8-49af-8e4b-32e232cf3797?GoogleStatID=1
・ロシア、中国は依然としてシリアへの外国の介入に反対で、houla事件のために制裁を課すことも時期尚早であるとしている
http://www.aljazeera.net/news/pages/37dc7d97-4ed8-49af-8e4b-32e232cf3797?GoogleStatID=1
・トルコは大使以下シリア外交官全員を追放すると30日発表した。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-05-30-13-57-38.htm

トヨタの宗教による差別?

30日付のtoday's zaman net は、トルコ内に部品工場を有するトヨタが従業員の宗教により差別して、143名を解雇したと非難されていると報じています。
記事によると、トヨタは断食をおこなう職員を差別して、この3月及び4月に143名を解雇したと地元紙に報じられたが、その部品工場の工場長は断食をしたら仕事Kら外され、解雇されたと訴えているとのことです。
これに対してトヨタは、昨年の震災、タイの洪水等のために車の生産が大幅に減少したので、143名を解雇せざるをえなかったのは事実であるが、解雇の基準は仕事の成果であって、宗教等の要素は全く入っていないとの声明を発したとのことです。
またトルコ議会の人権委員会はトヨタの雇用を評価しつつも、宗教を理由にしても解雇との報道に懸念を表明する書簡をトヨタに送ったとのことです。

記事の要点は以上で、どちらの言い分が正しいか不明ですが、事実はともかく、宗教問題は極めて微妙な問題で、上手くハンドルしないと重大問題になりかねないだけに、トヨタの広報宣伝の成果が注目されます。

http://www.todayszaman.com/news-281915-toyota-allegedly-lays-off-143-due-to-religious-bias.html

サウディの核開発?

30日付のhaaretz net は米国のアラブ問題専門家の公式発言として、サウディのアブダッラ国王が彼Dennis Ross(民主党系の中東専門家でクリントンの時の中東和平の担当者で、オバマ政権でも最近まで中東を担当していたと思う)に対して、イランが核兵器を保有すれば、サウディも核兵器保有を模索すると述べたと報じています。
これはDennis Rossがその本の発表会で発言したとのことですが、彼によれば2009年4月彼がサウディ国王に会った際の発言とのことで、彼からは核不拡散の重要性をるる説明したが、国王はイランが核を入手したらサウデイも同様にすると繰り返したとのことです。
記事は更にこれまでもサウディが(イランの核に対抗して)核を保有する可能性があるとの発言、警告は時々なされているが、サウディ国王の発言を直接米国政府関係者が公けの場で(要するに裏話等の類でなく)確認したのは初のケースであるとコメントしています。

記事の要点は以上で、勿論ことの信憑性は全く不明ですが、確かこの人物は極めてイスラエル寄りとの評価のある人物でもあり、この発言もそう言う目で見る必要があるかもしれません。
要するにイランの核施設に対するイスラエル独自または米国の協力も得た軍事行動の可能性とオバマ政権の反対が囁かれている現在、仮にこの情報が正しければ、何が何でもイランの核開発は阻止すべきという理由が一つ加わったことになるからです。
その意味では政治的記事かもしれませんが、ことは重要問題ですので、とりあえずご参考まで
http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/dennis-ross-saudi-king-vowed-to-obtain-nuclear-bomb-after-iran-1.433294
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