中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2012年07月

イエメン・イラン関係

31日のal qods al arabi net ,al arabiya net は、イランの大統領特使は3日間の滞在でイエメン大統領に会えずに、30日夜帰国したと報じています。
それによると、大統領特使の石油次官は大統領と会って、アハマディネジャード大統領からの8月の非同盟首脳会議への参加招待状を手交する予定であったが、そもそもこれは表向きの口実で、訪問の真の目的はイエメンがイランの同国に対する内政干渉に怒っていることを、宥めるためであったが、結局hadi大統領が会談を拒否したとのことです。
記事によると、どうやら直接のきっかけはつい最近イエメン情報機関が、元革命防衛隊士官を長とするイランの情報機関の細胞が、7年間もイエメンで活躍していたことを発見したことにあるとのことです。
彼等の具体的な活動については、駐イエメン米大使はイランのイエメンにおける最近の活動はホーシイ部族(北のシーア派で、政府軍やサウディ軍と戦ってきた。買って彼らへの武器補給船と思われるイラン船がホデイダ近辺で摘発されたことが2〜3回あったように記憶する)及び南部の過激分離主義者の支持に留まらず、アルカイダの支援までしていると記者会見で語った由。
記事はまた、イエメンの政治家でイラン問題専門家は、イランは現在域内の最大の拠点シリアを失いつつあり、イエメンをアラビア半島及びソマリアへかけての地域での活動舞台として重要視していると語っているとも報じています。

記事の要点は以上ですが、2の記事とも非常によく似ており、どうも同一ソース(イエメン政府筋とされているが)のブリーフに基づくものかと思われますが、取りあえず。
http://www.alarabiya.net/articles/2012/07/31/229439.html
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-07-31-07-42-57.htm

米大統領選挙と中東紛争

邦字紙も大きく報じていますが、大統領選挙中の共和党候補のロムニ氏がイスラエルを訪問し、イスラエル支持を大々的に打ち上げ、エルサレムがイスラエルの首都であるとして、当選の暁には米大使館のエルサレムへの移転を示唆したとのことで、さっそくハマスとパレスチア暫定政府(PLO)がこのような発言は、従来の米国の立場と矛盾しており、人種差別的で、中東和平をさらに困難にすると非難したとのことです。
http://www.aljazeera.net/news/pages/8f04b1ca-3a11-46c3-a3c9-25359218e5f9?GoogleStatID=9
米国の選挙、特に大統領選挙では、ユダヤ人団体の組織的支援とその資金を求めて、民主党も共和党もイスラエル支持の発言を繰り返すのが通例ですが(オバマも最近は中東和平に対する熱意は薄れ・・・公正な和平のためにはイスラエルの大幅譲歩が不可欠だから・・・イスラエルに受けのいい発言ばかりが目立つようになってきました)、それにしても選挙戦中に候補者が態々イスラエルを訪問し、従来の米国の立場とも国際社会及び国際法の立場とも反する政策をぶち上げる米国と云う国は、誠に異常な国で、中東和平と云う観点からすれば、このような国が最大の(場合によっては唯一の)影響力を有すると言う状況は、国際社会にとって誠に悲劇的だと思います。
ロムニが、このような行動に出たのは、オバマが一般的にイスラエルに対して厳しく、特にネタニアフとは不倶戴天の関係にさえ会ったことを見越しての行動でしょうが、伝統的な民主党のイスラエル一辺倒の政策に対して、アイゼンハワー大統領が毅然として中立的(と云うか国際正義の)立場をとったことが懐かしくなります。
この調子では、ロムニーが勝てば勿論、オバマが勝っても、米国の対中東政策には全く期待は持てないことになりそうです。
尤もこのような馬鹿馬鹿しいイスラエルに対する叩頭政策も、選挙の時だけで、特にオバマの場合次の再選はない訳ですから、国際正義のためにひと頑張りする可能性もなくはなく、ロムニーだって大統領になれば、先ずは米国の国益第1に考えるでしょうから、もう少しバランスの取れた政策にシフトするかもしれません。
取りあえずのコメントです

シリア情勢(30日)

30日のシリア関連情勢について、何時ものアラビア語ネットから取りまとめたところ、次の通りです。

矢張り戦闘の中心はアレッポのようで、自由シリア軍はその60%を支配していると主張し、政府軍はサラディーン地区を制圧したとしているようですが、双方の火力の差から考えても、自由シリア軍の主張には誇張ではないかと思われますが、政府軍の方もこれまでのところ相手を圧倒していない、と云うところなのでしょうか?
今後双方の人命喪失がうなぎ上りに上ることは避けられ無い状況です。

・アレッポ及びその近郊では激しい戦闘が続いている。
自由シリア軍はアレッポ及びその近郊の60%を支配していると主張している。
自由シリア軍は近郊のアンダーンという戦略的に重要な検問所を制圧し、戦車(複数)、大砲、弾薬を捕獲した。
また戦車を使って軍事飛行場を初めて攻撃した由。
http://www.aljazeera.net/news/pages/d76a8ed1-fd9f-44ea-a320-cefcd9670a00?GoogleStatID=1
・政府軍は制圧したダマスカスの各地区で大規模な掃討、逮捕作戦を行っている。
ダマスカスとアレッポ以外ではホムス、ダラア、イドリブ等でも激しい戦闘が続いている。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-07-30-13-14-23.htm
・人権団体によれば30日シリア各地で死亡した数は63名に上った。
http://www.aljazeera.net/news/pages/d76a8ed1-fd9f-44ea-a320-cefcd9670a00?GoogleStatID=1
・シリア外交官の離反が続いている。
在アルメニア大使館の領事に続いて、在英臨時代理大使が離反し、またナイジェリア大使館次席が離反した。
軍人等の離反も続いていて、ラタキア警察副署長が部下とともにトルコに亡命した。
また大佐を含む5名の将校がトルコに亡命した。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-07-30-17-23-24.htm
http://www.aljazeera.net/news/pages/e14cc953-a54b-4f16-8df4-dcbcbcb083fd?GoogleStatID=1
・トルコ紙によれば、30日新たに20両の軍用車両が兵士及びミサイルをシリアとの国境地帯に搬送しているのが目撃された由。
これはトルコの国境地帯での最新の兵力増強である。
他方シリア紙によれば、イランはトルコに対してシリア領内で軍事行動をすることにつき、厳しい警告を発したとのことである。
http://www.aljazeera.net/news/pages/d219a7e6-d43d-4d6e-a82f-99395c8031f3?GoogleStatID=1
・バラク国防相はシリアの化学兵器の危険性はそれほど高くないとの新しい評価を示した。
イスラエルはシリアの保有する化学兵器がヒズボッラの手に落ちることを強く警戒し、その危険性がある場合には軍事力行使を辞さないとしてきたが、先日シリアが初めて化学兵器の保有を公に認め、化学兵器は安全な場所で厳重に警護されていると表明してから、その危険性に対する評価を改めたものである。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-07-30-13-52-34.htm

リビア陸軍司令官の暗殺未遂

30日付al arabiya net はリビアの陸軍司令官が暗殺未遂事件に巻き込まれたと報じています。
記事によると、陸軍司令官のkhalifa haftar中将は(日時不明)ベンガジで自宅へ帰るところ、機関銃で襲撃されたが、特段の負傷はしなかったとのことです。
なお、同中将は暗殺未遂が革命直後の革命軍参謀長yunes 暗殺の1周年に当たることに関して、自部の暗殺未遂とは関係がないとして、カッダーフィ政権の生き残りのテロリストの仕業であると述べたとのことです。
選挙は終わった(しかしいつになったら結果が解るのでしょうかね?)ものの、リビアの治安は未だ未だ悪いと言うことでしょうね。
http://www.alarabiya.net/articles/2012/07/30/229190.html

中国駆逐艦のスエズ運河通過

最近中国の駆逐艦がフリゲートを伴って、スエズ運河を通過して東部地中海にはいったとのことで、同艦はおそらくシリアに向かい、同地で合同演習に参加する可能性があるとして、シリアの反政府派及び人権活動家等より通過を許可したエジプト当局に対する非難が高まっているとのことです。
これに対して自由公正党(ムスリム同胞団の政党でムルシー大統領の出身母体)の幹部が、スエズ運河については国際条約(1088年のコンスタンチノーブル条約)で総ての国の総ての艦船に対して自由航行が認められており、エジプトが航行を拒否できるのは戦争状態にある国の艦船のみであると反論したとのことです。
勿論条約の実施についても、非常に誠実にするのか、建前は建前として、実際には書類がどうとかケチをつけて妨害する等やり方はいろいろあるとは思いますが、この問題も、所詮はムスリム同胞団がエジプト政府を握ると直面する種々の現実問題の一つで、それぞれに然るべく対処して行かなければならず、ムルシーの苦労も未だ始まったばかりですね。
因みに、先月にはロシア、中国、イラン、シリアの艦船が東地中海で合同演習をするという報道がありましたが、この中国駆逐艦がそれに当たるのでしょうか?
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4261923,00.html
http://www.alarabiya.net/articles/2012/07/30/229192.html
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