中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2012年09月

ムジャーヒディーンハルクのテロ組織リストからの削除

最近2〜3のアラビア語のネットで、米国がイランのムジャーヒディーンハルクをテロ組織リストから削除したとの記事が散見されました。
ムジャーヒディーンハルクと言えば、ホメイニ革命の時にホメイニ支持者等とともにシャーを倒す運動の中で大きな役割を演じたが、革命後ホメイニ勢力と対立し、イランにでは弾圧され、完全に舞台から追いやられ、その後イラクのサッダムがイラク・イラン戦争を始めるや、イラク内に基地を得て、イラク軍と共同して戦闘に参加した組織でした。
ところがその後サッダムが米国に倒され、シーア派の影響力の強くなったイラクでは基地から追放されたり、イラン軍に越境攻撃されたりで、歴史の波間に消えていくのかとの印象を与えていました。
このため、テロ組織リストからの削除と言うニュースを見ても、あまり気にもとめませんでしたが、30日付のal arabiya net はその幹部の言として、テロ組織リストからの削除は、組織の重要な勝利であり、これで組織はイランも含めて、総ての地域で、特に米国内でも活動がしやすくなるとして、今後イランのホメイニ体制に対する闘争を強化していく考えを報じています。
注目されたのは、テロのリストからの削除には彼等の米国内における法律闘争が大きく貢献した他、彼らの活動でイラン国内の状況が外部によく解るようになったことだとして、イランの核開発に関するムジャーヒディーンHルクの情報収集活動(写真の提供も含む)の成果だとしていることです。
と言うのは、これまでもイラン当局はイスラエル情報機関(モサド)のイラン国内における活動のエイジェントとしてムジャーヒディーンハルクが、情報収集{スパイ}、科学者の暗殺などに関係していたと非難していたからです。
この点からすると、上記幹部の発言はムジャーヒディーンハルク自体がこのような活動を認めたことになると同時に、現時点での米政府の同組織をテロ組織指定から解除すると言う決定には、かなりの政治的意味合いがあることを示唆していそうな気がします。
一つは裏にイスラエル政府の働きかけがあった可能性ですが、より重要なのはイランの核開発に関して、イスラエルと米国が強硬な姿勢を強めている時点での、この決定には大きな政治的意味(イラン国内におけるサボタージュ等での同組織の活用を含め)がありそうな臭いがしてなりません。
以上のコメントはal arabiya net の記事を読んで、当方が勝手に想像したところで、具体的な根拠がある訳ではありませが「火の無いところに煙は立たない」と云われます。
関心のある方はアラビア語ですが下記をご参照ください。
http://www.alarabiya.net/articles/2012/09/30/240960.html

トルコ戦闘機撃墜事件(al arabiya の秘密文書暴露放送)

al arabiya net は29日だったか、al arabiya 放送がシリア政府の重要な秘密文書を入手したので、今後順次それらの文書を放送していく、と予告していましたが、早速29日から放送を始めた模様で、29日づKのal arabiya net は第1回の放送として、シリア軍に撃墜されたトルコ軍戦闘機についてのシリア政府内での生々しいやり取りを報じています。

その内容として、特に注目されるのが、信じ難いことに、撃墜された機体で死亡したとされていた2名の操縦士がシリア軍情報部に捕虜になり、その後事故死を装って殺され、機体の墜落現場に遺棄されたと言うものです。
この撃墜問題はトルコでも当時大問題となり、仮にこの秘密文書が事実とすれば(al arabiya net は文書は反政府派の協力を得て入手したが、その経路は明かせないとしているが、文書のコピーとされるものの写真は放映されている)、トルコとシリアの関係に重大な影響を与える可能性があるように思われます。
その為か、トルコのhurriyet net とtoday's zaman net はいずれも、この記事を大きく取り上げていますが、hurriyet net はトルコ外務省からのコメントは出されていない、と付言しています。
また撃墜を命令したのがタルトゥスのロシア海軍基地であったと言うところについても、ロシアから激しい否定があるだろうと思われます。
真偽のほどは全く不明です。
トルコのネットは英語ですから関心のある方は下記でお読みください。
http://www.alarabiya.net/articles/2012/09/29/240868.html
http://www.hurriyetdailynews.com/turkish-pilots-killed-by-syrian-intelligence-al-arabiya-claims.aspx?pageID=238&nID=31288&NewsCatID=352
http://www.todayszaman.com/news-293813-report-turkish-pilots-killed-by-assad-forces-after-surviving-crash.html

al arabiya net の記事の要点のみ

最初の秘密文書は、トルコ機撃墜の命令はタルトゥスのロシア海軍基地から発せられ、2名の操縦士は事故で死亡したのではなく、捕虜となったことを明らかにしている。
アサド大統領は当初彼らを戦争捕虜として扱い、彼等からトルコの自由シリア軍に対する支持等に関する情報を得ることを命じた。
また同じ文書は、彼ら2人をレバノンに移し、ヒズボッラの管理下に置くとの提案を検討することに同意したとしている。
第3の文書は、
   トルコが自由シリア軍を支持しているとのロシアからの情報と助言に基づき、アサドは彼らを自然死に偽装して殺害し、機体の付近に遺棄することを決定し、
   アサドがトルコ機撃墜で慌てて謝罪したのは、トルコを困惑させ、世界世論の支持を得るためであった、
   同時にアサドはクルドのテロ組織PKKを、トルコに対する警告として、軍事活動のために国境地帯に移動させた、
との3点を明らかにしている。
(そしてal arabiya net はその後に、「シリア国民潮流」の政治局員であるhasan al shalabia博士のコメントとして、これらの文書は基本的に信頼できるとの言を伝えています)

遺跡の破壊(マリ北部)

イスラム原理主義者によるマリ北部での遺跡の破壊は依然続いているようです。
29日付のal qods al rabi net は、同日マリのトンボクトゥ(歴史的に有名な町)の北西90kmにあるghundam(アラビア語からの音訳)で、イスラム原理主義者が、イスラム教の聖者廟を破壊したと報じています。
彼らが何者かは不明ですが、この7月だったかにansar al din とか称する原理主義の連中がトンブクトゥで聖者廟を破壊し世界的な非難を浴びたことがあったので、おそらく同じグループの犯行ではないかと思われます。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-09-29-13-44-54.htm

デモ隊員の死亡(バハレン)

バハレンではその後も、シーア派を中心とした抗議活動が続いていますが、29日づKのal jazeera net とal qods al arabi net は、28日夜警官隊とデモ隊が衝突して、シーア派の若者1名が死亡したと報じています。
記事によると、デモは数千人の若者が首都マナマの南西部のsadad村で抗議行進をしたところ、警官隊と衝突し、17歳の青年が銃撃で死亡したと言うものですが、政府と人権団体の云い分が違っていて、政府はデモ隊が火炎瓶等で警官を襲撃したためとしているのに対して、人権団体は青年は至近距離から狙われたとしている由。
デモの理由は首相の退陣要求とのことです。

記事の要点は以上ですが、通常デモ隊と警官隊の衝突で死者が出る場合には、その数倍以上の負傷者が出るものですが、今回は負傷者や逮捕者の報道はりません。不思議です。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-09-29-11-16-46.htm
http://www.aljazeera.net/news/pages/eec73332-eb59-4f6a-84b8-479d1e1c38b4?GoogleStatID=1

シリア情勢(29日)

29日のシリア情勢につきアラビア語メディアのネットより取りまとめたところ次の通りです。
どうやら現地戦闘は益々ダマスとその近郊、アレッポに集中しているみたいです。また報道が事実であれば、政府軍は益々焦土作戦に訴えつつあるように見ます。

・29日の死者は少なくとも120名を超えたが、その大部分はダマスと近郊、アレッポ、dir al zur ,イドリブ、ダラア等であった。
http://www.aljazeera.net/news/pages/a497d6da-363d-4634-89d3-c0f99929d9c5?GoogleStatID=1
・政府軍はダマス市及び近郊で戦車も動員して攻撃をかけているが、ダマス市及びその郊外で多数の家屋を破壊し、また20以上のオリーブ園を焼いた。
アレッポでは市内各所で両軍の激しい戦闘が続いていて、双方とも自軍の優勢を伝えている。
アレッポの旧市街の有名なスークが政府軍の砲撃で炎上し、20軒以上が全焼した。政府軍の砲撃の下自由シリア軍は消火に当たっている。
・dir al zur 郊外では政府軍機が爆撃を続けている。
ダラアでは自由シリア軍が防空部隊の兵舎を制圧した。
http://www.aljazeera.net/news/pages/a497d6da-363d-4634-89d3-c0f99929d9c5?GoogleStatID=1
・イドリブで広がった火災は既に100ヘクタールを焼いたが、トルコ国境に達しており、トルコ当局は150名の消防士を動員して消火活動に当たるとともに、ハタイ県の国境付近で道路を封鎖したりして、火事の延焼に備えている。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-09-29-07-41-38.htm
・シリア軍幹部は、政府が数万人のシャビーハからなる国民防衛本部の設立を検討しているとの報道を否定した。
政府派正規軍は十分な兵員を要しており、このような噂はシリア国内に宗派対立を煽ろうとする試みであると非難した。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-09-29-07-15-23.htm
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