中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2013年09月

米国の退場とロシアの台頭(風刺漫画)

ad48f91a-a73a-437b-9731-afb408d649a4_4x3_296x222[1]al arabiya netの風刺漫画を一つ。
小さいのですが、米国のカーペット(旗)をまいているのはオバマ、ロシアの国旗を広げているのがプーチンに見えます。
意味は明確だと思います。
http://www.alarabiya.net/

公務員の公共の場所でのベール着用禁止廃止(トルコ)

トルコのエルドアン首相は30日、広範な改革パッケージを発表しましたが、その中に女性公務員の公共の場所でのベール着用禁止令廃止が含まれているとのことです。

パッケージは勿論それだけには限られたおらず、その要点は下記の通りのようですが、イスラム諸国の関心が強いことを反映してか、例えばal qods al arabi net はこの問題に焦点を当てて:
トルコの女性公務員は、現在公共の場所でベールの着用を禁止されているが、パッケージが承認されれば、警官、軍人、裁判官、弁護士を除いて着用が認められるようになる、
現在既に大学での着用は認められている、
エルドアン夫人を含め政治家の夫人のおおくは既に公共の場でベールを着用している
と報じています。

その他のパッケージの要点は:
母語による教育の容認
1980年以降変更された地名の復活(上と合わせてこの2つの条項はクルド対策と思われる)
選挙制度の改革  得票率10%での足きりの軽減
集会の自由の拡大
宗教的民族的少数派の保護とのことです。
このパッケージに対して、クルド勢力は不十分、EUは重要な一歩であるとしている由です
取り敢えず
http://www.alquds.co.uk/?p=88987
http://www.todayszaman.com/news-327738-govt-unveils-reform-package-to-boost-democracy-headscarf-ban-removed.html

イラン治安情勢(29〜30日)

イラクのテロには歯止めがかかりません。
30日al qods al arabi net とal arabia net の報道では、かなり数字が違いますが、前者によれば30日バグダッドの方々、特にシーア派居住地域で、13台の車爆弾が爆発し、43名死亡し、163名死亡したとのことですが、後者は11台の爆発で37名死亡、数十名が負傷したとのことです。
双方とも下手人からの犯行声明等は出ていないとしていますが、主としてシーア派の居住地域が狙われたことからアルカイダ系のスンニ派の犯行と見られています。
このテロが痛ましいのは、その前日の29日夕にもバグダッドの南60kmの町で、シーア派の葬式のテントへの自爆者のテロで47名が死亡したばかりだったことです。
又数日前には、これまでイラクで最も治安もよく経済的にも反映していたクルド自治区でもテロがあったばかりです。

9月だけでもテロの犠牲は840名に上るとのことで、その背景等は不明ですが隣国のシリアの内戦の影響とされています。いずれにしても、犯行声明もなく犯人像や詳しい犯行の理由等は全く不明です、
といあえず
http://www.alquds.co.uk/?p=88965
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2013/09/30/30-قتيلا-على-الأقل-في-انفجار-تسع-سيارات-مفخخة-في-بغداد-.html

スーダン情勢

スーダンでは、燃料の値上げに抗議するデモが首都等で続いており、多数の死傷者、および逮捕者が出て、抗議デモのスローガンが、バシール打倒とか自由を!と言う方向に代わってきたことは先にお伝えしましたが、
スーダン政府は首都の中高校の学期末休暇を10月20日まで延長することを決定したとのことです。
又これまで南スーダン内で(スーダン支持の)戦いをしてきたイスラム勢力が、平和的抗議に参加することと暫定政府の設立を求めたとのことです。
他方、スーダン政府はal arabiya 放送等に対する締め付けを強めている他、内務大臣が抗議運動は、スーダンの治安と安脅かそうとする勢力により操られていると非難し、燃料価格の値上げについては撤回しない良表明したとのことです。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2013/09/29/إسلاميون-قاتلوا-في-جنوب-السودان-يتظاهرون-ضد-البشير.html全を
http://aljazeera.net/news/pages/316e344e-1f94-465e-a349-bf412f4c530f
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2013/09/29/إسلاميون-قاتلوا-في-جنوب-السودان-يتظاهرون-ضد-البشير.html
http://www.alquds.co.uk/?p=88710
取り敢えずの断片的な情報は以上で、スーダン情勢が何処まで深刻になっているかは不明ですが、経済問題への不満からのデモ隊員が死亡し、その葬式が政治的表現の場になり、政権打倒のスローガンが現れると言う、どこかこれまでのアラブの春に似たパターンがみられるような気がして、スーダン情勢は暫く要注意かと思って見ています。

シリア情勢(29日)

これから授業ですので取り敢えず極一言だけ。

ダマス近郊のゴータでは反政府軍の新しい統一組織「イスラム部隊」が創出されたとのことですが、自由シリア軍が反政府軍を統括して行くという擬制は益々現実離れしてきて、矢張り反政府軍内ではイスラム勢力の影響力が強くなっていることをうかがわせます。
また反政府連立はイスタンブールで会合をしていますが、アサドの取り扱いを巡って未だにジュネーブ会議への出席を決められないでいるとのことで、反政府側の一層の混乱が伺えます。
他方、国際科学兵器禁止条約機構はアサド政府の報告書は信頼できるとして、10月1日から廃棄のための作業を始めるとのことですが、そもそもシリアの化学兵器はイスラエルに対する抑止力でしたから、内戦でその命運が危うくなっているアサドにとって、化学兵器問題では國際社会の信頼を取り戻した方が得策との考えがあるのでしょうね(尤も本来はこれはロシアの政策かとも思うが)

・ダマス近郊のゴータで戦っている反政府軍各部隊は、「イスラム部隊」と言う名前の統一組織の設立に合意した。これはゴータ地方での多くの町に対する政府軍の包囲を解放するための軍事力の統合が目的である。
・又ゴータの反政府軍は、化学兵器廃棄の調査団の活動を支援するために国連との合意のもとに29日1100〜1400までの停戦を発表した。この停戦はゴータからダマス市まで適用される。
國際化学兵器禁止条約機構は、シリアの化学兵器に関する政府報告書は信頼できるとして、廃棄のための作業を10月1日から始めると表明した。
・その他、ハマ、ダラア、イドリブ、dir al zur 等で激しい戦闘が続いている。
ラッカでは政府軍の高校への爆撃で高校生15名が殺害された。
http://www.aljazeera.net/news/pages/6912fbfb-edc3-41db-b738-33e1b5adf004
http://www.aljazeera.net/news/pages/bdbdd7cd-2333-49eb-ad55-cec6153caa6f
・自由シリア軍は、政府軍がホムスの包囲を解除しなければ、ホムスの政府系住民の居住地帯を砲撃すると警告した(30日の朝日新聞はラタキア郊外でヌスラ戦線がアラウィ派住民を200名虐殺したとして現場からの報告書を載せていましたが、シリア内戦では益々宗派戦争、住民に対する残虐行為が一般化しつつあるように思えます。反政府軍がホムス等で苦戦している時に、ラタキアでどうして新しい戦線を開いたか疑問だったのですが、アサドの本拠地での戦闘にホムスから政府軍を引きつけようとしたのか、ホムスやqusair 等に対する報復だったのでしょうか?)
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2013/09/29/الجيش-الحر-يهدد-بقصف-الأحياء-الموالية-للنظام-في-حمص-.html
・反政府連立の責任者は、連立としては未だジュネーブ平和会議への出席を決めていないと発言したが、それはアサドの扱いを巡ってである。
他方アサドはTVのインタビューで、大統領選への出馬はまだ決めていないとしつつ、民衆が望むなら出馬吸う用意があると述べた。
http://www.aljazeera.net/news/pages/ab0ce858-1a70-4af4-990a-fce9a5b44326
http://www.alquds.co.uk/?p=88717
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