中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2014年05月

シリア情勢(30日)

30日のシリア情勢につきとりまとめたところ次の通りです。

・30日もシリア軍機は各地で活発な空爆を行ったが、特にダマス周辺、ハマ、アレッポ、ダラア、ホムス、イドリブ等で激しかった。
ハマ郊外では塩素ガスの投下で、数十名が窒息症状を起こした。
その他、政府軍はダマス周辺で地対地ミサイルを使用した他、方々で戦車砲等で砲撃している。
・これら空爆と地上戦で。シリア各地で少なくとも33名が死亡した。
http://www.aljazeera.net/news/pages/8c3afc3e-f684-43c1-a0f3-f36e7e7758aa
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2014/05/30/براميل-متفجرة-تحمل-غازات-سامة-على-اللطامنة-بريف-حماه.html
・ハサカでは「イラクとシャムのイスラム国家」がクルド人15名を殺害した他、193名を誘拐した。
シリア人権団体はこのような「イスラム国家」の行動に対して、総ての反政府軍が反対するように呼びかけた。
http://www.aljazeera.net/news/pages/8c3afc3e-f684-43c1-a0f3-f36e7e7758aa
・米政府は30日、イドリブで政府軍集結地に対いて自爆攻撃をした米国人が死亡したと確認した。
これは確認された米国人自殺攻撃の最初のケースである。
彼はアルカイダ系のヌスラ戦線の一員として戦っていた。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2014/05/30/بالفيديو-أول-أميركي-ينفذ-عملية-انتحارية-في-سوريا.html
・反政府連立及び彼らの支持国は、国連においてアサド政権に対して2の決議を通じて、その正当性を否認し、人道支援を進めようとしている。
一つは国連総会でシリア代表団が正当なシリア政府の代表ではないと認定することである。
もうひっつは、豪州、ヨルダン、ルクセンブルグが用意している安保理決議案で、こちらの方は憲章第7章に基づき、人道的援助回廊の設置等を含めた人道援助に関して、アサド政権及び総ての関係者に対して、憲章第7章(強制措置)にもとづく協力を義務付けるものである
(これらの決議案が採決にまで至るかどうかは不明ですが、後者の憲章第7章に基づく強制措置については、これまでの経緯からもロシア、中国が拒否権を行使することは明で、成立する可能性はゼロでしょう。
他方前者については、総会の委任状審査委員会で、シリア代表の委任状は正当な政府のものではないとして、これを否認して、シリア代表の活動を否認するもので、かって中国と台湾の関係で「中国代表権問題」として我が国でも重大な関心を持たれたことがありました。こちらの方は総会決議で拒否権の対象外だし、この問題が重要事項に指定されない限り・・・中国の場合重要事項に指定され、3分の2の多数決を必要とされた・・・単純過半数で可決可能ですのではるかに容易ではあると思います。
安保理決議の共同作成国にヨルダンが入っていますが、この人道的回廊の設立は、仮にアサド政権が実施を拒否すれば、国連が実力を行使してでも実現する、と言う意味の決議案ですから、その現場となり得るヨルダンが本当に入っているのか若干疑問ではあります)
http://www.alquds.co.uk/?p=174649
http://www.aljazeera.net/news/pages/00996908-cd34-4145-8ba8-e910b8bfe7bb

エジプト情勢

大統領選挙後のエジプト情勢につき、断片的ですが、次の通り

・選挙の開票は順調に進んでいるようで、取り敢えずのところ、投票者は25,342、464名で、投票率は46%になる由。
このうち23,521、722名がシーシに投票し、彼の得票率は96・7%に達し、対立候補サバヒの得票率は3・3%であった由。
(サバヒ陣営も投票率に疑問を投げかけているが、各候補の得票については大きな疑問は提起していない由にて、その点に関する大きなインチキ等はなかった模様)
選挙委員会は不正行為等に関する異議申し立ての受け付けを始めた由。
http://www.alquds.co.uk/?p=174355
・(29日エジプトの地方都市で選挙反対の抗議デモが行われたことは既報告だが)30日、カイロの多くの地域、スエズ運河地帯を含む多くの都市で、選挙反対、ムルシ―支持の抗議デモが行われ、警官隊は催涙ガスで解散させ、衝突で多くの負傷者が出た
(al jazeera net はカイロの空港地帯で散弾に撃たれて1名死亡と伝えている)
http://www.alquds.co.uk/?p=174355
http://www.aljazeera.net/news/pages/37f2e78f-c93a-44d5-9e11-585e0bf61465
・(サウディノワッハービアの系統をひくサラフィー主義の光の党は、クーデターも選挙も支持して、最近同党の活動家の中からこの様な方針に対して異議が起き、分裂問題を抱えていると報じれられていたが)光の党の報道官は、シーシ新大統領に対して、腐敗との戦いを行うように要求した他、ムスリム同胞団に対して街頭行動ではなく、政治プロセスに参加するようにと呼びかけた(尤もこの点は、現政権が同胞団を非合法化しており、政権の方針に夜ところも少なくない)
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2014/05/30/حزب-النور-يطالب-السيسي-بإعلان-محاربة-الفساد.html
・シナイ半島はじめ多くの地域で激しテロ活動をしているansar beit al maqdis はネットでの声明で、シーシが大統領に就任するまで持つか否か、又就任後も何時までもつかは保証できないと警告した。
(おsらく、これはシーシの暗殺予告と言うことになるのでしょうね?)
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2014/05/30/-بيت-المقدس-تتوعد-رئيس-مصر-القادم-بمعارك-فاصلة.html

アラブは何処へ行くのか(風刺漫画)

29qpt777[1]「アラブ、イスラム世界は何処へ行くのか?」と題した風刺漫画です。
大男の胸にはイランと書いてあり、方向を示す矢印には「アラブ、イスラム世界」と書いてあります。
大男の足の下の橇かスキーかには説明文はありませんが、一つはヒズボッラーの旗、もう一つはシリア国旗でしょう。
説明は不要かと思います。
http://www.alquds.co.uk/

イラク治安情勢(28日)

1日遅れですがイラクの治安状況についてal qods al arabi netの記事から。

イラクでは28日、バグダッドとその北部で、激しいテロが続き、78名が死亡し、160名以上が負傷した。
このうち最大の被害は複数の車爆弾の爆発からであった。
このテロは28日夕刻まで続いたが、その犠牲者数は1日の数字としては、この7か月で最大の数字となる。
このテロは先日の総選挙から1月も立っていない時のものだが、イラクの政治家達は、連立政府の樹立に向けてのやりとりに忙しい。マリキー首相は接待多数の議席を得られなかったが、政権維持を決めている。
現在のところ誰も犯行声明を出していないが、例の「イスラム国家」がシーア派を狙ったテロがその大きな部分を占めていると見られている。
最近の数字では、毎日平均して25名がテロで命を失っているが、これはイラクが2006〜2008年のテロの盛行時代以降、最悪の治安状況に向かいつつあることを示している。何しろ今年に入ってから、既に4000人がテロで死亡している。
イラク政府はその大きな要因は、シリア内戦をはじめとする外国からの波及であるとしているが、基本的にはイラクのスンニ派が、イラクと言う国家の中で周辺的存在におとされ、アラブ人のシーア派とクルド人のスンニ派に支配されていると感じていることにある。
http://www.alquds.co.uk/?p=174242

安保理のレバノン大統領早期選出呼びかけ

国連安保理は29日全会一致の声明(いわゆる議長声明と言う奴で、全会一致1でなければ発出されない)で、レバノン議会が法定期限を過ぎても大統領を先週できないことに懸念を表明し、民主的な伝統を守って、これ以上時間を浪費することなく、早急に大統領を選出することを呼びかけた。
声明はまた、レバノンが直面する難問問題等での支援を確認するとともに、総てのレバノン国民に対して、レバノン国家の統一を守り、不安定要因に立ち向かうために一致することを呼びかけ、自制の政策を堅持し、シリア問題から距離を置くように求めた。
http://www.aljazeera.net/news/pages/82e04367-e498-42d7-8ea5-23f687cce3a7
記事の要点は以上ですが、レバノンは25日以降大統領不在の異常状態となっているところ、多くの宗派(特にヒズボッラー)を抱え、既にシリア情勢の影響を大きく受けているレバノンで、これまで何とか国内政治の調整役お果たしてきた大統領の不在が長期化することに対して、国際の平和と安全の確保を主要任務とする安保理が重大な懸念を表明したものです。
それにしても、一国の大統領選挙が遅れていることに対して、安保理が懸念を表明するとは誠に異例のことと思います。
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