中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2014年07月

gaza情勢(若干の分析など)

昨夜は若干おセンチな記事を書きましたが、罪滅ぼしに少し真面目に情勢分析などしてみようかと思っています。
但し、ガザの状況や米国の動きその他については、目に入った報道以外にはしらないので、多分皆さまの方が詳しいかもしれません。と言うことであまり参考にならない分析で、京都の暑さで益々脳にカビが生えていて、支離滅裂になるかと思うが、取り敢えず

今回のガザ攻撃で、一番印象的なのがハマスの孤立、特にアラブ世界での孤立です。
現在ハマスにとって、頼りになる存在はカタールとトルコだけのようですが、両者とも非常に頼りになる存在と言うには程遠い。あと残りはイランですが、こちらは不思議なほど静かと言うか、若干の過激な発言はあるが、それだけのことで、何らか実質的な助けをしてくれそうにもない(端的に言えば、イランがハマスを支援するつもりなら、一番有効なのはヒズボッラーにミサイル攻撃をさせることだが、そんなそぶりもない)
アラブ世界に至っては、イスラエルが受諾して、ハマスが拒否したエジプトの停戦案を、アラブ連盟も支持し、大部分のアラブ諸国も支持している状況。
下手をするとイスラエル一辺倒の米国政府の対応で、ケリー長官の停戦努力がイスラエル国内で激しく非難される等、むしろ米国の方がはるかに真面目にパレスチナ民衆のために動いているようにさえ思われる所です(まあ大方のアラブ政府よりも米国の方がアラブ民衆のことを考えていると言うのはある意味事実でしょう)。
それなら、「保守反動」のアラブ政権はともかく、民衆は圧倒的にハマス支持かと思うと、これまでのガザ侵攻の時に比べて静かなこと、特にエジプトでイスラエル大使館が襲われるでもなければ、ガザ支持の一大デモが起きて警官と大衝突しているいる訳でもない。これは何もムルシ―の時だけではなく、ムバラク時代にもガザ侵攻に対する反応は、相当過激であったと記憶します。
ま、エジプトはシーシの強権政治だから例外だと思おうとしても、他のどのアラブの国でも激しい民衆の反応が起きていると言う話は聞かない。むしろ欧州諸国の首都での抗議デモの方が激しいようにさえ思われる。
イスラエル紙には、アラブ世界の「穏健派」の連合とイスラエルが協調していると言うコメントさえある始末。
これはおそらく、ムスリム同胞団その他に対するアラブ世界の反発の反応かとも思われるが、後述の様なハマス戦闘員の健闘?に鑑みれば、ある意味で非常に意外な反応です。
矢張り、アラブの春以降の長い政治的混乱状態にアラブ民主が嫌気がさしていると言うことでしょうか?

他方、このようなアラブの反応もあってか、イスラエルの作戦はかなりいい加減な印象を受けます。
UNRWAの学校が(確か2校)イスラエル軍の砲撃で、避難民が多数殺傷されましたが、国連はイスラエル軍に対しては、最新の学校攻撃に関して事前に17回も攻撃しないように要請したとして、強く非難していて、その学校にはハマスのミサイルなど全くなかったと指摘しているのに、IDFは当初誰の砲弾か判らないと言ってみたり、ハマスのミサイルがあったなどと主張しており、最終的にはその近辺から砲弾が飛んで来たからという主張で、細心の注意を払ってUnRWA学校に対する被害防止に努力したとの姿勢は見られない。
これはその他の所に対する攻撃とそれに伴う民間人の被害に関するIDFの反応からも、要するにハマスが民間人を盾にしているから、悪いのはハマスだという調子で、あれだけの人口の密集地帯で、民間人の被害を最小にするとの姿勢が今回は、若干欠けている印象を受けます。
それどころか、ネタニアフなどは国連とかケリーの呼び掛けに対しても、作戦は長期化する可能性がある、などとうそぶいている始末。
これまでガザ侵攻でパレスチ人の死者が1000人を越えると、国際世論の手前、作戦の終結を考えざるを得ないと言うのが、イスラエルの立場と思っていたが、今回はある意味そのようなタブーは無視している印象が強い。
矢張り、エジプトの立場を始め、アラブ諸国の消極的姿勢が一番の原因でしょうか?

他方ハマスの強硬姿勢の背景は今一つ理解できないところがある。
確かに、今回ハマスは多数のミサイルの発射能力のみならず、地下トンネル網を通じてのイスラエル本土への武力攻撃の可能性を示し、又その戦闘員も非常によく訓練され、従来の様など素人のテロ要員ではないことを示したと言う点で大きな成果を誇示できたと思います。
ネタニアフが作戦の長期化を示唆するのも、トンネル撲滅作戦がかなり困難で、時間がかかることを意味しているのだろうと思います。
また、ハマスとしてはIDFのハマス指導部を狙った暗殺作戦にもかかわらず、現在までのところ軍事集団として、指揮命令系統も動いていて、それなりに作戦継続が可能なことを示したことも、一つの成果かもしれません。
しかし、今後作戦が長期化すれば、残されたトンネルも順次破壊され、指導部の損害も大きくなり、いくら多数の貯蔵があるとは言え、イスラエルに向けるミサイルの数が減少してくるのは時間の問題でしょう。
それよりも何よりも、我が同胞のパレスチナ人の被害は今後とも増大して行き、ガザ全体が墓場の様な状況に立ち至らないとも限らない状況になりつつあります(既に、電気、水道、ガス等の供給が止まり、このままでは疫病の流行も懸念される)
確か、これまでの停戦交渉の焦点は、単純に停戦をするのか、封鎖解除等の措置もその合意に含めるのかと言う点だったかと思いますが(確かケリーが取り敢えず停戦、その後封鎖解除等の問題にどうつなげていくのかと言う点で苦心惨憺してきた所が、イスラエルの連中からパレスチアによりだとして反発を受けた)、ハマスが何時まで単純な停戦はイスラエルとエジプトの要求で、封鎖解除等の措置との組み合わせでなければ飲めない、という立場を維持できるのか、その辺が良く判りません。

取り敢えずの私なりのコメントを書いているうちに、自体は大きく変わっている可能性もありますが、折角書いたので、取り敢えずは考え方を整理したものとして送っておきます。

シリア情勢(30日)

30日のシリア情勢も断片的ですがとりまとめ次のとおり、

・30日人権委員会によれば、シリア各地で砲撃等のため70名が死亡した。
・30日政府軍はダマス郊外のdumaを集中砲火し、ラマダン明けで児童が戸外に居たこと、中央市場に砲弾が落下したこと等により、11名死亡し、数10名が負傷した。
・アレッポでも缶爆弾のために10名死亡し、数10名が負傷した。
・他方ダマス市のjouber地区では、市の出入り口の検問所を巡り、政府軍と反政府軍との間で激しい戦闘があり、政府軍は多数の死傷者を出した。
・ホムスではヌスラ戦線が検問所を爆破したために、政府軍に多数の死傷者がでた。
・その他ハマ、ダラアでも激しい戦闘が続いている
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2014/7/30/قتلى-بقصف-دوما-وحلب-وضحايا-للنظام-بحمص-ودمشق
・ISはdir al zur の支配地域で、たばこの販売及び喫煙を禁止した
http://www.alquds.co.uk/?p=199962

イラク情勢(30日)

30日のイラク情勢につきとりまとめたところ次の通りです。
下記の通り、シーア派の民兵もIS側の誘拐者を処刑し、遺体を公開している模様で、イラク情勢はますます泥沼の宗派戦争の様相を深めているようです。

・イラク治安当局は、30日バアク―バで、シーア派の民兵が逮捕していた15名のスンニ派(ISのメンバーか否かは不明)を処刑し、広場で遺体をつるし、警察がこれら遺体を降ろすことを許さなかった由。
警察によれば、この事件は住民にISへの参加を見合わせるようにとの警告の意味がある由。
・イラクでは、ISによる多くの地域の制圧以降、ISによる投降したイラク兵士数100名の処刑とこれに対して、シーア派等による拘留者数100名の処刑等、宗派間対立に基づく虐殺事件が急増してしいる。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2014/07/30/ميليشيا-تعدم-15-سنيا-ببعقوبة-وتعلق-جثثهم-على-الأعمدة.html
・30日バグダッドの数カ所で車爆弾の爆発があった。
・ダヤーリ県では、複数個所で武装グループが治安部隊等を襲撃した。
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2014/7/30/مليشيا-تعدم-مخطوفين-وقتلى-في-تفجيرين-ببغداد
・イラク軍はラマ―ディで、ISの幹部3名を逮捕したと語った。
・サッダムの生地ティクリートでは、ISがサッダムフセインの墓を破壊するとの噂が流れ、サッダムに忠誠を誓っているグループが彼の遺体を掘り返し、どこかわからないところに持ち去ったとの噂が流れている。
・イラク空軍は現在でもファルージャに対する空爆を続け、住民の死傷が生じている。
http://www.alquds.co.uk/?p=199966

ギザでの爆発事件(エジプト)

エジプトのギザで30日早朝、車が爆発したが、その原因は車の中にあった爆発物の爆発で、車内の3名が死亡したが、治安当局及びギザ県知事は、彼らはテロリストで、付近の検問所また発電所を襲う予定であったと見ている由。
他に通行車両等に対する被害はなかった由。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2014/07/30/مقتل-ثلاثة-في-انفجار-عبوة-ناسفة-في-الجيزة-.html
記事は以上で、それ以上の大きな事故にはならなかった模様ですが、エジプトのラマダン明けでも、この様なテロ計画がギザでも動いている模様ですので、ご参考まで

リビア情勢

リビア情勢につきとりまとめたところ次の通りです。
イスラム国家宣言が流行っていますが、遂にリビアまで来た模様です・

・30日はトリポリのベンガジも比較的静かで、特にベンガジはこの数日間で最も静かであった。
トリポリでは各種グループの調停の結果、対立する民兵は、燃料タンクの鎮火のために空港付近で停戦することに合意した。
・ベンガジではansar al sharia が特殊部隊の基地を占領したが、同グループの責任者はベンガジをイスラム国家と宣言した・
・新しく選出された議会は、トブルクで8月2日緊急会議を開くことを決定した。議会責任者によると、当初議会は4日ベンガジで開催される予定だったが、事態の緊急性に鑑み、繰り上げ開催されることになった由(なぜベンガジだったかは不明だが、恐らくトリポリの状況を見て、ベンガジとなり、ベンガジの状況を見て、トブロクになったのでしょう。やれやれ・・・)
・チュニジアへのリビアからの避難民が急増しているが、チュニジア外相は、同国には既に100万人のリビア人が滞在しており、これ以上の増加は経済的に支えることが困難であるとして、国境地帯の閉鎖も検討すると語った。
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2014/7/30/جثث-ببنغازي-وهدنة-بطرابلس-و-طارئة-لبرلمان-ليبيا
http://www.alquds.co.uk/?p=199964
http://www.alarabiya.net/ar/north-africa/libya/2014/07/30/الميليشيات-تحترم-وقف-القتال-بطرابلس-وهدوء-ببنغازي.html
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