中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2015年06月

イランの核協議

本30日がギリシャのIMFに対する借金の返済期日ということで、ギリシャが返済不能に陥るのか、国民投票がどうなるのか、ユーロ圏から離脱するのか、ギリシャ問題の国際経済への影響等、朝から晩までギリシャ問題が話題になっていますが、すっかり忘れるところでしたが、30日が期限といえば、イラン核協議に関する本合意(現在は暫定合意のまま)の期限が30日でした。
チュニジアとかクウェイトとか各地でのテロ問題等に目が奪われていましたが、考えてみれば、最近この問題について,少なくともアラビア語メディアでは、余りまとまった報道を見ていない気がします。
然し、とにかく期限が本日と言うことで、少々当たってみましたら、次のような報道が見当たり、どうやら本合意にはまだ問題が残っており、関係者は取り敢えず期限を延長した(延長の幅は不明)ということのようですが、いずれにしてもこの問題もそのうちに詳しい説明がされるのでしょう
取り敢えず

・ジュネーブに居る協議の関係者は28日、最終合意の期限の延長に同意した
・テヘランに戻って本国政府と協議していたイラン外相は30日ジュネーブに戻り、最終合意の詰めの協議をする
・ケリー長官は29日、イランとの協議が最終合意に至るか否かを発言するのは時期尚早と語った。
・仏外相は進展があれば何時でもジュネーブに行くと言明した。
・イラン政府に近いイラン紙によれば、オバマ大統領はイラク筋を通じて、イラン指導部に核問題について親書を送った。
親書を伝えたのはイバーディ首相と見られ、同首相は今月8日にオバマと会談しており、その後17日にはイラン最高指導者ハメネイとも会談している。
・イラン政府筋は、西側が・対イラン制裁を解除し、・イランの軍事施設に対する視察要求を取りやめ、・イランの核の平和利用を妨げなければ、5+1との合意には楽観的であると語った
(これらの問題が正しく対立の焦点の様であるので、イランの要求通りに合意ができれば、最終合意はできることになろう!)

http://i.aljazeera.net/news/international/2015/6/29/تفاؤل-إيراني-بتوقيع-الاتفاق-النووي
http://www.alarabiya.net/ar/iran/2015/06/29/كيري-من-المبكر-جدا-الجزم-بالتوصل-إلى-اتفاق-مع-إيران-.html
http://www.alarabiya.net/ar/iran/2015/06/29/اوباما-يبعث-رسالة-لايران-قبل-انتهاء-مهلة-المفاوضات-.html

シリア情勢

シリア情勢ですが、昨日トルコの軍事介入の可能性に関する報道を紹介しましたが、そこにあった国家安全保障評議会MSKは2日開催され、その後、
 「MSKはシリア情勢につき詳細に検討し、シリア情勢に対して取る可能性のある措置についても具体的に検討した。当該地域において人口構成を変えようとする試みと市民に対するテロ攻撃について懸念が表明された」
との趣旨の声明を発したとのことです。
と言うことは、間違いなくトルコの軍事介入の可能性が議論されたが、議会の議長選挙が始まったばかりで、政府も暫定政権ということで、取り敢えずの軍事介入は見送られたこと、矢張りトルコにとってはクルド勢力PYDによるクルド領域設立の可能性が、最大の懸念材料であった、というところでしょうか?
今後のトルコの動きについては、連立政府樹立の動き(AKPの連立の相手も含めて)がどうなるのかによるところが大きそうです。
http://www.todayszaman.com/national_caretaker-ak-party-govt-criticized-for-engaging-in-illegitimate-practices_392343.html
http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-expresses-concern-over-demographic-change-and-terror-acts-in-northern-syria.aspx?pageID=238&nID=84732&NewsCatID=510
その他のシリア関連報道としては次のようなところで、大きな動きはなさそうです
・ハサカは、これまで政府軍とクルド勢力が、それぞれ町の一部を支配してきたところ、ISが攻撃を仕掛け、多くの住民(6万人)の避難を引き起こしてきたところ、政府軍によるとISは29日町の中心で、2台の自爆車両を爆破させ、多数の住民等が死傷した由。
なお、ISはハサカ周辺、検問所でも数十件の自爆攻撃を行い、そん占領地を広げている由
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2015/06/29/سوريا-انتحاريون-من-داعش-يستهدفون-مدينة-الحسكة-.html
・ISはアレッポ、イドリブ等シリア北部で、反政府軍の支配下にある地域に対する、石油等燃料の流出を禁止し、このためこれらの地域では精油製品等の価格が暴騰している由。
このためこれら地域の病院も、燃料の欠乏に悩んでいて、休業に追い込まれたところもある由・
ISは明らかに燃料を武器といて使用している模様
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2015/06/30/داعش-يحارب-المعارضة-السورية-بالوقود.html
(すっかりその存在すら忘れていましたが、国連のゴラン高原pKOのUNDOFは未だ活動しているようで・・・尤も我が自衛隊は2年ほど前に撤収したが)
国連安保理は29日全会一致でUNDOFの任期をさらに6月延長することに同意した(PKOは基本的ん半年づつ任期を延長している)
http://www.alquds.co.uk/?p=365095

イラク情勢

イラク情勢につきとりまとめてみましたが、相変わらず不透明で、情勢がどちらに動いているのか、判断し難いですね
断片的ですが・・・

・イラク政府筋は、イラク軍及びシーア派民兵が29日ベジ市を完全に奪還したと発表した。
然し、ISはネットで未だ市の南部で戦闘が続いていて、ISは自動車爆弾等で攻撃しているとしている。
(おそらくは市の大部分はイラク軍が制圧したが、一部では依然戦闘が続いていると言うことかと思うが、ベジの石油施設はまだかなりの部分がISに掌握されているままかと思われ、所謂ベジの完全制圧には時間がかかるのではないか?)
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2015/6/29/أنباء-عن-استعادة-بيجي-وقتلى-للحشد-بالفلوجة
・イラクのティグリス部隊司令官は、ISの中枢部で、特に外国人の間で、意見の対立と衝突が激しくなっており、処刑や粛清が増大していると語った。
同司令官はイラクで逮捕した者たちの証言から、内部対立抗争の激化が浮き彫りんされ、ISはイラク軍の攻撃に対して道路爆弾や自爆車両等での対応を迫られているとした由。
(それにしてはイラク軍等の攻勢は一向に進展していませんが・・・)
又、ベジと周辺の戦いで、ISは最近15名の幹部を失ったと語った由。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2015/06/29/العراق-ارتفاع-وتيرة-التصفيات-الجسدية-بين-قيادات-داعش-.html
(全般的には平静はバスラ等南部のシーア地域でも最近、テロ事件があったと報じられていたと記憶しますが)
・バスラ治安当局は29日、バスラで複数の宗派の政治、治安指導者を暗殺することを計画していた、テロ細胞を摘発したと発表した。
その組織は新しいもので、神の兵士たちと称し、宗派間対立を狙っていたもので、シーア派、スンニ派からリクルートし、対象は主として難民であったとし、そのメンバー7名を逮捕したとしている。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2015/06/29/العراق-اعتقال-خلية-خططت-لاغتيال-شخصيات-.html
・イバーディ首相は29日、参謀総長を予備役に移すことを決定した。
参謀総長は、2006年当時からの軍隊での勤務で、最も信頼できる軍人の一人とされてきたが、その退役の理由は不明。
(下記マリキー前首相復活の策謀と何らかの関係があるのでしょうか?)
http://www.alquds.co.uk/?p=364802
NYtimes は、マリキー前首相は、首相から降りた後も、舞台裏で策動し、イラク政府をより全宗派を代表するものにするとの米政府の政策を邪魔してきたが、さらに首相への返り咲きを狙っていると報じている。
米政府はマリキーはシーア派主導主義の強硬派と見ており(それにしてはオバマもマリキーの在任中はお世辞を言ったり、気前の良い軍事援助をしたり、それほど彼が問題児とは見ていなかったように思われるが・・・)、彼に対してより柔軟で、総ての宗派を取り込もうとしているイバーディを支持しているとしている。
米政府は、マリキーのシーア派偏重の一方的な政策が、ISの台頭をもたらす大きな要因であったとみている。
然し、イラクの政治家によると、マリキーは今でも相当の支持と影響力を保持している趣。
http://www.aljazeera.net/news/presstour/2015/6/16/واشنطن-تايمز-المالكي-يخطط-للعودة-للسلطة

イエメン情勢

イエメンでは相変わらずサウディ連合軍の空爆が続いていますが、これに対してhothy−サーレハ軍がサウディ領内へのミサイル攻撃を激化させているほか、ダリアでの激戦が報じられていますが、地上では大きな変化はなさそうです。
断片的ですがイエメン関連報道次の通りです。

・サナアではhothyグループの指導者の2軒の家の前で、自動車爆弾が爆発し、多数の死傷者が出た。
ISが犯行声明を出した。
beidaでも自動車爆弾が爆発した(こちらの方の目標や死傷者、犯行声明の有無は不明)
(確か、米国は以前hadi政権がたいアルカイダ闘争で最も頼りになったとしていたが・・・前大統領のサーレハについては、ISととかくの関係が噂されていた・・・内戦という混乱状況を利用して、アルカイダが勢力を伸ばしている可能性が強い)
・サウディ連合空軍は29日もイエメン各地でhothy―サーレハ軍を攻撃したが、これに対してhothy−サーレハ軍h、サウディ領内、特にイエメンに隣接するジャザーン、ナジュラン地域にミサイル、ロケットを打ち込んでいる。
29日hothy−サーレハ軍は、これら地域の軍事基地に対していさいるを打ち込んで、大きな損害を与えたと発表した。
これに対して、サウディ軍はal salil 基地にはスカッド・ミサイルは到達しておらず、基地に被害はないと発表した。
・29日、国連事務総長はサウデイ連合空軍がアデンの国連建物群を攻撃し、物的損害の他に、警備員1名が負傷した、としてサウデイ軍等を非難した。
サウディ軍からのコメントは今のところない。
・南部のダリア県では激しい戦闘が続いているが、抵抗勢力はhothy−サーレハ軍の戦車、対空砲、カチューシャ等多くの武器を破壊し、3日間の戦闘で、167名を殺したと発表した
(地上戦では、特に大統領側の所謂抵抗勢力がhothy―サーレハ軍何名を殺した、と発表しているが、それらの数字を全部信用していれば、すでにhothy側には兵力は余り残っていないことになり、この数字もきらかに誇大と思われる)
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2015/06/30/انفجار-يهز-صنعاء-مستهدفا-قيادات-حوثية-وداعش-يتبنى.html
http://presstv.ir/Detail/2015/06/02/413955/Yemen-Saudi-Arabia-Jizan-Najran-Houthi-Sanaa-Saada
http://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2015/06/30/مصدر-سعودي-قاعدة-السليل-سليمة-ولم-يطلها-أي-صاروخ-سكود.html
http://www.alquds.co.uk/?p=364792
http://livedoor.blogcms.jp/blog/abu_mustafa/article/edit

検事総長の死亡(エジプト)

昨日、カイロのヘリオポリスで、車列が道路爆弾で攻撃され、検事総長が負傷したことをお伝えしましたが、その後検事総長は死亡しました。
事件に関し、「ギザの人民抵抗組織」とかいう組織が、ネットで犯行声明を出したとのことですが、アラビア語メディアネットは、余り聞いたこともない組織、と報じているだけで、実態さらには本当に彼らの仕業か否か、等は不明です。現在までのところ関係者の逮捕等のニュースもありません、

政権要人のテロによる暗殺はエジプト革命後最初(2013年には内相が暗殺未遂)のケースで、アラビア語メディアは大きく取り上げていますが、al qods al arabi net は、これまでも司法関係者の暗殺、多くの治安関係者の暗殺、その他のテロが、シナイ半島のみならず、エジプト各地で生じていたが、検事総長の暗殺というのはテロの局面を大きく変える可能性があり、今後さらなるテロの激化、政権による厳しい弾圧の連鎖が始まる可能性が強いと警告している。
因みに30日予定されていた、ムルシ―政権打倒の6・30革命の記念行事は中止された(なおこの行事の警備にはたしか120000名の治安関係者の配備が予定されていた)
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2015/06/29/مصر-إصابة-النائب-العام-بمحاولة-اغتيال.html
http://www.alquds.co.uk/?p=364814
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2015/6/29/الجامعة-تدين-والإخوان-يحملون-السلطة-اغتيال-بركات
これも取り敢えず速報ベースの話ということになりますが、チュニジアのテロと言い、今後中東が益々テロの季節に向かうような嫌な予感もします。
livedoor プロフィール

abu_mustafa

最新コメント
記事検索
Archives
  • ライブドアブログ