中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2015年11月

イエメン情勢(アラブ観測筋等の危惧)

イエメンでは内戦に介入した大規模なサウディ等連合軍の空爆が始まってから、相当長期にわたり、国土のかなりが破壊され、国民の犠牲も増加の一途をたどっている一方、政府軍、アラブ連合はアデン等一部の国土を奪還したものの、タエズの攻防戦はいつ果てるともなく続き、首都サナアに対する攻防戦は始まってもいない状況で、他方アルカイダとISの勢力が各地で増大しているように見られます。
このような状況を前に、これまでもイエメンはこのままでいけば、過激派の跳梁する無政府状態に陥るとの危惧を示す報道が時々見られましたが、昨日のal qods al arabi net はイエメン及びアラブ観測筋の話として、イエメンでは確固たる政治的軍事的結果がないままに、内戦が長期化しており、このままではシリアの2の舞になるとの危惧の声を報じていました。

ところが、この記事は酔眼朦朧でみたので、明日になってもう一度見ようかと思って後回しにしたら、本日仕事を終えて帰って来たところ、どう探しても記事が見当たりません。
酔眼朦朧の記憶で申し訳ないが、記事の要点は
  イエメンでは力のない政府と、力はあるが正統性のないhothyグループが対峙している
  アラブ連合空軍の大規模介入にもかかわらず、これまでのところ決定的な動きは出てきておらず、タエズの回復はまだだし、サナアにいたっては回復の動きさえ始まっていない
  このままでいけばイエメンは、2の勢力が対峙し、どちらも相手を倒す力がないところに域内諸勢力が介入すると言うシリアの経験の2の舞になる危険性が強い
  そのような状況で、最も利益を受けるのはアルカイダとISである
  勿論最大の被害者はイエメン国民である
と言うものであったかと思います(酒の所為にするのは卑怯だが、あまり自信はないが・・)

実は昨日も酔眼朦朧ではあったが、敢えて記事にしなかったのは、一つには多くのジャーナリストなどが引用されているが、特に権威筋と言う訳でもなさそうに思われたからですが、全体のトーンは正しく、毎日イエメン情勢をフォローしていて感じるところと非常に近い気がします。
たしかにhadi政権と軍隊の弱体ぶりには目を覆うものがあります。
他方たしかにhothy―サーレハ軍が頑強に戦闘しているのは事実だが、どなたかの指摘のように彼らがゲリラ兵だから空爆でも粉砕されない、ということではなく、彼らの軍事力の基幹はあくまでもサーレハ前大統領の支配する共和国警備隊、特殊部隊等のエリート部隊であって、それが寄せ集めのhadi政府軍よりはるかに軍事的に協力で、猛烈な爆撃でも士気を失っていないと言うことかと思われます
又、アラブ連合軍にしても、UAE,バハレン、スーダン兵等の派遣が報じられ、確かUAE兵はアデンの警備任務で大きな損害を被ったが、その後これら「多国籍部隊」の兵士が、何処の戦線で死亡したなどという報道にはあ案りお目にかからない。ということはおそらく彼らは前線で率先して戦闘に参加しては居ないようで、さらにはUAEのようにコロンビア等の傭兵派遣の噂まである始末です。
おそらく、サウディ等は空爆だけでは戦争には勝てないと言う米軍が学んだレッスンを経験しつつあるのではないでしょうか?
他方、これだけの圧倒的な空軍力を前にして、hohy-サーレハ軍が、アデンを含めて全土を掌握するのは、まず不可能と思われます。
その間、南イエメン各地(アデン、ハドラマウト)のみならず、首都サナアでさえ、過激派のテロが絶えず、このまま戦線が膠着すれば、必ず戦力の合間を縫って過激派が隙間を埋めて勢力を拡大するのは必至と思われます


実はアラブ連合空軍の大規模空襲が始めって以来、特にアデンの回復、マアレブの支配等の報道を聞いて、この様子では(好き嫌いとに変わらず)、サナアを奪還して、hadi政権が全土を掌握し、その後は待ちに待った復興で、そうなればサウディ等の産油国からの支援に大いに期待できるなどと、極めて楽観的に考えていたものですが現実は、極めて厳しそうです。
取り敢えず反省を込めて

アルジェリア大統領の健康状態

アルジェリアの大統領ブーテフリカの健康状態が云々されることは今に始まったことではなく、かってはかなり長期間仏の病院に滞在していたこともあり、そもそも第4期目の大統領選挙2014年4月に、ブーテフリカが本当に立候補するか否か疑問が呈されていたかと思います。
その後、大統領の健康状態については、彼が殆ど公式の席にも姿を見せない等言う事情もあり、種々の噂が流れたが、何時も大統領府等からは、大統領の健康状態は良好で、アルジェ(首都)で公務を処理していて、政府の諸問題については毎日報告を受け、指示を与えているとの声明が出されるのが常だったようです。
最近では、姿が見えない期間が長くなったこともあり、種々の噂が流れていたが、今月19日マルタ首相と車いすに乗って会談している映像が流れ、お決まりの説明があった模様です
(しかし、折角国民の前に元気な顔を見せるのであれば、正直言ってマルタ首相との会談と言うのは不思議なアレンジで、殆ど問題もないような小国マルタの首脳との会談・・・すなわち大統領の負担の殆どない・・・をアレンジして、とにかく国民に彼の顔を見せることが大事だったのではないか、と邪推ができる)
その後も、アルジャリアでは、「大統領は国内にいるのか?」、「今どこに居るのか?」等の噂が飛び交っていて、ブテフリカの健康問題(突然の死亡も含めて)に絡んで、アルジェリアの政局が非常に不安さを増し、今後どうなるか危惧されて居ることは公然の秘密でしょう。
al qods al arabi net はこの問題について、ポスト・ブ―テフリカ問題を巡り、種種の噂や解説が飛び交っているとして、後任問題については、現在のアルジェリアの権力の所在は、大統領、軍、情報機関で、伝統的には仏からの独立戦争を勝ち取った軍が最も大きな影響力を行使してきたが、その軍の幹部の中には政治に関与することを嫌う傾向も出てきており(90年代にFIS・・イスラム政党の選挙での勝利を前に軍がクーデターを起こし、その後10年間の流血の内戦となった)、また独立戦争を知らない若い士官には、政治への関与には感心のない者も増えているとしてます。
又、ブ―テフリカの周りには新しい傾向として、ビジネスマンが多国籍企業等と結びつき、利権を拡大し、その利権を守ろうとする動きも考えられるとしてもいます。
又、取り敢えず憲法を改正し、大統領不在の際その後を処理する副大統領ポスト創設の動きもあるとも報じrています。
http://www.alquds.co.uk/?p=442957
いずれにせよ、ブ―テフリカの死亡していない(と思われる)現在、今後のことについて、具体的な根拠もなしにあれこれ推測しても意味がないと思われますので、関心のある方は上記ネットをご覧ください。
ただし、al qods al arabi net がこのような記事を掲げ始めたことは、矢張りポスト・ブ―テフリカ時代が近付きつつあるのかという感じを持たざるを得ず、今後必要に応じフォローしていこうと思います。

エジプトでのテロ

たしか昨日ギザのサッカーラ地域で、治安部隊のメンバー4名がオートバイに乗った2人組みに射殺される事件をお伝えしましたが、この事件についてはISシナイ州を名乗るグループが犯行声明を出した由。
なお、他のことに取り紛れて報告していませんでしたが、数日前にシナイのエルアリ―シュで投票所が襲われ、2名の判事等7名が殺される事件があったようですが、これについてもISシナイ州が犯行声明をだした由。
取り敢えず
サッカーラなどというピラミッドの多い観光地域で起きたテロですが、やはり彼らは外人観光客を狙っていたのでしょうか?
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2015/11/28/مصر-مقتل-4-شرطيين-إثر-إطلاق-نار-من-مجهولين-في-الجيزة.html

ISの化学兵器使用の試み(イラク)

矢張りISは化学兵器(恐らくはシリア軍から捕獲したもの)を保有している模様です

クルド民兵のペッシュメルガは28日、その特殊部隊が27日、IS部隊から化学兵器を入れた2発の臼砲弾を捕獲したと発表したとのことです。
それによると、ISはアルビルの南のmakhmour ーkouri前線で、27日夜化学兵器を入れた臼砲弾をペッシュメルガに対して使用する計画であったのを事前に阻止した由で、爆薬処理班が起爆装置を取り除いた由。
ペッシュメルガは8月にISが彼らに対して、毒ガスを入れた臼砲弾45発を発射し、ペッシュメルガに複数の負傷者が出て、独仏米等の化学兵器部隊が、ペッシュメルガが塩素ガスで攻撃されたと見ていたとのことです
今回捕獲された毒ガスの種類は不明です
取り敢えず
http://www.alquds.co.uk/?p=442181

シリア情勢

シリア情勢につきとりまとめたところ、断片的ながら次の通り
報道を見ると、一時相当追いつめられていた(崩壊に瀕していた?)政府軍が、ロシア空軍(及びヒズボッラーや革命防衛隊)の支援を受けて、態勢を立て直しつつあるように見受けられます。

・ダマスでは、28日トーマ門地区に、東ゴータの反政府派からの臼砲弾が落下し、死傷者が出た。
他方al qaboun 地区には政府軍の砲弾が落下し、多数の負傷者が出た。
これまで反政府軍はトーマ門地区等にミサイルを撃ち込んできている。ゴータ地域等は、現在でも政府軍の厳しい包囲かにある。
・他方、政府軍はアレッポ地域で、アレッポ―ラッカ高速道路数kmを含む広範な地域をISから奪還した。
政府TVによると、この地域は先般政府軍が、20日にロシア軍機の援護の下に、奪還したとしているkuweirs空軍基地の東になる由。
政府軍及び支援軍は、さらにホムスの東南でも地歩を広げている。
政府軍はさらにラタキア県等でもISから土地を奪還したが、逆にハマデは後退した。
http://www.alquds.co.uk/?p=442167
・ロシア機はアレッポの北部からトルコにいたる道路上の車両に対して3回の攻撃を行った。このため多数の死傷者が出ている。
又ロシア機はアレッポ東のtadefのスークも空爆した。
アレッポの東南の複数地点で、政府軍とヒズボッラー等と反政府軍が激しく戦闘している
他方アレッポの北では反政府軍とクルド勢力が衝突している。
ラタキア北部では反政府軍と政府軍がトルコマン山地等を巡り戦闘を続けている。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2015/11/28/-سوريا-معارك-في-ريفي-حلب-الجنوبي-واللاذقية.html
・シリア軍は、最近トルコ政府が、テロ組織(シリア政府はISを含め総ての反政府組織をテロ組織と指名している)に対する武器、弾薬類の供与を大幅に増大していると非難した。
シリア軍はさらに、トルコはこれらの武器弾薬の代金としてイラク及びシリアから奪われた石油を受け取っていると非難している(シリア及びイラクの油田を支配しているのはISだと思うので・・・他の反政府勢力は支配していないと思う・・・この非難はトルコがISに武器弾薬を供給しているという非難になる)。
これに対して、エルドアン大統領、トルコ参謀総長もトルコ政府の原油の受け取りを事実無根として否定している。
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2015/11/28/دمشق-تتهم-تركيا-بزيادة-إمدادات-الأسلحة-للمعارضة
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