中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2017年01月

モースル奪還作戦

モースルでは、西モースルの奪還作戦がいつ始まるのかが注目されていました(東モースルについては、完全制圧と伝えられた後も若干の抵抗スポットが残っていたようで、イラク軍は30日最終的に完全に制圧したと発表しました)が、いよいよ西モースル解放作戦が始まりそうです。

イラク軍は31日西モースルの上空から多数のビラを撒いて、モースル解放作戦が近く始まるとして、住民に対してイラク軍を歓迎し、これと協力して一日も早いモースルの開放を実現するように呼び掛けたとのことです。
他方対テロエリート部隊では、西モースル解放作戦の準備は、整ったが、その開始時期等は秘密で、ISに不意打ちを食わせるとしている由。
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/1/31/الجيش-العراقي-يعلن-جاهزيته-لمعركة-غرب-الموصل
他方、トランプがイラクも含めて7国からの国民の入国を差し止める命令を出したことについて、イラク議会の外交安全保障委員会は、政府に対して、相互主義に基づいて、米国人の入国差し止めを求めた由ですが、米国防総省はこの入国禁止対象からイラクを除外するように大統領府に働きかけているとのことです。
現在、米軍とともに」ISと最も激しく戦っていいるのはイラク軍で、そのイラク人を、身分も素性も問わずに、すべて入国規制の対象とするというのは、確かに「戦友」に対する取り扱いではないでしょう。














トランプの反イスラムに対する風刺が

30qpt776[1]本日のアラビア語メディアはどこも、トランプ非難の風刺画を載せているようですが、その中でもかなりどぎついものを・・・・

題は「悪には悪で戦う」です・
右側のISと書かれた黒装束の男から、トランプが「宗派主義」と書かれたたいまつを受け取り、「悪には悪で戦う」と叫びつつ、モスクに火をつけようとしています。
今後しばらくは嫌になるほど、この人の顔が風刺画に出てくるのでしょうね・
http://www.alquds.co.uk/?p=667561











安全地帯の設置(シリア)

トランプ政権の中東諸国からの入国停止等の政策は、基本的に人種、宗教差別的で、しかもその目的であるIS対策には逆行する、国内政治上の思惑からの、あまりにも唐突で、政権内で全く協議もしないで実施した、拙劣極まりない政策だとして、米国内外で、大きな騒ぎのもとになっていることは、このブログでも書いた通りですが、彼の打ち出した中東関係のもう一つの政策(これも基本的にはシリア等からの移民対策という性格が強いと思うが)、シリア内での避難民のための安全地帯の設置のほうは、これまでのところ関係者との協議も行われ、かなりスムーズな滑り出しのようです。

まずは、これまで全地帯の設置に反対してきたロシアですが、ラブロフ外相はシリア政府の同意を得て、との条件であれば、その設置も十分検討の価値があると語った由。
同外相は、従来の安全地帯構想は、そこにアサド政権と敵対する政権を立て、そこが正統政府攻撃の根拠地となる性格のもので、その考えはまさしくリビア革命のときに「安全地帯」と称してベンガジに反政府派の守られた拠点を作ったことと類似した考え方であったとしてよし。
(これまで、ロシアがシリアのアサド政権を擁護するのは、リビアの時にNATOに欺かれて、カッダーフィの没落に一役買わされたトラウマがあるとされてきましたが、ロシアの責任者がこれほど明確に、その関係を述べたのは初めてではないか?)
外相は、さらに今回の米提案は、そうではなく、純粋に難民問題に対する対処に絞っているように見えると付け加えた由。

シリア政府系の通信社は、シリア政府の同意を得ない、いかなる安全地帯の設置もシリアの主権侵害であると論評した由(上記ロシアと同じで、政府の同意での安全地帯の設立を容認することを示唆している)

トランプはサウディ国王とも電話会談したが、会談後米大統領府は声明で、両首脳は難民問題の解決のために、シリアとイエメンイ安全地帯を設置することが有効との点で意見が一致したと発表した
(イエメンの場合、これまで難民が多数海外に押し寄せ、その対応が国際的に重要な問題になっているわけではなく、なぜ、、ここでイエメンの安全地帯問題が出てきたのか不明。あえて言えば、イエメンの一般民衆にとって、内戦そのものも危険の元凶だが、一番怖いのはサウディ空軍の空爆ではないか!!)

トランプは、アブダビ皇太子とも電話会談し、同皇太子は安全地帯の設置が必要であることに同意した由。
http://www.alquds.co.uk/?p=667468
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/1/30/النظام-السوري-إقامة-مناطق-آمنة-انتهاك-للسيادة
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/01/31/روسيا-تقبل-بـ-المناطق-الآمنة-في-سوريا-لكن-بشروط.html
シリア領内の安全地帯の設置を最初に言い出したのはトルコで(オバマは、そのためには多数の米兵と空軍機による保護が必要になるとして、反対していた)すが、すでにトルコはトランプの提案を歓迎していたと思います。
問題は、今後の具体化で、どこに置かれて、だれがその安全を保障するのか、そのためにはどのくらいの軍が必要で、関係国との調整や協議をどうするか等難問はむしろこれからだろうと思います。
いずれにしても、現在政府軍との関係で、非常に弱い立場にある反政府軍や、、場合によってはシャム・ファタハ戦線がそこを拠点としようとすることは想像に難くなく、またクルドの問題もあり、特にトルコ政府とロシア政府の思惑が大きな影響を有すると思います
























イエメン情勢

イエメン情勢につき、取りまとめたところ、断片的ながら次の通り

・サウディのフリゲートが、30日ホデイダ港の西の海上で、監視業務にあたっていたところ、hothy連合の小舟艇3隻の自爆攻撃を受け、そのうちの1隻がフリゲートの後部に衝突し、火災が発生し、サウディの水兵2名が死亡し、3名が負傷した。
(この事件は1990年代末期に、アデン港でアルカイダの舟艇が米駆逐艦に激突し、多数の水平が死亡した事件を想起させるが、これまでhothy連合がこの種自殺攻撃をおこなった、という報道は記憶になく、最近モカから紅海沿岸一帯での、政府軍等の作戦で、hothy連合が相当追い詰められていることを物語っているのかもしれない)
・そのモカでは、政府軍は依然抵抗スポットの掃討作戦を続けているが、アラブ連合軍の空中支援のした、近くの2の軍事基地の攻略に向かっている。
また30日、モカに対して陸上のみならず海上からも、増援部隊が上陸し、今後の紅海沿岸、タエズ等の平定作戦の作戦本部を設置しようとしている
・アラブ連合空軍は、モカからmidiにかけての、沿岸一帯に対する空爆を強化しており、30日には50回以上の空爆があった
・現地情報によれば、ホデイダの病院にhothy連合の遺体100(90とか120とかの報道もある)、多数の負傷者が到着し、病院の能力を超えるので、ほかの病院にも移送された・
・北部のハッジャ県では、政府軍がharadh の中心に迫りつつあり、またmidi でも占拠地を広げている
(たしか、このmidi とharadhについては、かなり前に政府軍が制圧したとの報道があったが、イエメンに関する報道が信頼できないこと、この通り)
・イエメンから飛来したミサイル(弾道ミサイル)がサウディ南部に落下し、国連事務所も被害を受けた。人的被害はなかった。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/01/30/الشرعية-تتقدم-في-حرض-وسقوط-قتلى-وأسرى-من-الميليشيات.html
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/01/30/عملية-الرمح-الذهبي-تواصل-ملاحقة-الميليشيات-الانقلابية-1995.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/1/30/غارات-للتحالف-شمال-المخا-والجيش-يستعيد-مواقع-بحرض
http://www.alquds.co.uk/?p=667464
























ケベックのモスク襲撃

カナダのケベックのモスクに対する襲撃は、場所がカナダというころまで、この種犯罪のなかったところで、しかもトランプの中東からの入国停止措置の直後に起きた事件だけに、アラビア語メディアはいずれも大きく取り上げています。
ただし、今のところは6名死亡、19名負傷(そのうち3名は重体)
             トルードゥ首相が事件はテロであると声明した  
             犯人と思われる大学生のaleksandr bisonit(アラビア文字からの訳)が逮捕された
             彼はAK47を所持していた
等くらいしか、事情は不明で(犯人は3名いたとか、2名逮捕されたうちの1名は目撃者であったとか、犯人がアッラーホアクバルと叫んだとかの報道がある)今の時点で、確定的なことをいうのは、いかにも時期尚早ですが、これを報じるal qods al arabi net は、この事件はトランプがムスリムの入国を禁止したことから世界中で生じた緊張の最初の犠牲者であるとコメントして、明らかにトランプの行動に刺激されたヘイトクライムであることを示唆しています。
http://www.alquds.co.uk/?p=667474
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/01/30/المشتبه-بتنفيذه-هجوم-مسجد-كندا-يطلب-تسليم-نفسه-للشرطة.html
http://www.aljazeera.net/news/international/2017/1/30/الشرطة-الكندية-تعتقل-منفذي-الهجوم-على-المسجد
これから事情がより明らかになってくれば、アラブの反応も変わってくる可能性はありそうですが、このような事件の印象が強烈であるだけに、トランプがイスラムに敵対しているという印象は抜きがたくなりつつあるのではないでしょうか?
その点、与党共和党のマッケイン上院議員が「トランプの措置は、ISを喜ばしただけだ」と語ったとのことですが、恐らくそういう効果を持つのではないでしょうか?
2017年はどうやら物騒というか嫌な年になりそうです。






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