中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2017年05月

イエメン情勢(アデン)

イエメンが全面的に崩壊の危機に面しているという国連の危機感については朝方報告したばかりですが、少なくともアデンについてはその危惧が現実のものになりつつあるのでしょうか?

・その一つは、アデン空港での衝突で(確かここでの先日の衝突は先に報告済みと思う)、30日夕から31日早朝にかけて、空港警備部隊司令官(UAEに支持された治安維持警備隊所属)の部隊と、副司令官(大統領の長男の指揮する大統領警備隊支持)の部隊が、銃火器を使用して衝突したとのことです。
そのため兵士2名が死亡し、2名が負傷した由。
衝突のほうは治安維持部隊と対テロ部隊が介入し、とりあえず収まり、これらの部隊は空港を捜索して、関連した者を逮捕している由。
他方アラブ連合の空軍(これまでの例からすれば、UAE空軍)がアデン上空を低空で、低空飛行している由

・もう一つは、アデン県における完全停電ですが、5つある発電所のうちの一つで、故障があったところ、それがほかの発電所や送電線等にも影響し、アデン県では完全に停電したよし。
なお、アデンでは電力事情は極めて悪かったところ、つい最近カタールの寄贈で、発電所が一つ新たに稼働し出力事情が改善されたとみられていたばかりの由。
事故の原因は不明の由だが、関係者が修復に努力していて、回復までそう長くはかからないとみられる由
http://www.alquds.co.uk/?p=727118
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/5/31/قتيلان-في-اشتباكات-بمحيط-مطار-عدن





























イエメン情勢(国連の重大な懸念表明)

30日安保理はイエメン問題についての集中審議をした模様で、そこで国連関係者は次のように、イエメンの状況について、深刻な懸念を表明したとのことです。

・国連人道支援調整官は、国際社会を横を向いている間に、イエメンの状況は危機的な深刻さを増しており、戦乱、貧困、コレラ等の疫病に襲われ、その犠牲者は貧困層と弱者であると、厳しい警告をした由
彼らイエメン危機はまじかなのではなく、現に我々の目の前で起こっていることで、世界最大の食糧危機を終わらせ、イエメンを立ち直らせるのは今しかないと指摘した由。
さらに、イエメンは完全な、社会的、政治的、組織的崩壊に直面していると警告した由。
彼は、さらにイエメンでは1700万人が深刻な栄養不足にあり、そのうち700万人は飢餓状態にあるとした由。
またコレラで500人が死亡し、55206人が感染し、今後その数は15000名に上ることが危惧されているとした由。
・また彼は内戦当事者はすべてイエメンの状況に責任があるとしつつも、特にアラブ連合軍の責任は大きく、そのなかでもホデイダ港攻撃計画は、現状でも不十分な援護活動を麻痺させ、さらには経済活動も麻痺させると指摘した由
(もっとも、このホデイダ攻撃問題については、イエメン特別代表は、彼の和平仲介活動の一環として、攻撃を中止させたと報告した由。もう一つのラマダン停戦のほうはいまだ実現していない)

・他方、国連のイエメン特別代表は、その報告で、内戦の当事者はいずれも内戦終結のために、必要な妥協をする用意がないと指摘し、彼らに対する国際社会の圧力が必要である問適した由。
彼はさらに、最近南部では南イエメン分離主義者の活動が活発になっており、その意味からも、これ以上のイエメンの分裂と混乱を避けるために、政治的解決の早期実現が望まれていると指摘した由
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/05/30/مجلس-الأمن-الدولي-يناقش-الوضع-اليمني-اليوم.html
http://www.alquds.co.uk/?p=726754
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/5/30/تحذير-أممي-من-انهيار-شامل-في-اليمن
とりあえず以上ですが、これらを読んでいると、またか?という感じを持たされます。
それは別に国連特別代表とか人道支援関係者が、熱心に仕事をしておらず責任を国際社会に転嫁しているという意味ではなく、「歴史的危機」とか「国際社会の直面する危機」とか「前例のない危機」などという言葉は、イエメンについてだけでも何度も聞かされてきました。
さらにその前から、特にシリアについては内戦ぼっ発以来聞かされてきた言葉です
おまけに、「危機」は、これらの国にとどまらず、イラク、リビア、アフガニスタンなどにも広がっているのみならず、おそらく(わが自衛隊が引き上げた)南スーダンではより深刻な可能性があり、また最近の報道では中央アフリカでも極めて深刻な模様です。
そのほかアフリカではソマリアからサヘル地帯にかけて水不足、治安の悪化等で深刻な状況にあります。
これらの人道危機は、自然災害によるもの、人災、特に戦乱、テロ組織の問題等が合わさった複合的なもの等、種々のタイプがあるかと思いますが、イエメンの場合はもとからの貧困国であったところに内戦が重なり、その背後にイランの介入、さらにアラブ連合軍の介入等の近隣諸国の介入があるという意味で、最も複雑で深刻なのかもしれません。
こういう言い方は反論を招くこと必至だろうと思いますが、イエメン情勢の場合、人道援助というのは対処療法にしか過ぎず、イエメン問題をどうにかするには、結局は内戦の終結しかないような気がします。
その場合、どうもここまでこじれにこじれ、国連(ロシアの入っている安保理も含む)とかGCCとかが、何度調停工作をしても動こうとしないイエメン情勢については、何かよほどの逆転でも起きないことには(例えばサウディとイランの仲直りとか、トランプのイラン訪問とか…なにしろ常識破りの大統領ですから、その位の破天荒なことをしませんかね!!またあれだけ、ロシアと近づきたがっていたのですから、いっそのことトランプ・プーチン会談でも開いて、イエメン問題とかシリア問題とかけち臭いことを言わずに、中東の主要問題を一気に片付けるなどということはどうでしょうか?)、結局はどちらかが圧倒的な軍事的優勢を獲得するまでは、この状態が続きそうな気がします。
きわめて悲観的見方ですが、とりあえず



















リビア情勢(エジプトの空爆等)

コプト教徒の虐殺に対する報復としてエジプトが行っている、リビアの国境の町ダルナの空爆について、エジプト軍は30日、空爆を継続しており、今後とも過激派を支援したり資金提供するものに対する攻撃を継続すると声明した由(30日にも空爆があったのか否かは不明)
エジプト空軍の空爆はダルナ周辺の過激派訓練基地関連施設を狙っている由

他方、ハフタル軍のヘリは、ダルナの南の地帯を攻撃している由。
またハフタル将軍は、カタール及び複数の国がリビアの過激派を資金等を持って支援していると非難した由

他方、これらを報じるal jazeera net は(カタール系衛星放送)は、ダルナは、「ダルな殉教者評議会」が2015年ISを同地から追放して以来、これを支配しており、彼らはリビアの3つの政府(トブルク、トリポリ、統一政府)のどれにも属さず、またリビア東部でハフタル軍の支配に属しない唯一の地域であるが、フハフタル軍は四方からこれを包囲しているとコメントしています
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2017/05/30/الجيش-المصري-يواصل-شن-غاراته-على-مواقع-المتطرفين-بليبيا.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/5/30/قوات-حفتر-تقصف-مواقع-جنوب-درنة

このダルナ殉教者評議会とやらの実態は、よく知りませんが、おそらくはアルカイダ系の組織とそのほかのイスラム主義組織が協力しているものかと思われます。
それにしても、メニアでのコプト教徒虐殺には、ISが犯行声明を出しているにもかかわらず、、そのISではなく、アルカイダ等その他のイスラム主義勢力の根拠地をたたいているというエジプト空軍の行動も不思議なものです。
本来当然のことながら、ISの本拠地なり、根拠地なり、幹部の居場所を突き止めて、そこをたたくのが自然だと思うのですが、あまりそのことは問題にもされていないようですね?




米国のシリア民主軍等に対する武器供与

米国のシリア民主軍(クルドのYPGが主力)に対する武器供与については、トルコがこれに強硬に反対してきましたが、米国は武器供与を行う方針を表明していたところ、アラビア語メディアはいずれもごく短く、30日国防総省が、米国は過去24時間以内に、シリア民主軍に対する武器供与を開始したと明らかにしたと報じています。
供与される武器の種類や数量は報じられていませんが、軽火器と車両とのことです(関係ある写真か否か知りませんが、一部のメディアは軌道車ではなく多輪の装甲車様の写真を載せている)。

他方al jazeera net は、これと合わせて自由シリア軍が、米国とその同盟国は彼らがシリア南東部で、イラン支援勢力がイラクからシリアへの通路を開削するための攻撃を撃退できるようにと、武器供与を続けていると明らかにしたと報じています。
彼らによると、そのチャンネルは2つあり、一つはCIAとサウディ、ヨルダン等によるもので、もう一つは米軍によるもので、これらのチャネルは独立して機能している由。
また彼らによると、政府軍がこの地域に展開しだした今月初めから、武器供与は継続している由。
記事はさらに、このようなイラン支援部隊の東進は反政府軍を団結させ、さらにイラクのシーア派民兵がシリア国境に到達したことで、緊張が高まっているとしています。
今月初めにはシリア政府軍は、これら砂漠地帯とデリゾルが当面の第1の目標であると証明した由
http://www.alquds.co.uk/?p=726761
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/05/30/أميركا-تبدأ-بإرسال-أسلحة-لقوات-كردية-في-سوريا.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/5/30/الولايات-المتحدة-ترسل-أسلحة-لأكراد-سوريا

何度か報告した通り、ラッカ攻略戦が迫り、イラクの戦線もモースル解放が目前で、シーア派民兵がシリア国境に達する等、今後のイラク・シリア情勢の大きな焦点の一つが、デリゾルはじめシリア南東部に移ってきたように思われるところ、とりあえず




マンチェスターのテロ(風刺が)

28qpt777[1]題名は「マンチェスターの悲劇」です。
玉突きをしているのはテロリスト(IS)でしょう。
玉突き台には、これまでの欧州でのテロ成功地として仏(パリなど)とドイツ(ベルリン)の旗が飾ってあり、一人が狙っている、一番奥のホールには英国の旗があり、マンチェスターと書いてあります。
http://www.alquds.co.uk/?p=725804







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