中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2017年09月

クルド自治区の住民投票(風刺画)

28qpt777[2]クルド自治区の住民投票に関する風刺画です。
題は「住民投票後クルド地域に対する包囲強化」です。
バルザニと思しき男が住民投票と書かれた箱を抱いていますが、これを包囲している手は、イラク、イラン、トルコまでは分かりますが、もう一つはシリアでしょうか?

http://www.alquds.co.uk/?p=799019

第4次中東戦争の回想

以下の話は昔の回想の類で、現在のニュースではないので、暇のある方がお読みください。但し、話としては面白いと思います。

イスラエルでは、最大の祭日の一つの、ヨムキップール(贖罪の日)が始まりますが、最近の西岸とかの緊張状態に鑑み、イスラエル軍、警察等が最大限の警戒態勢を敷き、パレスチナ労働者の入境が禁止され、多くの道路に検問所が設けられ通行が止められるとのことです。

ヨムキップールというと、1973年にこの日を選んでエジプトとシリア軍がシナイ半島とゴラン高地の奪還を目指す、第4次中東戦争を開始したことで有名です(エジプトではラマダン戦争と呼ぶ)。
この戦争では、サダト大統領の巧みな陽動作戦等もあり、イスラエルは奇襲攻撃を受けて、エジプト軍のスエズ運河渡河を許し、これに反撃しようとしたイスラエルのエリート部隊の機甲部隊の戦車と航空機が、エジプト軍のサッガー対戦車ミサイルとSAM6地対空ミサイルの餌食となり、多数が撃破され、ゴラン高原でもシリア機甲部隊の進出を許し、イスラエルは深刻な安全保障の危機に直面しました(確か、誰かの本で、当時のイスラエル首相のゴルダ・メイヤーがニクソン大統領に、至急大量の戦車、航空機の供給を要請し、米国がこれに応じなければやむを得ず核兵器を使うことになると脅迫したという話を読みましたが、真偽のほどは勿論不明です。
これに応じたニクソンの指示で、米軍はその備品である戦車や航空機までひっぺ返して、イスラエルに供給したが、米軍の大型輸送機が直接シナイ半島に輸送したはずです)。
こんな昔の話をなぜ書くかというと、al qods al arabi net が、当時のモサドの長官の回想として、1973年10月12日、イスラエルの戦争内閣が開かれていて、国防大臣のダヤン(独眼竜ダヤンとして有名だった)が、非常に悲観的な報告をしているときに、モサド長官あてに電話がかかってきて、エジプトの有力者(イスラエルのスパイ)を担当している部下から、エジプト軍の次の作戦について詳細な計画や参加部隊の報告があったとの報告があり、これを聞いた閣議の雰囲気ががらりと変わったと回想しています。
エジプト軍は、更にシナイ半島深く進攻し、ヘリからの大規模降下作戦を計画しているというものだった由
(報告の話はここまでですが、要するにエジプト軍がスエズ運河の線からあまり深く入らない場合には、SAM6の援護下にあるが、半島深く進攻すれば、SAM6の保護下から離れ、イスラエル空軍お餌食になるというもので、実際にもそうなりました)
また、当時のモサド長官はこのスパイはナセル大統領の娘婿のマルワンではないとしています(氏名等は不明。未だ生存している人物でしょうか?)
実は、ナセルの娘婿マルワン・・確か金持ちの実業家だったと思う…がイスラエルのスパイであったという話は昔から有名で…元モサド長官もその回想の中で、マルワンがスパイだったことを認めている…彼は、かれこれ20年くらい前だったかにロンドンの自宅のフラットのバルコニーから転落して死亡したが、ナセルの娘は、それはマルワンに対するエジプト情報当局の仕返しであるとして、英当局に厳重な調査を要求していました。その後どうなったのでしょうかね?

なぜ、こんな昔の話を書いたかというと、どういう偶然か知りませんが、本日午後のBBCが英国情報部MI6の職員で…将来のMI6長官を嘱望されていたと言われている…ソ連KGBのスパイであったキム・フィルビィの展示会がモスクワで開かれ、ロシア対外情報局長がフィルビィは英雄だったとして、その未亡人を慰めていたというニュースを流していたこともあります。
当時の東西のスパイ合戦は多くの人の関心を引いていたものでした。面白い小説もスパイものが多かったような気がします。
ttps://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5022728,00.html
http://www.alquds.co.uk/?p=799511

Libya情勢(EUの制裁延長)

al arabiya net は、EUがリビアの政治家3名に対して、リビア問題の政治的解決を阻害しているとして、昨年4月から課している制裁を更に6月間延長することを決めたと報じています。
彼らはトブルク議会の議長akila saleh とトリポリ議会の前議長nouri abousahamin とトリポリ政府のal ghweil の3名の由。
またこの決定の理由は、制裁の実施後も、政治的解決への進展がないことの由にて、もし動きがあれば再考される由。
制裁は彼らの資産の凍結とEU諸国への渡航禁止
http://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2017/09/29/أوروبا-تمدد-العقوبات-على-شخصيات-ليبية-بينها-عقيلة-صالح.html

これら3名のうちで、実質的に政治的解決を阻害しているのはトブルク議長で(ほかの2人は時々名前が出てくるくらい)、彼がせっかく統一政府ができたにもかかわらず、法的に必要なその批准のための議会を開かなかったために、セラージュ首相の率いる統一政府の正統性も次第に崩れ、今では鼎立する3政権のひとつにまで落ちてしまい、この統一政府を成立せしめたスヘイラート合意の見直しの会議が進められていること、報告した通りです。
尤も、あえて言えば、これら政治勢力間の争いは、いわばside show で、本当のリビアの政治的争いは対立する武装勢力間の争いかも知れないが






イエメンでの人道法違反調査(国連人権理事会)

BBC等では、イエメンで国連の人権理事会の内戦での人道法違反に関する調査を行うことが決定したと、かなり大きく報じていますが、関連のアラビア語メディアの報道の要点次の通りで、どうやらオランダ等中立な国際的な調査が必要との立場と、サウディ等のイエメン政府の調査が最も望ましいという、2の立場の妥協の産物のようで、どの程度具体的な成果が上げられるのか、疑問とするところです。
イエメンでは、特に内戦に介入したサウディ等のアラブ連合空軍の誤爆(または意図的なものもあるか?)で多くの学校、病院等が破壊され、民間人が多く死傷し、人道法違反との非難の声が国際人道団体等より挙げられていましたが、イエメン政府はその都度彼らの調査では、誤爆でhothy連合が住宅地に重火器等を配置したためのもので、むしろhothy連合の方が各地で人道法違反を繰り返していると非難していました。

・この問題を取り上げた国連人権理事会では、オランダ提出の決議案と、サウディ・エジプト等アラブ諸国の決議案との2決議案が出され、2日に渡り激しい駆け引きがあった模様です。
オランダの決議案は、国際的な透明で客観的な調査が必要として、理事会に国際専門家からなる調査委員会を設けるとしたもので、仏が支持したが、米米が関係者の妥協で決議案を統一することが望ましいとの立場をとった模様
・この間、アラビア語メディアによるとサウディは、2国間関係や議場でのロビー活動等で、オランダ決議案の撤回を働きかけ(al arabia net 等はサウディ政府はこの働きかけが成功したと自賛しているとしている)、結局2つの決議案が1本化され、採択された模様
・採択された決議の詳しい点は不明だが、どうやら調査自体はイエメン政府の責任で行うが、これに国際、アラブの人道法の専門家のグループが協力するという妥協的産物となった模様。。
・これら専門家グループの活動は少なくとも1年の由
http://www.alquds.co.uk/?p=799350
http://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2017/09/29/خبراء-دوليون-يدعمون-لجنة-تحقيق-في-مزاعم-انتهاكات-باليمن.html
人道法違反問題は、イエメンだけの問題ではなく、むしろイラクやシリアの方がスケールも大きいのではないかと思われるが、サウディ等常任理事国でもないグループのの反対だけでもこれだけ揉める問題だけに、シリアやイラクでの米等有志連合やロシア機等による人道法違反問題の調査など、また夢の夢かと思われます











クルド自治区問題

クルド自治区の住民投票問題のその後については、いつもの通り若干の落穂ひろいを・・・・

・クルド自治区の空港の管理問題については、イラク政府が自治区の2の空港への国際便の離着陸を禁止し、その上空を飛行禁止地帯に指定したために、多くの外国人の脱出が続いていたアルビル空港では29日17:15に最後の便が出発した。
・また、同空港の隣接の基地で、ロジ支援のために勤務していた米国籍の民間人130名が帰国した。
(とりあえず、クルド地域への民間航空は完全にストップした模様)

・イラク政府は、トルコ及びイラン政府と協力して、クルド自治区と両国間の4つの検問所を取り戻すことを決定した。まだ政府軍等は派遣されていないが、イラク軍はその準備を進めている由
これに対してクルド自治政府は、引き渡しの拒否を声明した

・イラン政府は、暫定的措置として、クルド自治区との間で、全ての石油製品の輸出入を禁止した
(クルド自治区やキルクークの原油の多くはトルコ経由のパイプラインで輸出されておりこのイランお措置がどの程度の影響のあるものかは不明)


http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/9/29/بغداد-تتحرك-لاستعادة-المعابر-بعد-استفتاء-كردستان-العراق
http://www.alquds.co.uk/?p=799517
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/09/29/العراق-ينسق-مع-إيران-وتركيا-للسيطرة-على-حدود-كردستان-.html
取り敢えず以上ですが、米国務長官は米国はクルド自治区の住民投票を支持しないとの立場を確認した由です。
他方、国連は、この問題でイラク政府とクルド自治政府の仲介をする用意があると表明しましたが、米ロ等を含めほぼすべての国(イスラエルを除くか?)が反対しているクルドの独立問題について、国連がどの程度公平な立場で仲介できるか疑問です
(中国の立場はアラビア語等のメディアからは不明だが、多くの少数民族を抱えている中国としても、分離独立運動には強く反対だろうと思いますい)
取り敢えず、次の問題は国境検問所の管理問題でしょうか?
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