中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2018年02月

ゴータの人道危機(風刺画)

21qpt777[1]ゴータの人道危機に関する風刺画です。
内戦の砲弾やミサイルのサメ達が、住民を包囲して、襲っているところですね
http://www.alquds.co.uk/?p=884741

お断り

明日は朝一番で東京へ行き、夜遅く帰ってくるので、ブログの更新はできないと思います。
東京行は大学時代のクラブの集まりですが、この歳になってもこのような集まりがあるのは、有り難いですね

イエメンに関する安保理決議案

先ほど東ゴータ情勢に関し、ロシアが安保理の緊急会合を要請し、もしかするとスウェーデンとクウェイトの停戦決議案が、22ひ(NY時間)にも採決される可能性があると書きましたが、その後のアラビア語メディアは、大きくロシアは激し空爆を続けながら安保理に頼ろうとしている、などと書いていて、外交筋の間にはロシアは決議案に拒否権を使うだろうという見方が大勢だが、希望的には棄権に済ませるという見方もあるとしています。
どうもこうなってくると、ロシアの動きは権謀術数の権化のような感じもしますが、こちらの方の帰趨はもうすぐわかることです。

他方安保理にはもう一つ別の決議案も出ているようですが、こちらの方はイエメン問題で、米英仏が共同でイランのイエメンへの輸出禁止(安保理決議があったと思う)を非難する決議案を提出していて、それをロシアが邪魔しないように圧力をかけているとのことです。
こちらの決議案は、この18日上記3国が提出し、イランの武器輸出禁止違反を非難し、違反に対してしかるべき措置をとるというもので(これでトランプが提唱していたイランのミサイル開発に対して制裁をとるということが、安保理決議に基づくものと主張する根拠になるのかも)、今月末には採決の予定とのことです。
これに対してロシアの国連大使は、イランに対する圧力をかけることに反対している由
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/02/22/واشنطن-تضغط-وروسيا-تعترض-على-إدانة-إيران-في-اليمن.html
http://www.alquds.co.uk/?p=884976
類似報告している通り、シリア問題については、近くロシア・トルコ・イラン3国外相会議、次いで首脳会議が予定されており3国の協力がますます緊密になる傾向がみられるところ、イエメンについてはこれまでロシアは消極的な立場で、積極的な動きは米、EUと湾岸諸国に任せてきた感じがありました。
しかしシリア等でロシアがイランと接近しだすと、イエメン問題についてもこれまでのような消極的とはいえロシアの協力を得るのは、今後困難になるのではないでしょうか?
ということは、直接的には安保理の対応能力がなくなり、米としてはその辺を計算して動く必要が出てきたように思われます。
さらにGCC湾岸協力理事会が、サウディやUAE等対カタール問題で、ほぼ崩壊状態にあり、アラブ連盟などはこのところ中東の問題に対して、完全に当事者能力を失っているので、今後のイエメン問題も、関係諸国は安保理等を口実には使っても、今まで以上に武力と、直接外交等の駆け引きで、対応することになるのではないでしょうか?






afrin情勢

afrinでは、20日シリア政府側の民兵(実は政府軍との報道もある)が、YPG支援のために、同市に入ろうとしたが、トルコ軍からの警告砲撃で、撤退したとの報道があったことはお伝えしました。
しかし、どうやら少なくとも彼らの全部が撤退した訳ではなく、少なくとも一部は未だafrinに残っていて、更に増援部隊(要するに第2陣)が21日afrin へ入った模様です。
これはシリア人権監視官及び政府系メディアの伝えるところで、それによると数十名の戦闘員が入ったとのことです。
これに対して、トルコ大統領府報道官は、誰であれYPGを支援するものは、トルコ軍の正当な攻撃目標になると表明した由。

この間、不透明なのはロシアの動きで、トルコの侵攻にロシアが青サインを出したとか、政府軍とYPGの交渉の後ろにはロシアがいたとかの噂が流れ(肯定の発言や否定の発言がある模様)てます。
然し、al arabiya net がコメントするように、afrin情勢に大きな影響力を所持しているのはロシアだけで、ロシアがこの問題について如何なる考えで対応しようとしているかが不明なところが問題なのかもしれません。
事実、エルドアン大統領も何度かプーチンと電話で話をしています。

このようなときにロシアのラブロフ外相は、afrin問題解決の道はトルコとアサド政権の直接対話であると語った由。
これに対して、トルコ大統領府報道官は、トルコ政府としてアサド政権と直接対話をすることはできないが、シリア政府との間では、これまでも双方の情報機関を通じて直接、または間接的に(要するにロシアを介してか?)対話を行っており、今後とも必要に応じて行うことに変わりはないと表明した由
http://www.hurriyetdailynews.com/turkish-syrian-intelligence-in-direct-contact-when-necessary-turkish-presidency-127675
http://www.aljazeera.net/news/international/2018/2/21/مقترح-روسي-لحل-الأزمة-في-عفرين
http://www.alquds.co.uk/?p=884530
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/02/21/دفعة-جديدة-من-قوات-موالية-للأسد-تصل-إلى-عفرين.html
取り敢えず以上ですが、憶測をたくましくすれば(別にたくましくしなくとも、誰でも気が付くところか?)、ロシアとしては米軍の同盟軍であるYPGを特にかばう理由もなく、この際トルコ軍の攻撃にゴーサインを出して、トルコの攻撃を始めさせ、そのうえで政府軍を現地に派遣して、YPGと交代させ、このような交渉を通じてトルコとアサド政権の橋渡しをして、米国抜きで、ロシア―トルコーイランによるシリアの共同統治を実現しようとしているのかもしれません。
いずれにせよ、現地の情勢も流動的ですので、先ずは情勢を見極めることが大事かと・・・・

東ゴータ情勢(続く悲劇とロシアの思惑)

東ゴータの悲劇はその後も続いていて、政府軍の攻撃は継続しており(報道によれば、18日以降の民間人お死者は300名を越した模様)、シリア内戦最大の人道上の危機とか、旧ユーゴスラビアのスレブレニッツァ(スラブ民兵がムスリムの町を制圧し、数千名の男を殺し、女性は性奴隷にした有名な事件。責任者の国際裁判が未だに行われている)の再来だとの報道が見られます。

そのなかで、国連安保理やアラブ連盟等の国際、地域機関が全く機能していないこともあり、国連では事務総長が、繰り返し停戦と人道援助の実施を要請しています。
この点に関し、al jazeera net は、ロシアが緊急安保理の開催を22日にもとめたと報じています。
他方、安保理には既にスウェーデンとクウェイトが、30日の停戦と人道援助を求める決議案を提出していたところ、この決議案が22日採決されるとの見方もある由。
(もし仮にロシアが、真面目に東ゴータの情勢を懸念しているのであれば、この決議案に拒否権など行使せずに、決議案を至急採択すればよいわけですが、これまでのシリアに関するロシアの立場から、仮に採決があれば拒否権行使…・理屈はいくらでもつけられると思う…は、遺憾ながら避けられないのではないでしょうか?
拒否権が嫌なら、おそらく採決延期の駆け引きをするでしょう。
いずれにせよ、al arabiya net によれば、ロシアは東ゴータの反政府軍が抵抗を止め、武器を捨てるように、との呼びかけを無視したことが、停戦交渉を阻害したと非難している、とのことですから、安保理が開催されれば、この主張を繰り返すだけではないでしょうか?)

また仏、イタリア、スウェーデン、エジプトが即時停戦を求める声明を出した由。
おそらくは、米国も種々の声明を出していると思いますが、意味がない生命と思われたかどうかは知りませんが、先ほど見たアラビア語メディアでは特に触れられていません。
また国連の他国際赤十字も、若干の危険は冒しても、現在は人道支援を送り込むべき時期であるとの声明を出した由。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/2/21/قوات-النظام-تواصل-مجازرها-بالغوطة-وتحشد-بمحيطها
http://www.alquds.co.uk/?p=884555
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/02/22/روسيا-انهيار-محادثات-التوصل-لهدنة-في-الغوطة-الشرقية.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/2/21/دعوة-لاجتماع-طارئ-بمجلس-الأمن-بشأن-الغوطة

取りあえずのところ以上ですが、その他政府軍が周辺に部隊を増派しているとか、攻撃(おそらく地上作戦のことと思われる)の準備をしているとかの報道もあります。
全くの推測ではありますが、とにかく政府軍とその同盟者にとっては、目の上のたん瘤であった東ゴータの反政府軍を包囲し、砲爆撃で痛めつけてきて、食料弾薬等も不足しているはずで、この機会がダマスの周辺から彼らを一掃する最大の機会と考え、民間人の犠牲など無視して、攻撃を激化させているのではないでしょうか?
昨日も報告した通り、ロシア機も政府軍機と共同して空爆しているとのことですから、ロシアの安保理開催要請が、自分たちの攻撃を止めるためのものであるはずはありません。
おそらく、ロシアの思惑としては、軍事的圧力を背景に、停戦、反政府軍戦闘員及びその家族等の退去の国際的な合意を勝ち取り、ダマス周辺から反政府勢力を一掃することではないかと思われます。
このようなある意味での「民族浄化」は、これまでもシリアの各地で繰り返されてきていて、決してとっぴな発想ではない。
住民の被害をこれ以上増大させないという観点からは、おそらく現時点で唯一実現可能な措置かもしれません(勿論その倫理的に良いか悪いかということとは別です)
因みに包囲されている住民の数は40万人だったかと思います。



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