中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

2018年05月

トルコに対する経済的陰謀

最近のトルコ通貨の下落に関して、エルドアン大統領が、トルコに対する経済面からの陰謀だと語ったという話は報告済みですが、hurryiet net 及びal jazeera net は、トルコ外相がトルコの民間TVとのインタビューで、最近のトルコ通貨の下落等は外国で仕組まれた陰謀がそのもとで、複数のイスラム国家もこれに加担していると語ったと報じています。
同外相は、この陰謀は2016年のクーデター未遂の後に、国際的金融機関や一部の国家が経済を通じてトルコに打撃を与えようとするものだと語った由。
両者の記事のうち、トルコメディアの方は陰謀者の名前は時期が来れば明らかにすると語ったとしているだけですが、al jazeera net (カタール系)は見出しに2つのイスラム国家が陰謀に加担(しかし記事にはその辺お説明はない)と書き、記者がサウディがその一つかと聞いたのに対して、答えを拒否したとして、如何にもサウディがその一つであることを匂わせています
(まあ考えれば、イスラム国家でそんなことをする動機と能力を有するのはサウディとUAE位でしょう。もう一つのカタールはトルコの同盟国)
http://www.hurriyetdailynews.com/turkish-fm-accuses-some-muslim-countries-for-trying-to-demolish-economy-132594
http://www.aljazeera.net/news/international/2018/5/30/جاويش-أوغلو-دولتان-مسلمتان-حاولتا-حرق-اقتصادنا
陰謀の有無の事実関係はともかく、このような記事が躍ること自体、トルコとサウディ等との関係が険悪であることの証拠でしょう

マンビジュに関する米・トルコの了解

トルコと米国の対シリア政策上、大きな対立点であったmanbij (シリア北西部のトルコとの国境地帯にあり、現在YPGが支配。トルコはこの地域からはYPGが撤退することを米国が約したとしていた)に関しては、先日両国のwgで段階的なクルドの撤退案が合意され、来月4日の両国間外相会議で承認されることとなっていました。

この合意案について、al arabiya net はロイター電を引いて、3段階からなると報じています。
それによると、第1段階は6月4日から30日以内に、YPG兵力の撤退
         第2段階は同日から45日以内の米・トルコ両軍によるmanbijの査察、監視
         第3段階は同日から60日以内に、地方行政機関の設立
とのことです。
また記事はトルコ外相が、この合意案は正式に合意されれば、夏の終わりまでには実行されるであろうと発言したとも報じています。

他方トルコのhurryiet net は同様の記事で、トルコ外相が、この合意が実施されれば、同様の合意はラッカやkobane 等の他のクルド勢力支配地域にも適用されると語ったと報じています。
 https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/05/30/اتفاق-تركي-أميركي-على-خطة-من-3-خطوات-بشأن-منبج.html
http://www.hurriyetdailynews.com/turkish-fm-roadmap-for-syrias-manbij-to-be-outlined-after-us-meeting-132617
取り敢えず以上で、これから見ると米国も、トルコが安全保障上譲れないとしているクルド問題で、基本的にはトルコの言い分を入れたように見えますが、devil is in the detail と言いますから、云々するには、もう少し詳しい情報を待った方が良いかもしれません







ホデイダ情勢(UAEの野望?) イエメン

サナアの外港のホデイダに対する、政府軍の攻撃が進展していることは何度かお伝えしrてきましたが、al qods al arabi net はUAEはイエメンの主要港を支配するとの野望を実現するために、ホデイダ攻撃には前大統領サーレハの甥を利用しているとして、この野望が実現することを危惧する声が上がっていると報じています。
確かにUAEはアラブの春で、サーレハが失脚して以来、彼の長男を大使として受け入れたり、サーレハ一族をかくまってきており、その背後には何らかの政治的思惑があるのだろうと思っていましたが、こういう形で利用されているのですかね?
どこまで信用できる記事かは不明ですが、取りあえず記事の要点のみ

「ホデイダの攻防戦が続くに従って、消息筋の間では、UAEが、ホデイダをサーレハの甥のtareq muhammad abdallah saleh准将に引き渡すのではないかとの懸念が高まっている。
ホデイダ攻撃は突然の動きであったが、消息筋はUAEが、ホデイダの解放後、自分が育成してきたサーレハの甥に引き渡し、イエメンの主要港を支配下に置くとの野望を実現するのでは、との危惧を表明している。
この男はサーレハ前大統領の甥で、現在大統領警備隊の司令官であるが、UAEは、hothyグループによるサーレハ前大統領殺害後、彼がサナアを脱出してきたところに、多額の資金と近代兵器を与えて、元エリート部隊の共和国警備隊やその他の旧軍の兵士集めての部隊づくりを支援してきた。
彼は過去数か月で数個大隊の兵を訓練したが、これらは政府軍には属しておらず、UAEの支配下にある由。
最近の急激なホデイダ攻防戦の進展では、これらの部隊は戦闘に参加しておらず、政府軍の奪還後、、その治安維持(要するに支配)にあたるものと見られている」
http://www.alquds.co.uk/?p=945002

これまでアラブ連合の主要参加国のうちサウディとUAEの思惑については、種々の推測があったところ、どうやら彼らはイエメンの分割(と言っても直接の領土的支配ではなく、2つの影響圏への分割)を狙っているんではないかとの見方が再起入力で、その場合当然UAEはアデン中心の南イエメンがその支配権と見られていました。
ホデイダは、サナアの外港であるだけに、どちらかと言うと北イエメンで、すなわちサウディの勢力圏に入るのかと思われてきましたが、ここをもUAEがその支配地域に置くとなると、先日のスコトラ島の場合のように、サウディとUAEの対立を招く可能性もあり、いずれにしても要注意ですね。















ガザ情勢

ガザの情勢は29日、相互の砲火の応酬が、2014年以来と評されるまでの激しさに達しましたが、30日にはハマスとイスラムジハードがイスラエルと停戦に合意したと発表し(イスラエルはこれを否定)、状況は平静さを取り戻しつつある模様です。

しかし、haaretz net はガザとの国境線近くの住民は、遅かれ早かれ、砲火の応酬が再開されることは必至とみていると報じており、またal qods al arabi net は、米国の研究所のレポートでは、極めて狭いところに閉じ込められ、経済的に益々窮迫しつつあるガザの住民の不満とフラストは高まっており、それが爆発するのも時間の問題だろうとされていると報じています。
安保理の審議状況は先ほどお伝えしましたが、関係諸国、特に米国が非難ゲームにとりつかれ、ガザの窮境をどう救っていくのか(ということはパレスチナ問題の解決ということになろうか)という前向きの姿勢にかけている状況では、まさにこれら記事の言う通り、現在はつかの間の静けさで、争いの再開は時間の問題ということかもしれません

それはともかく、ハマスとジハードがイスラエルとの停戦合意を発表し、イスラエルがこれを否定するという不思議な話がありましたが、その辺の経緯についてy net news がかなり詳しく解説しています。
もちろん事実関係の確認はできませんが、極めてあり得る話ですので、ご参考まで
・29日午前イスラム・ジハードがイスラエルに対して、ロケット弾の攻撃をはじめ、弱気を非難されるのを恐れたハマスもこれに参加した。
・それに対してイスラエルも空爆で応えたが、午後になり、戦車砲による砲撃へとレベルを下げた
・そこでこれまで双方と連絡を維持していたエジプト情報部が、停戦の可能性をかぎつけ、ハマスとジハードに対して停戦を持ちかけた(エジプトはイスラエル側から、冷静に対しては冷静で応じるとの感触を得ていたと思われる由)
・両者は協議の上、エジプトがイスラエルに対して停戦合意を持ちかけることに合意した、彼らとしては、ロケットの攻撃で、イスラエルと対等の立場で合意取り付けに成功したことを誇示する必要があった
・しかし、イスラエルはこれを拒否し、パレスチナ側はこれに怒って、29日夜にかけて再びロケット、臼砲攻撃を激化した。
・これに対して、IDFも攻撃を激化させたが、パレスチナの動きを熟知しているため、パレスチナ戦闘員が拠点から去った時刻を狙っての攻撃であったために、戦闘員に死傷者は出なかった
・このため、これ以上攻撃を続けても、得るところがないと考えたパレスチナ側が、30未明に攻撃を止めた。
・IDFはハマス支配を崩壊させても、その後を埋めるまともな代案がないために、ガザ侵攻は望んでおらず(ガザ侵攻はハマスの支配の終焉を意味すると考えている)、とにかくハマス等の行動に対しては、IDF対応の強度を柔軟にして対応する能力を、維持することが大事と考えている

上記のような認識を反映したのか、30日夜イスラエル安全保障閣議(閣僚全員ではなく、安全保障関連の閣僚だけの閣議)が開かれ、ネタニアフおよび国防大臣からの、当面はガザとのあいだの軍事的対決を終焉させるとの提案が全会一致で採択された由。
これはy net news の別の記事が報じるところであるが、同記事及びal qods al arabi net は、2名の閣僚がガザ侵攻の必要性について発言したが、閣議でそのような考えを述べた閣僚はいなかったと報じています。
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5275174,00.html
http://www.alquds.co.uk/?p=944948
https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-truce-or-not-israelis-on-gaza-border-know-it-s-only-a-matter-of-time-1.6134837
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5274740,00.html
http://www.alquds.co.uk/?p=944948












ガザ情勢(安保理審議)

ガザ情勢については、米国が緊急安保理開催を要請したことは先に報告しましたが、アラビア語メディアは米国が配布したハマスのロケット発射を非難する声明案をクウェイトが阻止したと報じています。

外交筋によれば、声明案はハマスのロケット弾発射を非難するという趣旨のものの由ですが、会合でクウェイト代表は問題の責任はガザやパレスチナに関するイスラエルの政策にある賭して、国際社会はこの問題を無視することはできないと表明した由。
(安保理の声明は、その決議と違って強制力がないために、決議が通りそうもない時には、よく使われる手法…当面の問題を糊塗するやり口とも言いうるか・・・・ですが、その発出には安保理メンバー全員の支持が必要とされています)
これに対して米代表は、安保理は攻撃の相手がイスラエルである場合には沈黙を守るとして、一方的な立場をとるメンバー国を非難した由
http://www.alquds.co.uk/?p=944907
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5275106,00.html
http://www.aljazeera.net/news/international/2018/5/30/جلسة-أممية-بشأن-غزة-والكويت-تتصدى-لبيان-أميركي

これまで安保理では、イスラエル非難の決議案や声明案が審議されると、米国はイスラエルの直接の行動のみならず、その背景としてパレスチナ側等のそれまでの行動も非難されるべきであるとして、反対することが非常に多かった。
その意味では、今回この米国のやり口が、クウェイト等により、ほとんどそのまま使われたことは、ある意味皮肉なことです。
しかし、これまでの安保理の対応は、結局イスラエル、米対アラブやロシア等が相手を非難するための舞台としてt利用しているだけで,真に平和的解決を見出そうとの努力が少ないことが、最大の悲劇でしょうね。
まあ、それが国際社会の現実なのですが・・・






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