25日の金曜日はアラブの各地で抗議デモが行われたようですが、中でも最も注目されるのがシリアです。
バース党の独裁体制で中東でも最も抑圧的なシリアは、アラブ諸国の抗議運動の波を厳しい締め付けで乗り切るのではないかとの見方が専らでしたが(恥ずかしながらこの私もそうでした)、南部の町ダラアで激化した抗議の波は(大げさに言えば)シリア全土に広がりつつあるようです。
特に25日は「尊厳の日」と名付けられ、ダラアでは先に死んだ者の葬儀が行われ、約2000名が参加し、治安警察と衝突して、群衆は前大統領アサド(現大統領の父親)の銅像を燃やしたとのことです。また特に大統領の弟(共和国警備隊司令官)と実業家の従兄に対する憎しみが表明され、共和国警備隊に対しては「ダラアではなくゴラン高原に行って戦え」との叫びが聞こえたとのことです。
これに対して治安部隊は屋上から狙撃したり催涙ガスを使った由。
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/2FF1B23E-2845-48C8-93EE-5928C3CB4B23.htm?GoogleStatID=1
このダラアの近郊の町では目撃者によれば同日20名が殺された由。
シリアの他の町では1982年ムスリム同胞団の蜂起を虐殺で鎮圧した派までも中心街をデモ行進が通った由。
ダマスカスでは少人数の抗議集会があり、数十人が逮捕された由。またダマスカスの郊外の町では30名が殺されたとのニュースがある由。
また北部の港町ラタキアでは治安部隊が町を閉鎖し、車両の出入を差し止めた由。
al jazeerah net の記事の主要点は以上ですが、al qods al arabi net も短くはありますが、シリアの情勢について同様の情勢を伝えています。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest/data/2011-03-25-17-46-57.htm

シリアでは、先にもご紹介した通り、ダラアでの衝突後、アサド政権が腐敗防止とか非常事態の再検討とか改革を約束したばかりですが、その直後にむしろ殆ど全国的な規模で(報道されていない都市でも同じような抗議が起きている可能性があります)で抗議が起きているということは情勢の深刻さを示すものと思えます。
彼の父親のアサドはアラウィ派中心のバース党政権を率い、スフインクスとあだ名された様な用心深く本心を明かさない狡猾な面と、ハマの虐殺のような野蛮な暴力で反対派をねじ伏せるという両面を使い分けながら長期政権を維持してきました。
彼の後を継いだ現在のアサド大統領は、当初(確か英国での医者としての経験から)民主化を進めるのではないかと期待されたり、半面優柔不断でシリアが混乱するのではないかと警戒され、特にレバノンからシリア軍の撤退を余儀なくされました。その後ハリル元首相を暗殺し(と疑われている)強硬な面も見せ、イラン及びヒズボッラとの関係をうまく使って、中東における存在感を示しだしてきたところでした。
これからアサドがどちらの方に行くのか(弾圧一点張りに戻るのか更に改革を進めるのか?)注目されるところですが、アサド政権と言うかバース党政権も大きな転換点に差し掛かっているようです。

ところでハマの事件の時に住民を殆ど無差別に殺害、虐殺したのはアサド(父)の弟率いる、殆どがアラウィ教徒からなるエリートの特殊部隊でしたが、上に書いた人々から憎まれている共和国警備隊と言うのは、同じようにアラウィ教徒からなる部隊なのでしょうか?最近のシリアについて知識がないので、どなたかご存知の方がいたら教えてください。