シリアでは4日全国規模の平和的デモが呼びかけられ、これに対する政府の対応が、アラブ連盟和平案を受け入れたアサド政権の真の意図を示すとして注目されていましたが、どうやらアサド政権は軍隊を市街地から引き揚げ、暴力の行使を止めるのではなく、従来通り(al jazeerah netによれば、従来通りかより強硬な)弾圧政策を続行している模様です。
日本時間朝の時点では未だ取りあえずの状況しか報じられていませんが、上記のネット、イスラエル紙のネット、トルコ紙のネット(これらは隣接国でシリア情勢に大きな関心を有している)は、いずれもアラブ連盟の和平案は躓いたとか躓きつつあるとの表現で、アサド軍が8〜18人の間で抗議運動参加者を殺害したと報じています(この数字は遺憾ながら今後・・いつもの通り・・増えると思われ、確か日本時間0700のbBCは死者100名と言う数字を出していたかと思います・・その時他のことをしていたので、聞き違いの可能性はあるが)。

先にも書いた通り、これまで多くの人を殺してきたアサド政権が、突然市街地から軍を引き揚げれば、反政府勢力の強いホムス、ハマ、ダラア等の町は即刻開放区になる可能性が強く、ある意味でアサド政権の自殺行為ですから、仮にアサド政権が真剣にアラブ連盟の和平案を受け入れるのであれば、手順とか実行する措置の順番、相互の関係、監視機構等等について、詳しく議論をしてそのアレンジをしてからでなければ、実行不可能なはずですが、今回はその辺は全く議論もせずに(と思われるが不明)、とにかく即時軍隊の撤退とか暴力行為の停止とかの措置を含む平和案を受け入れた訳です。
アラブ連盟から提案があった後で、シリア政府との間でこのような問題について、何らかの詰めの協議が行われた形跡は見当たりません。
おまけに正式受諾の前にシリアのTVで受諾を表明するという(ある意味で不謹慎な)広報宣伝作戦をとったりしました。
その意味で余り断定的なことを言うのは差し控えてはいましたが、初めから極めて懐疑的に見ていた次第です。

これに対してシリア政府は、al jazeerahによれば、4日全土で死者が生じたことを否定し、反政府派の陰謀があると非難し、武装勢力に対して1週間の期限で武器を引き渡せば恩赦を与えると発表したとのことです。
どうも、このような態度から考えるに、アサド政権の立場はアラブ連盟の平和案があろうが無かろうが、反政府派には屈服を要求し、これを実力で強制しようとするもので、従来の立場と全く変わっていないのではないかと思われます。

この3週間くらいのアラブ連盟の動きは一体なんであったのでしょうか?
アラブ的解決を示すための空虚な猿芝居か、アサドに騙されTのか、それともアサドが実行しないことを見越して次の措置(加盟資格凍結とか非難とか)をとるための一つのステップだったのでしょうか?この可能性はありますが、ちょっと高級作戦過ぎますね。
いずれにしても、今後のアラブ連盟の対応が注目されます。
勿論、何しろ狡猾で有名であったアサド(父)の息子ですから、一筋縄で行かないことは初めから明らかでしたが、それにしても仮にアラブ連盟の調停が失敗し、安保理はロシアと中国のために麻痺しているとすれば、シリアでは今後ともアサド政権と反政府派の力比べを続けるしかないのでしょうか(さらに人命が失われますね)?
それとも本格的な内戦の方に向かうのでしょうか?
どうも悲観的なことばかり書きますが、残念ながら今朝はそのような感じしか持てません。
http://www.haaretz.com/news/middle-east/syria-peace-plan-unravels-at-least-15-killed-in-protests-1.393798
http://www.hurriyetdailynews.com/n.php?n=two-day-deal-fails-to-end-syria-unrest-2011-11-04
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/822A4930-14AE-4DCF-AC76-5AE9EFA88B9B.htm?GoogleStatID=1