シリアでは矢張りホムスのババアムル地区は政府軍に制圧された模様で、自由シリア軍は住民の安全のために「戦略的撤退」をすると声明したとのことです(この言葉はどこかww2の帝国陸軍の「転進」と言う言葉を思い出させますが、ようするに撤退せざるを得なかった訳です)。
al jzeera net によれば、国際赤十字、赤新月はシリア政府が、赤十字に2日同地区への人道援助の為の入域に同意したと発表したと報じています。
BBCやCNNはババアムル地区の制圧は、アサド政権の戦略の成功を意味し、アサドは各地で抵抗勢力を次々と潰して行くのではないかとコメントしていました。確かに政府軍は装備も優れ、政権に対する忠誠度も大きな崩れはなく、このままでいけば力づくの戦略が成功する可能性も強くなってきたように思えます。
それが1982年の時のハマの虐殺の時の戦略で、今回もその再現を狙っていたと思われますが、別な見方をすればこの狭い地区を制圧するのに4週間も連日猛烈な砲激を行う必要があった訳で、他の町を虱潰しに制圧して行くには相当の時間と犠牲を覚悟する要があり、今回の抵抗運動は基本的にはムスリム同胞団の蜂起であった1982年当時とは質的に異なっており、そう簡単ではなく、途中でむしろ政権が崩壊する可能性もあるし、下記に見るようにこれを機会にむしろシリア情勢は軍事的対決の様相を強めて行く可能性が強いような気がします。
いずれにしても、赤十字や国連関係者がホムスに入れば、これまで余りよく知られていなかったババアマル地区の実情も広く知られることになり、これに対するアラブ、国際社会の反応が注目されるところです。
al jazeera net 等が報じるその他の関連ニュース次の通り、
・BBC等は国連安保理は議長声明で、国連人道援助局長にシリア訪問を即時認めるように要求したと報じ、英大使らのコメントとして、これまで頑なにシリア支持で合ったロシア、中国がこの声明の発出に賛成したのは、正しい方向への一歩であるとの発言を伝えている。
他方、al jazeerah net は英大使の発言として、安保理では新しい決議の成立に向けて努力しているとも伝えていて、上記議長声明{通常決議に合意できない時に議長声明と言う形で納めることが多い)との関連は不明です。
http://www.aljazeera.net/news/pages/ed82d2ff-fc2a-4f1a-96ae-e21473f1d046?GoogleStatID=1
・国連人権理事会はシリア政府の人権無視を非難する決議を採択したが(確かこの点hご報告済みだったと思います)が、決議の賛成37国に対して、反対はロシア、中国、キューバの3国のみであった。
http://www.aljazeera.net/news/pages/ed82d2ff-fc2a-4f1a-96ae-e21473f1d046?GoogleStatID=1
・カタール首相(兼外相)はシリア国民に対する緊急人道援助の必要性を強調するとともに、国連・アラブ合同軍をシリアに派遣する必要があると語った。
http://www.aljazeera.net/news/pages/ed82d2ff-fc2a-4f1a-96ae-e21473f1d046?GoogleStatID=1
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-03-01-12-19-12.htm
・アラビー・アラブ連盟事務局長は1日の記者会見で、シリア国民評議会等の反対派が戦線統一する必要があると強調し、連盟は2週間内にカイロで反対派の会合を組織すると語った。
他方同事務局長は、個人的にシリア問題解決は暴力で行うべきではないと考えており、アラブ連盟は武器供与に賛成してはいないと語った。
http://www.aljazeera.net/news/pages/ed82d2ff-fc2a-4f1a-96ae-e21473f1d046?GoogleStatID=1
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-03-01-14-22-13.htm
・これに対してシリア国民評議会議長は、評議会が最近設立した軍事評議会を通じて、自由シリア軍等の抵抗組織に自衛のための武器を供与する組織を作ったと表明した。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-03-01-11-48-27.htm
・英国は在シリアの外交官総てを引き揚げ、大使館を閉鎖した。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-03-01-11-17-59.htm
・{スパイ小説を地でいくような話ですが)
トルコ紙によれば、トルコの情報機関は自由シリア軍司令官のアサアド大佐を誘拐しようとするシリア情報機関の陰謀を潰した。
記事によるとシリア人女性がトルコのハタイ地区にある自由シリア軍の基地に潜入し、その補助者とともにテントから大佐を誘拐しようとしたが、この女性に不審の念を持っていたトルコ情報機関が彼女らのたくらみを阻止し、トルコ人エイジェントとともに逮捕した。
http://www.alarabiya.net/articles/2012/03/01/198024.html
コメント一覧 (2)
-
- 2012年03月02日 14:09
- >別な見方をすればこの狭い地区を制圧するのに4週間も連日猛烈な砲激を行う必要があった訳で、他の町を虱潰しに制圧して行くには相当の時間と犠牲を覚悟する要があり、今回の抵抗運動は基本的にはムスリム同胞団の蜂起であった1982年当時とは質的に異なっており、そう簡単ではなく、途中でむしろ政権が崩壊する可能性もあるし、下記に見るようにこれを機会にむしろシリア情勢は軍事的対決の様相を強めて行く可能性が強いような気がします。
政権の基盤が弱体化しつつあるのは確かでしょうね。あるシリア人ビジネスマンの話になりますが、シリアの観光業は壊滅(これはシリアGDPの15%を占めるもので、かなりの痛手であることには違いがない)、また、石油輸出も事実上ほとんど停止状態にあるし、行動が早いビジネスマンの一部はシリアに対して見切りを付けているようです。結局、彼らが国外へ逃げるため、そのたびにシリアから金が逃げる。さらには、反政府デモ以前には220億ドルあった外貨準備高も今では100億ドルを切るらしい。たった1年で一気に半減したことになります。
なので、たとえアサド側が戦闘そのものに勝てたとしても、先は見えているでしょうね。戦闘の勝敗だけが独裁体制の行く末を決めるというわけではありませんから。これで国を立て直せるかどうか。遠からず今回のような騒乱がまた起きるでしょう。そのときには、おそらく中国もロシアも自国のことでかまっていられなくなるのでは?また、今回は民主化と言うよりも宗派対立の方が鮮明に現れてしまった以上、ある意味国内は今までとは違い分裂に近い様相になるかも知れません。
今回発布された新憲法がそのまま実行されるなど誰も信じていないが、アサド側としては、それでも国民と周辺国をごまかしながら限定的な民主化アピールをやって細々と生き延びる算段でしょうね。
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コメント有難うございます。
お説の通り、経済的状況もあり、またアサド政権がこれほど多くの町で、多くの人を殺した以上、status quo anteに戻ることは不可能とのご意見の通りかと思います。
経済的な面から注目していたのは首都と商工都市アレッポの動向でしたが、双方とも最近では公然たる抗議デモが頻繁に起きており、中流階級と言えども、最早アサド支持で固まっている訳ではなさそうです。
なお、シリアの場合民主化となると、当然のことながら少数派のアラウィ派がバアス党と軍を通じて多数派を抑えてきた構造からして、宗派対立の色彩を帯びざるを得なくなると思います。
それはイラクで公正な選挙をすればシーア派が多数を占めることと共通の問題だと思います。それを防ぐには、イラク、シリアの様に強権で多数派を抑えるか、レバノンのように各宗派に総ての政府、議会ポストを割り振る以外にないと思います。
勿論最終的には分裂と言うこともあるかと思いますが、当分そこまではいかないと思っております。